会員のレビュー
レビュー投稿者
教育関係者 645139
《科学は、夢を見る力を次の世代へ手渡していく》
タイトルを見た時、これは「セカンドジェネレーション」の物語なのだと感じて、胸が高鳴った。
さらに各章のサブタイトルを見た時、「名は体を表す」、すなわち登場人物たち一人ひとりを指しているのだと気づいた。
そんな思いでページをめくるうちに、この物語が、個々の人生をしっかりと抱え込んだ群像劇なのだとわかっていった。
⸻
『第1章 コズミック・ガール』
東新宿高校の定時制には、すでにあの科学部はなく、顧問だった藤竹も辞職し、行方知れずになっていた。
その事実だけでも衝撃だった。
そんな中で佐那は、ひたすら科学部復活を呼びかける。
その一途さゆえに、空気が読めない宇宙人だと、みちるにまで言われながらも。
けれど、そこには彼女だけの確かな理由があった。小学生時代、初代部員たちと過ごした熱い記憶。
NASAやJAXAのような遠い世界だけではなく、自分たちのすぐそばにも宇宙科学はあるのだと、改めて実感させてくれる第1章だった。
⸻
『第2章 ピタゴラ・ボーイ』
副校長の百瀬が、科学部の顧問として国語教師の里仲に声をかける。
藤竹のような理科教師ではなくても大丈夫なのか。百瀬の意図が見えず、最初は首をかしげるばかりだった。
そんな中、経済的困難を抱えながらも手先の器用な翔太が入部する。
彼は、自らの手を動かす中で、「再現性」という科学の基本に自然とたどり着いていく。
ここで強く感じた。
科学は人を選ぶものではない。
科学は、誰に対しても開かれている。
そのことがまっすぐ伝わってきた章だった。
⸻
『第3章 ロケット・センパイ』
新たに、病弱な理が入部する。
その条件は、ペットボトルロケットを飛ばすこと。
小学生でも作れるものに、なぜそこまでこだわるのか。
その理由を知った時、彼の優しさと、科学のもつ夢の力に胸を打たれた。
これで部員は3人となり、科学部はついに復活する。
さらに佐那は、初代科学部の一人、大学生となった佳純と再会する。
とうとう物語が本格的に動き始める。
その確かな手応えがあった。
⸻
『第4章 ギーク・チャイニーズ』
新生科学部は、ペットボトルの中で固体燃料と酸素を燃焼させる「ハイブリッド・ペットボトルロケット」に取り組むことになる。
だが、導いてくれる科学教師もいない中で、本当にできるのか。
期待よりも不安が先立つ。
一方、外国籍の生徒も多い夜間高校に通う中国人の宇辰もまた、日本人への偏見を乗り越えて入部する。
やはりロケットは爆発する。
その場面を読んでいて緊張したが、百瀬がごく自然に「自分の身は自分で守る」と言って保護メガネの着用を指示した時には、思わず笑ってしまった。
実験中にロケットが爆破するのは当たり前。それを起こさなくするための実験なのだから。だからこそ、安全確保が最優先。
科学の現場にあるべき基本が、きちんと物語の中に息づいている証を実感した。
⸻
『第5章 レジェンダリー・ガイズ』
大学4年生となって大学院を目指す初代部長の岳人が新生科学部を訪れ、藤竹を「裏切り者」だと断じる。
それには驚かされた。
金髪のスタイルを守り続け、発達性ディスレクシアと向き合いながらも努力を重ねてきた彼だからこそ、その言葉の重さが際立つ。
けれど、その奥には、行方知れずのままの藤竹に対する、簡単には言い切れないアンビバレントな思いがあったのだろう。
こうして、科学部第1世代――「伝説の部員」たちが顔を揃えた。
彼らには、かつて藤竹という導き手がいた。
一方で、佐那たち第2世代は、自分たちで選び、自分たちで道を切り開いていく。
第1世代が前に出すぎず、あくまで後ろから支える側に回っていることに、彼ら自身の成長を感じた。
その一貫した距離感に、強い敬意を覚える。
そして、第2世代は全日本高校生サイエンスコンテストの先を目指し始める。
岳人の「誰もやったことのないことこそ挑戦」という一言が、その背中を押す。
目標は、第1世代でも成し得なかった、アメリカでのISSA(国際学生科学賞)出場。
物語はここで、さらに大きな空へと舵を切る。
⸻
『第6章 リリーフ・ベスティ』
科学は、ロマンだけでは進まない。
試みが頓挫し、足踏みが続くこともある。
最大のポイント、新機軸である新たな燃料開発も、簡単には前へ進まない。
けれど、そこにブレイクスルーをもたらすのが「料理」だったことに、深くうなった。
おいしい料理を作ることもまた、高度に科学的なプロセス。
領域を越えた発想が、新しい道を開いていく。
まさに「Cross the border」の瞬間だった。
そして理は退部する。
幼い頃から病弱で、常に周囲を見ながら生きてきた彼だからこそできる、苦しくも強い決断だったと思う。
その理がすべてを託したのが、ずっと行動を共にしてきたのに科学部には入っていなかったみちるだった。
佐那のベスティ――ベストフレンドであるみちるが、ついに彼女と同じ道を歩き始める。
この流れが、とても美しく、涙を誘った。
⸻
『第7章 スマイル・プリンシパル』
いつもにこにことしている副校長、百瀬。
ただ、科学部の陰の支援者でありながら、どこか得体の知れない存在として読んでいた。
けれど、彼にもまた、大きな悩みがあったとは。
だからこそ彼は、抗いがたい波に一人で向き合いながら、第2世代を陰で支え続けてきたのだ。
その思いを知った時、それまでの見方を少し恥じた。
百瀬という人物が、ここでようやく深く立ち上がってきた。
⸻
『第8章 ドリーム・ローンチ』
見守っているのは、科学部の面々だけではない。
病院の子どもたち、第1世代の科学部員たち、各地の定時制高校の卒業生たち、支援してくれた人々。
本当にたくさんの思いが、この打ち上げに集まってくる。
そのすべてに見守られながら、カウントダウンが始まる。
読んでいて強く実感した。
科学を学ぶということは、科学の中に人を巻き込み、つないでいくことなのだと。
そして、物語の最後には、また次の世代の気配がある。
科学部の歩みは止まらない。
夢は、一代限りでは終わらない。
人が科学に出会い、科学によって人と人がつながり、その思いが次の世代へ受け渡されていく。
本作は、そんな希望に満ちた群像劇だった。
タイトルを見た時、これは「セカンドジェネレーション」の物語なのだと感じて、胸が高鳴った。
さらに各章のサブタイトルを見た時、「名は体を表す」、すなわち登場人物たち一人ひとりを指しているのだと気づいた。
そんな思いでページをめくるうちに、この物語が、個々の人生をしっかりと抱え込んだ群像劇なのだとわかっていった。
⸻
『第1章 コズミック・ガール』
東新宿高校の定時制には、すでにあの科学部はなく、顧問だった藤竹も辞職し、行方知れずになっていた。
その事実だけでも衝撃だった。
そんな中で佐那は、ひたすら科学部復活を呼びかける。
その一途さゆえに、空気が読めない宇宙人だと、みちるにまで言われながらも。
けれど、そこには彼女だけの確かな理由があった。小学生時代、初代部員たちと過ごした熱い記憶。
NASAやJAXAのような遠い世界だけではなく、自分たちのすぐそばにも宇宙科学はあるのだと、改めて実感させてくれる第1章だった。
⸻
『第2章 ピタゴラ・ボーイ』
副校長の百瀬が、科学部の顧問として国語教師の里仲に声をかける。
藤竹のような理科教師ではなくても大丈夫なのか。百瀬の意図が見えず、最初は首をかしげるばかりだった。
そんな中、経済的困難を抱えながらも手先の器用な翔太が入部する。
彼は、自らの手を動かす中で、「再現性」という科学の基本に自然とたどり着いていく。
ここで強く感じた。
科学は人を選ぶものではない。
科学は、誰に対しても開かれている。
そのことがまっすぐ伝わってきた章だった。
⸻
『第3章 ロケット・センパイ』
新たに、病弱な理が入部する。
その条件は、ペットボトルロケットを飛ばすこと。
小学生でも作れるものに、なぜそこまでこだわるのか。
その理由を知った時、彼の優しさと、科学のもつ夢の力に胸を打たれた。
これで部員は3人となり、科学部はついに復活する。
さらに佐那は、初代科学部の一人、大学生となった佳純と再会する。
とうとう物語が本格的に動き始める。
その確かな手応えがあった。
⸻
『第4章 ギーク・チャイニーズ』
新生科学部は、ペットボトルの中で固体燃料と酸素を燃焼させる「ハイブリッド・ペットボトルロケット」に取り組むことになる。
だが、導いてくれる科学教師もいない中で、本当にできるのか。
期待よりも不安が先立つ。
一方、外国籍の生徒も多い夜間高校に通う中国人の宇辰もまた、日本人への偏見を乗り越えて入部する。
やはりロケットは爆発する。
その場面を読んでいて緊張したが、百瀬がごく自然に「自分の身は自分で守る」と言って保護メガネの着用を指示した時には、思わず笑ってしまった。
実験中にロケットが爆破するのは当たり前。それを起こさなくするための実験なのだから。だからこそ、安全確保が最優先。
科学の現場にあるべき基本が、きちんと物語の中に息づいている証を実感した。
⸻
『第5章 レジェンダリー・ガイズ』
大学4年生となって大学院を目指す初代部長の岳人が新生科学部を訪れ、藤竹を「裏切り者」だと断じる。
それには驚かされた。
金髪のスタイルを守り続け、発達性ディスレクシアと向き合いながらも努力を重ねてきた彼だからこそ、その言葉の重さが際立つ。
けれど、その奥には、行方知れずのままの藤竹に対する、簡単には言い切れないアンビバレントな思いがあったのだろう。
こうして、科学部第1世代――「伝説の部員」たちが顔を揃えた。
彼らには、かつて藤竹という導き手がいた。
一方で、佐那たち第2世代は、自分たちで選び、自分たちで道を切り開いていく。
第1世代が前に出すぎず、あくまで後ろから支える側に回っていることに、彼ら自身の成長を感じた。
その一貫した距離感に、強い敬意を覚える。
そして、第2世代は全日本高校生サイエンスコンテストの先を目指し始める。
岳人の「誰もやったことのないことこそ挑戦」という一言が、その背中を押す。
目標は、第1世代でも成し得なかった、アメリカでのISSA(国際学生科学賞)出場。
物語はここで、さらに大きな空へと舵を切る。
⸻
『第6章 リリーフ・ベスティ』
科学は、ロマンだけでは進まない。
試みが頓挫し、足踏みが続くこともある。
最大のポイント、新機軸である新たな燃料開発も、簡単には前へ進まない。
けれど、そこにブレイクスルーをもたらすのが「料理」だったことに、深くうなった。
おいしい料理を作ることもまた、高度に科学的なプロセス。
領域を越えた発想が、新しい道を開いていく。
まさに「Cross the border」の瞬間だった。
そして理は退部する。
幼い頃から病弱で、常に周囲を見ながら生きてきた彼だからこそできる、苦しくも強い決断だったと思う。
その理がすべてを託したのが、ずっと行動を共にしてきたのに科学部には入っていなかったみちるだった。
佐那のベスティ――ベストフレンドであるみちるが、ついに彼女と同じ道を歩き始める。
この流れが、とても美しく、涙を誘った。
⸻
『第7章 スマイル・プリンシパル』
いつもにこにことしている副校長、百瀬。
ただ、科学部の陰の支援者でありながら、どこか得体の知れない存在として読んでいた。
けれど、彼にもまた、大きな悩みがあったとは。
だからこそ彼は、抗いがたい波に一人で向き合いながら、第2世代を陰で支え続けてきたのだ。
その思いを知った時、それまでの見方を少し恥じた。
百瀬という人物が、ここでようやく深く立ち上がってきた。
⸻
『第8章 ドリーム・ローンチ』
見守っているのは、科学部の面々だけではない。
病院の子どもたち、第1世代の科学部員たち、各地の定時制高校の卒業生たち、支援してくれた人々。
本当にたくさんの思いが、この打ち上げに集まってくる。
そのすべてに見守られながら、カウントダウンが始まる。
読んでいて強く実感した。
科学を学ぶということは、科学の中に人を巻き込み、つないでいくことなのだと。
そして、物語の最後には、また次の世代の気配がある。
科学部の歩みは止まらない。
夢は、一代限りでは終わらない。
人が科学に出会い、科学によって人と人がつながり、その思いが次の世代へ受け渡されていく。
本作は、そんな希望に満ちた群像劇だった。