がらんどう

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刊行日 2023/02/03 | 掲載終了日 2023/04/11

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内容紹介

【第46回すばる文学賞受賞作】
最も読む快楽を感じた――岸本佐知子
不穏な虚を抱えたパワーバランスを評価したい――堀江敏幸
(選評より)

「ルームシェアっていうの、やらない? もっと広い部屋に住めるし、生活費も節約
できるし、家事も分担できるよ」
「若い人たち同士ならわかるけど……本気なの?」
「四十過ぎた女二人が同居しちゃいけないって法律はないよ」
「でも、普通はしないよ。あと、わたしまだ三十八だよ」
人生で一度も恋愛感情を抱いたことがない平井と、副業として3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作り続ける菅沼。
2人組「KI Dash」の推し活で繋がったふたりのコロナ下での共同生活は、心地よく淡々と過ぎていくが――
恋愛、結婚、出産、家族……どんな型にもうまくはまれない、でも、特別じゃない。
《今》を生きるすべての人へ、あらゆる属性を越えて響く“わたしたち”の物語。

■著者紹介
大谷朝子(おおたに・あさこ)
1990年千葉県生まれ。2021年『がらんどう』で第46回すばる文学賞を受賞。

【第46回すばる文学賞受賞作】
最も読む快楽を感じた――岸本佐知子
不穏な虚を抱えたパワーバランスを評価したい――堀江敏幸
(選評より)

「ルームシェアっていうの、やらない? もっと広い部屋に住めるし、生活費も節約
できるし、家事も分担できるよ」
「若い人たち同士ならわかるけど……本気なの?」
「四十過ぎた女二人が同居しちゃいけないって法律はないよ」
「でも、普通はしないよ。あと、わたしまだ三十八だよ」
人生で一度...


出版情報

ISBN 9784087718287
本体価格 ¥1,450 (JPY)
ページ数 120

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NetGalley会員レビュー

似ている様で全く似ていない2人。死んだ犬とフィギュアのような、一見似ているけど、中身があるかないか。そこまで極端ではないけど、確実に違う2人。いろいろなことに気が付いたとき、がらんどうというタイトルが脳内に染み渡りました。そして、かつて平井だったかもしれない私の心の内側はごりごりと削られました。
誰もが心のどこかにある空洞。それを上手に使える人もいれば空洞のままの人もいて、私の空洞はちゃんと埋められているのかな?と、ちょっと不安になりながら読みました。
いつの日か平井の空洞も埋まるのかな…?
いろんな人の心に刺さる作品だと思います!ありがとうございました!

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生き方がこんなに多様になった現代でも、
生物としての根本である出産を、
その前提である恋愛を、
人生のノルマ、あるいは宿命、
あるいは秘めた願望として
意識せずに生きるのは難しい。
出産にはタイムリミットがあるから余計に。
そういう「まっとう」なゴールを目指せないことが生むがらんどう。
結婚や出産がゴールでないことは、
本当はみんな知っているし、
その先にある生活にこそ空虚さを感じることもある。
人は、どうなれば満たされるのだろう。
人は、なんの拠りどころもなくても健やかに生きられるものなんだろうか。
自分の中身についてなんだか不安になってしまった。

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ふとしたことから始まる共同生活は、中身が全く違うもの同士だった。どこか世の中を斜めに見ている2人が、1人は3Dプリンターで幻想を量産、1人はリアルな生産を内心希望している。満たされぬ想いと厳しい現実の狭間でもがくリアルな女性目線で丁寧に日常が綴られていて、いつの間にか自分も同化して読んでいた。不出来な3Dプリンターでの失敗作を腕に抱いて浄化されるシーンが、一つの節目として大変印象的だった。

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「同居人がいる」それだけで異性であり、その先に結婚があると誤認する人たち。それが世間。主人公にとって同性とルームシェアをすることとはそれらを諦めることであり、先のない終着点だった。お願いだから、喜ばないで。それは私の心臓から奏でられる叫びとよく似ていた。手にしたいものはあった。だけどがらんどうで、歪で、できそこないの。そんなもので満足してしまえた。生命の目的を果たせない、果たさない人の諦観。人生の意味の空虚さが漂っている。

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誰だって空虚さみたいなものを抱えている、と思う。空の埋め方なんて、ひとそれぞれで、正解なんて誰にもわからない。自分が満ちればいいのであって、側から見たら全然満ちてない感じでも、自分が満足すればそれでいい。
 読み進めるうちに愛おしくなってしまった主人公が、ラストで満ちたように私には思えたから、よかった。

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世間一般の女としての幸せルート
恋愛、結婚、出産…生き方を選べる時代においても本心から私たちは無関心でいられるのか。
幸せとイコールとは決して思わないが、社会に刷り込まれた進むであろう道とは違う道を選ぶことに不安と躊躇いがあることもよくわかる。
なぜ、こんなにも私たちは自らに課せるのだろうか。
もしも、女としての幸せルートがあるとしても、それに終わりはない。
がらんどう、心の空洞は今の私にもあるのだから。

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この物語を自分のなかにだけ閉じ込めて、ひとりじめしたいとさえ願った。恋愛感情を抱いたことがない四十代の女と、死んだ犬のフィギュアを作り続ける三十八歳の女。

普通という呪いを厭わしく思う読者に、そっと差し出したい。こんな作品を、待っていた。

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