
魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話
Why Fish Don't Exist
ルル・ミラー(Lulu Miller)
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刊行日 2025/03/04 | 掲載終了日 2025/05/28
ハッシュタグ:#魚が存在しない理由世界一空恐ろしい生物分類の話 #NetGalleyJP
内容紹介
アメリカ、韓国はじめ、世界中でベストセラーの超異色・生物書!
★全米主要メディア、異例の絶賛!
「心が揺さぶられる」The Wall Street Journal
「見事な一冊」Los Angeles Times
「打ちのめされる」NY Times Book Review
「自然をめぐる驚きのストーリー。世界がそれまでと違う姿で見えてくる」 Book Riot
★年間BEST BOOK選出!
The Washington Post, NPR, Chicago Tribune, Smithonian, Audible
★識者、大絶賛!
「奥深く、機知に富み、おぞましい闇と強い高揚感の両方を味わわせる。この本を、そしてこの本を書いた一筋縄ではいかない精神の持ち主を称賛したい。ルル・ミラーは、決して大げさではなく、生命の秘密を明らかにしたと言えるかもしれない」
—ジョン・モアレム 『This Is Chance!』著者
「ジェットコースターに乗ったように、魚の(そして私たちの)位置づけがひっくり返る」
—Slate(オンラインマガジン)
「1ページ目から圧倒的。独白であり、人物評伝であり、国の歴史を語る本でもあり、そこからさらに壮大なストーリーが少しずつ解きほぐされていく。最後の数ページにたどり着いた頃には泣かされていた」
—ジョナサン・ゴールドスタイン
(内容紹介)
「人は何かに名前をつけると本当の姿を見ようとしなくなる」
19世紀末、生涯をかけて魚類を収集・分類した科学者デイヴィッド・スター・ジョーダン。その膨大なコレクションは、落雷、火災、そして巨大地震によって幾度となく破壊された。だが彼は、世界に秩序をもたらそうと、まるで運命に抗うかのように分類作業を続けた。
NPR(米国公営放送)の気鋭ジャーナリスト、ルル・ミラーが追跡した衝撃の実話。ジョーダンの生涯を掘り起こす作業を通じて、自然、歴史、倫理、そして愛についての著者の理解は大きく揺るがされていく。科学への深い執着、殺人の影、そして分類することへの限りない欲望。全てが混ざり合う、目が離せない知的冒険の記録。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784763141781 |
本体価格 | ¥2,100 (JPY) |
ページ数 | 384 |
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NetGalley会員レビュー

インパクトのあるタイトルが気になり読んでみました
恥ずかしながら分岐学というのを初めて知りました
実在の人物の伝記であり科学の本でもあります
生物を分類することが優生学にもつながる
収集癖も情熱的という言葉だけでは語れないほどの熱意があります
綺麗ごとではすまされない人間のエゴにも目を向けられます
やや辛口になりましたが、生物学の本としても読みごたえがあります
サラサラとスムーズに読むよりもじっくりと読み進めることを好む方向けかと思います
電子書籍よりも紙で読むことをお勧めします

ジャーナリストのミラーは19-20世紀の魚の分類学者で大学学長のデイヴィッドを調べる。見出したのは、科学、哲学、思想の禁忌な組み合わせだった。
人間と生物学両面からの驚愕のノンフィクション。
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著者である科学ジャーナリストのミラーがこれほど魚の分類学者デイヴィッドに拘ったのは、彼女が父や夫との関係で生き方が崩れたトラウマに囚われているから。そして、再び立ち上がるには、デイヴィッドの言葉の中に真理を見つけなければないというのもまた、トラウマ。
しかし、ミラーが描き出す大学の学長たるデイヴィッドの保身行為のえげつなさに、読んでいて不快になった。それでも彼女は、デイヴィッド野良い面を探そうとする。なぜそこまで。しかし、生き物が大好きな少年デイヴィッドが最後にたどり着いた「大義」は、恩師アガシの思想を悪しき方向に延長させた「優生学」だったとは。
そのデイヴィッドの生涯の単なる記述にとどまらず、彼の考えの変遷を詳しく辿り、「大義」に至った過程と、そこに辿り着くまでに関係した人々まで調べ上げ掘り下げたミラーに心からの敬意を示したい。これがなければ、デイヴィッドは「平和主義者」として現代まで名を残していただろう。
その「大義」は、「同世代のダーウィンと同様の眼差しで自然を見れば、間違えている」ことがわかるのは明らかである。それができたはずだったデイヴィッドがここに至ったのが手に取るようにわかるのが、本書がノンフィクションとして素晴らしいだけでなく、人は変わりゆく存在であることを示していることに、ある種の恐ろしさを感じた。
そして、自分を救うためにこの仕事を始めたミラーは、デイヴィッドに絶望を見たことだろう。でも、その後の彼女の出会いは、この「大義」が考慮してこなかったものをミラーに教えてくれる。それはまさに、「未来への希望」。
最後に、本書のタイトルについて解説するミラー。それは驚くべき真実。そして、「魚類」という人が持っている〝概念〟が、生物の真の「多様性」を塗りつぶしている事実に、デイヴィッドが陥ったのと同様なものを感じた。
そして、ミラーもとうとう答えに辿り着く。生きていく意味に。おめでとう、ミラー。
思い込みを超えた先に、多様性という真理がある。

魚類を収集分類した科学者デイヴィッド・スター・ジョーダンの伝記。彼の生涯を追いつつ、著者自身の生い立ちや解釈や批判が入る風変わりな形で、テレビのドキュメンタリーを見ているような雰囲気である。「魚類が存在しない」ことは驚きだった。

あまり深く考えずに科学書として読み始めたのだが、副題の「世界一空恐ろしい生物分類の話」がだんだんと重みをもってくる。
魚類の分類学者であるデイヴィッド・スター・ジョーダンの伝記的記述で物語は進む。魚類の分類に情熱を持やすジョーダンだが、その標本コレクションは幾度となく全損の憂き目にあう。そうした災難にもめげす魚類の分類に情熱を燃やすジョーダンはやがて、インディアナ大学の学長経てスタンフォード大学の初代学長にスカウトされ、さらに総長まで務める。
そんな中で、彼の科学への深い執着、分類することへの限りない欲望は自らの地位に固執するが故の殺人事件への関与もうかがわせるスキャンダルチックな話へ進む。さらに優生学への傾注。「世界一空恐ろしい生物分類の話」へと進んでいく。
伝記的記述に埋め込まれた伏線が後半拾われていく展開はミステリアスで面白い。最後にジョーダンが情熱を傾けた魚が存在しない理由で物語は締めくくられる。
作者ルル・ミラー自身の私小説的な記述の絡み合いがドラマチックな展開を生んでいる。

新聞やSNSで見かけて、装丁の美しさに目を惹かれました。
よんでみると想像していたよりも中身に触れやすく、ひとつの物語として読み込んでしまいました。
多くの人が手に取やすく、また読みやすい作品です。

ラベリングは便利に使えば便利なもので、
(メガネ、ロングヘアは教員からは割と真面目にみられるので、
学生時代細かいチェックから免れやすくラクでした)
戦略的に利用することも可能であるとは思っているのですが、
自分がするときにはその問題点の認識が不可欠ですね。
でもまさか、それが「魚類」全体に及ぶとは。
これだけの熱量で書かれた本を読んでもまだ腑に落ちず、
魚は魚じゃないの…?と思ってしまうのですが、
これが地動説を信じられなかった人の心持かしらと思ってみたり。
それにしても、スタンフォード大学初代学長が優生主義者とは!