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カバー画像: アンナの戦争

アンナの戦争

刊行日:

レビュー投稿者

レビュアー 547169

90歳になるおばあちゃんが、孫に話して聞かせる戦時中の体験談。現代から過去へワープ~。
主人公アンナは、ドイツに住むユダヤ系の少女。
両親に大切にされ幸せに暮らしていましたが、ナチの台頭で家族と離れて、「キンダートランスポート」でイギリスに行くことになります。
出発直前に突然預けられた赤ちゃん!乗り合わせた子どもたちは驚き困惑しながらもしっかり守っていきます。
この間に急速に成長していくアンナの様子には驚くばかりです。
イギリスでは、心優しい養父母とその子どもたちと暮らしながら、心は残してきた両親のことでいっぱい。
それでも寂しさを心に封じ込め、新しい家族と折り合いをつけながら頑張って過ごすアンナ。
田舎暮らしや子どもたちとのやり取り、心の動きまでもが、目にが浮かぶようにうまく描かれていますね。

やがて、大事件が!
アンナが暮らしている家の納屋に、ナチのスパイがイギリス兵と偽って隠れている。
それに気づいたアンナの思慮深い計画と大胆な行動には、ハラハラ・ドキドキ。
イギリス軍の将校もつい子どもたちの作戦に頼ってしまうほどです。 
危機一髪のときのアンナの冷静さ!

やがてドイツ軍が降伏し、やっと平和が訪れますが・・・。
両親がアウシュヴィッツ強制収容所で亡くなったことを知り、生きる意味を無くしてしまうアンナ。
寄り添うパウルおじさんの励ましで、ついに自分の生き方を見出します。 よかった!!

そして、長い歳月の後、90歳の誕生日を多くの人がお祝いにやってきます。
なんと、あの赤ちゃんが(おじさんになり)訪ねてきて、お礼を言うところ! 感動の再会です。
心温まり勇気をもらえる素敵な本です。映画になるといいですね。

そして、ロシアのウクライナ侵攻が終わらない今、巻末の文章にも考えさせられます。

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。