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論理的思考のコアスキル

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教育関係者 556316

本作品は論理的思考とは何かを、哲学、言語学、心理学、統計学などの多くの分野の知見を借りながら考えさせてくれる。伝統的な大学には「論理学」の講座があり、しかしそれは、ほとんどの学生が避けるマイナーな一般教養科目だったことを思い出した。社会科学研究者としてこの本を読み、研究方法論の根幹をなす論理学を、大学教育の入口でしっかり修めておくことの重要性を再認識させられた。「感覚や情緒を排し、理性によってこそ客観的に妥当とされる論理的思考が成立するとしたテカルト以来の近代的理性主義に揺らぎが生じ、理性の独立性を前提とした論理的思考は実は幻であったということ」(あとがき)という、前作から15年を経ての著者の振り返りと、それにもかかわらず安易にポストモダニズムに走らない姿勢は、本書の後半で著す著者の論理的思考のトレーニングという実践的応用の考え方が、机上の理論化ばかりに関心のある一部研究者と一線を画しているためであろう。トレーニングの効用についても、巷の啓発本よりはよく仕上がっているが、定量的に検証した結果をもう少し共有してくれると、本書の後半部分でもより説得力が増すと思われる。

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。