この地獄を生きるのだ

うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。

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刊行日 2017/12/07 | 掲載終了日 2018/01/24

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内容紹介

エロ漫画雑誌の編集者として手取り12万、社会保障なしのブラック企業で働いた結果、心を病んで自殺未遂。

退職し、うつ病と診断され、やがて生活保護を受給することに。

社会復帰を目指すも、やる気のない生活保護ケースワーカーに消耗し、患者を食い物にするクリニックの巧妙なビジネスに巻き込まれる。未来の見えない絶望の中、ふたたび巡り合った「漫画の編集」という仕事で運命を拓こうとするが……!?

苦難ばかりの人生だけれど、がむしゃらに自分の力で立ち上がろうとする人生記。

エロ漫画雑誌の編集者として手取り12万、社会保障なしのブラック企業で働いた結果、心を病んで自殺未遂。

退職し、うつ病と診断され、やがて生活保護を受給することに。

社会復帰を目指すも、やる気のない生活保護ケースワーカーに消耗し、患者を食い物にするクリニックの巧妙なビジネスに巻き込まれる。未来の見えない絶望の中、ふたたび巡り合った「漫画の編集」という仕事で運命を拓こうとするが……!?

苦難ばかりの人生だけれ...


出版情報

ISBN 9784781616087
本体価格 ¥1,400 (JPY)

NetGalley会員レビュー

読んで良かった!
本当に勉強になった!
自分を、そして大切な人を守るために読むべき1冊。

いつだれが精神障害になってもおかしくない社会。特別なことではなく、誰もが感じること、なんとなくもやもや抱えていることが原因なのだから。自分や大切な人がそうなった時、再生する為にはどうしたら良いのか。この本を読んで、精神障害者たちを取り巻く衝撃的な環境、実態を知っておくべきだ。

ただ単に暗く辛い話ではない。誰もが共感できる部分がある。
本当に彼女が必要としていたものとは?生きるとは?人生とは?
飾らず真っ直ぐに描かれた著者の人生が教えてくれる。

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内容がしっかりしてて、なおかつ悲壮感がない。
仕事場のディティールがしっかりしてて、漫画制作の舞台裏を見ている気分。
充実するのかなと思いきや、ちょっとしんどい生活感がちらほち。
ラストでぼっかりと穴が空いていたことを実感させられる。
メディアが取り上げたがらない、リアルな若者って、こんなんじゃないのだろうか。

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うつ病にかかり仕事を失って生活保護に頼ることになった著者。
最低限の衣食住は保障されてはいるけれども、「生きているだけ」の生活。社会のお荷物になっているという感覚が彼女の心を更に蝕む。
働くより楽だからと生活保護を安穏として受け入れている人たちもいるけれど、そこには生き甲斐がない。生き甲斐を求めてあがく彼女は、人として正しく、でも発作的に死のうとするほど病んでいる。異常なまでに淡々とした語り口に、その闇が垣間見える。しかし彼女はあきらめない。
病気という足枷に縛られながらも、小さな手がかりをもとに這い上がっていく姿に、思わず応援したくなる一冊。

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決して他人事だと思わず読んで欲しい。
何故なら私達は明日 あちら側 に居るかも知れないのだから。

昨今、企業での過労自殺が社会問題となっているが、著者も仕事による精神的 肉体的ストレスから幾度となく自殺を図った内の一人だ。
作中、自殺に至った経緯やその時の心境が克明に記されているが無慈悲な境遇に思わず涙がこみ上げてきた。
過酷な人生を生きながらも、再び自分の足で立ち上がりその一歩を踏み出した彼女は強い。
どん底を経験して尚、著者の様に再び明るい人生を生き直せる者が何人いるのだろうか。
本書で語られる著者の叫びは重い。
とてつもなく重い。
けれど何よりこの本には勇気と希望が詰まっている。
もしあなたが今の仕事や人生に悩み、「自殺」という単語が少しでも脳裏を掠めるならこの本を読んでみて欲しい。
彼女の再生への物語は、ストレスと生きづらさを抱えた全ての人に勇気を与えてくれるに違いない。

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現代の日本を独特の切り口で鮮やかに描いている。この断面はありそうでなかった。ブラック企業から自殺未遂、そして精神障害者へ。すべるように社会の底へ潜り込んでいく。
 クリニックはまるで「カッコーの巣の上で」だ。そこにいたからこそ感じる疑問。医療と製薬会社の癒着。究極の内部告発とも言える。そうした社会性に加えて、なんとか乗り越えて自分の人生を好きなように生きたいと望む。
 普通に生きることを望むことさえ贅沢なのか。生活保護を受ければ生きてはいける。だが、誰もそこから抜け出す方法を教えてはくれない。むしろ固定化しようと圧力をかけてくる。日本社会の不完全性が、くっきりと浮かび上がる。
 と同時に、後半、光明が見えてからは「がんばれ」と読みながら祈る。「私はもう一度誇りを取り戻したいのだ」(P147)。そして「生活保護廃止決定」の通知。「もしかしたら、いまが泣くときなのかもしれない」(P170)。我が事のようにうれしくなる。
 もっとも好きなシーンは、p98-99。「ひととおり働き終えたあとは気分がすっきりして、ふくふくとした達成感が沸き起こった」。そして、「そうめんをグラグラ茹でる」ところです。
 おもしろいのは、前半はクリニックでお菓子の店をやる部分と、後半のマンガの単行本編集で板挟みになって苦労する部分が、みごとに対比されている点です。前者は牧歌的で美しい光景に見えてその内実は非人間的で出口のない地獄なのに対して、後者は泥沼のような地獄に見えて実は生きている実感を味わう人間らしさがあふれています。
 普通に生きることの難しい現代に、強いメッセージをこの本は送っていると感じました。

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おれの話をする。自殺未遂をやらかしたことがある。三度だ。一度目は就職氷河期でことごとく就職が上手く行かず、フリーターとして土地勘のない東京で生きるしかないと絶望した時に発泡酒を買い込んで飲んでいた薬を一気飲みしてぶっ倒れたのだった。兵庫の実家から東京まではるばる両親がやって来て――交通費もバカにならなかっただろうに――退院したあとトンカツを食べた。そんなことを覚えている。二度目は軽い気持ちでヤケ飲み(だからノーカンかもしれない)。三度目は今の職場で盾と矛みたいな指示が飛んで来る中仕事について行けなくなって、上司がキレたので死ぬつもりでまた薬を発泡酒で一気飲みした。三ヶ月仕事を休み、今でも相変わらず田舎で収入十万円で生活している。

おれの話をしたせいでこの本に纏わるレヴューが書けなくなってしまう(というか、濁る)のは分かっている。おれもオーヴァードーズをしたから小林エリコさんの気持ちが「分かる」というような僭越な感情は持っていないつもりである。おれも生活保護を薦められたが現時点ではギリギリのところで生きている。いざという時にどうしたら良いのか……そんな折にこの小林さんの本は興味深く読めた。タイトルから深刻なものを想像していたのだけれど、これが褒め言葉に聞こえないかもしれないけれど中身はそう深刻なものではない。いや、この表現は誤解を招くだろう。なにせ生活保護まで陥ってそこから這い上がった人の話なのだから。

内容を頭から整理しておくと、本書はエロ漫画を出版する会社に就職して月収十二万で東京で暮らすことを強いられていた小林さんが精神的に破綻して薬を一気飲みして潰れて、そして精神的にダメージを負って働けなくなり生活保護を受けてそんなどん底から這い上がろうとしてどれだけ努力したかを綴った本である。「働けなくなったら生活保護を受ければ良い」とおれ自身言われたことは先に書いたし、いざとなればなんとかなるとは楽天的に考えていたものの、生活保護を受けるというのはなかなかキビしいものがある。そのキビしさを小林さんは生々しく語っている。とは言っても、それは金銭面の問題では必ずしもない。もちろん生活保護で貰えるお金は高が知れている――小林さんの場合は単身だから余計に――というのもある。

しかし、それにも増して辛いのは社会との繋がりがなくなってしまうことだ。本書では小林さんがケースワーカーとの「不仲」について語っておられるが、読んでみると特にトラブルになったというような話は載っていない(とおれは読んだ)。むしろ小林さんの場合は、働いてお金を貰っていないことに対する強烈な劣等感と孤独感が苦しみとなって襲い掛かっているようだ。本書では、友達やべてるの家との繋がりがどれだけ小林さんの助けになったかが綴られている。生活保護で働けなくなり会社に勤務したりせずブラブラしていると、それだけで不安になるし罪悪感も生まれるのだ。「他人の血税を使って無為に暮らしている……」そんなことが綴られている。生真面目な方なのだな、と思ってしまう。

逆に言えば、生活保護の実態としては朝っぱらからお酒をかっ食らってパチンコ三昧という人が問題になることもある。確かにそういう人も居るし、それはそれでけしからんことであるだろう。就労/社会復帰のための努力をしなさい、と……でもそれが容易に出来ないことも本書では綴られている。生活保護という泥沼に陥ること自体も専門的な知識がないと難しいが、それでは社会復帰するためには具体的にどうすれば良いのかという話となって来るともっと難しい。小林さんもハロワに行って今の仕事を見つけたわけではなく、漫画編集者としてのキャリアが活きたから繋がりを得て復帰出来たのだと綴っておられる。逆に言えばそんなキャリアがない方をどうサポートするか。そこまで本書では書かれていない(むろん、それが本書の欠点だと言うつもりはない)。当事者を悩ませる難しい問題だ。

メンタルに障害を抱えている方は、身体障害や知的障害を抱えた方と比べて――敢えて「害」という言葉を使うが――就労が難しいという実体験も参考になる。おれ自身が精神障害者枠で雇用されているからか、身体障害や知的障害に関してはノウハウというかサポートのシステムが整っている。精神障害者の場合は目に見えない障害なので、当人が病院に行き自己管理しつつ会社側に精神的な不調を報告し適宜臨機応変にサポートして貰うという話になって来る。ここまで突っ込んだ話は小林さんは書いておられないが、おれ自身今の会社で自殺未遂までして良く拾って下さっているなと感謝している時に読んだので、働けていることを嬉々として綴っておられる小林さんに関しては頭が下がってしまう。

どうしてもこの本に関しては、客観的な「書評」を書けない。おれ自身の自殺未遂体験を綴ったのは、この本を読んで触発されたからであり、おれ自身の体験と重ね合わせないと読めなかったからである。事務的に纏めると、生活保護から抜け出すのは如何に難しいかを「個人の」体験談として綴った本であり客観的なマニュアルとしては読めない。そこで評価が割れるだろう。ただ、生活保護で暮らしている方、働けていない(「働いていない」ではない)方がどう精神的なストレスを抱えて蹲っているかを知る上では絶好のサンプルになるはずだ。だがそれでも凄いと思ったのは、そういう体験を全て過去のこととして捉えて前向きに人生に「イエス」と言おうとしている小林さんの態度だ。思わぬところで出くわした本書だが、小林さんの姿勢からは多くを学ばされた。おれも自分の過去を過去として、現在に「イエス」と言えるようになれればと思い、だからこんなダラダラした駄文を綴ってしまった。読んで下さって有難う。

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光の届かない絶望の底にありながらも、己への誇りを捨てずに抗い続けている者たちへと差し出された、ひとすじの光。それが本書だ。

生きろ、そなたは美しい。

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哀しいですね。精神障害を起こすということは。普通のようでいて、毎日が本人にとって地獄でどうしようもないのでしょう。仕事というものは、本当にそこにいる人、環境、すべてが重なって、続けられるか、やっていけるのかが決まり、本当につつましやかな生活を守るために、人は心を強くして生きていかなくてはいけないのだなあと思いました。個人的に思うのは、家族の無条件の愛情の基盤が、この世の中を生き抜いていくための盾になるのだなあということです。小林さんもご両親がもし仲が良く、全力で娘の人生を守って愛してくれるようだったら、きっともっと楽に自立できたのではないかと思います。人生はなかなか思ったようにはいかないですが、少しづつ元気に強く頑張れる小林さんになっていくのを読むのは喜びでした。

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生活保護や精神疾患について生の声を知りたい、という方には読みやすくておすすめ。軽やかに辛いことを書いているタイプの本です。
コミックの文脈を熟知している精神疾患の患者さんは、うまいこと俯瞰して自分のことが描けるので、読む方にも伝わりやすいですね。

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正直始めは社会保障や生活保護などについて余りにも不勉強な作者に共感出来なかったし、何度も自殺未遂を繰り返し、真剣に生きようとしない所に甘えを感じたが、生活保護を打ち切るという目標に向けて成長していく姿にいつしか本気で応援していた。悪意さえ感じるケースワーカーや、患者を食い物にするクリニックなど強敵が多い中、どうにか自分の力で職を得、生活保護廃止まで勝ち取った。余りにも不器用で愚直な上、極端に自己肯定感の低い作者だったが、自分を褒めてあげて。胸を張って堂々と生きて欲しい。

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私自身、産後うつをこじらせ今もうつ病に苦しんでいるので共感できるところがたくさんありました。今も辛い状態ですが、この本を読んで希望がもてました。うつまま日記もぜひ読んでみたいと思います。ありがとうございました。

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『健常者と障害者の境目はあるようでない。いま働くことができている人だって生活保護や福祉サービスを受けなければ生きていけなくなる可能性はいくらでもある。人を頼ることは恥ずかしいことではない。働くことのできない人々が生活保護や福祉サービスを受けることを責めるような世の中は、想像力の貧しい社会なのだ。社会も労働者にもっと優しい環境を作らなければならない…。』

身をもって地獄を経験しているからこそ、著者の言葉はリアルで切実なものとして届く。
社会復帰を自らの手で掴むまでの、どこまでも暗く終わりの見えない長いトンネル。
そこには弱者の自立や社会参加を阻もうとする、いくつもの見えない圧力が描かれる。
その圧力を作っているのは、私たちが持つ差別意識なのではないか。
私たちは犯罪と精神障害を結びつけて考えたり、生活保護から不正受給を連想したりしていないだろうか。
障害者や弱者を「むこう側の人」と考えてはいないだろうか。

そう考えながら再読した時、著者のこの言葉が強く印象に残った。
『私はいつでも、姿かたちの見えない強者に怯えている。お金を持っている人たち。健康な人たちが怖い。』

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