江戸川乱歩と横溝正史

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刊行日 2017/10/26 | 掲載終了日 2018/02/13

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内容紹介

江戸川乱歩「君、こんど『犬神家の一族』というのを書くだろう。ぼく犬神だの蛇神だの大嫌いだ」
横溝正史「復活以後の江戸川乱歩こそ悲劇のほかの何者でもない」

日本の探偵小説を牽引した二大巨頭、江戸川乱歩と横溝正史。盟友として、ライバルとして、お互い認め合い、時に対立しつつ、一方が作家として執筆するとき、他方は編集者として支えた。太陽と月にも喩えられる日本文学史上稀な関係は、どのように生まれ育まれたのか。二人の大作家の歩みを辿りながら、日本のミステリ史のみならず、日本の出版史をも描き出す、空前の対比評伝!

「江戸川乱歩と横溝正史――二人を太陽と月に喩えることができるかもしれない。乱歩が旺盛に書いている間、横溝は書かない。横溝が旺盛に書いていると、乱歩は沈黙する。天に太陽と月の両方が見える時間が短いのと同様に、二人がともに旺盛に探偵小説を書いている時期は、ごくごく短いのだ」〈本文より〉

「おそらくは、親友でもありライバルでもあった。だが、何よりも面白い探偵小説を求める同志だった。二人がなぜ探偵小説を書いていたのかと言えば、面白い作品がないので自分で書いていたに過ぎない。乱歩は誰よりも横溝に読んでほしかったし、横溝もまた乱歩に読んでもらおうと書いていた」〈「青春と読書」2017年11月号より〉

●目次
はじめに
第一章 登場――「新青年」~一九二四年
第二章 飛躍――『心理試験』『広告人形』 一九二五年~二六年
第三章 盟友――『江戸川乱歩全集』 一九二六~三一年
第四章 危機 『怪人二十面相』『真珠郎』 一九三二~四五年
幕間 一九四〇年~四五年
第五章 再起――『黄金虫』『ロック』『宝石』 一九四五~四六年
第六章 奇跡――『本陣殺人事件』 一九四六~四八年
第七章 復活――『青銅の魔人』 一九四八~五四年
第八章 新星――『悪熊の手毬唄』 一九五四~五九年
第九章 落陽――乱歩死す 一九五九~六五年
第十章 不滅――横溝ブーム 一九六五年~八二年
あとがき

●著者プロフィール
中川右介(なかがわ ゆうすけ)
作家、編集者。1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、代表取締役編集長として雑誌『クラシックジャーナル』、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける(2014年まで)。その一方で作家としても活躍。クラシック音楽への造詣の深さはもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、漫画などにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している。主な著書に『カラヤンとフルトヴェングラー』『歌舞伎 家と血と藝』『角川映画1976-1986』など。

江戸川乱歩「君、こんど『犬神家の一族』というのを書くだろう。ぼく犬神だの蛇神だの大嫌いだ」
横溝正史「復活以後の江戸川乱歩こそ悲劇のほかの何者でもない」

日本の探偵小説を牽引した二大巨頭、江戸川乱歩と横溝正史。盟友として、ライバルとして、お互い認め合い、時に対立しつつ、一方が作家として執筆するとき、他方は編集者として支えた。太陽と月にも喩えられる日本文学史上稀な関係は、どのように生まれ育まれたのか。二...



NetGalley会員レビュー

途方もない力作。

乱歩と横溝、探偵小説界の二大巨頭の足跡をたどりつつ、出版界の興亡や、関わりのある作家などを描いている。

ミステリ好きを自任しているが、乱読傾向にあり、系統立てての読書をしてこなかったことを、本書を読んで悔やんでいる。この二人の生きざま、そして切磋琢磨しながら作品を完成させていった経緯が面白すぎるのだ。

横溝を世に出した乱歩。乱歩を励まし傑作を書かせた横溝。常に相手を引き立て、兄弟のようでもあり、ライバルでもあった二人。そして戦前戦後を通じて、彼らと関わった文壇の作家・編集者・出版社の栄枯盛衰。

厚い本でもあり、注釈や歴史が多く紹介されているので、躊躇しながら読み始めたが、これが止められない。休日ということもあり、一気に読み切ってしまった。

二人の遺した著作は膨大な数にのぼる。未読の作品ばかりだ。ということは、これからの楽しみが多いということでもある。

著者に敬意を表しつつ、乱歩・横溝の読書に、これからも邁進しようと思う。

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「江戸川乱歩と横溝正史」-このタイトルを見てこの本を手に取らない推理(探偵)小説ファンはいない。

 ご多分に漏れず私もその一人だ。ただ<はじめに>を読んだとたんに「これは期待してたもんとはちゃうな」と思ってしまった。どちらかと言えば乱歩と横溝の「文学論」あるいは「作家論」を期待していた私はわずか2ページを読んだところで裏切られてしまうのだ。

 読み始めた感想を書名にすれば「探偵小説出版史-江戸川乱歩と横溝正史を軸として-」と言えそうだ。

 だが読み進めていく中でその思いは徐々に変わっていく。日本の推理(探偵)小説草創期を背負った乱歩と横溝が映画、漫画そしてテレビを通して戦前戦後のエンターテインメントとその大本の出版業界をどれだけ支えたか。そしていま私たちをいかに楽しませているか。それは作家としてだけではなく編集者としてもいかに多くの新人作家を世に送り出したかを見ればわかる。
 
 お互いの作品がそれぞれの長所と短所を補い合い、刺激を与え合い、切磋琢磨していった。それこそが60年という長きにわたって日本の推理(探偵)小説をけん引していった証なのだ。
 
 読み終わった途端、私の中で書名も変わってしまった。
「江戸川乱歩と横溝正史-その文学論と作家論- ~探偵小説出版史を軸にして~」と。

#江戸川乱歩と横溝正史 #NetGalleyJP

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参考文献として挙げられた資料は149点。シリーズものや全集を一つひとつカウントすれば373冊。執筆にあたって再読した乱歩作品・横溝作品は100冊近くになったという。この膨大な資料文献から事実と確認できたものを紡ぎなおし、創造・創作を含めず、資料性の高いノンフィクションを完成させながら、読み物としてもこれが実に面白い。どこかで著者の作品が「ノンフィクション大河」と記されていたが、本作も正にそうだと言える。

読者が乱歩作品・横溝作品を読んでいることを前提にしていないため、ミステリ・推理小説を読まないという読者にも十分に楽しめる。本書を通して二氏の作品に興味を持てば、どの作品から読み始めるかの指針にもなろう。コンテンポラリーなミステリ・推理小説好きには、国内の探偵小説・推理小説の歴史を辿るガイドブックにもなり得るし、乱歩・横溝の熱狂的なファンにとっても、新たな事実の発見や新たな読み方のきっかけを得られるのではないだろうか。

著者の中川右介氏は、この「膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイル」で人気を博している、と紹介されている。最近は年6冊ほどを執筆しており、読者レビューの評価がどれも高い。ぜひ一読をおすすめしたい。

#江戸川乱歩と横溝正史 #NetGalleyJP

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