星を掬う

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刊行日 2021/10/18 | 掲載終了日 2022/03/11

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内容紹介

2021年本屋大賞受賞後第一作!

町田そのこが新たなに紡ぐのは、すれ違う母と娘の物語。


<あらすじ>

小学1年の夏休み、母と二人で旅をした。

その夏の終わり、私は、母に捨てられた――。

ラジオ番組の賞金ほしさに、「夏の思い出」コンテストに投稿した千鶴。

それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。

思わぬなりゆきで母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになって――。


<町田そのこさん コメント>

「わたしは母としても、娘としても未熟です。でも、すばらしい母とは、成熟した娘とは、何だろう? うつくしい夜空の中から自分だけの星を探す気持ちで書きました」


<町田そのこさん プロフィール>

1980年生まれ。福岡県在住。

「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に『ぎょらん』『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。

『52ヘルツのクジラたち』が2021年本屋大賞に選ばれた。

2021年本屋大賞受賞後第一作!

町田そのこが新たなに紡ぐのは、すれ違う母と娘の物語。


<あらすじ>

小学1年の夏休み、母と二人で旅をした。

その夏の終わり、私は、母に捨てられた――。

ラジオ番組の賞金ほしさに、「夏の思い出」コンテストに投稿した千鶴。

それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。

思わぬなりゆきで母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記...


出版社からの備考・コメント

※本PDFは校了前のデータを元に作成しています。発売までに改稿などで変更が生じる可能性がございます。 ※外部サイトやSNSで本書をご紹介いただく際に本文を引用される場合は、必ず発売後の製品版より引用をお願いします。 ※本ページのサムネイル画像はNetgalley専用に作成したもので、実際の表紙画像とは異なります。

※本PDFは校了前のデータを元に作成しています。発売までに改稿などで変更が生じる可能性がございます。 ※外部サイトやSNSで本書をご紹介いただく際に本文を引用される場合は、必ず発売後の製品版より引用をお願いします。 ※本ページのサムネイル画像はNetgalley専用に作成したもので、実際の表紙画像とは異なります。


おすすめコメント

<担当編集Yより>

本屋大賞受賞が決まったあと、胃薬を飲み続けたという町田そのこさん。

新作は大丈夫なのかとハラハラしていたのですが、届いたものを読んで驚きました。凄く面白かったのです。

それからも町田さんは10回以上の修正を行い、どんどん良くなる原稿に担当者は身震いしました。

「町田そのこ、恐るべし」

自信をもってお届けする町田さんの新作、応援のほどよろしくお願いします。

<担当編集Yより>

本屋大賞受賞が決まったあと、胃薬を飲み続けたという町田そのこさん。

新作は大丈夫なのかとハラハラしていたのですが、届いたものを読んで驚きました。凄く面白かったのです。

それからも町田さんは10回以上の修正を行い、どんどん良くなる原稿に担当者は身震いしました。

「町田そのこ、恐るべし」

自信をもってお届けする町田さんの新作、応援のほどよろしくお願いします。


販促プラン

<中央公論新社営業局より>

この度はご覧いただきありがとうございます。

ご一読いただき、面白いと思って頂けたら、ぜひコメントを頂戴できますと嬉しいです。

※いただいた感想(書店名・お名前など)は、弊社のTwitterや宣伝・拡材などに掲載させていただく場合がございます。掲載にあたっては事前に確認のご連絡を差し上げます。

<中央公論新社営業局より>

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出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784120054730
本体価格 ¥1,600 (JPY)

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

自らの不幸な人生の起点を母に捨てられたこととする。全ては親のせい。生んでくれなんて頼んでない。生まれてさえ来なければ、苦痛を味わうこともなかったのに。そんなことを思ったり、口にしたこともあったかもしれない。自分のせいではないと責任転嫁をすることは、心を守るための一種の防衛機制なのだろう。だがいつまでもそうしていると自分の意思で何も決められず、搾取され続ける人生が続く。いつまで経っても自分の人生が始まらないのだ。辛い記憶ばかりかもしれなくても、一等光り輝く記憶を掬う瞬間だってあるのだと信じて生きていけたら。先日、介護施設に入った祖母に数年振りに会った。昔祖母がしたことの全てを赦せた訳ではないが、子供のように無垢になった存在にあの頃の怒りをぶつけようとは思わない。死んでしまいたいとも死んでしまえとも思ったこともあるが、彼女にも星を掬う瞬間があればいいと願う。

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それぞれの心の傷が、痛みが直に感じられて苦しくなりますが、自分の人生を生きるという当たり前だけど難しいことに向き合える作品だと思います。そして読んだ後は「星を掬う」というタイトルが愛おしくなります。うそっこバナナサンドいいなあ。

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圧倒的な筆力だな、というのが読み終わった直後の感想。楽しい話ではない。読んでもきっとすっきりしない。長く自分の中に辛い感情を残す話だ、とも悟っていた。けれど続きが気になってあっという間に読み切ってしまい、そして案の定、作中の感情に当てられて今大変落ち込んでいる。私は母の娘であり、(血の繋がりはともかく)誰かの母になるかもしれない。そのことをずっと考えている。なんの結論も出なくとも。

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人がそれも女性が虐げられるのは読んでいてとても辛かったです。

不器用と呼ぶにはあまりにも悲しい母娘。
母の世界では娘は生きられず、娘の世界では母は生きられない。子どもは親の所有物ではないし、親は清廉潔白な正しいわけではない。
だけれども、囲ってしまいたくなるしすがり付きたくもなるんだと思います。

それぞれの過去にきちんと向き合って、あるべき場所にたどり着けたのは本当に良かったです。

くじらフルーツパルフェのくじらクッキー、 52種類にニヤッとしたのは私だけではないはずです!

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町田そのこさんは人の痛みにとことんまで向き合う作家さんだなと思う。52ヘルツのクジラたちもそうだったけど、今作もかなり踏み込んだ心の痛みと向き合っている。母と娘、どれほど仲が良くてもきっと何かしらのわだかまりや苦い想いを持ってしまうような関係が多いのではないかと思う。この本に出てくる二組の親子、母に捨てられた娘、娘に捨てられた母、捨てた方の母と娘の全員が苦しんでいて辛い。それでも親子や家族という鎖に縛られないで、自分の人生を生きるんだということを母が子に言うとき、相当の決意と覚悟がその人生にあったんだということが伺えて胸をうった。心に残る作品だった。

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「自分の不幸は親のせい」と、誰かに責任をなすりつける。
「自分の不幸は親のせい」と考えられたとき、押さえ込んでいた自分と向き合える。
人それぞれ、前向きに生きるための「心理的親殺し」ができるといい。

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突然前から飛んできた何かにガツンとやられた感じ。衝撃が強くてまだクラクラしている。町田そのこさんは私が今まで見たくないと思って曖昧にしてきたことを容赦なく見せてくる。しかもなかなかの荒療治。自分の人生は自分のもの。誰かのためにでもなく、誰かのせいでもない。母の顔色ばかり見て生きてきた自分。いつも相手の望む事を考え、自分がどうしたいのか分からなかった頃のことを思い出した。人と関わることがしんどかった。千鶴は、聖子は、私だ。自分を憐れんでばかりいた私も、子育てをし、父母を亡くして少しだけ成長した。母は生前私を甘やかしてくれたが、空から「そろそろ自分の人生を生きろ」と言っているかもしれない。親としても本当に未熟な私だ。そんな自分も受け入れつつ、生きていこうと思う。
ひとつ気になったのは、DVの夫とストーカー男のその後だ。息子を持つ親として、彼らも自分の人生を生きる日がやってきて欲しいと願う。

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気付けば途中から泣いていました。
最初の方はDVもありかなり読むのが辛かったけれど、少しずつ「家族」としての関係性が出来上がっていくのが感動しました。
自分の人生の辛い部分を他人のせいにしてはいけない。
認知症って本人にも家族にも辛いな…と思いました。

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読みながらずっと自分と自分の母のことを考えていました。私の母は、私が幼稚園に入る少し前、いなくなりました。父と出かけていた私と妹が帰ってみるといなくなっていたのです。紆余曲折あり(大人たちに)、小学校に入ると同時に父がいなくなり、母と暮らすようになりました。以後これまで母子家庭として暮らしています。妹はそのときのことを覚えておらず、私だけずっと忘れずにおり、そのせいか幼い頃から他人との関わり合いや信頼関係がほかのひとと同じように築けないように感じていました。ただ近年私も母も歳をとってきたこともあり、色々思うところもあり、大切に少なくとも遺恨のないように接したいと思うようになりました。作品を読んで背中を押してもらった思いです。

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母と娘、同じ性別であるが故に母は娘に『自分』と『理想』を投影し、娘はそれに応えたいと願う・・・自分の中に命を宿してこの世に産みだす母と、生を受けてからの距離が近すぎるがゆえの娘との軋轢。女性で一人っ子の自分にはとても重たく感じる話でした。そして、タイトルの意味を理解した時、心が震えました。なんて美しいーーーーーー。一つ一つ思い出を掬う作業は壊れた思い出を救っていたのですね。
読ませていただき、ありがとうございました。

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苦しくて苦しくて、でも救いはあって、自分の星も掬って泣きました。
物語に出てくる様々な問題に、目を背けたくなる場面も多々ありました。特にDVのシーンなんかは見ていられませんでした。
まるで映画やドラマを見ているかのように、場面が鮮明に浮かぶので本当に心を抉られるようでした。
でも、光が見えた瞬間や気持ちが通じていく場面を読むと、こっちまで勇気をもらえて私も頑張ろう。と強く思えました。
そして母は私のことをどう思っているのかな?とか、もっと母と話そうとか、自分の母の事をたくさん考えました。
私は日常生活にも家族にも恵まれていて、普段から何の不自由もなく生活しています。ですが当たり前は当たり前じゃない。ということを頭に入れて、家族や周りの人達に感謝していこと思いました。
そんなきっかけをくれた、こちらの作品にとても感謝です。
星を掬うというタイトルもすごく良いですね。この作品を読む事ができて本当によかったです。ありがとうございました。

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母娘関係ですれ違い、その傷を抱えたままの女性達。ふとしたきっかけで共同生活を送る中、お互いを知りながら変化していきます。
家族への期待や過去の傷が心を縛りつけているのに気づき、そこから解放されて成長する主人公たち。病と戦いながら人間臭く真摯に生きる母親とのやり取りを応援したくなります。読後にハッとさせられる、祈りの気持ちをこめたタイトルも素敵です。

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千鶴にイライラ。
不幸に酔いすぎ。
弥一はクズだけれど、千鶴にも問題があってあそこまでモンスター化したのでは?まで思っちゃう。
なぜ立ち向かわないのか。前半はずっとイライラしてました。
最後は壁を破って、ちょっとスッキリ。

恵真はすごく強くて前向きで大好き。
結城と幸せになってほしい!
聖子や恵真みたいな前向きで強い気持ちで生きていきたいな。

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母に捨てられた経験、他界してしまった身内、クズ男との結婚、DVと胸が痛む展開が続いてからの母の認知症で抉られる気持ちでした。
しかし後半からはこんなに辛い経験をしても強く前向きに生きていこうとする気持ちにこちらも勇気をもらいました。
他者から酷いことを言われたりされたりしても自分の人生他人にどうこうされないように強くしっかり生きていきたい。そんなことを教えてもらったような気がします。

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最初はきつい……ほんと勘弁して…と思っていたけど、すいすい読めて一日で読了。
母という、自分にも身近な存在と、娘という自分自身の立場。登場人物たちと完全に状況がかぶることはないとはいえ、ちょいちょい重なるところがあって、自分ごとに思えたのが苦しかった原因だと思う。

人とまっすぐ向き合うことって、何て難しいんだろう。
家族なのに。母娘なのに。どうしてこんなにすれ違うんだろう?
……いや、母だから?娘だから?
だからこそ、よけいな甘えや思い込みで、よりすれ違ってしまうのかもしれない。

この本の表紙のように美しいラスト。苦しかった自分も一緒に救われた。
きっと誰もが心を救われる物語だと思う。

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『星を掬う』

あの夏の日、楽しかった日々…母は私を捨てた。
今の酷い生活は母が私を捨てたからだ…
夏の思い出から繋がり、母と一緒に生活することになる。
しかし、母は…

母と娘、娘と母…
同じようでも違う、分かり合えるようで、分かり会えない、素直になりたくてもなれない…どうしてこうもすれ違うのか。
母だって娘だって、違う人間なんだから考え方も違う。
でも、どこかで繋がっている、お互いを思っている。
ズレがあっても一歩一歩、寄り合って分かり合う。
思いや記憶を掬いながら…

幸せを越えたものがこの物語の中にあった。

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母が出ていってからの娘の不遇な人生。暴力的な元夫の横暴から逃れた先の母親との再会、どう接するべきか苦悩する中で目の当たりにするそれぞれの母娘の形もまた印象的でしたけど、それでも出会えたからこそ向き合えた過去があって、ぶつかりあったからこそ乗り越えられたトラウマがあって、そんな未来を感じさせてくれる結末にはぐっと来るものがありました。

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すれ違う母と娘の物語。千鶴はDV夫から逃げ自分を捨てた母と再会するが若年性認知症を患い共に過ごす時間は残り僅か。こじれた関係は回復するのか?私も娘の母であり、また娘でもある。母は認知症でもう誰のこともわからない。記憶を掬う瞬間も恐らくないだろう。だから私は母のことを思い出す時間をあまり持たない。娘とはそこそこの距離。いい母親かもわからない。町田さんの紡ぐ物語は少し心を抉る。構成の巧さが魅力なのだが、今回は感じなかった。次作を期待。

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とても夢のあるきらきらしたタイトルだと感じました。
序盤から町田そのこさんらしい人生の狂いかたに、苦しみも連発で、読むのがかなりつらいと感じました。それだけの表現力てわ書かれた作品です。
自分の人生の責任を、わたしも誰かにとらせようとしていたと思います。世の中のいろいろなことを考えました。

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「大丈夫。あんたは、できる子だから」
この言葉は、自分にとってとても大切な言葉になりました。千鶴のお母さんが自分にも言ってくれているような。
人のせいにしてしまえば簡単だけど、自分の人生は自分のもの。自分の責任で生きていかなければいけないと、強く思いました。
何度も胸が苦しくなったけど、最後まで読んでよかったです。

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ていねいにこぼさないように描写されていく物語、ゆっくり自分の感情を味わいながら読むことができました。
「星を掬う」この意味が作中で明かされる時に浮かんできたイメージ、その温かさは一生忘れないなと思いました。

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母に捨てられた小1の夏から心の成長が乏しいまま大人になった主人公が、運命の悪戯で生き別れになっていた母の住まう共同住居で共に暮らす事に――。
『52ヘルツのクジラたち』と通じる部分もありながら、あれ程の理不尽は感じず、しかし納得は出来なくて…その欠片をわざわざ掬い集めて甘えちゃってる人間の弱い部分が巧みに浮き彫りになっていた。心の持ちようで未来が拓ける事を寄り添い訓える柔らかい作品。

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世間では大なり小なり常に何かは起こっていて、だけどその立場に立ってみないと気持ちに寄り添えないことが沢山あって、やり過ごしてしまう日々のなかで、だから時々こうして小説の中で私はその人達の体験したことや気持ちを知り、簡単にではあるけれど辛くなったりして、現実に起きている物事の当事者達に少し気持ちを寄せることが出来るようになる。

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辛いのに、でも優しくて、泣きました。
娘を捨てた母と母に捨てられた娘が、それぞれに掴もうとする幸せが苦しいです。不幸を乗り越えながら生きていく母娘の姿と二人を見守る仲間たちの温かさに、苦しいのに優しくて涙がでました。
人との繋がりの温かさが、今の私を生かしてくれてるのだと気づかせてもらいました。人はいろいろなものを失いながら生きているのかもしれない。自分なんかって自分を否定してしまう時がある。でも人は一人では生きていけなくて、人とぶつかったり、許し合ったり、求めあったりして、あぁ、私はここにいていいんだと自分を肯定して受け入れることができて、やっと生きていけるのだと思う。もうなにもかも全部が嫌で、止まってしまう時もあるかもしれない、そんなとき「あんたならできる、大丈夫」と、背中を押してくれる優しい物語でした。

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大変素晴らしい作品でした。もう映画化して欲しいです。母娘の業や当事者しかわからない家族関係が、他者というフィルターを通すことで、解釈がかわったり、気づきを得られたりする、凄い物語です。一人でも多くの方に届きますように。

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町田そのこさんの作品は大好きで、『52ヘルツのクジラたち』も本屋大賞を受賞した時はとても嬉しかったです。
ただ描写によって所々読むのが辛くなり…という話も聞いたので、今回はいろんな意味で期待?していました。

今回もなかなかすごくて。
登場人物は「こんなに不幸な人が集まっていいのか?」と思うくらいてんこ盛りですが、なんだろう。
すごく刺さるんです。
全く状況は違うけど、はっとする。
そんな言葉がたくさんありました。
普段読みながら付箋貼るのは苦手ですが、この本は私の中で付箋の量NO.1になること間違いなしです。
(それがいいのかはよくわかりませんが)
発売を楽しみにしています。

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ラジオ番組へ投稿した、ひと夏の母との思い出をきっかけに、主人公の千鶴が出会ったのは自分を捨てた母を“ママ”と呼ぶ女性、恵真。実の娘ではないけど、なんだかワケあり。
千鶴側の問題で、なかなかに切羽詰まった状況に陥っている彼女を救う手段として提案されたのは“母”と一緒に暮らすこと。
そこに同居するのは恵真だけではなく、高齢者向け介護施設でケアマネージャーとして働いている彩子さん。彼女もまたワケあり。
そして、母の聖子は若年性認知症を患っていた。千鶴の知っているのとは若干違う印象の聖子に戸惑いつつも、どんどん失われていく記憶・思い出のなかに、今まで感じていた疑問の答えを見つけ、千鶴はやっと自分の人生と向き合っていく。

最終的には“受け入れる”状況になるけど、それまでが苦しくてくるしくて、それでも明るい方を向こうとする登場人物たちの姿に目頭が何度もあつくなりました。
個人的にはあり得ないと感じる、過去の聖子さんの判断も、親子とはいえ“他者”な娘を守りたいという考えが根底にあるのならば正解の行方が分からず、読んでいる間、何度も息を凝らし、深呼吸を繰り返してしまいました。

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読み終わったあと、著者の作品を全て読み返したくなりました。作品が違うはずなのに、それぞれの主人公、登場人物がどこかで繋がっている気がします。今回は母と娘の話でしたが、すれ違った家族がどういう結末を迎えるのかというストーリーは、家族で悩んだり、家族内に問題を抱えていたりする人には共感する話かもしれません。

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本を読んでこんなに泣いたのは初めてです。
次の日が休みの日に読んだほうがいいです。
号泣しすぎて目が腫れました…
読んでいく途中、寝ている娘をぎゅうっと抱き締めました。そして、明日は母に会いに行こうと思います。

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町田そのこさんという作家は、家族の繋がりの危うさ、脆さを描くのがなんて上手いのだろう。そしてまた、人の繋がりの強さ、尊さを伝えるのがさらに上手いのだ。だからこんなに町田さんの紡ぐ物語に没頭して、読後には色々な想いに溺れそうになる。

今作もまた、やられてしまった。
母に捨てられたと思い生きてきた千鶴が母と再会し、母の思いに触れ、自分の本心に向き合い、近づいてゆく物語。同居人それぞれが抱えるそれぞれに違った家族との離別や問題を知る事で、親とは家族とは人とは何を感じ考えるものなのかを知っていく。
『自分の人生は自分だけのもの』だと家族を前に言える勇気は私にはまだ無いけれど、自分の生き様の責任を誰かに押し付けることだけはしたくないなと強く思った。
深く沈みこんだ記憶の底からボカリポカリと母が掬い出す思い出は、ささやかだけど確かに希望で、タイトルを何度も思い返した。
日常に絡め取られそうになったとき、家族の中で自分を見失いそうなとき、指標としたいお話でした。

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さらりとした文体でするすると読めるのに、なんと重たい内容なのでしょう。でも読後感はさわやかで気持ちよい!悪人が完全に悪人で、善人が完全に善人で、そこがフィクションだなぁという感じが否めないというところはありますが…

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娘の思いも、母の思いも…。
読者は、読んで知る事が出来ます。
でも、物語の中では、お互いの思いがなかなか伝わらなくて、切なくなります。 
ささやかな日々を見守ってるような気持ちなりました。

ところが最終章で、物語の冒頭で書かれた、大きなトラブルを抱えていた事を、思い出しました。
どうして、懸命にやっとの思いで生きる人達の小さな幸せを、壊してしまう事の出来る者がいるのだろう?…
と、気づくと悔し涙が流れてました。

現実には、似たようなケースで殺人事件も起きてます。
この物語は、このトラブルを、どう決着つけるのだろう?…
と、気になって、夢中になっていた事を思い出しました。
母と娘の話に引き込まれて、うっかり忘れてました。
他人の個人情報を、簡単にネットに晒してしまう恐怖も味わいました。

物語の冒頭で書かれた、現実には、逃げきれずに殺されてしまう人達も多い問題を、
この物語が、どう解決を見せるのか?…
是非、多くの人達に読んで頂けたら、と思います。

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