ガラスの海を渡る舟

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刊行日 2021/09/10 | 掲載終了日 2021/11/30

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内容紹介

大阪の心斎橋からほど近いエリアにある「空堀商店街」。

そこには、兄妹二人が営むガラス工房があった。

兄の道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、「みんな」に協調したり、他人の気持ちに共感したりすることができない。

妹の羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。

正反対の性格である二人は互いに苦手意識を抱いていて、祖父の遺言で共に工房を引き継ぐことになってからも、衝突が絶えなかった。

そんなガラス工房に、ある客からの変わった依頼が舞い込む。それは、「ガラスで骨壺を作ってほしい」というもので――。

不器用に生きる兄妹二人の十年間の軌跡を描いた、感動の物語。

大阪の心斎橋からほど近いエリアにある「空堀商店街」。

そこには、兄妹二人が営むガラス工房があった。

兄の道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、「みんな」に協調したり、他人の気持ちに共感したりすることができない。

妹の羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。

正反対の性格である二人は互いに苦手意...


出版社からの備考・コメント

書店向きWeb商談会2021秋・連携企画 ※販促素材欄に書店員様用のご注文書をご用意しております。 ダウンロードのうえ、ご利用ください。

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おすすめコメント

「みんな」と同じ事ができない兄と、何もかも平均的な妹。ガラス工房を営む二人の十年間の軌跡を描いた傑作長編。

「みんな」と同じ事ができない兄と、何もかも平均的な妹。ガラス工房を営む二人の十年間の軌跡を描いた傑作長編。


出版情報

ISBN 9784569850122
本体価格 ¥1,600 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

人が生きていくこと、そして死ぬことについて、こんなにも心救われる思いを直に届けてくれる作家を他に知らない。
今回も寺地さんの紡ぐ言葉に何度も込み上げ、同時にそれは癒しとなって、私の身体中に静かに広がっていった。
発達障害のある兄と、何でもそつなくこなせるが、母からの愛情を未だ渇望している妹。他界した祖父のガラス工房を兄妹で引き継ぐと決めた2人が、仕事で出会う人たちや周りの人々の中で、傷ついたり助けられたりしながら、徐々に、互いの存在を通して自分を見つめ直していく物語は、今の時代の価値観の変化を、より確かなものに後押しする。それは兄が作る"ガラスの骨壷"の色彩と透明感が、死とともにある人の生に寄り添い、欠けがえのない煌めきを放つように…。

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大阪の下町にあるガラス工房SONO。祖父の工房を継いだ、道と羽衣子。この2人衝突しながらも、周囲の人々に支えながら、成長して行く姿を描いた物語。ガラスの骨壺という物が、死を尊く感じられる存在になっているのが良かったです。登場人物の中では、茂木くんと葉山さんが、好きです。

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寺地はるなさんは、どうやらまたひとつ新たな世界を拓いたようです。
道と羽衣子兄妹の長い長い迷い道、家族の相克、理想と現実の間にある自分という存在の撞着、死ぬこと、生きること、ガラス工芸作家としての苦悶、さまざまな混沌がまるで溶かされたガラスのように縺れ、道と羽衣子、それぞれの語りで吐き出される。
映しあう鏡はなかなか見たい像を結ばず、けれども、目を背けることもできない。
罅を覚悟でぶつかりながら、お互いのスタンスを譲ることもできない。
羽衣子のプライドが焦慮とともに砕けるのは次のフェーズへの必然。
そのままでいい、誰でもない自分でいいというメッセージが沁みてくる。
赦しであり救いであり、日々生き直す人間の内面の襞をこんなにも濃やかに描く物語に胸奥を押され、温かな勇気に満たされる。

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普通のことがうまくできないけど、普通の人と違う感性を持つ兄と、何でもそつなくこなせるけれど、特別な才能に憧れる妹。そんな兄妹2人が営むガラス工房のお話。
「手っ取りばやく一人前になる方法なんかない。毎日同じ時間、同じ量の仕事をするんや。そうやってすこしずつ身につけることしかでけへん」
兄に追いつきたくて焦って、無理をして倒れてしまう羽衣子にかけられた言葉が、自分の中にも染みてくる。
焦らず、目の前のことをしっかりやっていけば、それが道になる。勇気をもらえる言葉。

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寺地作品の好きなところは圧倒的リアル感。人間の弱さや強みをジワジワと、時には鋭くついてくる。家族だからこそ受け入れられること、家族だからこそ受け入れられないこと。心に留めておきたい言葉でいっぱいの今作!間違いなく今まで読んだ寺地作品の中で一番好きです。

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お互いを苦手と思っている兄妹が、衝突しながら自分自身を見つめ直していく。
「特別な誰かにならなくても、あなたはあなた」作中の優しい言葉に励まされ、心が透き通るような読後感でした。
兄妹もそのまわりにいる人も、それぞれ悩み、時には酷い面も見せながら生きている。きれいごとではなく、人が人と生きいていく姿の描き方が、とても好きでした。

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他人の感情をコントロールできないのは、自然を制御することができないのと同じ。
それなら誰かとうまくいかないことがあっても仕方がないと思える。少し楽になれる。
自分の進むべき道を自分以外の人に決めてもらいたいときもある。だけど、最後に決めるのは自分でなくては。誰かが「いい」というものばかりに流されていては自分がなくなってしまう。
「あなた」の良さを決めるのは「あなた」でいい。
ひとりひとりが違っているから、分かりあえないこともきっとある。
でも、伝わらないと最初からあきらめていては何もはじまらない。
コントロールすることはできなくても、知ることはできる。

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彼らがつくるガラス器に入れるものは大切な人が残したものだけでなく、その人と過ごした時間やその時の思い、それから前を向こうとする気持ち。
ひとりひとりが違う状態を普通と呼ぶ道は、羽衣子の感情を理解しない代わりに否定もしない。わかり合えなかった兄と妹は、前を向こうとする人たちの気持ちに二人で寄り添うようになる。
著者の作品はよく国語の試験の問題文になって主人公の心情が問われるが、これは難問になるかも。でもこの作品からは一人でも多くの人に何かを感じてもらいたいと願う。静かな雨の日の読書にぴったりでした。

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発達障害の兄弟を持つとこんな感じなのかしら?学校で恥ずかしい。ガラス作家という同じ仕事についてからは、才能を羨む。
本人からみれば、感覚が敏感すぎて疲れる。みんなのようにできない。
親戚の中にも味方あり、敵ありでリアリティがある。
相手の感情を読み取れなくても、記憶の蓄積で推測がうまくなっていく。わからないからわかるように説明してと頼む。
発達障害の診断なんてどうでもいいし、才能がなければその人に価値がないなんて1ミリも思わないと言ってた親戚の同業者の人。才能が劣っていると卑屈になる妹にも、同じくらい才能あると思うよ、お客さんに選ばれるかどうかは、単に好みの問題と言いきる。第三者の意見は救いをもたらす。

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亡くなった祖父のガラス工房を兄妹で再開する道と羽衣子。
学校生活が上手く送れなかった道とそつのない羽衣子、出て行った父と離婚をしない母。
母の弟である叔父とその家族。
家族それぞれの生き方を考えるとシンプルには動けない。
他人との繋がりよりも家族の繋がりのほうがこんがらがった時には面倒なことが多い、
その中で成長をしつつ人を家族をそして何より自分をほどいてゆく物語だった。
必ず訪れる人の死を見つめ受け入れるための物語でもあった。
と人それぞれの供養の仕方というよりも受け入れ方なのかもしれない。
「誰もが唯一無二の存在で誰も誰かの代わりにはなられへん」という言葉は
優しくもありとても厳しい言葉だ。
みんな違ってみんないい、でも、それは自分の生き方は自分で選び責任を持てということ。
多分それは言葉にするよりも厳しい。
よかった、今作品も。一気読みでした。

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対照的な兄妹が勢みで引き継いだガラス工房を、衝突しながらも堅実に造り上げていく静謐な物語。発達障碍の疑いがあり母の時間の多くを得た兄、その為に何事も器用に熟すしかなかった妹。手っ取り早く“二人は違う”とマイナスな方向に切り離してしまう事の恐ろしさを強く感じた。
仕上がるまで模様がわからないガラス細工の様に、時間を置き、角度を変えると、見える景色も違って、人もまた少しずつ分かり合えるのかもしれない。
視野を広くもつ事の大事さを教えてくれる作品。

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「前を向かなくてもいいです」この言葉に出会った瞬間、何かを赦された気がした。

何でもそつなくこなしながら、いくつになっても母親の愛情に飢えている羽衣子と、発達障害で自分の思った通りにしか進んでいくことかできない道。

全く正反対の兄と妹が、祖父から引き継いだガラス工房を通してさまざまな人に出会い、互いに見えていた世界が交差したとき、とても温かなものに包まれた気がした。


寺地はるなさんの書くものに出会うたびに、背筋が伸びていくような、心が洗われるような思いがする。繊細でありながらも、強く背中を押してくれる。この生きにくい世界を、生き抜いていこうとする意志が感じられるのだ。一つ一つの言葉にうなずき、心のなかで繰り返し、それを支えに生きていきたいと願った。

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今日一日を終えた、ただそれだけのことでも「頑張ったね。おつかれさま」と自分を労ってあげたくなった。
まずは自分自身を大切に。
それは年をとるほど難しくなっていく。
自分のことが二の次になったり、他者を羨んだりして疲れさせてしまった心を包み込んでくれるような優しいお話だった。

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すてきな装丁と、寺地はるなさんがもともと好きなので読んでみました。

生きることと、死ぬこと。
この世界に生きている限り、
どうしても避けられないこのふたつ。
暗い話になってしまいそうな
テーマにもかかわらず、
今作もとてもあたたかいです。

周りと馴染めず、曖昧な表現に
対応出来ない道が、羽衣子との
あれこれを通して成長していく姿、
また、そんな道に影響されて、
羽衣子自身も成長していって。

これからふたりが、
もっともっと仲良く、
良い関係が築いていけますように。

ガラスの骨壷、
いつか私も購入したいです。

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数々の魅力的な著書をかかれ、絶賛の声が常に耳に入ってきます、そしてたくさんの本のタイトルも記憶にあるのですが、実際に手にしたことがあるのは「今日のハチミツ、あしたの私」でした。その時も、人生に優しく寄り合う蜂蜜、という自分メモがあるのですが、やっと二作目を手に取ることができた。
なぜ読む人をことごとく惹きつけるのだろう。
一つには、理屈でも綺麗事でも割り切れない、どうにもやりきれないモヤモヤのようなもの、努力しても得られないもの、失われた大切なもの、もがいてももが手に入らないもの。望んでも得られないもの。そこからくる悲しみや苦しみや妬み。不当だと感じること。思いつくまま列挙しましたが、登場人物それぞれの、時にぶつかりあうあれやこれやを、ジャッジすることをせずに描き出したから。と言ったらカッコつけすぎだろうか。
人はいつか死ぬ。物語の真ん中に置かれたガラスの器。
個人的な想起で恐縮だが、息子が学校で作ってきた手捻りの器がとても気に入っていたのが割れた。とても大切にしていたので、とても悲しい後悔が残り続けていて、どの接着剤を買ってこようかと悩んでいたところ、降って沸いたのが金継ぎというアイディア。素敵な職人さんを見つけて、器は新しく蘇った。そのことを思い出した。ガラスの器は、たとえヒビがいつか入っても、割れても、金継ぎで蘇る。この表紙の壺もだからきっと、割れるのを恐れて恐る恐る扱わなくてもいい。壊れたら、なおせるのだから。読ませて下さってありがとうございました。

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「準備が整っていないのに前を向くのは間違ってます。向き合うべきものに背を向ける行為です」
人の感情が理解出来ず《特別》と言われてしまう兄の道の言葉。なんて強い言葉だろう。曖昧な表現が苦手で、ストレートな言葉に何度はっとさせられただろう。
《特別》に憧れるが《普通》と言われてしまう妹、羽衣子の目線になって物語を追っていた。
寺地はるなさんの本は号泣するよりも静かに泣ける本。悲しみよりも優しい涙となる。この本もまた私に寄り添い、雨の日の午後静かに泣き、穏やかな優しさが広がった。
伝わらない思いがある時、道に伝えるように具体的な言葉を選んでみようか。

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他者と関わることが苦手で共感性に乏しく、周りに合わせることができない兄の道と、何でも平均的にソツなくこなせるけれど、特別な才能に憧れる妹の羽衣子。祖父のガラス工房を継ぐことになったふたりの10年を描いた物語。
燃える海を、自分を信じてただ進んでいく。何一つ思ったとおりになることがなくても、目の前にあるガラスにまっすぐ向き合う。不器用なふたりの姿がとても眩しかった。ふたりの手から生み出される作品はどれだけ美しいのだろう。この目で見つめたくなった。
違いがあってもいい。才能や感性ではなく、自分の手と積み重ねた日々を信じることの大切さを思った。

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やはりポイントは道が発達障害だということだと思う。
もう何年も前、娘が小学生だった頃、学校のPTA役員をしていた関係で発達障害についての講演会に参加した。まだ一般的な認識ではなかった頃のことだ。発達障害は脳機能の障害であり、治るものではないこと、ましてや育て方には関係ないこと。異様にこだわりが強い、知らないものには拒否反応を起こす、手順どおりに行かないとパニクる、他人に忖度できない、曖昧なものが苦手、などなど。そのときに初めて知ったことが多くあった。
我が娘も少しグレーな部分があって、なるほどそういうことかと腑に落ちたものだった。

寺地先生はそこら辺りを丁寧に描いている。道のどうしようもない性癖や母親の関わり具合、父親の理解の無さや妹羽衣子のわだかまり。
まだまだ発達障害に理解が足りない世間に対して、この本はひとつの方向を示してくれるものになると思う。
本来とは少しずれた読み方をしているという自覚はあるが、一番感じたことだ。

骨壺という死の断片を扱うということに道は向いているのだと思う。そこに嘘や装飾は必要ないからだ。ありのままを受け入れて、骨壺を作り上げる。ガラスの骨壺?て思ったけれど、ちょっと欲しくなってきた。

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深く心にしみる素敵な作品でした。
『声の在りか』『雨夜の星たち』と、精力的に新刊を次々と発表されている寺地はるなさんですが、この作品はその集大成のように感じました。あいまいなルールが苦手だった『雨夜の星たち』の雨音。本作の兄、道は発達障害で、やはりあいまいな指示が理解できません。兄側と妹側の視線で交互に語られる10年間は、発達障害の理解に繋がりました。発達障害の兄を持った妹の恥ずかしい気持ち。家族や学校、親戚たちの反応のリアルさ。胸に迫ります。そして物語の核となる祖父から引き継いだガラス工房での骨壷作り。大切な人への想いを受け止めようとする人々との交流の中から成長していく兄妹。語られる台詞全てが心に響いて、残しておきたいと書き留めたメモがいっぱいになってしまいました。

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おそらく発達障害だと思われる兄と何事もそつなく熟すけど、普通すぎて特別な物にどこかで憧れる妹。終始兄にイライラする妹に疲れたけど、ないものねだりが切なくて辛い。兄に目が行きがちだけど、羽衣子が前を向いて歩ける終わりでよかった。

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人間はみな異なる存在で、誰一人同じ人はいないと、よく言われます。個性を大切に、お互いを認め合い、その人なりの人生を生きていくことが素晴らしいとも言われます。それを本当に実現するのはなかなか困難です。この物語の道と羽衣子の二人の兄妹は、それがどういうことなのかを表現してくれていると思いました。

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なんて丁寧に“ひと”に向き合った小説なのだろう。 道と羽衣子兄妹それぞれの感情が色々な人を通しつつ、少しずつ通い合っていくさまはまるで、それこそガラス工芸制作の過程みたいでした。読みながら少しずつ、私自身の心も整っていくようでした。
道のつくる骨壷を一つ一つ想像しながら、私も作ってほしいと思う。羽衣子の苦悩に「私もほんと、まだまだなんよ」と思いながら彼女のアクセサリーを見てみたいと思う。
ふたりで、ふたりは、人に寄り添える作品をこれからも作るのでしょう。世界は彼らみたいな人で溢れている。私たちはさまざまなものを通して“ひと”と寄り添いあって、いままでもこれからも生きていく。
この「ガラスの海を渡る舟」という小説に寄り添ってもらえたと心地よく感じる人はきっと私だけではないのでしょう。多くの人に手に取ってほしい。世界には十人十色の“ふつう”と“とくべつ”が溢れている。あなたもわたしも、みな。

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道の言葉に何度もハッとさせられて、何度も救われた。同情でも共感でもない道の言葉は物事を真摯に捉えているから心に響いてくる。本当の優しさとはありきたりな言葉で励ますことでも、わかりやすい共感でもない。本当の優しさとは、寄り添い、相手を理解しようと想像することなのかもしれない。と、教えてもらった物語。

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羽衣子はできてあたり前の子。兄の道は診断さえされていないけれど発達障害だ。兄を好きになれないまま、祖父のガラス工房を継いだ2人。できてあたり前だと思っていたのに兄に勝てない葛藤。ぶつかりあいながらも、工房にくる人、周りの人と関わり、自分と人は違うもので、自分自信を認める事が必要だと気づいた。兄を助けるのもいいかなって。お互いが違いを認めて関わる事ができたら、今まで見えなかったものが見えてくる。「骨壺のオーダーメイド承ります」って看板を出してもいいかな。一人で無理なら2人でガラスの海をこいで行けばいい。わたしがつくったものが、誰かが明日を生きる理由になりますように。

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通して見える光の違い。
独特な感性を持つ兄と振り回されてきたと感じている妹が祖父の死を契機に、祖父の遺したガラス工芸店を営むようになる。ぶつかり合いながら見つめる景色も変化が訪れ・・・
奇異の視線に晒されながらも人それぞれであることを納得し受け入れていこうとする兄と、周囲にあわせていることに違和感を感じていながら自己を表現することに臆病になっている妹、それぞれの生き辛さが浮き彫りとなる。そして時を経て、経験を経て、ぶつかり合い、認め合う2人の姿は感動的だ。
強制的な変化の中で、変わりたい自己、変わりたく自己を見つめなおせる作品。

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誰かが亡くなった時に納められる骨壷。それをガラスで作るという発想が無かった私には読んでいて真っ先に「母の骨も道と羽衣子が作った骨壷に納めて欲しかった」と思いながら読み進めていた。
人とは違うかもしれないけれど、ガラスで作る骨壷の綺麗さには誰にも負けない道。それが嫌で嫌で堪らなくて道には負けたくないと必死にもがく羽衣子。二人が人に寄り添うその優しさに何度も泣きました。寺地はるなさんの作品は、本当に大好きで、今集めている最中ですが作品を追う事に進化していく圧倒的な筆力にいつも脱帽してしまいます。沢山の人に読んでいただきたい作品です。

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普通のことが出来ないと言われる兄の“道”、
普通のことしか出来ない妹の“羽衣子”は、お互い苦手意識を持っている。
そんな兄と妹が、亡き祖父のガラス工房を、祖父の想いと技術を継ぎたいと言い出す。
二人の祖父への想いは同じなのに、なぜか対抗心を燃やし、張り合ってしまう。
ガラスの骨壺の受注では、素材の神聖で静謐を湛え、故人つを偲ぶ遺族の繊細な心を癒し、妥協を許さない心意気や
寺地さんの凄いところは、章ごとに、各人の立ち位置からの目線で丁寧に描かれていて、
なぜお互いのことを素直に受け入れられないのか?などと気になる点を、
客観的に知ることが出来、気が付くと筆力の魅力に絡めとられ のめりこんでいく。

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いつも寺地さんの本を読んだあとは温かい気持ちになります。
そして、いつも何かを気づかされます。寺地さんの本に出てくる登場人物はみんなどこか不器用だけど、健気です。不器用で不完全な人間だけに、時に上手く立ち回れずに悩んだり、壁にぶつかったり‥。そんな場面を読んで自分を投影することも良くあります。この本でも、羽衣子が道に劣等感を抱いた場面で繁實さんが言った言葉「他人の良いところを認めるより、批判したり揚げ足とったりする方がずっと簡単。優位に立ったような気分になれるけど実際はその場にとどまったまま。」がとても響きました。
 また、良い本をありがとうございました。

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発達障害のある兄の道と、兄に複雑な思いを抱く妹の羽衣子。祖父のガラス工房を兄妹2人で引き継ぐ事になり、仲のよくない2人でぶつかりながらも少しずつお互いの事を理解していく。祖父の死から骨壷を作り始めた事もあり、度々死について考える場面が出てくる。兄妹や親戚、家族間の複雑な感情や問題が描かれていた。発達障害というものを良く知らなかったのでそれも含めて色々と考えさせられた。

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とても繊細で美しい表紙に惹かれて読みました。登場人物たちは繊細で、自分の生き方や、人間関係に悩むけど、どこか逞しい。生きていく事、自分が成長していく事が基本にあるからだと思います。他人の評価から自由に、自分軸で生きていかれたら良いですね。
中学生にも読んで欲しいけど、設定が大人向きなので星はひとつさげます。

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立て続けに、新作を送り出してくれる寺地さん。
寺地さんの中には言葉の海が広がっているのだろうか。主人公のように、「こわくて、楽しい」と思いながら、物語を紡いでいるのだろうか。その言葉、物語は、私たちの心に静かに、深く染み入り、惹きつけて離さない。

祖父から引き継いだガラス工房を営む兄妹。兄の道は「みんな」と同じ事ができない。妹の羽衣子は何もかも平均的だが、時々イライラが爆発する。こんなふたりだから、正直言って、初めのうちは、どちらにも共感できなかった。けれども、それぞれの思いに触れ、少しずつふたりの心のうちにあるものに気づかされ、話の中に引きこもれていた。特に、中盤の羽衣子の辛い場面で、道の取った行動や言葉にはハッとさせられた。そこから、どういうラストが待っているのか気になって、まさに一気読みだった。
読み終えた今、今までの作品で、一番だと思っている。
最後の謝辞に、「谷町ガラスHono工房」さんの紹介があり、すぐに検索。道や羽衣子の仕事が画像によって、よりイメージが深まり、良かった。

#ガラスの海を渡る舟 #NetGalleyJP

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読み終えると表紙の意味するところが見えてきます。
臆することなく海に漕ぎ出す兄の道、ガラスの塔(?)の中を彷徨う妹の羽衣子。
対照的な二人。後ろ側はどうなっているのでしょう。
カバーを外したら何が現れるのか。出版されるのが楽しみです。
自分にはない「しるし」を手にしたい羽衣子がじたばたする姿が痛々しくって、トゲトゲしてて、
この子、好きになれないと思いながら読みました。
20歳で亡くなった娘のために骨壺をオーダーした母親に、
道が、入れ物ではなく、着る服を選んであげたと伝えた場面にハッとさせられました。

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道の言葉にハッとさせられる。頭で分かっていてもうまく対処できないものがある。それはハンデがあるとかないとかじゃなくて、受け止められるかということなのかもしれない。何者にもなれるけれど何者にもなれない自分。だけど自分は決して誰かと同じではなくただ一人の自分でもある。私の普通は誰かの普通とは違うし、違っていて当然なのに一喜一憂したり悩んだり憤ったりする。あるがままを受け入れる、それが大切なこと。

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「ガラスは海」。「海」がキーワードとして、大事な場面に、人の感情の中に、そっと重なる。必ず2人作業で行う吹きガラスの工程は徐々に息も合う様になり、発達障害の兄と卑屈な妹の関係性と自然とリンクしていくところが見事。 吹きガラスの美しさと対比する様な人間の醜さが、関わる人間のいくつものエピソードによって段々と浄化していく。 二つと同じガラス工芸がない様に、人もそれぞれ同じ人間なんていないのだ。 もう少し母親、父親のエピソードが絡みとして欲しかった。

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天才肌な兄と常に比べられ、時に心ない言葉に傷つきながら、工房の存続に奔走する主人公はなにかと損な役回りばかりで、自分の存在意義や職人としての誇りを見失いそうになる。そんな心の動きがとても丁寧に描かれていて、全く別の立場なのに感情移入がしやすかったです。

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作中で道は診断を受けていないので断定はできないけれど、
書かれている内容からは発達の偏りがはっきりと見て取れる。
そして、そうである以上身近な大人の関心の多くは、
手のかからない子ではなく手のかかるほうに向いてしまうのが常。

だから「きょうだい児」の抱えやすい問題を羽衣子も抱えているけれど、
発達障害自体への理解も浅い中ではきょうだい児への関心は向けられにくい。
だからこそ自分の理解者だった祖父との接点であるガラスが、
彼女にとっての支えともなり、弱点にもなりえるところが読んでいて痛々しい。

道と羽衣子、どちらにも同じだけの心を砕いて描いているのは、
どちらかだけでなく、どちらも理解が足りていない現状をそっと示してくれているように思えた。

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人はそれぞれ違う環境で、違う意思を持って生きている。だから、みんな同じで社会の決めた括りからはみ出してはいけない。そんなことは決してないはずなのに、人とモノの感じ方が少し違うだけで、世の中の枠組みから外されてしまった兄。自分にないものを持つ兄を受け入れられなかった妹。感情が複雑に絡み合う社会の中で2人は何を見出しどう変わっていくのか。生きることも、何かを決めることも、とても難しいけれど、胸に突き刺さるのに、それでいて、ふんわりとやさしく許されるように感じる。そんな言葉がたくさん散りばめられていている。不安になったとき、そっと背中を押してくれて、自然と穏やかな気持ちになれる。そして、大切なことに気づかせてくれる作品でした。

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血のつながった家族であっても、長年付き合いのある仲の良い人物でも、自分以外の人の気持ちを正確に推し量ることは容易ではありません。時には自分の気持ちすら正確に捉えられないこともあります。ですが、表に出る感情を受けとめることはできます。受け止め方は、その人が生きてきた時間や経験によって違ってくるかもしれませんが。この小説を読んで、そのような感情と人とについて考えさせられました。

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「愛すべき、だって兄弟なんだから」を背負って舟を漕ぎだした兄、ガラスの中に佇む妹。祖父のガラス工房を継ぐことになった兄の道は発達障害(未診断)で人の気持ちが分からず、人とのやり取りが下手、実生活でも様々な困難がある、妹のことが苦手。でも才能に恵まれる。妹の羽衣子はしっかりしているところと純真なところが混じった普通の子、そして兄のことが大嫌い。道と羽衣子は言い争ったり折り合いをつけたりしながら寄り添うことを覚えていく。家族の中での自分をそれぞれ見つけてこのままで大丈夫と、さらなる未来に向かっていく。難しい話ではなかったので10代の子にも読んでほしい。

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発達障害の兄とアーティスト志向の妹が祖父の死後、ガラス工房を継ぐことにする。
兄のことが理解できない妹、妹のことが理解できない兄。
ガラスの骨壺をつくることで様々な死の事情を抱えた人と出会う。
同じ人なんて一人もいない。
みんなが違うことが普通なんだ。
当たり前なのに当たり前じゃないことがじんわりと伝わる一冊。

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大阪の下町にあるガラス工房SONO で、発達障害の兄 道と、兄を嫌う羽衣子が衝突しながら(羽衣子が一方的にですが)成長していくお話。道が作るのは骨壷。ご遺族の希望に添ったものを作成します。道のせいで母からの愛情が足りないなど不満いっぱいの羽衣子。その上「お前は特別だよ」と祖父母からの言葉で自信だけが膨らんで。でも才能は道の方があるような気がして…
 この兄妹の周囲の人たちが自然体ながらも温かいんです。自然体で嫌な人もいますが。
骨壷作り、ということもあって、若い二人はお客様からそれぞれの「死」の話を聞くことにもなります。
色々考える道。ひたすら自分のことで悩む羽衣子。
 二人は、時に飲食も忘れるほど仕事に没頭して、悩んで、泣いて、怒鳴って生きていきます。
 読んでいる間もじんわり感動したのですが、読後感の良さが凄いです。生きること、死についてこんなに優しくて強い小説ははじめてでした。

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自分にないものを持っている人に対する羨ましさや妬みの感情は、よっぽどの自信家でもなければ誰もが感じたことのあるものだろう。兄弟姉妹に対しては特にそうなのかもしれない。最も近い存在だからこそのライバル心は普遍的だ。
だが、その葛藤の中から、どのように互いを理解し、受容できるようになるのかの道筋は一つではない。時が解決する場合もあるだろし、この話のように衝突の末にというパターンもあるだろう。もどかしさを感じつつも、先を読み進めていってしまった。

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人に協調したり、他人の気持ちに共感できなくても目をそらせない才を持つ兄と、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるものの、突出した「何か」がなく探し続ける妹。意識し続けてことあるごとに衝突してきた兄妹が一緒に仕事をしたからといって、そうそう変わるわけでもないのを突きつけられる展開には苦笑いでしたが、自分のありかたを認めてくれる人の存在、温かく見守ってくれるひとのことば、それによって視野が広がることでこれまで見えてこなかったことが見えてくるんですよね。認めるべきことを認められるようになった二人のこれからを応援したくなる物語でした。

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ガラス工房を祖父から引き継いだ兄妹の10年間を描いた物語。『普通』ではない兄と、そんな兄を嫌う妹。読み始めは妹の言動に少し腹立たしさを感じた。何故もっと兄に優しく出来ないのだろうと思ったから。他人では無い家族だからこその辛さがそれぞれにあるのだなと読み終わった時には2人を応援したい気持ちになる。感情移入が出来ない兄・道の言葉は鋭いガラスの様に心に刺さり、暖かな温もりを持って溶けて優しく浸透していく。硬いガラスは脆く、熱せられたガラスは様々な型や色に変化していく。人も、人の心もガラスの様だ。

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お気に入りの寺地はるなさんの作品。

今作も心に優しく沁みてすごく良かった。

寺地さんの作品を読むのは14作目。

大阪の空堀商店街でガラス工房を営む兄妹の物語。

実際にある空堀商店街が舞台。今年、空堀商店街の路地裏のカフェに行ったところなので嬉しい♪

幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で他人の気持ちに共感することができない兄の道。

一方、何でもそつなくこなせるが、自分には特別な才能がないと自己肯定感の低い妹の羽衣子。

そんな対照的な二人が大好きな祖父のお店を共に引き継ぐことに。

道の言葉が真っ直ぐですごくいい。心に響く。

祖父も素敵な人だなぁ。

いつも寺地さんの作品は書き留めておきたい言葉がいっぱいある。今作も印象に残る言葉がたくさんあった。

「ひとりひとり違う状態こそが『ふつう』なんや。『みんな同じ』のほうが不自然なんや」

「羽衣子にとっての『特別』とか『ふつう』は、ただひとりの特別な人間と、同じようなその他大勢の人ってことなんかもしれん。けどぼくにとってはひとりひとりが違う状態が『ふつう』なんや。羽衣子はこの世にひとりしかおらんのやから、どこにでもおるわけがない」

「自然は完全に制御することはできない。そう思ったら気が楽になるのだという。自分以外の人間もそれと同じやと思うことにした。そしたら他人と話すのが嫌じゃなくなった。他人の感情って、天候なんかと同じやなって。ぼくがコントロールできるものではない、という意味では。雨が降ってら傘をさすみたいに対処すればええんやと思うようになった」

「これまでいろんな人に守られて生きてきた。その事実だけで、これからも生きていける」

色んな人たちとの出逢いを通して少しずつ兄妹が歩み寄っていくことができ、距離が縮まっていくのがとても良かった。

じーんとして涙するところも。

ラストもとっても素敵で大好き。

読了後、温かい気持ちになれる素晴らしい作品。







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祖父からガラス工房を引継ぎ営む兄妹の物語。兄の道は、コミュニケーションが苦手で人との関わりが上手く築けない。その行動や言動を妹の羽衣子は、疎ましく思ってしまう。反りの合わなかった2人が、次第にお互いを認め理解していく。

そんな2人を見守ってくれている繁實さん夫妻は、祖父の仕事仲間。その存在は、とても心強くよき理解者でもある。

ガラス工房では、教室を開いたり、店頭やネットでの作品展示や販売がある。道の作る「ガラスの骨壷」に理解を示さなかった羽衣子だが、「オーダーメイド承ります」の看板を自ら作り立てかける。この2人なら大丈夫だと、共に前を向いて歩んでいけると思え嬉しかった。他界した祖父には、2人の未来が見えていたのだろうか、そこに希望を見たのだろうか。『ガラスの海を渡る舟』タイトルに込められた意味をしっかり味わった。

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道の言葉の一つ一つがすごく胸に刺さってくる作品でした。反発しあいながらも徐々にお互いを認め合っていく道と羽衣子の姿にジーンと来た。10人いれば10人みんな違う個性がある。丁寧な気持ちで人と接して行きたいと思う。

もっと続きを読んでいたかった~。寺地さんの作品、やっぱり好きだなぁ。

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祖父の営んでいたガラス工房を継いだ仲の良くない兄と妹。兄は少し発達障害なのか。だから、才能があるのか。離婚した両親。母親は料理評論家。何か色々と複雑な家系。骨壷を作るという兄。このエピソードの数々が優しくて、とても心地よい。寺地さんらしい、心に染み込んでくるような良い話しだ。娘のためにピンクの骨壷をリクエストする母の話しとか、とても良かった。たんなる骨の入れ物ではなくて、そこには大切な死者に対する気持ちが入っているような気がする。だから、彼はそれを作ることにコダワルのだ。

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人と向き合うこと。
自分の想いを大切にすること。
自分の想いを口に出してきちんと相手に伝えること。
生きていくということ。
自分自身を、自分だけの物語を、築き上げていくということ。

人によって、その築き上げ方は数え切れないほどあってそれぞれ受け入れられないこともあるし妥協できることもある。それでも、自分の信念や自分が貫き通したい自身の核となるものだけはぜったいに譲らないこと。

色んな気持ちがグルグルまわり続け、この作品を読み終えました。これからあの兄妹や周りの方がどのように生きていくのかはわからないけれど、ずっと一緒になんだかんだと言い合いながら、あの工房を続けてほしいなと、穏やかな気持ちで彼らを見送れた気持ちです。

人は、いくつになってもいくらでも成長できるし、前を向けるし、違う道を進めるし、歩んでいく努力もできる。現実での仕事や環境をガラッと変えることは無理でも、自分の想いを大切に歩んでいけば何年後かにはきちんとそれが自分自身の物語となり道となっているのだなと。

今回のお話は長いようであっという間だった歳月を歩んだ兄妹の、そんな素敵な物語でした。

二人が歩んでいくこれからの未来への道が、彼らの想いを貫ける場であり続けますよう!

本当に、素敵な作品を有難うございました!

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家族・兄妹・親子・生と死、側にあっても理解するのが難しいテーマに光を当てている物語。発達障害のある兄(道)と2人でガラス工房を営む羽生子。祖父の死で工房を継ぐ事にしたものの、兄妹のなかは最悪。小さい頃から兄の奇行に振り回され、犠牲になってきたと思っていた羽生子でしたが、初めて兄を正面から見つめる事になります。人の気持ちを理解する・共感する、その意味を著者が問います。全編に寺地さんの温かい眼差しを感じる本でした。

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兄弟ふたりで営むガラス工房。
コミュニケーションが苦手な兄と承認欲求が強く特別な存在として認めて欲しい妹。
そんな兄を恥ずかしいと思い反発する妹、妹を理解できない兄。
お互いに苦手意識を持ち、ことごとく反発し合う。
祖父の遺言でガラス工房を継ぐことになったことを契機に妹は、ありのままの自分を受け入れることを知り、兄は人にうまく付き合ってもらうにはどうしたらよいかを考えるようになる。
素直な気持ちになれた時にふたりは仕事のパートナーとしても兄弟としてもよき理解者となる。
ふたりの成長に心が温かくなった。

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羽衣子はこの世にひとりしかおらんのやから
どこにでもおるわけがない。
と、なんでもないことのように言う道。
みんなといるときは、みんなと違うことが嫌だったのに。
特別な何かになりたくて
でも自分はどこにでもいる普通の人間で…。
もがいている羽衣子の苦しい気持ちが
ふっと軽くなるとき、私の心も軽くなる。
道の言葉のひとつひとつが、私の心も癒してくれました。

いろんな色のガラスの海を流れに任せゆっくりと
だけどしっかりと漕ぎだした二人。
喧嘩しながら、仲良く一緒に作っている姿が
見えるようでした。
こんなにステキなお話を書いてくださって
ありがとうございます。

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とてもきれいな話でした。
知的障害のある兄の道は空気を読んだり遠回しに話したりするのが苦手。悪気はなくても勘違いされがち。
妹の羽衣子もそんな兄を嫌っている。が、ひょんなことから一緒に祖父の後を継いで硝子工房を継ぐことになる。
二人の心の葛藤や機微が細かく書かれていて、繊細な文章だなと思った。
わたしもガラスで骨壺が作りたいと思いました。

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「ふつう」ってなんでしょう。
ひとりひとり違って当たり前、わかり切っているのに人と違うことに恐怖を感じてしまう矛盾はきっと誰にでもあります。理屈ではないこと。それに気づきながらも生きていくしかない。…とはならない「道」にどこかで眩しさを感じました。

また、悲しみとの向き合い方、寄り添い方にまつわる描写は本当に共感しました。
ずっと私も思っていことでもありました。前を向けない時は向かなくてもいい。

きれいごとではなくて、本当にこの物語に救われる人はいるでしょう。
どうしようもなく悲しくて辛い思いをしている人に、
頑張っているからこそ苦しくなることを知っている人に。
届いて欲しいと思います。

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おすすめ
祖父のガラス工房を継いだ道と羽衣子の兄妹。道は発達障害(診断はされていないが)で曖昧な表現や人の感情を読むことが苦手だ。感受性の強い羽衣子はそんな兄が理解できない一方で人とは違う才能を持つ兄を羨む。二人の関係がガラス工芸の創作を通して変化していく心の様がとても丁寧に描かれていて言葉一つ一つが胸を打つ。骨壺を作ることで二人は死ぬことや生きることに触れ、そこから自分たちの答えを見出す。年齢を重ねたからこそわかる身内の気持ち。ラストがあっけなくてもっと読みたいと思わされる。

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自分の感情より他人の感情を気にするのが当たり前。そんな世の中が生きづらい道。そんな兄に苛立ちを感じる羽衣子。特別な何かを持つ兄に対する嫉妬、羨望が言葉の矢となり道と自分にも刺さる。親でも兄弟でも、まして他人なんて絶対理解し合えない。そう思えば道の言う「雨が降ったら傘さすみたいに対処したらええんや」という言葉にそうやんな、その通りやわってふっと楽になれそう。
それぞれの舟を、自分の行きたいところに漕ぎ出せる力を蓄え帆を張り進む。海は広い。

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祖父からガラス工房を引き継いだ、孫の道と羽衣子。個性の強い道に嫉妬を抱く羽衣子、なんでも自分よりできてしまう羽衣子を苦手に思う道。兄妹だからこその距離感に悩み苦しむ姿が痛々しい。その繊細な描写も相まって作品全体がガラスの工芸品のようだった。様々な人との出会いや起こる出来事は、まるでガラス種につける色ガラスのよう。各章のタイトルも作品の美しさを際立たせている。道と羽衣子は、行き先がわからないガラスの海で道を見つけることができたのだと思う。

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何度も読み返したくなる素敵なお話でした。
人と違うことを恐れてしまうけど同じ人なんていない、それぞれ違うことが「普通」なんだって改めて真っ直ぐ道に言われると不思議な安心感がありました。
羽衣子のさみしさや見て欲しかった気持ちもすごくわかるし大人になってから自分のことばっかりだったなと反省して兄に向き合って行く姿は兄弟の愛や絆を感じました。
人生に迷ったり悲観的になったときに読みたい1冊です。

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本人達曰く、「仲の悪い」兄妹の十年の物語。
周りの人と違って大変な兄と、周りとは違いたくて大変な妹が、すこしづつ近づいて行く様子が丁寧に描かれていました。
何か大切なものを入れるための入れ物、というと、デビュー作のビオレタを思い出しますが、今回はお骨と言う非常に限定的なもののための入れ物。何に入れるのか。何を入れるのか。入っているものは何なのか。本当に入れたいものは?… ただの箱、ではない、とても奥行きのあるモチーフだと思います。私は好きです。
あと、寺地さんの書く、不器用で優しい人達がとても好きです。

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普通であること、特別であること。この呪縛に囚われている人は少なくないでしょう。「普通にできない」兄と、「特別な存在」になりたい妹。それぞれの葛藤がストレートに届き、人には普通も特別もない、一人一人がそれぞれ違って当たり前なんだと思わせてくれます。

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人の気持ちを敏感に感じ取ってします妹の羽衣子と、発達障害……とは明記されていませんが、人の気持ちが分からず空気が読めない兄の道。
 この相容れない性格の二人が作中で喧嘩をするたびに、「そんな言い方じゃ喧嘩になってもしょうがないよ」「お互い様だよ」と心の中で何度も呟いていましたが、読みながらふと「あれ、自分も同じような経験を一杯してるんじゃ……?」と気付かされます。

 羽衣子や道ほど極端な性格でなくても、自分の気持ちを他人に伝えるのが難しいことは当たり前です。でも、その当たり前のことが上手くいかなくて周囲の人を傷つけたり、自分が傷ついたりした経験は皆さんにもきっとあるはずです。
 この小説は、二人の兄妹を通して気持ちを伝えることの難しさと大切さを改めて私たちに気付かせてくれます。
 この兄妹は最後まで互いのことを「仲が悪い」と言っています。最初はただの「仲が悪い」ですが、それはやがて、互いに気持ちを通じ合い信頼し合ったうえでの「仲が悪い」に変わってゆきます。
 無理に仲良くしなくても、気持ちを偽って我慢しなくても、二人で一つのことを続けられる関係。
 空気を読めと育てられてきた私たちにとって、その二人の関係は新鮮で羨ましいものに映るのではないでしょうか。

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みんなが同じであることを求められ息苦しさを覚える社会の中で生きる私たち。人はひとりひとひとり違うということを忘れそうになる。まとも。ふつう。常識。世間。私たちは似ているけれど、同じではない。ということを、ぶつかりながらも時間をかけて受け入れて行く道と羽衣子の姿には、生きていこう。という強くて熱い思いが感じられた。自分を否定しないで。そうすることで周りにも優しくなれる。もっと生きやすくなる。作者さんからそんなメッセージを受け取った気がした。繊細で脆く美しい。透明でひんやりした外見だが、炎の芸術であるガラス。ガラスのように壊れやすく繊細でありながら、熱さを感じる物語。

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ガラス細工を作りあげていく事と、家族を育てて家族になっていく事は似てるなあと思いました。
今回はじめて寺地さんの作品を読みましたが、読破後は心の奥底にあるものをそっと包んでくれるような
切なくあったかい気持ちになる事が出来ました。他の作品も是非読んでみたいです。

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大阪・空堀商店街で小さなガラス工房を営む兄妹の物語。お互いに苦手意識が強く、仲が悪い(本人たち談)二人が、ガラスの「骨壺」を扱うようになり、人の生と死に向き合うことになる。10年の間に、「普通」と「特別」の意味も変わっていく。
”あと何回驚けば、恥をかけば、わたしは「わかっていない人」ではなくなるんだろう。”
妹・羽衣子のこの言葉がものすごく突き刺さった。

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物事にははじまりがあるのと同時に、必ず終わりというものもある。それは私たち人間を含む、生きているものにも等しく同じだ。
作品には、兄の道と妹の羽衣子それぞれの視点があり、物語は過去を振り返りながら進んでいく。「ふつう」とはなんだろうか、生きていくとはなんだろうか、隣にいる存在とはなんだろうか、現代を生きている私たちが小さくも考えるそんな悩みにそっと寄り添ってくれるような作品です。

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発達障害気味の兄と、生きることに不器用な妹が、祖父のガラス工房を継ぐことになる。兄は素直な感性で作品を作り、妹はそんな兄のまっすぐさに嫉妬する。
取り立てて何がという起伏のあるストーリーではない。静かにゆっくりと物語は進んでいく。
温かい視線で気持ちよく時間が過ぎる一冊で「ああ、読んでよかった」と素直に思えることが尊い。
ドラマの原作になりそうな一冊。

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寺地はるなさんの小説はいくつか読んでいるが、家族をめぐる物語が多い。

多様性という言葉をよく耳にするようになったが、家族の在り方や家族に帰する責任論などは、これだけ色々なことが急速に変化する時代にあっても、昔のまま、あまり変わっていないように思う。

そういったことから生じる人々の心のズレや、個々の生きづらさを、寺地さんは丁寧に掬い取って小説にされていると感じる。

主人公の道と羽衣子の兄妹が、祖父のガラス工房を継ぎ、それぞれの人生に向き合う10年を辿る。
診断を受けていないものの発達障がいと思われる兄、道の「ふつう」の人たちの中で生きていく困難さや、そんな兄を持ち、小さい頃からいつも母に構ってもらえず愛情に飢えて大人になった羽衣子の心情を、交互に追うことで、それぞれの考えや見え方を読者も共有する。

家族は自分で選べない、究極の運命共同体だ。格差が広がる中、コロナ禍もあり、仲睦まじく支え合える家族ばかりではないだろう。
理想的な家族を描かないことこそが、今の私たちへのメッセージになっている。

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ガラスは脆くて、綺麗で、何も映さない。
登場人物が何者かになりたいと願い、もがく姿はまるで自分自身を見るようだった。
昨年は自分にしかできないことは何かないかと、英語の学習やコーチングの資格を取得したり、今書いているような書評をもっと上手く書けるようになりたくて、色んな本を読んでレビュー講座に取り組んだ。
でも、ある時ふと力が入らなくなって、何もすることができなくなってしまった。そんな時に、この本と出会い、工房でのやり取りを読んでいると苦しかった胸の痛みがフワッと解かれていくのを感じた。
本書は、生きることをすこし難しく考えてしまう多くの人に読んでもらいたい。きっと力みすぎて疲れた心を癒してくれるはずだから。

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亡くなった祖父のあとをついで、ガラス工房を営む兄妹の話。
コミュニケーションが苦手な道と、そのことで自分ばかり母から虐げられてきたような感覚がある羽衣子。
うまく行かなかった兄妹が、工房にくるお客さんや周りの温かい人たちと接するうちに、少しずつ歯車が合い出す感じが読んでいて心地よかった。

完璧な人間などいないことや自分は唯一無二の自分であることは、もう大人になった私たちは充分知っているのだけど、
それでもなぜか日常の中で特別であることを意識してしまう、その妹の感覚わかるなと思いました。

心が疲れたら、本を開いてまた道と羽衣子に会いに行こう。

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最初、人の気持ちや曖昧な表現が理解できない兄を嫌っている妹に対して不快感があったけれど、次第に兄も妹もお互いを理解し、成長していく姿は読んでいて大変面白かったです。
ずっと読んでいたいと思える一冊でした。このような素晴らしい作品を拝読できて幸せです。ありがとうございました。

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祖父の亡き後、ガラス工房を引き継いだ正反対の性格である兄・道と妹・羽衣子の、十年間の軌跡を描いた物語。
違いを認め合いながら関わることが大切だと気付かせてくれた作品。

兄弟がいる人なら少なからず、比べられたり見てもらえていないと感じたりした経験はあるだろう。そして、それをはがゆく思うこともあっただろう。羽衣子は兄の個性ゆえに、特に強くそう感じ続けていた。そんな羽衣子を、比較対象である道のかけた何気ない言葉が救うのが印象的だった。その一言を『魔法の言葉』と羽衣子は呼んでいたが、きっと本文中に、それぞれの読み手にとって救いとなる魔法の言葉があるに違いない。自分のことを肯定し、他者を見る目が優しくなれる一冊だ。

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素敵なストーリーだった。
ガラスでできた骨壷。
ガラス 骨壷 と画像検索するとたくさん出てきてとても美しい。
私もそこに入りたい。
祖父が溶解炉の中のガラスを「燃える海」と呼んでいたので、
道は、竿を持つときに海を渡る小舟が頭に浮かぶ。
仲が悪いけどこれからもよろしくとお互い言い合った兄妹。
お互いを補いあっている。
いい兄妹だと思う。
あんなに嫌がっていた看板を羽衣がセンス良く書いてくれたところは感動した。
良書。

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