天災ものがたり
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刊行日 2026/09/15 | 掲載終了日 2026/09/16
ハッシュタグ:#天災ものがたり #NetGalleyJP
内容紹介
被災者は一様ではなく、復興は一途ではない。
古来数多の災害に見舞われ、闘ってきた日本人の姿をドラマチックに綴る珠玉の短篇集。全六篇。
♢
「一国の国主」戦国時代
甲府盆地で繰り返される洪水に武田信玄が画期的な堤で立ち向かう。
「漁師」明治時代
三陸沖地震による津波の後、漁師たちは高台への移転を進めたが。
「人身売買商」鎌倉時代
異常気象による大飢饉で京の商人が始めた人商いは人助けなのか。
「除灰作業員」江戸時代
富士山噴火による降灰が麓の二つの村と男女の運命を分けた。
「囚人」江戸時代
明暦の大火で日本橋小伝馬町の牢屋に入っていた男を救った奇跡。
「小学校教師」昭和時代
豪雪で東京に戻る汽車に閉じ込められた先生を待つ後輩と子供たち。
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著者/門井慶喜(かどい・よしのぶ)
1971年、群馬県桐生市生まれ。栃木県宇都宮市出身。同志社大学文学部文化学科卒業。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、作家デビュー。'16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)受賞。'18年『銀河鉄道の父』で第158回直木賞受賞。他の著書に『札幌誕生』『天下の値段 享保のデリバティブ』『夫を亡くして 北村透谷の妻・ミナ』などがある。
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★★★
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出版情報
| ISBN | 9784065446614 |
| 本体価格 | ¥980 (JPY) |
| ページ数 | 399 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
書店関係者 681228
まるで目の前で災害が起きているかのような描写に静かに息を呑みながら頁を捲り最後の2頁に辿り着いたとき、一文字一文字が「君の住んでいる世界の話なのだ。心に刻み込みなさい」と警告しているように感じました。過去も現代もこれからも私たち人が生きていく限り逃れられない「災害」。著者の手によって様々な時代の災害と人の生きる姿を読むことが出来ました。
人の力強さと弱さも、失い悲しみが癒えぬ苦しさも、どこにぶつけるべきか分からなくなる怒りも、頼ることの出来る他人のありがたさと怖さも、死を前にして広がる残酷な光も、これからの未来に繋がる一歩も…言葉で書ききれないほどの姿が確かな筆致で描かれていました。
レビュアー 1074736
タイトル通り、災害を扱った6篇からなる作品集。第1話「一国の国主-天文十一年甲府洪水-」は信玄堤の話。水利史で後の利根川東遷までも影響を与えたとする。第2話「漁師-明治二十九年三陸沖地震-」は津波に遭って高台に移住したが結局、浜に戻った「田老」の話。一時は多くの人が勝手に(地主がいなくなった)背後の山に家を建て移り住んだが結局、浜に戻ることになった。要は理屈通りにはいかないということ、分かる気がする、人は何時来るともしれない「天災」のために動くのは難しいのだ。つまり「理性」は移住を求める、しかし感情は理屈通りには動かない。第3話「人身売買商-寛喜二年大飢饉-」。飢饉のときに娘を売るというのは聞いていたが「人身売買」がテーマ、つまり商行為というのは聞いたことがなかった。商人が経済行為として、そして、それが人助けにもなっていると、後ろめたさを抱えながらしたことを飢饉が終わってから、それまで見て見ぬふりをしてきた六波羅探題に責められる話。第4話「除灰作業員-宝永四年富士山噴火-」。まるで福島第一原子力発電所事故を思わせるタイトルだが「宝永大噴火」時のもの、時代小説なのだが妙に現代が二重写しになる。災害大国「日本」だから。被災地といっても微妙に復興に差が出たという内容。最大の被災地(要は宝永火口直近)須走村はウィキペディアによると〈皮肉にも宝永大噴火の被害は世間の富士山への関心を高めた。噴火の翌年の宝永5年(1708年)には再建された御厨地方の須走村に富士参詣客が殺到〉のだそうだ。こういう歴史の綾を描くのが著者門井慶喜の特徴と思われる。「焼け太り」という残酷な言葉があるが、人の運命こそ残酷なのだ。第5話「囚人-明暦三年江戸大火-」、これが本書中、最高だと思う。隠れキリシタン権左衛門は捕らえられ「明暦の大火」(1657)で「切り放ち」により出獄、外堀の浅草御門=浅草見附は役人が門を閉ざしたことで目指した千住大橋(を渡れば江戸を出られた)に行けず、結局、精魂つきて絶命するが、そのシーンは「フランダースの犬」の最後を思わせる崇高なもの。ちなみに本作中に「天災」=自然災害は人間がいてこそ、つまり被害者がいるから災害なので、その意味では「人災」(強引だが確かに、その場所に人が居住したから生じたとはいえる、江戸の大火なぞは確かに、その面はありそう)というような記述がある。最後の6話目「小学校教師-昭和三十八年裏日本豪雪-」は新潟県現長岡市から始まる。ウィキペディアの「昭和38年1月豪雪」という項目が、この「天災」。〈豪雪災害としては初めて気象庁により命名されるなど気象観測史上でも特筆すべきものであった〉で長岡市の積雪量は318cm。ではあるのだが、この本は、そもそも小説だから単に「天災」のノンフィクションではない。「囚人」が明暦の大火と共に「島原の乱」(1637-38)に代表されるキリシタン弾圧を描いているように(松平信綱=知恵伊豆が島原の乱で唯一生き残った原城の籠城者山田右衛門作に描かせた踏み絵の聖母子像が主人公権左衛門に殉教した妻と子を思い出させ踏めなかったと書いている)「小学校教師」では帰省中だった主人公が雪のために三学期に間に合わなくなって同僚が代教(担任の代理を、そう呼んでいた記憶がある)を上手に務められる話、さて同僚が「裏日本」豪雪で思ったこと、当時は「裏日本」という言い方があったが現在は「日本海側」という呼称が普通。要は言い換えなのだが同僚は、これからは一地方の災害は、それでは済まなくなる、影響は「日本」中に及ぶと授業で話す。これって要はイラン攻撃でカルビーの「白黒ポテチ包装」に波及したように経済が自給自足を成り立たせない「進化」を遂げてしまったことまで書いている。なお当時「日本列島改造論」つまりインフラ整備により東京一極集中を招いてしまった長岡市が地盤の田中角栄が大蔵大臣で雪は春に溶けるからと災害に認められていなかった豪雪の「昭和38年1月豪雪」に、初めて災害救助法を適用させたのだった。
レビュアー 781279
ここ1ヶ月ほどだけでも、様々な天災で被災した人のニュースを見ている。そのニュースを見るたびに心を痛め、自宅の備えを見直しハザードマップを確認している。
どこに住んでいてもいつ天災に見舞われるかは分からない。
それは古来から続いてきたことだ。
歴史に残る天災と闘う人たちを描いた短編6編。
特に「一国の国主」の話が印象に残った。武田晴信が作った堤。信玄堤と呼ばれるその堤がある流域に住んでいるということを初めて知った。歴史上のことだと切り離すのではなく、人々の闘いが繋がっていると読むことができた。
天災により行われた事業の恩恵を受けていることに感謝した。
生き残った人々はどうにか生きていかなければならない。
今も天災と闘っている人々がいる。それぞれの土地が復興する道のりに心を寄せていたいと思った。
レビュアー 513020
洪水が多発し悩まされてきた甲斐の国。周囲に担ぎ上げられるように領主になった武田晴信は・・・。
地震、洪水、噴火など様々な災害に対し、各々の時代で為政者側、被害に遭う民、現場に対応する者とそれぞれの立場で向き合う姿が描かれる。そこにあるのはある意味予測不可能な理不尽に、成す側の自然へは諦めたり、唾することもなく、ただただ受け入れたり、抗ったりとするのに対し、負の感情は為政者や村民らへの同じ人間に向けられているのが人の世の理を示しているようでなんともやるせない。ただ抗ったり制御したりしようとする姿はいつの世も変わらないことでもあり人の強かさをも感じさせる。
降りかかった理不尽に対し、人の本性を暴くというより顕すかのような短編集。
書店関係者 1816442
いつの時代も、人は災害から逃れることはできないんだなと改めて感じる短編集でした。
洪水や地震、津波、噴火、火災、豪雪など、時代も災害も違う六つのお話ですが、そこで描かれている人々の苦しみや葛藤は、今の私たちにも通じるものがあって胸に刺さります。
災害そのものの恐ろしさだけではなく、大切なものを失う悲しみや怒り、人に頼ることのありがたさと怖さ、それでも生きていかなければならない人々の強さまで描かれていて、読んでいて何度も苦しくなりました。
特に印象に残ったのは、武田信玄が洪水から人々を守るために堤を築いた「一国の国主」です。
昔の人たちが災害と闘い、試行錯誤してきたことが、今を生きる人たちの暮らしにも繋がっているんだと思うと、歴史が急に身近に感じられました。
災害から生き残ったとしても、そこで終わりではなく、その先の生活や復興が続いていく。
「被災者」や「復興」という一言ではまとめられない、一人ひとり違う人生があることを忘れちゃいけないなと思いました。
昔も今も変わらず災害と向き合ってきた人々の強さに触れて、今まさに復興へ向かって歩いている人たちにも、そっと心を寄せていたいと思える作品でした。
レビュアー 595700
日本は天災が多い。歴史的な天災をモチーフにした短編集。津波に漁船で立ち向かっていく話しと、飢饉で人買いをする話しが印象的だった。好きなのは、「漁師」の話しです。これは東日本の明治時代に発生した大津波の被害を描いたもので、あの東日本大震災を思い出させる内容でした。
漁船が山のような大津波に向かって進んでいく場面がハラハラドキドキしました。明治時代の実話です。その被害はあの震災とは比較にはなりませんが、当時の人口などを考えると大被害だと思います。ポイントは、家族が全滅した漁師たちが高台に家を建てて住むことにするのですが、最終的にみんな危険な町に戻っていくことです。たしかに三十分もかかって徒歩で海まで行くのはきつい。合理的ではない。でも、100年後、あんなことがあったのですから考えさせられます。人は近視眼的な利益しか見られない生き物だということがわかります。たぶん、今の東日本も、あの津波で被害を受けた所に人は家を建てて住んでいると思う。人とはそういうものらしいです。
図書館関係者 841977
いろんな時代の様々な災害を題材にした短編集でした。
災害の恐ろしさや、人々の悲しみもありますが、この本からは人の逞しさが伝わってくる気がしました。災害で、多くを奪われても生き残った人々は明日を生きて行かなければならない。治水をして、浜辺に戻って、法に背いて。又は、少しの差が明暗を分けることもある。地形や政への影響で、被害が無かったり、復興への援助が受けられたり。避難する方向で生死を分けたり。災害に直面した人々の様子が、いろいろな角度から書かれていて、興味深かったです。最後の章では、列車に居合わせた人々の感情の変化や、新任教師の成長から、人を思いやる気持ちが伝わってきて、なにか大切なものを受け取れた気がしました。
書店関係者 544802
時代も場所も内容も異なる6つの大災害を題材に、天災に負けず、抗い、被害を乗り越え生きていく人々を描く。今年も日本だけでなく世界中を地震、台風、洪水と様々な天災が襲った。文明が発達し、社会が発展し、生活が便利で豊かになるにつれ、天災の種類も増え被害も甚大になってくる。過去の天災から、私達は学んでいるはずなのに、それを超える規模になってくるとなす術がない。そんな中でも、悲喜交々の物語が幾つもあり、ある時は共に悲しみ、苦しみ、ある時は励まされ、勇気づけられる。そうやって私達は生き続けていく。
レビュアー 1497848
天災という切り口でその時代を代表する天災を題材にした短編集。
いつの時代も、どんなに近代化したとしても、この災害に勝てる術はないのだろうか?
どうしてもそんなことを思ってしまう。
この天災からの教訓をいかに伝えていくかを古の人たちは頭を使ったのだろうな。
碑文にしたり、地名にしたり、歌にしたり。。。
今を生きる私たちはこの教訓をしっかり受け取るべきですね。
そしてこのものがたりも受け取らないと!ですね。