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カバー画像: 生き物たちのちょっとクィアな話

生き物たちのちょっとクィアな話

刊行日:

レビュー投稿者

教育関係者 645139

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《生き物の性を知ると、自然史の見え方が変わる》

クィア(Queer)とは、従来の性別や性愛の枠組みにとらわれない、多様なあり方を包括する言葉。

それだけに、このタイトルに興味を持った。

さらに、この装画には雌雄モザイクのモルフォチョウが描かれている。

この二つから、期待を込めて読み始めた。

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『はじめに』

この『はじめに』は、科学書として本書を成立させるために、非常に重要なものとなっている。

まず、セックスとジェンダーをきちんと区別し、定義づけていることである。

人間においては、「セックス」(生物学的な性)は身体的特徴や遺伝的特徴などに関わるものであり、一方のジェンダーは、自分がどのような性別であるかという内面的な感覚や、社会的な性のあり方に関わるものとして整理されている。

一方、生物の「セックス」は、単純な雌雄の二分だけで理解できるものではなく、連続的なスペクトラムとして捉えられる場合もあるとしてある。

そのため、人間の性の概念を、そのまま他の生物に当てはめることはできない。

そのため本書では、「クィア」をより広く捉え、従来の雌雄観や異性愛規範に収まらない、性のあり方や生殖様式、行動などを扱うこととしてある。

この論がきちんとなされているからこそ、さまざまな生物の姿を「クィア」という観点から、明確に捉えていくことができるのだと得心する、優れた『はじめに』となっていた。

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本編では、その実例として動物・植物・菌類など29種の生物が取り上げられている。

そしてNetGalleyでは、その中から5種を読むことができた。

それぞれが美しいカラー写真とともに、4~6ページをかけて詳細に解説されていて、読み応えがある。

また、それぞれの生物のクィアな性のあり方だけでなく、そこから何を記述していくかが異なっているのが、大きな特色と言える。

例えばアデリーペンギンに関しては、そのクィアな行動そのものよりも、それが発見された経緯、さらに1915年当時はその発見がどのように扱われたかが中心となっている。

マイアサウラでは、恐竜の性別を見分けるために性的二型を主張した古生物学者の話へと広がっていく。

ニューメキシコハシリトカゲの単為生殖は、異種交雑による新たな種の誕生の話へとなっていく。

このように、単にさまざまなクィアの事例を紹介するのではなく、それが自然史と結びつき、より大きな意味を成していく。

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本書は、クィアを切り口として、生物の性や生殖の多様性だけでなく、その研究の歴史や進化の姿まで明らかにしていく。

それだけに、今回読んだ範囲だけでも、科学書としての奥行きを十分に感じることができた。

ぜひ、全編を読んでみたい。

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。