百花斉放アノマリー
前崎中央高校科学部の事件ファイル2
下村智恵理
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刊行日 2026/04/20 | 掲載終了日 2026/05/18
ハッシュタグ:#百花斉放アノマリー #NetGalleyJP
内容紹介
群馬県立前崎中央高校に入学した利根和奏は、部活紹介において金髪ギャル姿で「完全犯罪の方法」を滔々と語る部長の木暮珠理に釘付けとなり、科学部に興味を持つ。新学期早々に、科学部に持ち込まれた3つの謎──校舎裏にある不思議な石碑、安井良の同級生の女子が巻き込まれたバーベキューでの呪い、再び発生した図書室の忌書事件を描いた、〈中央高校科学部〉シリーズ第2弾。
群馬県立前崎中央高校に入学した利根和奏は、部活紹介において金髪ギャル姿で「完全犯罪の方法」を滔々と語る部長の木暮珠理に釘付けとなり、科学部に興味を持つ。新学期早々に、科学部に持ち込まれた3つの謎──校舎裏にある不思議な石碑、安井良の同級生の女子が巻き込まれたバーベキューでの呪い、再び発生した図書室の忌書事件を描いた、〈中央高校科学部〉シリーズ第2弾。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
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出版情報
| 発行形態 | 文庫・新書 |
| ISBN | 9784488414221 |
| 本体価格 | ¥940 (JPY) |
| ページ数 | 354 |
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教育関係者 645139
《化学だけでは解けない? 科学部の集合知が謎に挑む》
〈中央高校科学部〉シリーズ第2弾。
第1巻のタイトルは『天網恢々アルケミー』。
「天網恢々」とは、“悪いことを犯した者は逃がさない”こと。そして「アルケミー」は、まさに“錬金術”。
つまり第1巻は、化学で犯人を追い詰める物語だった。
化学万能派の珠里と、文系寄りの良。
この二人のバディが、化学の力で謎に迫っていく連作短編だった。
そして第2巻のタイトルは『百花斉放アノマリー』。漢字四字とカタカナで、雰囲気はよく似ている。
けれど、意味するところはこれほど違うのか。
「百花斉放」とは、“多様な見解・意見・才能”。
「アノマリー」とは、“異常・例外”。
つまり今度は、異常事態にみんなで取り組む物語なのだ。
どんな謎を、今回はどのように解き明かしていくのか。興味を持って読み始めた。
⸻
【Project #36 怪奇! 校舎裏のゲーミング石碑】
今回の謎は、「ゲーミング石碑」と名付けられた岩の周りだけ、アジサイの花の色が変わること。
さらに、その岩が発光すること。
アジサイの色が変わる理由には見当がつく。
けれど、岩が発光するとは。
今回は、化学だけで解決するのは難しい。
だからこそ、化学至上主義の珠里が、調査機材やデータ処理のために写真部やPC部へ協力を求める。
珠里のリーダーシップのもと、それぞれの強みを生かした見事な連携プレーが展開される。
その姿に、思わず息をのんだ。
そして明らかになる事実は、予想をはるかに超えた背景を持っていた。
前崎中央高校だけではない。
前崎という土地、さらには群馬県の歴史、風土、民間伝承、生態系までもが関わってくる。
シリーズの広がりを実感させる第1話だった。
⸻
【Project #37 水底の殺意】
キャンプ中にひとりが体調を崩したこと。
そして、その直後に起こったダムの緊急放流。
良への依頼は、それが呪いかどうかを調べることだった。
良の推理は冴える。
けれど、それだけでは証明できない。
そこで、幽霊部員だった者を含めた科学部の5人全員が集結する。
さらに顧問の吉田まで巻き込み、現地調査へと財布向かう行動力に舌を巻いた。
現場を調査する中で、化学についての知識は群を抜いている珠里だけでなく、他の4人もそれぞれに強みを持っていることが見えてくる。
そして何より驚かされたのは、現場でのブレインストーミングによって、彼らが少しずつ真相へ近づいていく姿だった。
それはまさに、科学部の集合知。
科学部のステージが一段階上がる、その瞬間を目撃した気がした。
ただ、彼らにできることは、化学の力によって事実を確かめるところまで。
だから、ここで良の出番なのか。
その事実から心理を読み取っていく、帰り良の「詰め」の見事さにうなった。
ようにお願いします
第2巻のタイトルの意味を、ここで強く実感した。
⸻
【Project #38 図書館の忌書 part2】
なぜ良は、図書館の談話室で文芸部のひとりひとりとやり取りをしているのか。
その理由も分からないうちに、なんとバット片手に珠里が乗り込んでくる。
そして彼女に占拠される談話室。
意味の分からない展開に唖然としながら、ひたすら読み進めた。
そして今回も、科学部の5人によるブレインストーミングが始まる。
その結果、必要性が確認され、校長の許可のもと、2回目の図書館封鎖が行われる。
ただし、今回の調査対象は蔵書すべて。
しかも本だから非破壊。少しでも傷つけてはいけない。
つまり、化学的手法では歯が立たない。
対象数と調査法。
その両方からの手詰まり。
さらに、少し引いた視点から見ることのできる良ならではの、「科学的な正当性と人の自然権の関係」についての考察も絡んでくる。
つまり、時間をかけることさえ難しい。
文字通りの三方塞がり。
さすがに今回は無理だとしか思えなかった。
ところが、非破壊検査用のXRF、ハンドヘルド型蛍光X線分析計のあまりにも高価なレンタル料金が、人々の協力によってクリアされる。
そして科学部の5人だけでなく、各部からの助っ人が集まり、蔵書すべての調査が一気に始まる。
このつながりは、珠里や良たちがこつこつ築いてきた結果なのだ。
それを実感した時、めまいにも似た感慨にとらわれた。
さらに、この謎が混迷を深めた理由に、社会の実情まで絡んでいたとは。
地面にしっかりと足をつけたミステリにもなっていた。
⸻
〈進化していくミステリ〉を目の当たりにした気がした。
第1巻では、化学で謎に迫っていた。
第2巻では、化学を軸にしながら、写真、PC、文学、歴史、地域、そして人のつながりまでもが謎解きに加わっていく。
珠里と良の物語でありながら、科学部の物語へ。
そして、前崎中央高校という場さえ超えた物語へ。
このシリーズが、ここからさらにどこまで広がっていくのか。
ぜひ第3巻を読みたい。