あおいろペンギン

みんなと見た目が違う青いペンギン。することも、できることも、他のペンギンたちと同じでも、受け入れてはもらえない。
ひとりぼっちを救ってくれるのは夢に見た白いクジラ。ひたすら白いクジラを求めて歌う歌はどんなに寂しいものだったのでしょうか。
小さなペンギンのやさしさに少しずつ打ち解けていく時間は青いペンギンにきっと自身をもたらしたのです。
今、ここ。そのまんま。青いペンギンの喜びがわたしの心にもじわじわと滲んできます。

絵本をとにかく開いてみてください！自分があっという間に南極にいることに気づきます！
それも昨日今日、日本からやって来た旅人としてではなく、南極生まれのペンギンさんとして。
南極の吹雪も、寒さも、お日さまの弱さや美しさも、海の温度も、氷の硬さも、すべて自分がなじんだ「日常」として、しっくりと感じてしまうほど絵本の世界に引き込まれます。

あおいろペンギンは、きっと自らの心を美しく結晶させて歌う「歌うたいのペンギン」。
色がみんなとちがうからと、独りになってしまった悲しみや寂しさを、夢に見た白いクジラに向けて、どこかへ連れてってと願いながら、その思いを美しい歌にして歌います。
やがて、その心が変われば、また、新しい心の歌が生まれてきます。
あおいろペンギンは、「ちびのペンギン」との出会いから生まれた心の底からの喜びを、しろいクジラに向けて歌ったものとは全く別色に美しい「ともだちの歌」にして歌います。
２つの歌「しろいクジラのうた」と「友だちのうた」は、きっと全く違った音色でありながら、決してバラバラのものではないのですね。響きあう美しい組曲ですね。歌詞もメロディーも文字も楽譜のないけれど、すべては絵の中に溶け込んでいて、それを聴く人の心に合わせて再生される、そんな素敵な絵本です。

絵がとっても美しいです。みんなと見た目の違う青いペンギンが、歌を通してしだいに周囲に受け入れられていくストーリーにも共感しました。献辞によると、訳文は青山南さんが翻訳教室の生徒さんといっしょに考えたものなのかな。そういうやりかたもあるんだなあと興味深かったです。

違うことは受け入れにくい。日本人は特にそうですね。島国だから。
最初は「みにくいあひるの子」のようだと思いましたが、
本当にペンギンでした。
とにかく絵が素敵です。大きな額に入れて飾りたくなるような、
Tシャツにプリントしたくなるような絵です。
夏にぴったりなブルーがいいですね。