あなたはここにいなくとも

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刊行日 2023/02/20 | 掲載終了日 2023/08/03

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内容紹介

人知れず悩みを抱えて立ち止まっても、あなたの背を押してくれる手はきっとある。
もつれた心を解きほぐす、かけがえのない物語。


圧倒的共感の声多数!
ままならない毎日を、それでも懸命に生きる人たちに、いまこそ読んでいただきたい珠玉の短篇集、全5篇。

人知れず悩みを抱えて立ち止まっても、あなたの背を押してくれる手はきっとある。
もつれた心を解きほぐす、かけがえのない物語。


圧倒的共感の声多数!
ままならない毎日を、それでも懸命に生きる人たちに、いまこそ読んでいただきたい珠玉の短篇集、全5篇。


おすすめコメント

【営業担当より】
個人的には冒頭に収録の「おつやのよる」という作品にはげしく共感しました。彼氏に見せられない家族。ほんっとう~~に身につまされます。。

この他にも「主人公が家でずーっと栗の渋皮煮を作ってるだけの話なのに、すごい心理サスペンス!巧すぎる!!」と編集デスクAが大絶賛の「くろい穴」など、傑作ぞろいの全5篇。

この作家はどうしてこんなに、ひとの心がわかるんだろう。ひとの気持ちが描けるんだろう。そう思わずにはいられない、なんだか仲間を見つけたような気持ちになる、そんな一冊です。ぜひご一読ください!

【営業担当より】
個人的には冒頭に収録の「おつやのよる」という作品にはげしく共感しました。彼氏に見せられない家族。ほんっとう~~に身につまされます。。

この他にも「主人公が家でずーっと栗の渋皮煮を作ってるだけの話なのに、すごい心理サスペンス!巧すぎる!!」と編集デスクAが大絶賛の「くろい穴」など、傑作ぞろいの全5篇。

この作家はどうしてこんなに、ひとの心がわかるんだろう。ひとの気持ちが描けるんだ...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784103510833
本体価格 ¥1,550 (JPY)
ページ数 256

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NetGalley会員レビュー

ままならない悩みを抱える人の背中を押してくれる物語。とはいえそれぞれの物語の登場人物は最初は一体何者??というような感じで…。

「ばばあのマーチ」と「先を生く人」はいずれもモノを手放すという行為が描かれるがその行為の意味は真逆で、それぞれに興味深い。

リセット症候群の女が描かれる「入道雲がうまれるころ」、モノを断捨離する光景もあるが人間関係とかも断捨離してしまう気持ちってなかなか理解が及ばず。

「おつやのよる」大好きな祖母が亡くなり葬儀の時に揉める親族たち。でも生前の祖母は解決のタネを仕込んでて…

唯一感情移入出来なかったのが「くろい穴」。栗の渋皮煮を作る時に紛れてる虫食いの栗。ここには悪意が込められていて…ってのがよく分からず。料理しないからなのかもしれないけど…。

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人生に折り合いをつけるタイミングは人それぞれあるのだろう。
読んでふとそう思った。
苦しい、ただただ苦しい。きっと、わかってもらえない。でも、誰かに知ってほしくはないと思ったりもする。
Deleteというボタンは私には押せないなと物語を読みながら自らと向き合ったり、そうか今はまだわからんでもええんやなって慰めてもらったり。
町田そのこさんの短編集それぞれに大事な言葉が詰め込まれていて胸を掴まれてしまった。
なかでも『くろい穴』が一番好きだ。
新たな町田ワールドが見えた気がします。

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全ての物語が心に残る短篇集。
心に響く言葉、クセのある素敵な登場人物が頭から離れません。
そして私自身も福岡在住ということもあり、耳馴染みの良い方言がとても読みやすかったです。大人になって関西の方でしばらく生活していて、また福岡に戻ってきた自分と重なるお話もあって、登場人物達の悩みや苦しみが人ごとじゃなかったです。
なので、余計に優しい言葉が心に響いてはあたたかい気持ちになりました。
オーケストラばばあさんも好きでしたが、私が一番好きになったのは「先を生くひと」に出てくる澪さんです。「遠い先の未来で、私が待っていてあげる。」のところなんて、私にかけられた言葉ではないのに涙が溢れました。最近亡くなった家族とも重なって、私もがんばって生きよう。と強く思いました。
毎日いろんなことがあって何もかも嫌になることもあるけど、きっと誰かがいてくれる。
そして私も誰かのための誰かになろうと思えました。
本当に本当に素敵な作品でした!ありがとうございました!

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通夜で集まった時、結婚について話し合う時、自宅の品々を全て片付ける時、そんな日常とは違う場のやり取りの短編集。そこで出てくるのが、女性の本音、女性への偏見、そしてすれ違い。
そして、必ず誰かが去っていく。様々な形で。でも、必ず大切なものを残していく。残された人々が迎える転機のための触媒を。だからこそ、その様子を息を潜めて読み続けた。
そして最後の、2世代以上離れた者達の交流「先を生く人」。先を生きた人の心が抱いていたもの、考えさせたもの、そして残して逝ったものの密度の濃さに、言葉も出なかった。

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泣きました。ここに収められた5つの物語は、どれも死や別れの痛み、悲しみが描かれていますが、悲しいからというよりも、そこから再び前を向いて歩いて行こうとする過程がとても優しくて、その優しさに泣いてしまったように思います。

特に、私は最初の「おつやのよる」と最後の「先を生くひと」が大好きでした。
私自身、自分の祖母の死に対して後悔があったのですが、この本を読んで、大切な人がこの世からいなくなったとしても、かけてくれた言葉、もらった愛情や思いやり、一緒に過ごした時間までなくなるわけではなく、それどころか、これからの自分を支え、励ましてくれるものであり続けるんだと思うと、ただ悲しいだけでなく、温かい気持ちになれました。

この本は、たくさんの人の胸を打つと思いますが、特に私のようなおばあちゃん子の人にとっては、何か心をギュッと掴まれるような、そんな作品になっているのではないかと思います。

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“あたはここにいなくとも”なんて素敵なタイトルだと読み終えてしみじみ思う。
あなたはここにいないのに、あなたを思う。
なぜあなたはそれを残したのか、その意味を何度も考える。
行き着いた先の答えは、自分の心の奥底から導きだしたものなのではないだろうか。

5篇とも心がきゅっと掴まれるような展開で、それぞれに泣いた。
特に好きなのは自分では抱えきれないものを手放すことで、前に進む力をくれる「ばばあのマーチ」だ。
“あなたはここにいなくとも”私も亡くなった家族を思い出しながら読んでいた。いなくなっても無くならない思い出を大切にしたいと改めて思い、前を向ける作品と出会えて幸せな気持ちになった。

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あなたはここにいなくとも、そこに残されたものがある。
あなたは何も残さなくとも、心に残した何かがある。
人と出会い、傷ついたり慰められたり、新しい出会いと別れの中で、あなたはここにいなくとも何かを残していった。
優しい人たちの物語。
#あなたはここにいなくとも
#町田そのこ
#読了

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もうすでにここにいない人に思いを寄せた物語の短編集。
亡くなった人、去っていた人を偲ぶという一方的なものではなくて、ここにはいない人からのメッセージも受け止めている。
どの話も読後は、清々しい気分になる。
特に「くろい穴」は、実際にこういうことが身の上に起きたら後味悪いなんてものではないのに、なんとなくすっきりした気分で読み終えたのだからおもしろい。
どの話も読みごたえがあった。

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客観的に見たら考えるまでもなく結論が出ることも、当事者になると途端に出口が見えなくなるのって何故でしょう。

それぞれの話に出てくる主人公は皆悩みを持っているのですが、総じて若干視野が狭い..(いや、きっと普通はそんなもんなんでしょう。)
そんな彼女たちも物話が進むにつれ、家族、友人、恋人等から気付きを得ることで、新しい一歩を踏み出します。
視点を変えてみたら、全く違う景色が見えたわけです。

誰かが背中を押してくれたから踏み出せたその一歩。さらにその先に伸ばした自分の手が、また他の誰かの支えになる。
そんな人の繋がりで人は生きて行けるのだなと思いました。

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亡くなった祖母。かつて憧れた人。近所に暮らしていた訳ありの親戚。不倫相手の妻。澪さんの初恋の人。
「ここにいない”あなた”」が他者の人生を動かしていく様子を描いた5つの短編小説。

読み終えて、「あなたはここにいなくとも」というタイトルがいかに優れていたかを実感する。
そしてこの小説の登場人物たちのように、亡くなったとか、もう連絡が取れないなど色々な理由によって会えなくなってしまった誰かに人生を動かされた経験は、わりと多くの人が持っているのではなかろうか。
私もそういう経験があるので、とても感情移入して読んでしまった。
一番好きだったのは「おつやのよる」。
悲しいはずなのに、でも久々に親戚や知人が集まってちょっと楽しかったりもする、お通夜の雰囲気が余すところなく描かれていると感じた。

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5編の短編が詰まった1冊。
それぞれ身につまされる物語だった。
付き合っている彼との結婚を意識しながらも一歩踏み出せない清陽。
自分がままならない香子。
人間関係構築に課題を抱えている萌子。
不倫中の美鈴。
自覚した初恋に懸命な加代。
それぞれ立場の違う女性だが、未来になんらかの不安を抱えながら生きている。
そんな女性達に次の道を示すのは「ここにいない女性」というのが心に残った。
ここにいない人からのメッセージをどう受け取って、次に繋げるか。
それは読んでのお楽しみ。
読み終わった後、物語の中だけでなく私達の日常もそういう積み重ねなのかもしれないと思い、自分の身の回りの事をしみじみ考えてしまった。
特に女性に読んでもらいたい。

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いろんな事情で今はここにいない人。でも見守ってくれていた人の短編が続いたと思ったら、
おっと!憎しみを感じるような“ここにいない人”があらわれた。

「くろい穴」という短編は不倫相手に頼まれて渋川煮を作ることになったわたし。祖母直伝の渋皮煮を作る過程でなぜこれを作っているのだろうか。奥さんは私たちの関係に気がついてわざとこのようなことをしたの?とグルグル頭を駆け巡る。

読んでいる私もなぜそんなことをするの、やめなよ。と思っていると、虫食いの栗が一つ登場する。
この栗はどこにいくのか。そして、悪意を感じるべきは“ここにいない人”ではなく、目の前の相手だった。
とはっと気づくシーン。
ここにも、祖母の想いが込められていると思った。

少しずつ角度を変えて、自分の存在と相手の想いをあらわす5編の物語。
ゆるやかにこころに響くこと、間違いなし!

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町田そのこさんのお話は、
本当にあたたかい。
それぞれ、誰かが亡くなったり、
去っていったり、「そこにいない」お話。
なのに、不思議と寂しさや哀しさはなくて。
遺してくれたものがたくさんあるから。
それがあたたかいから。

中でも、『先を生くひと』という
5篇目に収録されているお話の
タイトルがとても好きでした。
もちろん、お話自体も。

何度でも読み返したくなる、
手元に残しておきたい作品でした。

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自分に刺さった、と思ったのは初めてかもしない。どの話も別れと出会い、痛みとの向き合いかたについて語られていて、改めて著者の作品が好きだなぁと感じました。繰り返し読んで、大事にしたい作品です。短篇集なので、はじめての人にも手に取りやすいと思います。

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酒癖の悪い父とスロットにハマる母を、恋人章吾に紹介できずにいる清陽『おつやのよる』。
いじめが原因で仕事を辞めた香子は、恋人浩明に早く転職をと迫られる。そんなとき「オーケストラばばあ」に出会う『ばばあのマーチ』。
恋人海斗にプロポーズされるも、逃げ出すリセット症候群の萌子。地元で妹と、遠縁らしい藤江さんの死後整理をする『入道雲が生まれるころ』。
不倫相手から、妻のために栗の渋皮煮を作ってと請われる美鈴の『くろい穴』。
幼馴染の藍生への恋心に気づいた加代は、藍生が老女澪さんの家に通っていると知る『先を生く人』。

恋人や不倫相手、初恋の人との関係がギクシャクしている主人公が、先人女性の生き様に触れ、自分自身や相手との関係を見直し一歩踏み出す、そんな短編5作。

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短編5篇、どれも読んですぐより、題を味わって、さらにじわじわあとから感慨深く、腑に落ちたり、発見があったりする作品になっていました。
何度も読める長さで、それぞれその度に感じるものがある作品で、特に最後の「先を生くひと」のそれぞれの心情に想いを馳せ、また折に触れて読みたいなと思いました。

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”ここにはいないあなた“の思いが、思い込みやすれ違いで辛くなっていた登場人物の心をほぐし、前に向かって進むための力を与えてくれる。
読んでいて、この優しい5つの話に、私の心もジワジワとほぐされた。
私も、そんな思いを素直に受け取れるようになりたい。
私も、そんな思いが残せるようになりたい。
そんな風に考えながら…

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全部ステキな話だったけど、最後の「先を生くひと」の澪さんの言葉にはやられました。涙腺崩壊です。今、まさに自分が、言って欲しい言葉たちでした。最初から諦めなければいけないことなんてない。絶望しなければいけない障害なんてない。だから、何ひとつ憂うことはない。自分なりに頑張ったんだからいいじゃないって言える自分が、遠い未来にきっといる‥等々。頭のてっぺんからからキラキラと言葉をふりかけられている気分でした。今、この本に出会って良かった。そんな風に思えるステキな本でした。

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「たられば」は言い出したらきりがない。

人との関係に「たられば」は常に付きまとう。あの時ああしてたら、こうしてれば。
後悔は全くないよ、って人はいないだろうなぁ。でもその時の一生懸命を認めてあげる気持ちは持っててもいいよね。
そんなことを思わせてくれる本です。

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あなたはここにいなくとも。おつやのよる・ばばあのマーチ・入道雲が生まれるころ・くろい穴・先を生くひと。表題のつけかた、言葉の使い方が面白いなあと思った。このひらがなの独特なひらき方。ひらがなにすると、目に入ってくる意味、が一瞬なくなるため、いろんな想像の余地が残るような気がした。おつや、はおやつ、と一瞬見えた。おやつはもちろん全然関係ないのだが、なんだか柔らかくなる気がした。くろい穴。も。黒いは心の動きと連動しているふうに読めるのだけれど、読後感が悪くない不思議。短編集。共感できるものできないもの色々あるけれど、そもそも、共感しなきゃいけないってこともないのである。生きていれば色々ある。染み込んでくる感じが心地よい。
話題作になりそうな作品を多数提供してくれる出版社各社に感謝。

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すべてをリセットしたくなる瞬間が誰にでもあると思う。住む場所も人間関係もあっさり捨ててしまえたら、別の自分になれるかもしれない。だけどそれを実行に移す人は稀だ。今の生活を失うからだ。
「入道雲が生まれるころ」の主人公はこのあとどうするのだろう。新しい生き方を見つけられるのだろうか。
ずっと一緒にいられる人なんてそうはいない。出会いの先には別れがある。一緒にいた間に受け取ったものは、相手がいなくなったからといって消えることはない。むしろいなくなったからこそ思い出すものなのだと思う。

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町田さんの短編初めて読みました。
1つめの「おつやのよる」がすごく好きでした。喪失感がありつつも温かくて、おばあちゃんに会いたくなるようなお話でした。
2つ目以降は、おばあさんにあって難ある主人公が諭される…というパターンに少し飽きてきてしまったのも否めませんが…。
全体的に優しく、おだやかな気持ちになれました。

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5編の短編集。親族を恋人に紹介できない、会社にいけない、リセット症候群の自分を持て余す、不倫の始末、大好きな幼なじみとの別れなど、悩みを抱えている主人公たちをサポートして、その背中を押して励ましてくれる周りの人たちが魅力的でした。別れもただ悲しむだけではなく、その先の自分がもっと幸せになれるように気持ちを切り替える。誰しも覚えがある出来事に、さりげないヒントを見せてくれた短編集でした。「おつやのよる」のおばあちゃんが素敵でした。

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辛くなった時、自分の過ごしている
日々の尊さを見失いそうになった時、
見返したい言葉が書いてある本を
私は何冊か持っています。
この「あなたはここにいなくとも」も
そういった大切な一冊になるのだと
読み終えた後に確信しました💐

今作の登場人物たちは
大切な人だったり、思い出だったり、
気持ちだったり…
二度とは戻ってこない
何かを失ってしまった人ばかりでした。
彼女たちが、先にそういった経験を
している人に愛と優しさを貰い
喪失感と向き合っていく。
人の優しさや温かさは
相手を慰めるのはもちろん、
小さな一歩を踏み出すための
大きな強さになるのだと感じました。

心の痛みに優しく寄り添ってくれると
同時にまた歩き出してみよう、と
手を差し伸べてくれるような
勇気が出る本でもありました📚
いつでも読み返せるように
発売されたらすぐに
書いに行こうと思います☺️🌿

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「あなたはここにいなくても」。あなた=おばあさん。すでに他界してる方もいれば、これから会えなくなってしまう方も。

「おつやのよる」祖母の葬儀で帰郷した清陽が結婚に踏み切れない理由。こんな家族を会わせられない、恥ずかしい。

「先を生くひと」幼なじみの行動があやしい。老婆と付き合ってる!?高校生の加代は跡をつける。

など人生に悩む女性と、人生を全うした女性の短編集。

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愚かだダメだとわかっていても、自分をコントロールできないことって、ある。それを全部代弁してくれる本だ
リアルな弱音は吐けないし、負担をかけたくないし、感情をあらわにできないくせに、誰かにそばにいてほしかったりする。
言葉で、物語で、それをかなえてくれる。
気づいたら、泣いてた。登場人物のように、自分の気持ちも動く気がする。
ありがとうございました。

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5つの話からなる短篇集。どの話も大切な人との別れを通して、主人公が一歩踏み出す勇気を得たり成長する様が描かれています。
特に好きだったのは「おつやのよる」と「先を生くひと」
先の見えない未来のことを思って不安になったときにも、澪さんの言葉を思い出せばしっかりと歩んでいける気がしました。

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大好きな町田そのこ先生!
底抜けに明るい作品から、
読むのが苦しくなるような作品まで、
心の有り様を
大変幅広く描かれていらっしゃいますが、
今回の作品は、様々な悩みに直面している5人の女性達が道を見つけていく物語5編。
「ここにはいない」けれども、
道を示してくれた人がいる。

<おつやのよるに>が特に爽快でした。
何故恋人を家族に紹介しないのか。
子供の時のエピソード。
話の流れがとても良い。
疑問の答えが明らかになるにつれて、
それは確かに、と、共感せざるを得なくなる。
はてさて、どうしたものか。
スピード感もあり、小気味良い解決に、
思わず温かな涙がこぼれました。
<黒い穴>
黒々とした内容もさることながら、
栗の渋皮煮を作るリアルな工程に、
『宙ごはん』でも感じましたが、
町田そのこ先生は、お料理をされる方なんだなぁ、と、思いました。
これを読めば、あの、手間だけど、
とても美味しい渋皮煮が作れます!

ほとんどの短編に、
ちょっと変わったお婆ちゃん達が登場します。
経験を積んだ人の言葉や行動は深い!
私も、こんな風に自分の人生を生き切りたいと、
感じました。

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人生、活動的に行動できるときがあれば、その逆で迷走し立ち止まった場所から動けない時もある。そんなままならなさを抱えた5人の主人公による5つの物語。
今は“ここ”にいないけれど、あなたが居てくれたことはこの先へすすんでいく原動力になっているんだよ、と決意新たに前を見据える主人公たちが本当に魅力的で、いなくなってもゼロにはならない想いが心にしみました。
『おつやのよる』と『先を生くひと』は何度読んでも、ほわっとあたたかい気持ちになれて、しみじみとこの作品好きだなぁ、と感じちゃいます。

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大好きな町田そのこさんの新刊。
涙、涙で読みました。
5章とも、心に刺さり余韻がのこる、とってもいい作品でした✨
町田そのこさんの中で、1番好きかも!っていうくらいです。
人の気持ちの奥深くが繊細に書かれていて、じんわりさせられました。

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どの短編も読後に心が温まるお話で、癒された。一番好きなのは『先を生くひと』。人生の終わりに向けて、身の回りのものを処分していく澪さんが、若い菜摘と加代に語った言葉は、とても響いた。辛いことや哀しいことが起こった時に、この言葉がきっと私を助けてくれる。慰めてくれる。
この言葉に出会えて良かった。そう思わせてくれるお話でした。

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いつものとおりの「町田そのこ節」、という感じの短編集でした。とはいえ、特徴としては、方言や地方の空気の表現がいつもよりも濃いところでしょうか。町田そのこ苦手な読者にはやっぱり薦められないし、町田そのこ好きな読者には安心して薦められる、という感想です。挿画の雰囲気が作品とマッチしていてすてきだと思いました。

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生きている時間の儚さと頼りなさを思う。友人や恋人もしくは配偶者や家族、自分の周りにいてくれる人、自分の周りを飾るもの、積み上げられた記憶。そういうものも全て、命を全うしたらあっという間に消えてしまう。だからこそいいのかもしれない。今、この時を生きる。

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『つやのよる』がとても良かったです。家族がお互いを(当人には隠して)思いやる姿に、思わず泣けてしまいました。くろい穴以外、どの作品にも、多かれ少なかれ『個性的なおばあちゃん』が描かれていますが、主人公がその姿に触れることにより真意をくみ取り、一歩成長していくところが魅力的でした。町田そのこさん独特の、スルスル沁み込むような読みやすさでした。

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まず、救いがあってよかったなあと感じました。(52ヘルツのクジラを読んでから、町田そのこさんの作品を読むときは恐る恐る読んでしまいます。笑)

どのお話の主人公も、
何か影だったり思いを抱えていて。
だんだんその黒いものたちがまとわりついて
沈んでしまいそうになって
でもたったひとつのきっかけで、まとわりついたいたものは
シャボン玉のようにぱちんと割れて、また前を向ける。
読み終わって表紙を見た時、そんなことをふと考えて
改めてすてきな表紙だな、と思いました。

どのお話もよかったですが、
その中でも先を生く人とおやつのよるが好きでした。
私はこの2つが心に響きましたが、
読む人の環境や気持ちによって寄り添ってくれる話は違うはず。
立ち止まってしまった時、動けなくなってしまった時、
私は澪さんの言葉を思い出したいと思いました。
「だから大丈夫よ。この私が保証する」
今手探りで育児をやってきて、不安で夜な夜な検索をしてしまったり、自己嫌悪に陥ったりどうしようもなく暗い気持ちに押しつぶされそうになることもあったりそんな私に、240ページに紡がれた澪さんの言葉はそっと背中に暖かいブランケットをかけてくれたようなそんな気持ちになれました。

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町田その子さんの52ヘルツのクジラたちやコンビニ兄弟などを彷彿させる5つの物語は、どれも素敵なストーリーでした。特に表題の「あなたはここにいなくとも」は登場人物がいづれも人の気持ちを思いやる人ばかりで読後感が爽やかでした。

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なんと素敵なストーリー!読んでいて、登場人物たちが語る言葉の多くが胸の奥にダイレクトに刺さり、響き、発見や共感の波紋がやがてあたたかく体中に浸透してゆくようで、人生や生きることの醍醐味を味わえた。タイトル通り、好きな人や大切な人、かつて好きだった人などと会えなくなったり離別死別しても、その存在が無関係になったのではなく、経験や記憶、思い出とともに自分の中に息づいていて、それが糧となり自分の今やこれからを支え照らしてくれることを町田そのこさんは教えてくれる。作者ゆかりの福岡の土地や言葉もリアルで良かった。珠玉の1冊!

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ジェンダーレスの世の中で大きな声では言えないが、女性しか分からない波長に上手く嵌った気がする。どんな女性でもきっとハマるピースがこの小説にはある、そんな気がする、かつて存在した女性達に翻弄されながら、道標をもらって前に進んでいく女性達の物語。個人的には「おつやのやつ夜」が家族の大騒動も含めてとても楽しく読めました。

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生きるってどうしてこんなに辛いんだろう、と日々を過ごしている人は少なくないと思うけど、長く、長くなくても、生きてると良いこともある。と思わせてくれる作品が続いて、そうだよ、こういうことだよ、私の、あなたの生きる世界って、と思いました。
一人も悪くないけど、一人じゃない、自分を肯定してくれる人のいる世界って、昨日まで凹んでた自分に嘘みたいに喜びを、生きる意味を与えてくれるんだ、と。

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長編小説を何冊も読み終えたような満足感です!
短編集ってたまに物足りなさを感じるときがあったりしますが、一つ一つの作品すべてが濃厚で小説の世界に深く入り込めました。
共感度100%!
地元民としては、たまに出てくる「北九州」とか「門司港」とかの単語にドキドキ、ソワソワしたりして…。
発売を楽しみにしています。

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〝別れ〟は辛く悲しいだけじゃない。その人の経験や想いを残してくれる。そして、それが悩んでいる人、立ち止まって動けなくなっている人が一歩を踏み出す力になってくれる。そんな素敵なお話ばかりの短編集でした。特に「おつやのよる」と「先を生くひと」が良かったです。

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うつくしが丘の不幸の家のように一見するとタイトルが不穏ですが、読むとほっこりとする短編集です。
新たな一歩を踏み出す主人公たちに勇気を貰える作品でした。 
何度でも読み返したくなるお守りのような一冊です。

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ひとつひとつの物語がぎゅっと濃厚で上質でちょっぴりほろ苦い、とびきり美味しいチョコレートのような物語たち。
今まで町田そのこさんの長編しか読んだことがなかったのですが、町田さんの短編集、すごく好きでした!

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共感できるお話も、出来ないお話も
ありましたが、
日々普通に生きている女性達のお話です。
最後のお話は
久しぶりに本を読んで
悲しくない涙が溢れました。
とても大切な、未来への糧となる言葉をもらえました。
この本に、出逢えて本当に良かったです。

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読み終わって、タイトルが沁みました。「あなたはここにいなくとも」その存在は確かに主人公たちの心の中にしっかりと在って、そしてこれからもあり続けるのだと思います。どこか暖かい描き方でとてと読みやすかったです。いろいろな人生があるかと思いますが、胸を張って生きようと思わされました。素敵な読書体験をありがとうございました。

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心に悩みや不安を抱える人をそっと包み込み、優しく背中を押してくれる。
そんな温かい5つの物語。

今までの自分や環境と決別するにはとても勇気がいることだが、「ここにいない誰か」を思う
ことで、それぞれの主人公たちは自分と向き合い新たな一歩を踏み出している。

一番好きなのは「先を生くひと」。
240~241ページの澪さんの言葉はとても心に響きました。
遠い未来、辛く苦しいことも一緒に抱えてくれる、ありのままの私を受け止めてくれる人がいれば、
安心して生きていけるかもしれない。

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恋人に紹介できない家族の話は
どことなく分かる気がした
結局は受け入れてくれる彼が
あったかくてほのぼのした話に
なっていた
自分の家族は自分にしかわからなくて
結婚する相手には紹介しないといけない
共有しないといけない気持ちを
2人で乗り越えていくあたたかさを感じた

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なんと読み応えのある短篇集!

悩んだり、躓いたり、生きづらいと感じている時に寄り添ってくれる優しさを、町田そのこさんの本からはいつも感じます。

5篇それぞれに色が違いましたが、魅力的な登場人物の多いこと。
最後まで名前の出ない“オーケストラばばあ”は異彩を放っていましたが、芽衣子ちゃんはとてもいい子だし、美鈴さんはすっきりして格好良くなったし、澪さんは本当に素敵な言葉を残してくれました。

流れ続ける毎日の中で、人も物もずっと一緒ではいられなくて、色んなことがかたちを変えて、自分を作っていく。

“気付きの物語“かな、と思いました。

本の発売日が楽しみです!!

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生きていればいろいろなことがあって、思い通りにならずに壁にぶつかる。人生はそんな不自由さの連続だと思う。苦しい心をどうすることもできずに悩み、どうしたらいいのか、どうしたかったのかと自分を責めているとき、誰かの気持ちや自分の人生を大切にしなければと気づかせてくれる。勇気を与えてくれて心に沁みる言葉がたくさん詰まった5編の短編集。心の奧まで温かい気持ちになりました。

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楽しみにしていた町田さんの新刊。
特に好きだったのは「おつやのよる」「入道雲が生まれるころ」「先を生くひと」が好きだったかな〜。「おつやのよる」は号泣した。「ばばあのマーチ」の彼氏は嫌すぎて名前さえもすぐ忘れるほど。「入道雲が生まれるころ」のリセット症候群のお話は1番共感出来たかも。わたしも定期的にリセットしたくなる衝動に駆られるからなんか分かる。「くろい穴」はひたすら渋皮煮が食べたくなった。「先を生くひと」は澪さんが素敵だったなぁ。

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身近な人が亡くなったとき離れているとき
自分の欠片にその人がいたことを思い出す時がある。
血が繋がっていてもいなくても
わたしは出会った人から出来ている、と実感することがある。
寂しくなったとき。味方が欲しいとき。そっと背中を押して欲しいとき。ただ話を聞いて欲しいとき。
私は大丈夫だと思える元気をくれる作品だと思う。
「おつやのよる」と「先を生くひと」が印象的だった。

このレビューは参考になりましたか?

さすが町田そのこさん、裏切りません。
240ページの澪さんの言葉がとても素敵で響きました。
サヨナラだけが人生ですが、今はそばにいない人からも何かしらの影響や言葉をもらって、誰しも人生があるのかなと思いました。

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どの短編も「別れ」が絡む。でもそれは終わりではなく始まりであり、励まされ明日への一歩を後押ししてくれるものだ。「おつやのよる」はわちゃわちゃする家族に恋人を紹介できない孫に祖母が残した仕掛けが様々な問題を解決する物語。人は生きた分だけ、経験を積んだ分だけ容量が大きくなるのだろうか。絡み合った糸を丁寧にほぐすにはゆとりある心持がないとね。どの短編も優しくていいけど、そろそろ町田さんの構成力の巧さが光る連作短編集を読みたい。

このレビューは参考になりましたか?

特になにがテーマというわけではないけれど、広い意味で連作短篇集といえるのかな。5篇の作品で構成されている。
どの話も、日常に追い詰められてにっちもさっちもいかなくなった女性が主人公で、そこからいかに脱出するかが描かれている。そして、なぜかみんな北九州市に縁がある?
町田さんらしく、みんながいい人というわけではないのがいい。善人ばかりの世界なんて信用できない。でも悪人というほど悪いわけでもなく、そのバランスがちょうどいいなと感じた。
どれも味わい深いが、内容と同じく紛れこませた感のある「くろい穴」が好みだった。

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5話からなる優しい短編集。それぞれのストーリーに直接的なつながりは無い。しかし「北九州」、「老婆(祖母)」、「別れ」という共通のキーワードにより、著者・町田そのこさんの故郷や家族への思いが詰まった作品であることがうかがえる。

特に好きな作品は一話目に収録された『おつやのよる』。家族の在り方をテーマにした作品であるが、とにかくこの親族一同は普通ではない。私が主人公の立場でも交際相手を家族に会わせたいとは思わないだろう。そんな心がバラバラな家族を救ったのは、亡き祖母の残した珠玉の言葉たち。皆それぞれの心の中で生きている言霊が、「あなたはここにいなくとも」というタイトルを思い起こさせる温かいストーリーだ。

本屋大賞にノミネートされた『宙ごはん』『星を掬う』『52ヘルツのクジラたち』の読者であれば、「町田そのこさんが描く家族の作品」と聞くと身構えてしまうかもしれない。しかし、本作は胸が詰まるほど苦しい描写はほとんどない。むしろ肩の力を抜いて気軽に読め、読後にホッコリ感も味わえる。出会いと別れの季節である春にぴったりな作品だ。

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去り行く人の想いや足跡が誰かに気づきを与えてくれる作品集。

とても危うい生き方をする主人公たちが、意外なきっかけで大丈夫になっていくストーリーに惹き込まれました。

私には、「たとえ命の灯が消えても、消えないものは確かにある」という祈りが心のひだに刻まれた気がします。

想いも、生き様も、受け継ぐことができる。そうすることで、大切な人がいつも近くにいるのと同じと信じられる。

はかない夢にすぎないのかもしれませんが、この本の作品たちがくれたアイデアは、明日の私を強くしてくれそうです。

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自分の家族を自信を持って恋人に紹介できない清陽(「おつやのよる」)、職場でのいじめや恋人との関係に悩む香子(「ばばあのマーチ」)、リセット症候群によって恋人に別れを告げて身内の葬儀のために帰省した萌子(「入道雲の生まれるころ」)、職場の上司との5年にも及ぶ不倫関係を持て余す美鈴(「くろい穴」)、幼馴染に恋をしていることに突然気づき戸惑う加代(「先を生くひと」)、5人の女性たちの出会いと別れを綴る短編集。
個人的には「ばばあのマーチ」の浩明には怒りの感情しか湧きませんでした。香子に対する言葉がどれもこれも嫌で仕方ありませんでした。
特に好きなのは「先を生くひと」で、加代や藍生、菜摘を導く人生の先達としての澪さんの態度や言葉は心に沁み亘りました。
誤った道を正したり、手放したものをもう一度求めたり、辛さや悲しみを乗り越えながら生きていく彼女たちの姿から、誰のどんな態度や言葉をどう受け止めるかは自分次第だと気付かされました。
年齢や性別で括るのは間違っているかもしれませんが、主人公たちと同世代の女性に特に読んで欲しいと思いました。人生の指針になる、とまでは言えなくても、こういう考え方もあるということを知って欲しいと思います。もちろん、男性の意見も伺いたいので、多くの読者に届いて欲しいです。

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ここにいない人に救われる、ここにいなくても助けてもらった、そんな思いがじわじわ心に沁みる5篇のお話。

冒頭の「おつやのよる」(初見、おやつ のよるって思ってました)が特に好きです。
言葉や眼差しが鋭くて、それでいて柔らかく包み込んでくれる優しさにあふれた祖母の春陽さんが素敵です。

“リセット症候群”の萌子の気持ちは何となく分かるので、その気分に「リセット症候群」と名付けた町田さんのセンスはすごい!

「ばあばのマーチ」の浩明はダメですね。香子、マグカップ、ばあばに渡して正解です。
瀬戸さんがどうなったか気になります。

いなくなった誰かを思い出させる一冊ですね。

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『52ヘルツのクジラたち』が中高生の生徒たちにも読まれているのでこちらはどうかしら、と思って読んでみたのですが、年代が(中高生からすると)上の方が中心だからか不倫が多いしモラハラ男がモラハラ男と自覚されていないまま描かれているし(ある年齢過ぎれば「何このモラハラ男」と思って通り過ぎられると思うけれど、中学生くらいだと押し付けられた価値観をそのまま内面化してしまう危惧がある)というあたりで、図書館に並べるのは少しためらう内容でした。「おつやのよる」のおばあちゃんの隠し撮り動画とか、ステキエピソードも散りばめられているのですが、それを活かすための毒がもうちょっと部分的だったらなーと、短編だからこその波状攻撃(不倫もモラハラも1パターンで済まない)にやられました。とはいえ、いいことばかりではなさそうだけれど、帰る場所があるっていいな、と思わされる短編集でした。

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5編の短編集。それぞれに味わいが濃くて堪能した。老婆が登場する話はどれも、長く生きた人の滋味溢れることばがいい。変わり者だったり、過去を封印していたり、断捨離によって人生の始末をつけることに足掻き気味だったり、個性的な老婆たちは皆、生きて生きて、今の自分を引き受ける覚悟が垣間見られ、なんとも魅力的な存在に映る。
ここにはいない人の存在が自分を支えてくれていると感じる時、人は孤独と孤立から解放されるのではないか。そして、血縁であろうとなかろうと、誰かの思いを受け取ることはできるのだと気づくとき、足元の躓きを越えていけるのだと思わされる。

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うんうんなるほど、そういうこともあるんだなぁと頷きながら一気に読み進められました。自分の嫌なところって自分がいちばんよくわかってるのだけど、それを他人のせいにしてしまう弱さだったり、結局自分を責めてしまったり、それをくろい穴を読んでいて客観的にみることが出来た気がします。

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あなたはここにいなくとも/町田そのこ 新潮社

ー 目に見えなくても心に残る。別れに希望を抱かせてくれる珠玉の短編集 ー

失った時に気付く大切なことを教えてくれる5つの短編集。
家族を大事に気遣ってくれていた祖母の死・・・
自分を認めてくれない彼氏への葛藤・・・
人との関わりに醒めてしまう逃避する心・・・
不倫の関係を絶つことが出来ない呪縛・・・
気付く初恋と失恋・・・

大切な人との別れ。物質的なものは無くなっても、それは悲しい辛いというだけではなく、
良かったことの想いはずっと心の中に残り続けるということ。
後悔をたくさん残してもいい、それでも自分なりに頑張って生き抜いてきた自分を
褒めてあげることが出来るんだと、とても大切なことに気付かせてくれる。
特に、5つ目の「先を生くひと」が良かった…。なんて温かい物語なんだと泣きました。
最後に見つけたもの、そしてバトンパス、素晴らしかったです。

素敵な物語をありがとうございます。

#フタバ図書 #読了 #NetGalleyJP

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5つの短編集。
どの話も読んでいると主人公の置かれた立場や言動にもどかしさを感じてモヤモヤするけれど、1話読み終えてタイトルを見返し、最後にストンと胸に落ちてきて納得。
全てを読み終えて『あなたはここにいなくとも』にまた納得。
特に好きだったのは「先を行くひと」の澪さんの言葉。沁みました。
視点を変えると見える景色も変わる。
大切なことを教わった気がしました。

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人は生きていくために、何かに別れを告げなくてはならない。
それは思い出の品を手放す、断捨離かもしれない。
別れを告げることで、自分の気持ちに気づいたり、前を向けたりする。
この作品はそんな別れを描いた短編集だ。
どの作品から読んでもよい。
ただし、1作目は外出先で読まないこと。

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おつやのよる
ばばあのマーチ
入道雲が生まれるころ
くろい穴
先を生くひと

の5編からなる短編集𖥧𖧧 ˒˒

どの話にも去っていく人が語りかけるもの
背中を押してくれるものがあって…
出会いや別れがテーマになっているものが
多かったです🥺

個人的にすきだったのは
おつやのよる
先を生くひと
かな☺️

今ある現実、家族、日常
そういうものを大切にしていこうと思えた🥺
普段そういうのなかなか考えたりしないけど、
読むとふわっとそういう気持ちにさせてくれる…
町田さんの作品らしかったです☺️

他の作品も読みやすかったけど、
すーっと読んでしまった感はあったので
♡3で😂✨
短編集は1つ1つで感想変わるから
難しいなぁ…😖

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劣悪な環境に晒されている主人公が僅かな救いを見つけて前に進み始める。そんな作品が多い作家さんですが、本作はDVやネグレストなどの過酷な背景はなく、自分を支えてくれる見えない力の様な存在を描いた短編集。その中で異色なのは不穏な感情が見え隠れする「くろい穴」。
個人的に好きなのは最終話の「先を生くひと」です。"どんな人生を送ろうともその先で待っているから、後悔のない様に生きておいで"背中を押してくれるその言葉が読み終わってからずっと胸に残っています。

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どのお話も読み始めてしばらくは、どういうお話なのか、どこへ向かおうとしているのか、わかったようでわからない感じでしたが、だけど読むうちに気がついたら引き込まれてしまっていました。

人間関係に臆病になったり、悩んだり、迷ったり、苦しんだり…、それぞれ何かを抱えた主人公たちが、自らの内面や周囲の人との関係と向き合い、少しだけ歩みを進める様子を見守っていたくなりました。

モヤモヤとした中に道筋が見えた時の爽快感も好きでした。

少し前に秋吉理香子氏の
『終活中毒』
を読んだせいなのか、「終活」を意識してしまう要素も多く、味わい深く読めました。

リクエスト承認ありがとうございました。

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ここに出てくる短編集では、誰かが亡くなった所から始まったり、突然ある時に亡くなったことを知ったり。細かい状況は異なるが、1人の人の人生が終わった後に、残された人たちの人生に痕跡を残していくストーリーだ。それは、時には今までの暮らしからの決別だったり、そこまではいかなくても、どこかに故人の生きざまみたいなものが残された人にじんわりとしみていくような、そんな話もある。みんな何か悩みを抱えながらも、自分の足で一歩ずつ歩いていくような終わり方が、どのストーリーにも感じられた。あなたはここにいなくても、残された人の中に生きていますよと言うメッセージを温かく受け止められた短編集だった。

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ままならない人生に迷いや辛さが生じたときに、そっと手を添えてくれる5つの短編集。 1話目からめちゃくちゃよかった。どれも傷ついた心にそっと寄り添い気持ちをほぐしてくれる。 優しく希望の持てる終わり方が本当に好き。

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心にもやもやを抱えながらも、現状を変えられずにいる主人公たちが、一歩前に踏み出す物語。

連作短編ではないけれど、どの話にも北九州の土地とおばあさんが出てくる。門司港は『コンビニ兄弟』を思い出して嬉しい。

町田そのこさんの作品としては、苦しくなるほどの話はなく、家族や恋人との関係など、どこか共感できるような内容で安心して読める。

若い女性の物語だけど、私は、ひっそりと登場する老婆たちの生き様が心に残った。
手放しかたは見習いたい。

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ここにはいない「あなた」、「いなくとも」という覚悟、一緒にor別れてどう生きていくのか。タイトルに込められた想いが深い。どの短編にも個性的なばあちゃんが、主人公の決断の節目に人生の先輩して関わっている。一歩前へ踏み出すきっかけとして。それにしても町田さんが描く食べ物はとてもおいしそう。

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1冊全て読んだ後に改めて表紙の『あなたはここにいなくとも』の文字をみてなんだかストンと納得。短編集を読むと、これは好きだったけどこれはイマイチかなーとか思ってしまうけど、この本は全部好き。不倫とか別れとかを扱ってはいるけれど、全編素敵な言葉で溢れていて、そっと背中を押してくれる。なん年か経って読み返すとまたその時の私を励ましてくれそうな気がする。とりあえず、断捨離しようと思います。#NetGalleyJP

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おばあさまが素敵だ。最初の「おつやのよる」のおばあちゃんがカッコよくて、すべてお見通しで、手の上で踊らされている感じも心地良い。「先を生くひと」の澪さんも、強くて優しくてしなやかで。最期にはこういう人になれるだろうか…すべてを糧にして、若い人を支えられるような歳のとり方をしたい。

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人の人生とは
いろんな形があって
それぞれ、苦しみや辛さはもちろん
喜びや優しさに満ちている。
人は醜い部分もあるけれど、
だからこそ、愛を持って過ごせる。
私はこれからどれだけの
愛を人に渡せるのだろうか。
人へ優しい愛を渡せる澪さんみたいに
生きていきたい。

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5つの短編が詰まった町田そのこの新しい本。

作家の以前の本と同様に現実を生きている私たちの姿が多く反映されている。
それぞれ異なる理由で苦しんでいる人々が他人との関係を通じていやされる。
叙情的で穏やかな作家特有の文体や小説の雰囲気は相変わらずが、「おつやのよる」での家族間の姿や、「先を生るひと」の主人公たちの初々しい姿はとても愉快で面白かったので作家の別の魅力を味わった気分だった。
作品のタイトルも5つの短編によく似合う。

人のせいで傷つき、人のせいで癒される私たちの姿を、町田そのこの穏やかな文章とともにもう一度思い出した。

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生きているといろんなことが起こるし、
辛くて自分の人生から目を背けたくなる日もある。
そんな想いを吐き出すことがなかなかできないから、せめてこの中で想いを昇華させてもらおう。
後ろ向きな気持ちで閉じさせない町田さんの描く世界が好きです。

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読み終えたときに、タイトルの意味がより深く迫ってきました。
もうここにはいないけれど、自分の人生を大きく変えるきっかけになった人。それは家族だったり、初めて会った人だったり、いい関係とは言えないような人だったり。
ぐるぐる悩んで出口が見えなくなっているところにサッと光がさすように、心のもやを晴らして行き先を照らしてくれる出会い。
その出会いによって選んだ道は、決して楽ではないけれど、スッキリした気持ちで頑張れる明るい未来だと思いました。
いちばん心に残ったのは、4話目の主人公が栗を煮るところ。手間ひまかけて仕上げていく描写が、鍋の前で何やら煮込んでいる魔女を連想してしまいます。静けさと不気味さを感じてちょっと怖い。でも忘れられません。
短めの話が収録された本なので、ちょっと時間ができたときにもぜひ読んでほしいです。
本のタイトルの意味を考えながら読むのがおすすめ。噛めば噛むほど味わいがある、そんな本です。

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人生を生きる上で何らかの悩みを抱える若いヒロインたちが、主におばあさん・目上の女性に助けられて迷う心に仄かな希望と光明を見出し次の一歩に踏み出していく5編の短編集です。物語の途中ではヒロインが人生に絶望し不甲斐ない自分が情けなくなり落ち込みそうな重苦しい展開もやむなしと思える話でも著者は決して暗い話にはせずに明るい気持ちを失わせずに最後には前向きな方向性を見出させてくれて前へ前へと進ませてくれるのですね。似たような悩みをお持ちの方は本書を読む事で困難な問題に立ち向かう上での重要なヒントをもらえるでしょう。町田その子さんは生きる上で様々な問題で悩む方を、決してほったらかしにせずに最善の道筋を示すストーリーを必ずや書いてくれる信頼のおける作家さんだなと感じましたので遅ればせながら今後は他の作品もどんどん読んで行こうと思いますね。

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短編集、特に連作でもなく、共通の登場人物がいるわけでもない。でも、このお話たちは一冊になるべくしてなったと思わせる。「あなたはここにいなくとも」というタイトルが秀逸。
最初の「おつやのよる」でポロポロ泣いた。何にそんなに泣いたのか思い返してもよくわからないけど、とにかく新幹線でマスクの中がびちょびちょになるくらい泣いた。町田そのこさんの本を読むと辛い悲しいという気持ちと、優しいあたたかいという気持ちがぐるぐるになっていつもどこかで泣いてしまう。この本に出てきた、躓いてしゃがみ込んで、でも何かを乗り越えてもう一度立ち上がった彼女たちの未来が、優しく明るく楽しいものであることを読後つよくつよく願わずにいられない。

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5篇の短編集。読み終わってタイトル「あなたがここにいなくとも」の意味がゆっくり静かに心の中に落ちてきて、すっきりと収まった。何かモヤモヤしたものを抱え行き詰まった日々…立ち止まってしまった女性たちにエールを送るのは年長者からの声だ。女性が生きづらい時代が確かにあった。多くのものを諦め、たくさん流した涙もあった。けれど心強く生きる、生きたおばあちゃん達のお話がジワリと心に染みる。深く慈しみのような優しさが存在していて、未熟な自分を受け止めてくれるように感じた。方言の魅力もあり、故郷を強くイメージした。

◎おつやのよる
・ばばあのマーチ
・入道雲が生まれるころ
・くろい穴
◎先を生くひと

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「あなたはここにいなくとも」は5つの短編集です。人生は出会いと別れの繰り返しだけど、遠く離れても、亡くなっても、大切な人の存在を近く感じられる。

「おつやのよる」と「先を生くひと」が特に素敵なストーリーでした。

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亡くなったり遠くに離れたり別れてしまったりして、もう会えなくなってしまったひとたちのことを思い出しながら読みました。目を閉じればいつでも会えると言うけれどお別れはやっぱりさみしい。別離という岐路で立ち止まることもあるけれど長い人生にはそういう時間があってもいいと思う。今すぐに一歩を踏み出す勇気がでなくても、いつかは、と信じる気持ちがわいてくるような気がしました。

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町田そのこさんは、どうしてこんなに人の心をぎゅっとする方法を知っているんだろう。
収録された5篇の物語は、それぞれ違いはあっても、生きることの難しさとかそれを乗り越えてきたおばあちゃんたちの物語で、共感と言うにはおこがましくまだまだ未熟な自分に気付かされた。

「くろい穴」という作品に私はとても魅力を感じました。栗の渋皮煮に込められた小さな悪意とか、そういう人間の黒い感情が、ブラックホールのような栗の虫食いの穴に比喩されたようで、心に残った作品でした。

時代は変わっても、生きる大変さを感じていることは昔も今も変わらなくて、人生の先輩たちから学ぶことはたくさんありますね。町田さんの文章は繊細なのに、しっかり支えてもらっている力強さのようなものを感じます。
この作品に出会えてよかった。

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5編から成る短編集。町田そのこ作品は数作読んでいるが、本作が1番良かった。特に『おつやのよる』は愛情深いばあちゃんに号泣。『ばばあのマーチ』や『くろい穴』は最低男が登場。主人公たちにエールを送りたくなる。『先に生くひと』は青春の時に出会う大切な宝物の様な時間が良かった。先に生まれたからには若い世代に何か残せる人になりたいと思った。『入道雲が生まれるころ』のリセット症候群…これは笑えない。そうか、私もリセット症候群だったのかと軽いショックと、ちょっとした安心が得られた。新作毎に嵌ってくるので次作も楽しみ。

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迷える人たちの背中を押してくれる5話の短編集。

どの話にも共通しておばあちゃんが登場し、優しい言葉にじんわり。「先を生くひと」がよかった。

行き詰まった時に道しるべとなってくる人の存在は大事ですね。

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お別れの話がメインの短編集なのに、読み終えて、今、とても暖かい気持ちで満たされています。そして改めてタイトルの意味に納得。『想い』は直接でなくても届くものなのですね。そして自分の地元の北九州が全編を通じて鍵となっている所も胸熱でした。「おつやのよる」なんて本当にすぐ近所の出来事のようで、読んでいて自宅から見える光景とリンクしてました。読ませていただきましてありがとうございました。

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あなたはここにいなくとも、は
わたしはここにいなくとも、にも置き換えられる。そんな気がした。
誰かの記憶に残る人。
思い出の中の人。
あなた、であり、わたしもあなたになる。
自分もまた、いつか誰かの思い出になっているとしたら…今この瞬間の尊さを想った。
少し切ない読後感…でもこの幸福感は町田さん作史上最高だと思う。
特に5章。すごく、良かった…。好きだな、あのセリフいいな、とても心に残った。
人生の幕引きの時、こんな風に優しさの中で過ごせたらどんなに幸せだろうと思った。

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自分をとりまく環境との、自分なりのお別れの儀式の5つの短編集。登場人物たちのおばあちゃんとよばれる(作品の中ではばばあとも言われている人まで!)人たちが魅力的です。
 私が好きな登場人物は「おつやのよる」のハルさん。主人公のおばあちゃんです。
家族や親戚の要になる人っていますよね。主人公は自分の家族を恋人に紹介できません。恥ずかしい、と思ってしまう気持ち。わかるっ。自分の家が一般的なのかどうかって気になります。
 自分の中のこだわりや、お役目を終えたものたちとお別れしたくなる本でした。

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自分と同じ環境ではない人々なのに、不思議と自分がその立場に置かれていて、自分も同じように思っているのに気づく不思議な経験ができる本でした。
主人公それぞれが、不器用ながら一生懸命に生きていて、だからこそ色々な壁にぶち当たり、周りの人の影響を受けながら乗り越えていく。それを共体験できるので、現実の辛さも乗り越えられる気がして、元気がもらえる本ってこういう本を言うのだと思いました。

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知られたくない、自分は間違っている、こうするしかないと思いこんでしまうと、そこから抜け出せなくなることがありますが、抜け出せれば意外とそんなことはなかったと、客観的に冷静に物事を見れるようになることを教えてくれる連作短編で、迷える主人公たちに手を差し伸べてくれる周囲の人たちの優しさが心に染みる物語でした。

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たぶん初めましての作家さん。「おつやのよる」のお酒を飲むと人が変わったようになるお父さんのその後の行動ににウルっときてしまった。あとは暗くて黒いけど「くろい穴」の延々とわいてくる灰汁と最後のツイストが好き。どの話も登場人物の行動が極端すぎて、何かのメタファーなのか、私がこういう人たちにかかわったことがないだけなのか、ちょっと考えてしまった…

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全編に別れが描かれるが、読後は前向きな気持ちになれる素敵な短編集。
門司や小倉といった北九州の地名や方言が登場し、町田さんの地元愛を感じられることも嬉しい。
チャーミングなお婆さんが登場する『おつやのよる』と『先を生く人』が特に魅力的だった。

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鼻の奥がツン…として、号泣だった、涙が止まらなかった。5編から成る短編集の登場人物は、それぞれ、悲しみだったり、人には言えない苦悩を抱えていて、苦しみながら、一生懸命に生きている。人から誤解されてしまったり、裏切られてしまったり。生きていたら、上手くいかないことなんてたくさんあって、ふとした瞬間に、全てをリセットしたくなったりもする。自分のことで精一杯な時に、他人のことまで考えることなんて出来なくて、大切な人を傷つけてしまうこともある。愚かだって分かっていても、コントロール出来ないどうしようもない感情があって、誰にも構って欲しくなんてないのに、心寂しくて、誰かに側にいて欲しいときがある。そんな、どうしようもなく面倒くさい気持ちを代弁してくれて、背中を優しく撫でてくれてるような、そんな作品でした。ボロボロ泣いてしまったけど、この涙は、生きていたら起こるどうしようもない暗い感情を全部、全部洗い流してくれて、温かくて、優しくて、明日からまた頑張ろうってそんな風に、思わせてくれるような涙です。ぎゅっと手を握ってくれてるような、人肌が恋しくなった時にも、生きることが辛くなってしまったときにもお守りになる作品です。全てを読み終えて、タイトルを見た時に、意味が分かって、また、号泣。書き出したい言葉はたくさんある。だけど、この作品は発売されてから、もう一度、しっかり読もうと思います。

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どの話も「あなたはここにいなくとも」という言葉がイメージされます。
ただ、話によってその言葉の後に続くのが
「あなたはここにいなくとも、心はそばにいるから大丈夫」や
「あなたはここにいなくとも、もういい」というような、プラスのイメージだったりマイナスのイメージだったりと、うまいタイトルだなと思いました。
そしてほっこりとする話、ひんやりとする話、どちらの話も心にじんわり刺さりました。
あと、作者の出身地である福岡がどの話もからんでいました。
親が福岡出身なので、方言や地名が懐かしかったです。

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この前ダヴィンチで町田そのこさんが載っていて、すごく綺麗な方だなと思いました。
「おつやのよる」はすごく共感を覚えました。
たぶんそんなに大したことはないかもしれないけれど、家族が恥ずかしいという気持ちとか結構あるんじゃないでしょうか。
でも一番好きだったのはオーケストラばばあさんの話。モノがあふれる世の中で、私も捨てられないものとか思い入れのあるものが結構あって、ちょっと振り返るきっかけにもなりました。

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当たり前だと思っていたわが家の常識と世間のズレ、ナイーブが故の人間関係のほつれ、壊す事で保つ恐怖心――人生に立ち止まってしまった女性たちの心をそっと導く、おばあさんたちの人情味溢れる短篇集。
生命の終わりに触れる事で見えてくる、奥深くに隠された人の心の一長一短。温もりを与えられる距離に居なくても、先を生く人たちが残してくれた知恵と勇気に救われ、一歩を踏み出す糧となる作品。
5篇全て好きだけど、食器を叩いて謎のリサイタルをする「ばばあのマーチ」の独創的な発想がたまらなく心に残りました。「もう、なかなくていいんだよ」という言葉がすとんと落ちた。

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5編の短編集。
連作ではないが、どの話にもおばあちゃんが出てきて、それぞれおばあちゃんに導かれたり背中を押してもらったり。
前に進めなくなった時、そんな存在がいてくれたらいいな。

最後の話の澪さんの言葉が印象的でした。

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とても素敵な作品でした。
どのお話も温かくて大切に読みましたが、特に最後のお話に出てくる澪さんの話すこと一つひとつが心に残り、主人公の加代と同じように大切に自分の中にしまっておいて、これから先の人生で思い出して支えになるようなお話でした。
私にとっての大切な一冊になりました。

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タイトル通り、ここにいない人、いなくなった人から、
人生の道しるべを得ていく物語。
なんといっても「先を生く人」が沁みました。
「遠い未来で、私が待っていてあげる」
なんて、言われてみたいし言ってみたい。
「くろい穴」の発想力、表現力にも驚かされました。

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良かった!ほっこり優しい町田さんの短編集。どの話も死が身近にあるものの、全然暗くない。大事に少しずつ読み進めていたが、ついに読み終わってしまった。最後の先を生くひとが一番好き。こんな感じで老いたい。素敵なおばあちゃんが色々出てきて、そこも良かった。

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人生はままならない。
思い通りにいかなくて悩んで迷っている時にそっと、背中を押してくれるようなそんなお話ばかりでした。

どれも独立したお話だけれども、「おばあちゃん」が鍵を握っている。

久しぶりに自分のおばあちゃんのことを思い出してしまいました。
私は渋皮煮は作れないけれど、生活の要所要所で祖母から教えてもらった知恵や知識がとても役に立っていると実感します。
もっと色んなことを話したり教えてもらいたかったなぁ…としみじみしちゃいました。

あなたはここにいなくとも。
読み終えたらタイトルの重みがさらに増しますね。


最後の話の「先を生くひと」に登場する澪さんの言葉がとても印象的。

「遠い未来が想像できないのなら、私を思い出しなさい。遠い先の未来で、私が待っていてあげる。私はあなたたちのぜーんぶを受けて止めて、抱きしめるわよ。頑張ったねって言うわよ。だから安心して傷つきなさい。安心していきなさい。後悔や心残りだけはないように頑張りなさい」

先を生きる先輩の言葉は重いね。

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いいお婆さんたちが出てくる短編集、町田さんはやはり読ませる作家さんだと思いました。どの話しもあったかく、最初のおつやの話しと、最後の大掃除の話しのお婆さんがとくにいい。個人的には、食器とかで演奏するお婆さんの話しが好きで、ものに対する執着と手放す勇気のようなものを具体的に感じました。栗の話し以外はすべて心に響く内容でした。あれはちょっと僕には合わないのかな。

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町田作品を読むのにも気力がいるので、今作も最初は身構えていたけれど、読み始めたら想像と違って、それぞれ事情は違えど現実に行き詰まっている5人の女性が、人生の先輩である女性たちからの言葉をきっかけに、それぞれが前を向いて歩んで行く姿を描いた、心の負担がふっと軽くなるような短編集だった。それだけ人生経験豊富というか、色々乗り越えてきたであろう先人たちの言葉ってやはり貴重だなとしみじみ。直接的ではなくても存在する心の支え。誰もが持ってると良いのに。

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5編の短編はどれも、誰かの「死」に纏わるお話。人の「死」を前にして、見失いそうになった自分自身を振り返る時に見えてくるものがある。「死」が傍らにありながら、中身はちっとも暗くない。5編とも、そっから先に希望をつなぐ温かいお話が勢揃い。読み終えて漏らす吐息と一緒に笑顔がこぼれる事請け合いの一冊。
「遠い未来の先で、私が待っててあげる。私はあなたたちのぜーーんぶを受け止めて、抱きしめる。頑張ったねって言う。だから安心して傷つきなさい。安心して生きなさい。後悔や心残りのないように頑張りなさい。」澪さんみたいに、そう言ってあげられる素敵なオババに私もなりたい

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人生で躓いてしまった時に、人生の先輩からの言葉がそっと背中を押してくれることがある。そんな人生の先輩たちの知恵と優しさが詰まった5編の短編集。さまざまな悩みや迷い、戸惑いを抱えながら、時には諦観し、時には絶望し、未来を思い描けないようなことがあっても、ちょっとしたことがきっかけで、一歩を踏み出すことができる。小さかった頃病気になると、看病するために来てくれた祖母から、いろいろなことを教えてもらったことが、今でも宝物となっている。本を閉じた後、今は空から見守ってくれている祖母たちに無性に会いたくなった。

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どのお話も、じんわりと胸が温かくなり少し切なさも残る物ばかりでした。地元北九州が舞台のものは、やはり情景が思い浮かぶので特に感情移入して読めた。祖母と孫を描いたストーリーが一番良かった。亡くなった祖母を懐かしく思い出しました。

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五つの短編からなる町田そのこさんの本。
2つ目の”ばばあのマーチ”辺りで、タイトルの意味に気づきました。
すてきなタイトルですね。
たとえ隣にいてくれなくても、遠く離れていても、空の上にいても、次のステップに踏み出す勇気をくれる人達。
どの物語の主人公も、背中を押され、そして自分で考えて前に歩き出します。
あなたにも、私にも、きっとどこかに背中をそっと押してくれる人がいるはずです。
とても温かい気持ちになれる本でした。

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短編集5つ。
町田そのこさんは「ぎょらん」がいちばん好き。(これ毎回言ってるかも)
どれも、ほんわかする。
「おつやのよる」がいちばん良かった。
清陽(きよい)の家族はガミガミしてるけどそれだけ家族を必要としているから強く言いたくなってしまうのだと思った。
町田そのこさんの本、好き。

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ひとりの命が終わるとき、誰かの人生をそっと動かすことがある。自分がこの人生の舞台から降りたとき、誰かの人生を少し動かすこともあるのだろうか。そうだったら良いなあと思う。生きづらさは誰もが抱えている。でもだいじょうぶ、とこの作品は思わせてくれる。

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