名物かき氷！復活大作戦

「小六男子が、叱られるたびに凹んでいたら、楽しく生きてはいかれない。」……この言葉、ガツンときました。大人に必要なのは、技術よりも前に、こういった精神力なのだと思います。そのようなことが、この本にはところどころ描かれており、読み終わったあとに、「子どもの心をもつってやっぱり大事なことなんだ」と改めて思い知らされました。
主人公に好感を抱きましたが、このような諦めない心を強く持っているというところに惹かれたのだと思います。それはきっとリアルでも変わらないでしょう。
主人公が『扇屋スペシャル』を極めたいと思った理由に、説得力が欠けていた気もしますが、その後の主人公の努力や『扇屋スペシャル』の復活を望む人達のためにつくる、と視野を広げたところで、主人公の成長を感じられたのが、とてもよかったです。
また、夏の風物詩のひとつであるかき氷の描写、とてもおいしそうに描かれており、私まで『扇屋スペシャル』を食べたくなってしまいました。

今年こそは絶対にいっちゃんと一緒に食べるぞ、という気持ちがきっかけだったとはいえ、ここまで頑張れたのは、やっぱり、主人公の素直でしなやかな優しい心がなせるのかな、と。思っていても、うまく言葉に出来ないちょっぴり不器用なところとかリアルで、もどかしさと共感でぐわーっと感じました。
押しつけがましくなく“頑張れる”って本当に素晴らしくて、自分は大人だけど見習いたくなりました。
扇屋スペシャルかき氷の修行を自由研究にもしちゃっているところが、なんだか“ちゃっかり”していて微笑ましかったです。