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会員のレビュー

カバー画像: パンとサーカス

パンとサーカス

刊行日:

レビュー投稿者

レビュアー 697890

内容を知らぬまま紙の本を手に取ってちょっとした辞書並みの分厚さにひるむ。新聞連載だったとのこと。暴走に付き合ってください、というコメント通り、全編通した密度とスピードでぶっとんでた。すべてが強烈な皮肉と風刺じゃないかなとうけとれる。風刺や政治を楽しめる人なら堪能できるだろう。

あまりに分厚いし、発刊からまた時間が経っていないせいもあるか、全編通しての内容に関する感想やレビューはそう出てきていない気がする。
この長さで、こう収束させる構成は何を意味するのか?
展開は相当世界中を飛び跳ねてくるくる変わるのだけれど、視点や中心になる人物は決まっているので(相当個性的だけど)、どこかに着地点を見つける予感はあれど、分厚い本の残りがだんだん減っていくのに、この残りのページ数でどう収束させるのか・・・焦るようなドキドキ感、感じた人はいないだろうか?
すべての人物や出来事にモデルがありそうで、めちゃくちゃ面白いのだけれど、この終わり方が計算されたものなのか、いまいちよくわからない。もっともっと続いてほしい気持ちで読み終えた。
まとまった分析をどこかで読んでみたいなと思う。
(意味不明ということはないのだが。読者に投げかける感じでもない)。


すべての固有名詞にダブルミーニングが仕込まれてそうだなと思う。砂漠谷絵里(エリサバクタニ)とかいう名前の人物が出てきた時にまず笑った(大して重要な役ではないのだけど。
島田雅彦を読むのは随分と久しぶりだ。

発売前、相当前にゲラは配布されてたけれど、長編の一部のみだったので 手をつけていなかった。第一部だけ読んでも全然話がわからないので・・・(💦)

相当いろんなものが詰め込まれていました。まとまった感想を書けなくて御免なさいという気持ちです。


Cf.
パンとサーカス(羅: panem et circenses)は、詩人ユウェナリス(西暦60年 - 130年)が古代ローマ社会の世相を批判して詩篇中で使用した表現。権力者から無償で与えられる「パン(=食糧)」と「サーカス(=娯楽)」によって、ローマ市民が政治的盲目に置かれていることを指摘した。パンと見世物ともいう[1]。(Wikiより)

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。