オルロージュ
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刊行日 2026/09/28 | 掲載終了日 2026/09/24
ハッシュタグ:#オルロージュ #NetGalleyJP
内容紹介
これぞ、小川哲版『グレートギャッツビー』。
小説界の魔術師が記述する、若きベンチャーキャピタルの挑戦。
「二十六歳のとき、スティーブ・ジョブズはアップルを上場させて二億五千万ドルの個人資産を持ってたし、アインシュタインは特殊相対性理論を発見してた」
世界一の投資家を夢見るキャピタリストの卵・桐田奈南に「作戦会議をしよう」と呼び出された倉敷秀斗。
ふたりが再会したことで、止まっていた日本の時間が動き始める――。
秀斗が研究していた光合成をするセメントを開発するため、フランス語で「時計」を意味する「オルロージュ」を起業した二人。
「時間を生み出す」ことをミッションバリューとして、プレゼンの巧いCEO、広報に精通したキャリアを仲間に入れ、出資を集め、事業は軌道に乗り始める。
資金ショートや開発の遅延など、様々な困難を克服しながら、徐々に世界中の注目を集めていった。
しかし、企業価値が膨れ上がるにつれて、なぜか桐田奈南以外の創業社員が徐々に姿を消していく。
夢を追っていた彼らは何を得て、何を失っているのか。
これぞ文学界の魔術師・小川哲の記述的リアリズム。
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著者/小川 哲(おがわ・さとし)
1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテストの〈大賞〉を受賞しデビュー。2018年に『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を、2022年に『地図と拳』で第13回山田風太郎賞を、2023年に同作で第168回直木三十五賞を、『君のクイズ』で第76回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞。他の著作に『嘘と正典』『君が手にするはずだった黄金について』『スメラミシング』『火星の女王』『言語化するための小説思考』などがある。
出版社からの備考・コメント
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おすすめコメント
≪担当編集者コメント≫
執筆前の小川さんから「あんまり細かいところまでは考えてないんですが、僕なりの『グレート・ギャツビー』を目指します」とどこか覚悟を決めたように言われたのをよく覚えています。「なんだその面白そうな話」は、と内容もよく聞かずに「やりましょう」と答えていました。
『オルロージュ』は、中学校卒業以来10年ぶりに再会した倉敷秀斗と桐田奈南が「世界一の企業」を作るために頭を働かせ、弁舌を振るい、汗を流した日々の記録です。二人で始めた挑戦は、仲間を集め、資金を集め、そして注目を集めることで順調に進んでいきます。
作品のタイトルでもあり、起業した会社名でもある、「オルロージュ」はフランス語で時計をあらわし、二人は「10年以内に世界一の企業」を目指すために、大きな情熱を燃やしていきます。
核となるのは、秀斗が開発している「カドゥケウス」という光合成をする微生物の入ったセメント。建物が二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出すという夢の研究です。様々な困難を経て、ついに商品化に成功するのですが――数年後、なぜか初期社員が次々と姿を消していきます。
いつも「小川さんは記述師で、奇術師な方」だと思ってきました。一見難しそうなテーマを、抜群の手さばきで面白く魅せてくれるのです。例えば本作でも、専門用語の多い起業を巡る場面で、雰囲気を損なわずに起業の面白さ、困難さを描かれています。
これまでの小川さんの作品の中で一番読みやすく、一番わくわくする――オールタイムハイの傑作をお愉しみください。
販促プラン
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★★★
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出版情報
| ISBN | 9784065440766 |
| 本体価格 | ¥2,350 (JPY) |
| ページ数 | 511 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
出版事業関係者 554266
小川哲さんの大大大傑作です。
ビジネス用語に疎いのですが、ほとんど迷子になることすらなくあっという間に読めました。
通勤電車内でのみ趣味の読書をすることにしているのですが、面白すぎて家に着いてもずっと読み続けてしまいました。
徐々に会社に必要な人材が揃っていくシーンは青春小説でもあり、ビジネス小説のようでもあり、桐田が何を考えているのかミステリ小説のようでもありました。
個人的に一番印象に残っているシーンは、会社が成長することをエレベーターに例えていた箇所がめちゃくちゃ分かりやすくて改めてすごいなぁと思いました。
とりあえずめちゃくちゃ面白かったです。ありがとうございます。単行本でも買います。
書店関係者 1480369
「世界一の金持ちになりたい」という桐田奈南と、バクテリアの研究をしている倉敷秀斗。
居酒屋で幼なじみ2人が語り合った夢が形となり、仲間が増え、みんなで力を合わせてなんとか会社を存続させようと奮闘する前半。その中心で誰よりも「オルロージュ」という会社を愛し、作戦を練り、駆けずり回っていた桐田奈南が、後半では疑惑の人物として描かれる。不正、隠蔽、派閥争い。黒い噂の数々は真実なのか。
フランス語で「時計」を意味する「オルロージュ」。その社名に込められた大きな夢と桐田の思いが読後も胸に残り続けている。
書店関係者 1414892
小川哲さんの書きぶりは、ビジネスであれ最先端の技術であれ心のありようであれ、複雑な現実について人間が理解し得ることなんてたかが知れているのだと達観しているようでもあり、だからこそ人間という存在とその営みはどこまでも面白いのだという眼差しをも感じさせる。分からないものを安易に分かろうとするのではなく、分からないものをどう捉える事ができるか、分からない複雑さそのものを面白がる胆力が、小川作品の真骨頂のように思えるのだ。
そして、『オルロージュ』はまさにそんな作品だ。
序盤から一気に加速していく緊張感、ヒリつくような切迫感、それでも輝かしい理想と栄光に向かってひた走る高揚感、そしてその中にチラつく危うさと疑惑のタネ。次々に現れ膨れ上がっていくステークホルダーと、ふいに姿を消す重要人物。嫌な予感が膨れ上がって最高潮に達したところで、思わず「うぁぁ…!」と呻き声を漏らさずにいられなかった事を、ここに告白しておく。
読みながら、スタートアップのスキャンダルを告発するノンフィクション本の数々を思い出した。とりわけ、画期的な血液検査装置を開発した某社の実例が頭をよぎり、『オルロージュ』は決して安全な場所から楽しめるフィクションにとどまらない、生々しい現実味を帯びた作品である事に身震いした。
それと同時に、本作は小川哲さんならではの複眼的な描写で、複雑なものを単純化せず、複雑なままに小説として構築している。そこには、虚と実、嘘と真が渾然一体となって存在している。そして、それを見つめる小川さんの眼差しは、どこか優しさを帯びているように私には思えた。それは、同様な複雑さに満ちた現代社会への眼差しでもあるのかもしれない。
これぞ、小川哲ワールド!どっぷり浸かって、存分に堪能させて頂きました…!!
書店関係者 994443
読めば読むほど引き込まれる!
オルロージュの行く末がどうなるのか気になって仕方なくなります。
それに加えて桐田奈南!彼女の無駄のない全てをベストにしようとする行動力、尊敬に値します。彼女がどう上り詰めて行こうとするのかわくわくしました。
起業や投資には縁のない生活をしていましたが、興味を持つきっかけになりました。
出版事業関係者 869218
破壊力最大のチート級小説。
500ページ越なのに読み始めたら没入するおそろしさ。
社会人として一企業に勤める人間として、
お金がなかなか貯まらないとか悩んでいる人として
魅力的で悪魔的吸引力のある作品でした。
さまざまな視点から描かれるものの実態が見えないまま大きくなるオルロージュ。そして桐田奈南。裏には裏がある、ひっくり返されたものはひっくり返すように。
楽しませてもらいました。
図書館関係者 603863
ベンチャーキャピタルから起業する側に回って会社に必要なメンバーを揃え・・・若者の奮闘を描く?いやいや、小川さんの小説がそんな青春物語であるわけがない、これからどんなふうに破綻して行くのか?と期待しながら読み進みました。
その期待を裏切らない崩壊ぶり。多視点で語られる主人公の姿、なかなか興味深かったです。
欲を言えば、最後のシュートの言葉にはもっと爆発力があってほしかった。やや肩透かしなエンディングでした。
なんだか、もっと描ける気がします。(求めすぎ?)
書店関係者 1816442
めちゃくちゃ面白かったです!!
読み始めたときはスタートアップを題材にしたビジネス小説なのかな?と思っていたのに、読み進めれば読み進めるほど全然それだけじゃない!
青春小説みたいな熱さもあるし、企業が成長していくビジネス小説としての面白さもあるし、途中からは「桐田奈南、この人いったい何を考えてるの……?」というミステリまで始まって、どんどん読む手が止まらなくなりました。
「世界一の金持ちになりたい」と夢見る桐田奈南と、研究者の倉敷秀斗。
幼なじみだった二人が再会して、光合成をするセメントを開発するために「オルロージュ」を立ち上げる。
最初は二人だったところから、プレゼンが得意な人、広報に詳しい人……と、会社に必要な仲間が少しずつ集まってくるところがもうめちゃくちゃ好きでした!
みんなでひとつの大きな夢を追いかけて、資金を集めて、問題が起きたら必死に乗り越えていく。
ここだけ読んでいるとキラキラした青春小説みたいで、「頑張れオルロージュ!!」って応援したくなるくらいワクワクします。
なのに、会社が大きくなればなるほど少しずつ空気が変わっていくのが怖い。
不正や隠蔽、派閥争い、そして一緒に会社を作ったはずの創業メンバーがひとり、またひとりと姿を消していく。
前半では誰よりもオルロージュを愛して、夢を実現するために走り回っていた桐田奈南が、いつの間にか「もしかしてこの人……?」と疑いたくなる存在になっていくのが本当に面白かったです。
夢を追いかけていただけのはずなのに、会社が大きくなって、お金も人も思惑もどんどん膨れ上がっていく。
彼らはいったい何を手に入れて、その代わりに何を失ってしまったんだろう……と考えながら読んでいました。
ビジネス用語や企業の仕組みなど、難しくなりそうな題材なのに、物語として夢中になって読んでいるうちに自然と入ってくるのもすごいです。
そして何より、小川哲さん、この人本当に何でも書けるんだな!?ってびっくりしました!!
今まで読んできた作品ともまた全然違うのに、しっかり面白い。
ビジネスを書いても、青春を書いても、人間関係の危うさを書いても、そこにミステリ要素まで混ざっても全部面白いってどういうこと!?となりました。
序盤のワクワクする高揚感から、どんどん嫌な予感と疑惑が膨らんでいく後半まで、完全に振り回されました。こういうの大好きです!!
そしてフランス語で「時計」を意味する「オルロージュ」というお洒落過ぎて脱帽せざるを得ない社名と、「時間を生み出す」という大きな夢。
読み終わってから改めてその意味を考えると、すごく胸に残ります。
止まっていた時間を動かそうとした彼らが、その先で何を得て、何を失ったのか。
ただ会社が成功するまでを描いた物語ではなく、夢や成功、お金、友情、そして人間の欲までいろいろなものが詰まった作品でした。
とりあえず最後にもう一回言わせてください。
めちゃくちゃ面白かったです!!
小川哲さん、本当に何でも書けるんだな……すごすぎる!!
書店関係者 940038
500ページ、読み終えた瞬間に思う。面白かった──では足りない。残ったのは圧倒的な興奮と爽快感でした。
ページをめくるたびに加速していく物語。次々と押し寄せる展開に巻き込まれ、小説の面白さの熱狂から逃げられない。小川哲の世界観に完全に打ちのめされます。
起業という青春の輝きと狂気。そして、その成功の裏側にあるものまでむき出しに描き切る。
夢を見ることも、成功することも、こんなにも危うくて、こんなにも面白いのか。500ページを夢中で駆け抜けました。
教育関係者 565489
500㌻超の超大作。
シアノバクテリア、細菌カクテル。冒頭の理科系用語で戸惑い、続いて登場する投資用語と起業用語には、倉敷秀斗と同じく、「何を言ってるのかよくわからない」に同感しつつ、桐田奈南の説明に聞き入った辺りからの二人の起業とその展開から目が離せなくなり一気読みしました。
資金面の危機を乗り越えて会社が急成長して大きくなるにつれて生じる様々な軋轢、
建材に使用することで大気中の二酸化炭素濃度が下がっていく「光合成をするコンクリート」エンライトメントの開発が進まないことへの不安やラボでのデータ捏造、
立ち上げメンバーが次々と退職していく裏に何があるのか、
CEO桐田奈南への様々な疑惑が渦巻くようになり、大きな船が揺れ始め、壊れるまでを視点人物を変えて切り取る手法で全体像が徐々に明らかにされていきます。
初期メンバーの後藤が桐田奈南から「信じることができる人を探す」のを頼まれたシーンは胸が詰まりました。
倉敷が語る最後の言葉、「僕の実力不足で、エンライトメントが間に合わなかった。ただひとつ、『時間』だけが足りなかった」には倉敷の誠実さが集約されていて、後半の狂気に満ちた展開に振り回された後だったので、荒れた気持ちを癒してくれる優しい終わり方に感じ入りました。
メディア/ジャーナリスト 448563
結構な分量の作品だが、一気に読んだ。真ん中あたりで「あれ、もう終わりか」と思ったが、そこからまだまだ物語は展開していく。ページを括る手が全く止められない。
テレビドラマか配信ドラマで10時間ほどかけて描くべき分量。実に読み応えがあった。
実に引き出しを多く持っている作家だと感心した。取材もなかなか行き届いている。
今回はベンチャー企業の話。しかも「いる、いる、こういう人」というキャラクター。「経営にロマンを」と言いながら、しかし実利を求めて、承認欲求を求めて起業経営する人だ。会社名に「オルロージュ」なんてつける人、確かにいそうだ。
仕事で色々なベンチャーの経営陣と会ったが、ひと世代前の経営者とは違ってしなやかで頭がいい人が多い。「しなやか」と言えば聞こえはいいが「強か」「軽い」みたいなところがある。
せっかく起業しても、その企業を惜しげもなく売却したりする。執着がない人が多い。
取締役もしょっちゅう入れ替わる。名刺交換してしばらくして連絡すると、別の企業に移っていて連絡がつかないなんてことはしょっちゅう。なのでビジネス系のSNSや名刺管理のサイトなどでどこに移ったのか探さないとならないことも。身軽に会社をホッピングしている。
そして、一昔前の経営者は理屈ではなく、本能の人が多い。考える前に、感じるままに行動したり話をする。だからテレビ番組に出演していただいても、けっこううっかりなこと、話してはいけないことまで話してくれたりもする。それが人間臭くていい。広報の人は大変そうだけど。
だが、ベンチャーの若い経営者はスマートだ。とにかく頭はいいし、そもそも使っている言葉が違う。
一昔前の経営者の話す言葉は私たちが普段使っている言葉の延長線上にある言葉なので、何を喋っているか誰にでもわかる。しかしベンチャーの人の言葉は難解だ。横文字のビジネス用語を駆使してケムに巻いてくる。会話しているのが辛くなるほど理解ができない。昔の経営者にもビジネス用語を使う人もいるが、多くは後付けの言葉なのでそこまで理解できないことはない。
そらに、そもそも昔の経営者は覚悟が違う。失敗すれば生きていけないという決死の覚悟で仕事に臨む。だから取り組む仕事に対してマニアックだ。そこが興味深い。でもそんな経営者も引退したり、亡くなったりとすっかり表舞台から姿を消しつつある、残念だ。番組の作り甲斐もなくなってきた。
でもあいも変わらず最近もまた経営者を紹介するテレビ番組を作っている。が、最近はコンサル業で起業する人が多く、なんかつまらない。たまに「ものづくり系」で起業した人、「仕組みを作る」人が登場するとホッとする。
この小説にも二人の起業創業者が登場する。一人は軽やかな現代経営者、もう一人は昔気質の研究者。水と油の二人が一つの会社を経営していくのだからいろいろな衝突が生まれる。
読んでいて、気持ちは圧倒的に「昔気質の研究者」に入る。しかし、「軽やかな現代経営者」のエキセントリックな姿、言葉にも間違いなく引き込まれる。これがこの小説の怖いところ。怖いもの見たさなのか、狂いゆく者の妖しい魅力なのか、その姿から目が離せない。