奇跡集

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刊行日 2022/05/26 | 掲載終了日 2022/05/31

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内容紹介

同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。

第一話「青戸条哉(あおと・じょうや)の奇跡 竜を放つ」ーー満員の朝の快速電車。ぼくは過去最凶の腹痛に耐えていた。もうダメだと思い、その場にしゃがもうとした瞬間、隣に立つ同い年くらいの女性が、ぼくよりもわずかに早く、しゃがみこんだ。

第二話「大野柑奈(おおの・かんな)の奇跡 情を放つ」ーー大学時代、わたしは小劇団にのめり込んだが、結局就活をして、食品会社へ。通勤途中、具合が悪くて社内で声をかけた女性の様子が気になり、駅を一つ戻ってホームに降りると、そこには意外な先客がーー。

第三話「東原達人(ひがしはら・たつひと)の奇跡 銃を放つ」ーー満員電車での尾行中。住宅街の駅で降りた捜査対象者に気づかれぬよう後を追っていると、赤ん坊を抱いた裸足の女性が、すごいスピードで無表情のまま目の前を通り過ぎていった。

第四話「赤沢道香(あかざわ・みちか)の奇跡 今日を放つ」ーー五年ぶりのデート。満員電車で、男の人の手が、女性のお尻のあたりで動いているのを見てしまった。女性は、まったく別の男性に「触りましたよね?」と詰め寄った。どうする、わたし?

第五話「小見太平(おみ・たいへい)の奇跡 ニューを放つ」ーーカップ麺会社の宣伝部で、おれは失敗した。起用した女性大食いユーチューバーが炎上した。代替案を上司に提案しなければならないが、電車が止まってしまう。「イッキュウちゃんの動画。見た?」という会話が聞こえたのはその時だ。

第六話「西村琴子(にしむら・ことこ)の奇跡 業を放つ」ーー満員電車で、彼の浮気相手をひそかに凝視する。彼はわたしの8歳年下で、その女はわたしの16歳下。有休をとり、女の乗った通勤電車にわたしも乗った。だが、わたしは決してストーカーではない。

第七話「黒瀬悦生(くろせ・えつお)の奇跡 空を放つ」ーーななめ掛けしたボディバッグに拳銃を入れた俺は、とっくに尾行されていることに気がついていた。目的地の一つ前の駅で降りて住宅街を歩いていると、声をかけてきたのは、尾行していた刑事ではなかった。

小さいけれど確かに人生を左右する(かもしれない)7つのミラクルを描く、連作短編小説!

【著者略歴】

小野寺史宜(おのでら・ふみのり)

1968年、千葉県生まれ。法政大学文学部卒業。2006年に短篇「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し、初の単行本を刊行。『ひと』で19年本屋大賞2位。主な著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひりつく夜の音』『夜の側に立つ』『ライフ』『縁』『まち』『今日も町の隅で』『食っちゃ寝て書いて』『タクジョ!』『今夜』『天使と悪魔のシネマ』『片見里荒川コネクション』『とにもかくにもごはん』『ミニシアターの六人』『いえ』など。

同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。

第一話「青戸条哉(あおと・じょうや)の奇跡 竜を放つ」ーー満員の朝の快速電車。ぼくは過去最凶の腹痛に耐えていた。もうダメだと思い、その場にしゃがもうとした瞬間、隣に立つ同い年くらいの女性が、ぼくよりもわずかに早く、しゃがみこんだ。

第二話「大野柑奈(おおの・かんな)の奇跡 情を放つ」ーー大学時代、わたし...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784087717754
本体価格 ¥1,600 (JPY)

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

誰かのちょっとした行動がきっかけとなって、誰かのミラクルを起こす。そしてそのミラクルが繋がってゆくミラクルの連鎖!
たまたまそこに居合わせた人達は全くの他人で、目的も状況も何もかもが違うのに不思議と繋がっているのが、読んでいてとても面白かったです。こことここが繋がってたんだ!と、小さな発見もいくつもあって見付ける度にページを戻りながらワクワクしました。
連作小説で登場人物達の出番は少しずつなのに、それぞれの性格や背景が細かく書かれているのも読み応えがありました。
そして物語のラストがまた誰かのミラクルを引きこ起こす引き金になっているのでは?と思うと、読み終えた後もワクワクしました!
面白い作品をありがとうございました!
私の日常のささやかな行動も誰かのミラクルに繋がっているといいなぁ…!!

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同じ電車の同じ車両に、偶然乗り合わせた乗客たちの交差する人生の瞬間。
何気なくとった行動が、ひとりひとりの小さな未来に絡まり、思いもしなかった出来事を繰り広げていく様は、とても面白くて見えない糸が繋がっていくようでした。
私の日常も、もしかしたら、そんな小さな奇跡が寄り集まってできているのかもしれない。

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一人の女性が満員電車の中でしゃがみこんだ。
その事がきっかけとなり、たまたま彼女の近くにいた人たちの人生がほんの少し、だけど確実に変わった。
変化の種が、いつ、どこで現れるかはわからない。それに気づくことができるかどうかはその人次第。同じ事が起こっても、変わる人と変わらない人がいる。
人生は小さな出来事の積み重ね。見逃したチャンスもきっとある。
それでも「今だ」というタイミングに自分から動くことができれば、人は変わることができるのだと思う。

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小野寺さんの作品は「特別でない人たち」が主人公であることが多くとても身近に感じる。
この連作短編集も普通の人々が普通に生活する中で他の誰かの人生に優しい「奇跡」を起こしていく。
自分のささやかな人生もこうであると良いなぁと思える心温まる一冊でした。

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人生は奇跡の連続なのかもしれない。もしあの時、電車が止まってなかったら、もしあの時、電話がかかってこなければ、もしあの時、〇〇だったら…こうはなっていなかったと思うことは沢山ある。それは偶然にすぎない。でもその偶然を「奇跡」と言ってしまう小野寺さんが大好きだ。偶然と奇跡。奇跡と思った方が人生に感謝できるような気がする。人生を優しく慈しめるような気する。自分の人生がなんだか素晴らしいものに思えるような気がする。だから、こうして「奇跡集」に出会えたことも、とびきりの奇跡。

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同じ電車に乗り合わせた7人の物語。
7人の性別や年代はそれぞれ。たまたま同じ電車に乗り合わせただけ。気にしなければ自分の人生になんら関係のない人間だ。
電車内で起きた出来事が作用し登場人物にとって奇跡と思える結末になるのは、どこに転がってゆくかわからないボールを追いかけてゆくようで引き込まれていった。
1話はほのぼのとした読後感だったが、話が進むにつれ登場人物の置かれた環境や心情は複雑になってゆく。それぞれ事情が違うので、捉え方や心情も違う。それらの心情は自分の中にも少なからずあるので、共感することが多かった。
「奇跡」はほとんどの登場人物にとって前向きな一歩となるが、7話は救いがあるのか不安になる締めくくり。ある意味リアルさがある。しかし、登場人物の生い立ちを考えると広い意味で奇跡が起きていて、救われているのかもしれない、救われて欲しいと、締めくくった後の物語を考えてしまう辺りに作者の「ニヤリ」があるなあと読後も楽しむことができた。

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たまたま満員電車で乗り合わせた人、一人一人に必ずドラマがある。重なり合った偶然が、人々の人生を変えていく。ドキドキハラハラしたり、じんわり感動したり。どの話も本物の身の上話を聞いているようにリアルで面白かった。登場人物や作中の出来事が複雑に絡み合う巧みな構成は、何度も読み返して頭の中を整理したくなるほど。さすが小野寺さんです。

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一人の少年の腹痛からドラマは始まる。何気ない一言、気遣いから場面は思わぬ方向へと展開していく。車輪のように、跳ねていくボールのように。一つ一つの小さな積み重ねが偶然に交じり合い、それが大きな奇跡へと繫がるのなら、世の中そんなに悪いものじゃないと読んだあとも胸がじんわり温かくなる奇跡の物語集。

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人は思っているよりもずっと、誰かと関わりながら作用されながら生きているのかもしれない。
「ひとりの女性が電車内でしゃがみこんだ」この小さな非日常的ハプニングが赤の他人の人生を少しずつ変えていく。

物語はここで終わっているけど、彼らの日常は続いていて、さらに彼らが関わった人々の人生にまで思いを馳せると何だか楽しくなってしまう。
音漏れのお兄さん、絶対素敵なドラマ持ってるでしょ。

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普通の人たちが日常生活の中で出会うちょっとした奇跡。心温まるものあり、あっとさせられるものあり、そう来たかと思わせるものあり。それらが1本の糸のように繋がって、もうひとつの奇跡を作り出す様に、いいものを見れたなという気持ちになります。自分にもいつかこんな奇跡に出会えるかもと思わせてくれる作品です。

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偶然同じ電車に居合わせた性別も年齢もバラバラな乗客たちの奇跡のような繋がりによる連作短編集。
移動しながら閉ざされている空間だからこそ起きる困った事やついつい考えてしまう事。様々な人の思惑と人生を乗せて、電車は走ったり止まったり、強制的に止まったり。 
ちょっぴりだけど、いつもはださない勇気を出して行動した結果、優しい奇跡が生み出されて、小野寺さんの作品らしく、仰々しくない奇跡がきゅっと詰まってました。
個人的には1話目の青年が後からもチラッと登場したのが嬉しくてついついニヤリとしてしまいます!

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この方の作品は3作品目の読書でしたが、いつでも静かな落ち着いた気持ちになる、丁寧でやさしい文章を書かれるなと思います。今作については、電車のひとこまから、誰しもドラマがあるという展開で、うまい切り取り方だなぁと感心してしまいました。

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登場人物の心の機微がよ〜く理解できた。電車内で読んだから。もし、今ここで同じ状況になったら、同じように声をかけられるだろうか。
現実では勇気を振り絞って行動した結果、相手に逆ギレされたり、迷惑がられたりすることもあるから、この本では声をかけたその後までしっかり描いてあるのが良かった。
当たり前のことだけど、たまたま電車内で一緒になったたくさんの人たち、ひとりひとりにちゃんと人生があって悩んだりもがいたりしながらも毎日を必死で生きているんだな〜

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