架空の犬と嘘をつく猫

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刊行日 2020/12/23 | 掲載終了日 2022/03/23

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内容紹介

寺地はるなが贈る、破綻した嘘をつき続けた家族の、とある素敵な物語!


<あらすじ>

羽猫家は、みんな「嘘つき」である――。

空想の世界に生きる母、愛人の元に逃げる父、その全てに反発する姉、そして思い付きで動く適当な祖父と比較的まともな祖母。

そんな家の長男として生まれた山吹は、幼い頃から皆に合わせて成長してきた。だけど大人になり彼らの《嘘》がほどかれたとき、本当の家族の姿が見えてきて――?


<著者紹介>

寺地はるな

一九七七年佐賀県生まれ。大阪府在住。二〇一四年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。 他の作品に『わたしの良い子』(中央公論新社)、『水を縫う』(集英社)、『やわらかい砂のうえ』(祥伝社)、『彼女が天使でなくなる日』(角川春樹事務所)などがある。

寺地はるなが贈る、破綻した嘘をつき続けた家族の、とある素敵な物語!


<あらすじ>

羽猫家は、みんな「嘘つき」である――。

空想の世界に生きる母、愛人の元に逃げる父、その全てに反発する姉、そして思い付きで動く適当な祖父と比較的まともな祖母。

そんな家の長男として生まれた山吹は、幼い頃から皆に合わせて成長してきた。だけど大人になり彼らの《嘘》がほどかれたとき、本当の家族の姿が見えてきて――?


<著者紹介...


販促プラン

<中央公論新社営業局より>

この度はご覧いただきありがとうございます。

ご一読いただき、面白いと思って頂けたら、ぜひコメントを頂戴できますと嬉しいです。

※いただいた感想(書店名・お名前など)は、弊社のTwitterや宣伝・拡材などに掲載させていただく場合がございます。掲載にあたっては事前に確認のご連絡を差し上げます。

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出版情報

発行形態 文庫・新書
ISBN 9784122070066
本体価格 ¥660 (JPY)

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

家族という他者との関係を保ちたくて、優しい嘘をつき続け。架空の犬を撫でる事で自分を慰め。空想に逃げこむ事が得意だった彼は架空の物語を綴るようになってやっと辿り着く家族写真。お見事です!そして方言で語られる年代別ストーリーに頁をめくる手を捲る手を止められませんでした。

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神様は背負えない荷物を与えない。本当にそうなのかしら・・・苦しくて苦しくて、こんなに苦しいのは自分だけ、神様は意地悪なのか、ホントにいるの?・・・そう思うときうそをつくことがある。自己保身に、切ない嘘をついて自分を守る。そして、ときに、夢を見る、今とは違ってすこしはマシな自分の姿と世界を夢に見る。嘘や夢の中にホントの自分が住んでいるのかもしれない。そこへいつかたどりつきたい・・・
東の魔女の澄江さん。山吹に「人のために生きてはいけない」という。それは、多分に自分をごまかす保身で、やがて、勝手に相手を憎む。そんな、なさけない人生を生きるなと。
山吹は、背負ったものに負けそうになっても、一つの自分だけの真実を見つける。
頼がすき。ずっと一緒でいたい。やがて生まれくる子供を頼以上には愛せないかもしれないと思うほどに。
今の真実。これは確かなもの。山吹の生きたい今、そして、未来も変わらぬ真実・・・
きっとこれからも嘘はつく、夢も見る。でも、この真実はホント。
生きていて苦しい。仕方がないこと。人を自分を傷つけることだってある。
一生懸命、自分の人生。溺れながらも、踏ん張って泳いでみよう。自分が愛されていることを知り、自分も自分を認められる時、やがて人の本当のよわさも、いとしさも、その心も見えてくる。そんな日まで。
素敵な旅をありがとうございました。

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「こうすればよかった」「ああしなければよかった」
上手くいかず、反省を繰り返す日々。それでもどこかのパズルピースが嵌まってゆくのかな。
私の物語のジグソーパズル。穴開きになっても、ある程度の完成に持ち込みたい。どんな絵柄になるのだろう。

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家族という存在について考えさせられる内容の濃い作品で、ぜひ実写で観てみたいなと思いました。
序盤ではそんな家族バラバラでいいのか?と、凄くもやもやしていたんですが、最後の集合写真のくだりで良かった…!と感動しました。

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信号が黄色だったらどうするだろうか。止まる?注意して進む?
正解は止まるだ。ただし、急には止まれないので、すでに停止線に近づいていて安全に止まれない場合に限ってはそのまま行ってもいい。
「架空の犬と嘘をつく猫」の主人公“山吹”は、弟の青磁ををなくして正気を失ってしまったようにみえる母の雪乃の為に嘘をつく。
「お母さん、青磁は」
「……お父さんと、お散歩に行ったよ」
「……手繋いで、楽しそうに歩いて行った。はしゃいでゲラゲラ笑いよったけん、帰りは疲れて寝とるかもしれん。……お父さんが、おんぶするたび重くなるて言いよらした」
まるで物語を紡ぐみたいに嘘が口に出る。
 山吹は“ただしの黄色信号”のようだ。急に現実を受け止められないから、事実を言っても幸せな家族にはならないから、そのまま行く。青磁が生きている世界のまま行く。
 でも、その世界は母の為を想ってではなかった。自分の行為を取り繕うためについた世界は続かない。しかし、山吹は新しい物語を子どもに向けて作り出す。
 山吹は母に対しても、姉の紅に対しても、妻の頼に対しても、それ以外にも、フラットに優しい。優しさに種類があるとして、読後感が良い、ちょっと進めた気持ちになる小説だった。

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「まともな大人が1人もいない」
5年ごとに描かれる羽猫家30年間の物語
ウソをつく羽猫家の人々
その周囲もまた自分のためにウソをつく…
「正しくなくてもいい」
心の弱さを受け止め寄り添ってくれる
すてきな言葉がたくさん詰まった1冊です。

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まともな大人がいない家庭で育つ紅と山吹という姉弟。親を受け入れられず独立する紅と母のためにいい子でいようとする山吹。嘘をどうしても許せなかったり嘘の中で生きていたり登場人物それぞれに欠けている何かがある。けれどその痛みは自分にしか分からないし人間はそうやって嘘や痛みを抱えながら毎日を生きていくのだろう。家族だから気持ちが分かるというのはきれいごとだ。
 きれいごとじゃない生き方を淡々としているようだけどけっして突き放さず、ありのままを受け入れて描かれていてとても好きな作品でした。自分を大事にして生きていったらいいんだと改めて思わせてくれました。

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家族だからといってすべて肯定できるわけじゃないですよね。
言いたいことも有れば言いたくないこともあるし。
本当の事を言うのも嘘を付くのも自分の為というのが人間であってそれが普通なのだということがわかります。
人の為だなんて軽く言う人たちよりもこの家族はより人間らしいのだ。

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主人公・山吹と周りの人々の様々な嘘と、過ぎ行く日々を綴る物語。周りの人達の想いを知ることができる視点があり良かったと思いました。
「役に立たないモノが存在をゆるされる豊かな世界」などのおばあちゃんの言葉は素敵な言葉ばかりでした。新しい家族がふえるかも・・・なハッピーエンドです。

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優しい嘘、傷つける嘘、さまざまな嘘をつく羽猫家や周りの人々の30年の物語。
たくさんの視点で描かれていますが、特に親と子の関係、愛情というものは無限にあるものではなく、意識的に選択して生きている。自分もそうなのだと感じました。
読んだ後、少しの切なさと愛おしくも優しい気持ちが溢れました。

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嘘がない家族の方が珍しいかもしれない。
家族だからこそ、必要な嘘もある。
この物語は、その嘘のおかげで、最後は優しい気持ちにしてくれます。
僕も小さい頃は架空の犬を飼っていました。あまり他人事のように思えず、辛い気持ちにもなりました。
でも、この本は途中で止めると損をします。
最後まで読むべき1冊です。

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嘘をつかない人間はいないだろう。
問題になるのは嘘をつく理由だ。
優しい嘘なら、必要な嘘なら、許されるのか。そもそも嘘は許される必要があるのか。人間の体から否応なしに噴出する汗や涙や血のようなものではないか。。。

「嘘つきばかりの家」に生まれた主人公の38年の人生が5年毎に切り取って語られる。家族と人生にゆるりと向き合いながら、それらの難しさを知っていく主人公。それぞれの年代ならではの体験や感情に、いつかの自分自身が重なって、読み終える頃には古くからの友人になったようだった。読後、主人公一家の幸せを願わずにはいられないほどに。

一つ一つのエピソードは日常的で読みやすいのにそれらが上手に繋がり、絡まりあっていて「嘘」や「愛憎」について深く考えさせられる作品。

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物語の起伏がはっきりしてるわけでもなく、明快な解決などもない、こういうタイプの小説はあまり読んだことがなかったので、新鮮だった。
すごく特異なように見えて、実は身近にもいそうな、「いびつな家族」の物語だ。
母のために嘘をつき続ける山吹の行動が切なすぎる。そして母の反応も泣ける。
羽猫家のみんなの幸せを祈らずにはいられない。

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作品の中にも出てくるように、本当にまともな大人がいない(おばあちゃん以外は)物語です。嘘をつくとこが善か悪かということは人それぞれだとは思いますが、主人公の山吹にとってはその嘘が必要だったのだと感じました。様々な名言を残してくれたおばあちゃんが亡くなってしまったのは残念でしたが、ばらばらになっていた家族が最後には家族らしくひとつになっていたのが良かったです。
巻末の解説を読めばさらにこの物語の存在する意味が深まるように感じました。

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主人公の家庭は救いがないほど破綻しているのですが、そうなった過程はあらましや回想で語られるだけです。作者はドラマチックに盛り上げることを避けるかのように、登場人物達の日々の生活とそれぞれの心情を綴っていきます。その表現が、作者がこの物語を動かしているのではなく、この物語の中に生きている人物達を作者が見つめて書き留めているように感じられて、それがこの作品にリアリティーを与えています。スッキリとした和解や解決はないのに、読み終わってとても優しい気持ちになれる不思議な作品。この感覚を是非味わってみて欲しいです。

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テンポの良い、淡々とした文章は、最初は少し硬質なイメージ。
中盤からは登場人物に対し、もどかしさを感じているような言葉の選び方。
終盤にかけては深い愛情を感じる語り口に、ぐいぐいと引き込まれた。
読者の感情の盛り上がりに寄り添う文章は、流石だと思った。一気に読み進めて読了。

物語はメリーゴーランドのように、羽猫家や周囲の人々の目を通して語られていく。
しなやかに描き出された彼らが見て語る世界は、しかし棘のように引っ掛かる。
それは彼らの吐いた嘘や虚勢が、読み手の心に届くからだ。
羽猫家の人々は、遠い『キャラクター』の物語のようでいて、どこか親近感を感じてしまう。
心の弱さ、痛みからの逃避。
誰かの優しさに触れること。
そしてささやかな喜びに癒されること。
長い年月をかけてそのすべてに気付き、受け止められるようになること。
それを鮮やかな筆致で描き出した文章に、本をとじる頃には彼らを愛おしく思っている。

時代が変わっても、生きる環境が変わっても、人はずっと孤独だ。
耐え、強かになろうとしても、弱さに挫けても、外見がいくら変わっても、年齢を重ねても。
優しく在ろうとする原動力になる。孤独というものは。
そのために、自分と誰かのために、『嘘をつく猫』を腕に抱いて、心の中に棲む『架空の犬』を撫でる。
羽猫家の人々がそうであったように。
この本は、不器用な登場人物たちの物語。
だけど誰かを想って、優しく在りたいと思う人に読んで欲しい一冊。

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寺地作品ってね、ギャハハとか笑って終わりっていうエンタメではないんです
なので、そう言うのん求めてる人には合わない
でもね、この小説の中にはほんとに生きてる世界があると思うんです
誰だって家庭内の苦しいこと、世間の辛いこといっぱいあります

でも、全部ひけらかすことはしないじゃないですか

正直に生きられず、嘘をつかないと生きていけないことだってある

結構重めの家庭事情なんて、チョチョイのちょいで解決なんてありえない

時間がかかっても受け止めていける、そういうふうに成長していく主人公たちが愛おしいんです

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世の中誰もが、理想の家族と過ごしているわけではありません。出版社コメント『だけど大人になり彼らの“嘘”がほどかれたとき、本当の家族の姿が見えてきて―?破綻した嘘をつき続けた家族の、とある素敵な物語!』にとても共感しました。寺地はるなさんが描く、家族の世界観が温かくてとても大好きです。だから、読後感がとても美しく感じる作品です。

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「嘘」の反対は「本当」ではないし、「強さ」の反対が「弱さ」でもない。それらの混ざり合う場所で、わたしたちは自分だけの救いの物語を生きている。日々紡がれる絶望や希望に、そっと居場所を与えてふわりと包み込んでくれる、そんな小説。

自分だけの救いが、自分ではない誰かの「良い」ものではないことに罪悪感を抱いてしまったとき、寺地さんの描く架空の犬を何回だって撫でにいこう。

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飼ってない犬、建てられなかった遊園地、もういない弟、愛してくれない母。何ひとつ叶わなかったけれど、現実にはない何かを拠り所に生きていく人生を不幸だとは思わない。逃げて逃げて、じゅうぶん納得するまで逃げてもいい。そんな風に思うことを否定しない一冊です。

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他人の人生を覗き見る。小説にはそんな背徳的な魅力がある。もちろんフィクションなのはわかっている。でも、見てはいけないものを見てしまっている、そんな後ろめたさ。
家族、という不安定で奇妙なつながり。
普通、って、なんだろう?と、自分の足元を思わず見つめてしまった不思議な一冊。

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物語の主役である羽猫家のような境遇の家族は少数派のでしょうか?そりゃあ「いつも皆が笑顔で温かく包まれた家族」もいらっしゃるのでしょうが、残念ながら近い関係だからこそ腹が立って怒鳴り合ったり、度が過ぎればそれが虐待やネグレクトにもなってしまうのが家族でもある。本書は綺麗事ではない、でも誰もが経験しうる家族間の感情の起伏を見事に描いている。ゆえに普遍性がある。

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次男を亡くして現実を生きられなくなった母、愛人の元へ行く父、自分の夢に一途な祖父、嘘つきな祖母、そして家族の嘘を許せない姉。主人公・山吹の不幸な将来を序章から予想させる家族の物語は幸せな出来事無く、むしろ不幸の連続が綴られます。けれどもそれがリアルで読むのを途中でやめられません。生きる上で必要な嘘と、それでも生きることそれ自体の意味を教えてくれる嘘の無い物語です。

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本書を読んで思い浮かんだ言葉はヤングケアラーだった。
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことである。
具体的には買い物や料理、掃除、洗濯から幼い兄弟の面倒をみたり病人の看護、祖父母の介護などだが、これら物理的な行為を伴うケアだけではなく感情面のケアもそこには含まれる。

私もそうだが、子どもの存在を心の拠り所にしている親は多い。心のケアという意味で、ほとんど全ての子どもは、その存在をもって親のメンタルケアをつかさどっているヤングケアラーだと言えるのではないだろうか。

家に親がいるから離れられない。例え離れることが出来たとしても、親がどこかで“存在”する限り気がかりは続く。
家族に縛られ一人の人間として心身ともに独立出来ないことは、確かに不幸なことかも知れない。でも、だからこの家族は幸せではない…と誰が言えるだろう。

そもそも家族の問題とは、いつかは必ず解決されるものなのか。新たなメンバーが加わり、新たな問題が起きて変化しながら継続されていくのが、「家族の問題」というタイトルの物語なのだ。
『架空の犬と嘘をつく猫』は、それぞれの日記に継続して綴られている「羽猫家の問題」という家族の物語。

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きれいな色の名前をつけてもらった兄弟は悲しい出来事をきっかけに家族の歯車が狂ってしまったけれど、
そんな器用に生きれる人はいるだろうか。
勝手気まま嘘をつく猫みたいに生きている家族の中で、実際にはいない犬を可愛がって寂しさをやり過ごす山吹。
すべての想いは30年後の刊行記念エッセイ「架空の犬」にこめられている。
山吹は”役に立っていないからと言ってこの世に存在しなくていいという理由にはならない”ということをよく知っているから生きてこれた。
願わくば想像力豊かな山吹の童話を一日の終りに読んでみたい。

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とても苦しい始まり方の物語だと思いました。
やるせない境遇をどうにも出来ない子どもたち。傷つき、他人を傷つける方法でしかそれをやり過ごせない大人たち。主人公が成長していっても、それらが上手く解消される訳ではない。
それでも、読み進めるにつれて、作品世界が明るさを増していくように感じられました。
それは、必死に自分を守りながら自分の物語を生きている人々を、主人公が自らを含めて肯定出来るようになっていったことによるのではないでしょうか。
その物語を、その思いを分かち合えなくても、共に生きてゆける。何の役にも立っていなくても、そこにいていいという肯定。
何かしらままならない人生を生きている多くの人の背中を、この物語はそっと押してくれる気がしました。

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羽猫家は祖父母、父母、紅、山吹、そして幼くして亡くなった青磁。母は壊れ、父は浮気、祖父はホラ吹きと子供にとってはなかなかシビアな環境だ。山吹が成長していく物語だがどんな大人になるのか心配だったが祖母の支えと頼との出会いが彼に生きる力を与えてくれた。「役に立たないものがごくあたりまえに存在をゆるされる世界はなんと豊かなんだろう。」家族の形は様々。時間はかかったが再び繋がることができて良かった。寺地さんは最後にそっと救ってくれる。だから優しい気持ちで読み終えることができるのだ。

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