護られなかった者たちへ

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刊行日 2018/01/25 | 掲載終了日 2020/12/16

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内容紹介

「あなたにこの物語の犯人はわからない」―― 中山七里


仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か? なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?


誰が被害者で、誰が加害者なのか──。
怒り、哀しみ、憤り、葛藤、正義……
この国の制度に翻弄される当事者たちの感情がぶつかり合い、読者の胸を打つ!


“どんでん返しの帝王”中山七里が、日本の社会福祉制度の限界に挑んだ問題作!


「あなたにこの物語の犯人はわからない」―― 中山七里


仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か? なぜ、三...


出版社からの備考・コメント

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おすすめコメント

ヒット作連発の中山七里さん自身が「最高傑作」と太鼓判を押す本作は、生活保護受給制度の闇を描いた社会派ミステリー小説。読者の胸をえぐるような切なく骨太のストーリーと、エンターテインメント作品としての醍醐味があふれる構成に、圧倒されることは必至です!

ヒット作連発の中山七里さん自身が「最高傑作」と太鼓判を押す本作は、生活保護受給制度の闇を描いた社会派ミステリー小説。読者の胸をえぐるような切なく骨太のストーリーと、エンターテインメント作品としての醍醐味があふれる構成に、圧倒されることは必至です!


販促プラン

映画化決定!

出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、吉岡秀隆、倍賞美津子、林遣都ほか

監督:瀬々敬久

脚本:林民夫

企画:アミューズ

配給:松竹

※上記は2020年10月時点の情報です。


映画化決定!

出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、吉岡秀隆、倍賞美津子、林遣都ほか

監督:瀬々敬久

脚本:林民夫

企画:アミューズ

配給:松竹

※上記は2020年10月時点の情報です。



出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784140056943
本体価格 ¥1,600 (JPY)

NetGalley会員レビュー

二度読み必至の社会派ミステリー小説

この書籍の内容紹介に際し著者からこんなコメントが記されている。
「あなたにこの物語の犯人はわからない」
一見すると"この殺人事件の犯人は解らない"の意だが、この小説が生活保護受給制度の闇を題材にした小説で、社会保証費の削減を打ち出しているのが政府であり、実際の業務を遂行するのが役所のいち職員であること考えれば、制度から弾かれ見捨てられた者達は、一体誰に怒りをぶつければいいのだろうと。
「護られた者たちとそうでなかった者達の境界線は一体どこにあったのか」
この物語はフィクションとは割りきれない胸をえぐるような切なさを秘めている。
そして終盤に差し掛かり、真相に辿り着いていたはずなのにまさかの衝撃の展開。
何が起こったのか一瞬思考がフリーズし、その後に遅れてやって来る「やられたー!」の悔しいけれど見事に騙されたあの快感!
社会福祉制度に斬り込んだ社会派小説でありながら、どんでん返しのミステリーとしても最高傑作。
間違いなく二度読みせずにはいられない。

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生活保護の実態を明らかにした作品。
不正需給や、申請棄却などの問題がこんなにあるなんて知らなかった。
できることなら弱者を護る社会であってほしい、と心の底から思う。

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犯人は途中から分かっていたのですが、最後、名前を見て「え!!」と思い、まんまと二度読みしました!
社会の闇が浮き彫りになった作品でした。よくニュースでも話題になる生活保護。
税金を徴収するのは強制的でも、そのお金を国民に払うのは申請しても却下されたりしてなかなか通らない。勿論ニュースなどで話題になる通り、こちらが首を傾げてしまう受給者がいるのも事実。現在住んでいる国では割と生活保護は申請も受け取りも簡単で、日本より気安さがあるし、当然の権利という風潮もある国もある。どちらが良いのか判断は難しいですが、現在年金も納める人が減っているので将来的に年金の受け取りができなくて生活保護を申し込む人も増えるかもしれない。申請許可の問題もあるだろうけど、その前に色々と対策すべき問題もあると思う。とてもやりきれなさを感じる作品でしたが、利根の正義感には心救われました。最後のけいさんのメッセージには涙が浮かびました。

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今回のテーマは生活保護。不正受給がはびこる一方で、本当に必要なものには届かないという現実を思い、読んでいて胸が痛くなります。私もけいさんと同じ立場になったら諦めて死を待つかもしれない、そんなことを思うほど、簡単に必要書類を書いたり揃えたりできないようになっている仕組みにやるせなさや悲しさでいっぱいになりながら読み進めました。ミステリとしての中山作品として楽しめるのはもちろんですが、これを読んだ全ての人が、生活保護の制度と実態について考えずにはいられないと思います。読後見る表紙絵と題名にあらためて涙がこぼれそうになりました。ぐいぐい読めるのに、とても読み応えのある素晴らしい作品でした。

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貧困とか生活保護とか、ともすれば誰にでも起こりうる問題を真っ向から向き合った一冊。
このおばあちゃんみたいになるとむづかしいなあと思いました。
けれども、世の中にはまだまだ生活苦から餓死する人もいるのです。
そんな現実を見据えた社会派ミステリ。もっと思いやりをとか希望をとかそんな陳腐な言葉ではなくて、
社会が人々の生活をきちんと最低限、護る世の中になってほしいと思いました。
貧乏とか人が堕ちていくとき、匂いがするというのが頭の底にこびりついて離れません。

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うそ~!・超どんでん返し!・勝久兄ちゃん、カンちゃん!・・・生活保護受給に纏わる福祉保険事務所の業務の現状とその結果がこんな理不尽な状況を生んでいると言う事実を著者が、訴えた作品でした。・・・ストーリー内容もその展開もテンポも納得のいく力作でした。身体を拘束して監禁し、飢え死にさせると言う殺人事件にドキドキし、刑事苫篠と蓮田コンビのどんどん追求していく展開にワクワクし、最後に一級品のどんでん返しで圧巻のエンディング!・・・著者の言いたいことはもっともです!・・かなり楽しめた!

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読み進めるにしたがって『護られなかった者たちへ』というタイトルの重さをひしひしと感じました。
善悪、幸不幸、貧富とは何なのか、とても考えさせられる作品です。

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どんでんかえし!
社会福祉問題と家族とは…正しいこととは…。

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東日本大震災後、復興が進んだ仙台市。福祉事務所で働く男性が手足や口の自由を奪われた状態の餓死遺体で発見された。被害者は人格者で怨恨の線は薄い。金品目的の強盗でもない。一体なぜ「餓死」させられたのか?二人の刑事の緻密な捜査によって「生活保護」に絡む悲劇を暴いてゆく。生活保護費は、誰がどんな基準で選別し受給できるののか?年老いた人たちが受給できず、やがて孤独死してゆく実態と、福祉事務所職員と不正受給者との熾烈な闘いが圧倒的な臨場感を持って描かれている。今の日本の社会システムは不安だらけ。そんな日本でこれから生きてゆかなければならない。この作品を読むと他人事だとは思えない。それでもラストの言葉に思わず泣けた。

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生活保護受給を中心とした社会福祉の問題点を核として進むストーリー展開に気を取られ、見事に騙されてしまった。
日本は豊かなように見えて、本当の意味では決して豊かとはいえない。予想外のラストでとある人から語られるメッセージが胸に突き刺さります。

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護りたい者をどう守るか
生きているなら直接その人に掛け合えばいい、
死んでしまっても、その故ある人がいればその人に返すことが出来る。
代わりに復讐を、というのは、社会的には問題になるが、護られなかった本人がそのつもりだったのなら理解されるかもしれない。
映画にはよくそういう題材があって、忠誠心や故人を思う気持ちとして、美談として捉えられる。私も好きな部類の作品だ

そこまで含めて、今作は、どんでん返しでひっくり返してくれた。
本当に護られるべき者がだれか、
誰が変わればこの事件が防げたか、
そんなことも含めて、いろんな見方が出来ると思った。

立場によって、完全無欠の善人にも、血も涙もない悪人にも見えるということが、はっきりと示されたのが、一番印象的だった。
福祉に携わる公務員、町民のご意見番となる議員、しかもプライベートでもトラブルなし、
そんな聖人君子のような人も、立場代われば、血も涙もない悪魔のようにも見える。
そういう意味では、世間的には名士とみられていても、仕事が雑ではなにかしらトラブルを引き受けることになるし、
それぞれの人を見て仕事をする事が何より大事だと思った。

結局は、その人の仕事の仕方やものごとの見方、究極的にはその人の在り方が大事、ということに改めて気づけたと思う。

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東日本大震災を背景にした社会派ミステリーでした。この国が抱えている深刻な問題を突きつけられました。護られなかった者たちが声を上げなければ、気づく事ができない事が哀しいです。

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久しぶりに、早く先が読みたくてうずうずした小説!読み始めたら最後、途中でページをめくる手は止められません。

度々、大きな話題となる生活保護。不正受給のイメージが強く、本当に必要な方々の心情や実情を、恥ずかしながら理解していなかった。
制度が本来の役割を果たせないものかという憤りを感じずにはいられない。
世の中の不条理について考える機会を与えてくれる。読めて良かった!

なぜ?誰が?何か違和感…これで終わり…じゃない!?え?そんな!!!
最初から最後まで心を揺さぶるミステリー!

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護りたかった…犯人の悲痛な叫びが作品から溢れ、やるせなさに胸が締め付けられる思いがした。生活保護受給の実態、その闇は私たちが想像しているよりも深いのだろう。

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護られた者たちとそうでなかった者たちの境界線。線を引くのも引かれるのも人間。引かれた人間の末路を引いた人間は想像できないのだろうか?想像できたところでその人たちを護ることはできるのだろうか?。福祉制度の問題点と深刻化する現実に対して作者が投げかける言葉ー「あなたにこの物語の犯人はわからない」―。真の犯人にはたどり着けない。

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親の脛を齧れる環境しか知らず周りにも生活保護を受けていると思われる人もいない私にはとてもショックで重い内容だった。知らないよりは少しでも知っている方がいいけれどやはり想像でしか補えないし間違ってると思っても私の能力では何もできない情けなさも感じる。

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★★★★☆生活保護の現実を突きつけられ愕然。本当に必要としている真っ当な人に届かないのなら何の意味も無い。貧困のスパイラル、塀の中の方が衣食住が保証されているという現実、やりきれません。読み終えタイトルが胸に突き刺さりました。

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読みだすと止まらない。映画でも観ているかのように、映像が頭にありありと浮かんできて、現場にいるような感覚を味わえる。

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何が善で何が悪か。
善人と呼ばれる人が、餓死させられると言う非常に考え出しにくい方法で殺される。
犯人は何が目的なのか?

正しい事もルールを守る人だけではない為に、ルールを遵守させる為の人がいる。
それぞれの役割をきちんと果たすことにのみ力を発揮すると、どこかで綻びが出るのだろうか。人は欲望に駆られるとルールを逸脱してしまうから、うまくいかないのか?

911の事件に際にカナダに緊急着陸した航空機38機の話を聞いた事がある。街の人口と変わらない数の人を受け入れて歓待されたそうだ。
それを聞くと今回の話はなんて心のちっぽけな人たちなんだと思う。

でも昨今の不景気でお給料をきちんと持って帰り、家族を養うのであるとまじめに考える人は、会社の指示に対して反論出来ないのではないか?
犯罪とわかることはノーだが、自分を正当化できるものであればノーと言えずやってしまうかも。

自分自身はそんな事にならないようにしたい。
みんなで助け合える世の中にしたい。

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ガツンとインパクトのある作品です。感情を揺さぶられて忘れられそうにない話ってこういうのを言うんでしょう。被害者、加害者、それぞれの事情があり、自分でどうにかできる範囲で精一杯生きて行くしかない。厳しいけれど真面目に生きていれば全く救いがないわけではない。人生が上手くいかないと思っている人にも読んでほしい一冊でした。

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どんでん返しな社会派ミステリーは、中山氏の得意分野だ。切り口で、生活保護の問題点を浮き彫りにしている本作は、考えさせられることが多かった。誰かの幸せの裏には、悲しい不幸が隠れている場合がある。骨太なストーリーは、そんな現代社会の闇を巧みに描き出していた。護られる者と見放される者の境界線など、本当は存在してはいけない。生活保護はマイナスなイメージを持たれてしまうことも多い。だからこそ、そうした方にこそ本作を読破してほしいと感じた。お金は大切。しかし、お金が絡むと、人間は心が貧しくなってしまうことも多い。懐が貧しくても心は豊かでありたい。

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とても面白かったです。
「護る」とは何か?自分は何を護らなければいけないのか?
そういうことを考えさせられる作品です。
中山さんならではの最後の最後まで展開から目が離せない文章も惹きつけられました。

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生活保護制度を扱った、現代を生きる人々全員で考えるべきテーマ。
社会の縮図のような展開で、最後まで興味をもって読み進められ、
この著者の作品をもっと読みたいと思いました。

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被災地を取り上げ、社会福祉制度問題に取り組んだ、とても重いテーマなのですが、現代社会が抱える問題を
正面から捉え、投げかけるとてもいい作品です。ラストはSNSを使って声明文が明かされるシーンはとても
やるせない。電車の中だというのに落涙してしまいました。ドキュメンタリーやニュースの特集で何度か生活
保護費不正受給の取り締まりを見たことがあったのですが、実際に酷い例がたくさん、この作品の肝である
ところの護られるべき人たちに渡る分がいとも簡単に使われている現実に驚いたことがありました。
この作品を読んでしっかりと生きて行こうと、改めて思いました。
いつ自分も何があり社会福祉のお世話にならないとも限らない訳ですし。ちゃんと社会に貢献し、家族を
大事にしてゆきたい護るべき人たちを大事にしっかりと護っていけるように。
どんでん返しの帝王の中山さんの作品の中でも、このどんでん返しはとても辛かった。
それでも読んで良かった心からそう思える作品でした。皆さんにも是非読んで頂きたく思っています。
そしてこういう骨太の作品の映画化を希望しています。

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巧妙な手口で不正受給を続ける不届き者がいるせいで、申請はどんどん厳しく複雑になり、本当に生活保護を必要としている人をはばむ障害となってしまう。
おまけに国からは保護費を減らされる。正しい判断をしようと厳しく審査をすれば、受給者に恨まれる。保険事務所の職員は板挟み。強い志を持っていた職員ほど、やりがいを見失い、疲弊してしまう。
社会保障制度の限界に真正面から切りこんだ作品。
確かに、事件の犯人は存在する。けれど、この事件を引き起こした原因はだれにあるのか。
読み終わったあとも、しばらくその余韻が残る。

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アーカイブされてしまい読めなくなってしまったが、続きがとても気になるので必ず手に取りたいと思う。善人の死、不可解な死、最後に辿り着く真実とは。

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生活保護について考えさせられる話でした。自分達も決っして他人事ではない問題で現在も苦しんでいる人、不正受給に胡座を書いている人が居るのだと思うと、カンちゃんや利根は悪とは言い切れなくなりますが、そこはきちんとこの作品では完結されていて好感が持てました。
中山さんの社会問題を題材とした作品をいくつか読みましたが、この作品も含め、歪みが無くスッと入ってきて、一気に読み進めてあっと言う間に読み終わってしまいました。

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辛い。読んでいてこんなに辛いのに、それでもページをめくる手を止めることができない。こんな作品が今まであっただろうか。


誰もが善良と評していた男が廃墟で拘束されて殺された。死因は餓死だった。なぜこんな悲惨な殺人事件が起こってしまったのか、犯人の目的は?から始まる物語。その背景があまりに辛く、誰が悪人で何が悪かったのか読み終わった今でもよくわからない。最後も辛くて頭を抱えた。

読んでいて楽しい気持ちになる物語ではない。けれど、目を逸らさずに護られなかった者が少しでも減るように考える必要があるのだと感じた。心に響く物語だった。

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読み出してすぐに品行方正、怪しまれる原因などが微塵もない登場人物が死んでしまい、我慢ならず後ろからページをめくってしまうのをなんとかなんとか抑えて読み進めたのが地獄でした。全然、先が読めない!なのに人がまた死んでいく!かぁー!中山七里先生ー!
そしてそして、昨年勝手に本屋大賞ノミネートした死にゆくものの祈り同様、そこには真面目に生きる人が損をする歯痒くどこにもぶつけられない怒りが湧き上がる現実があった。

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タイトルの意味がわかった時、事件が起こった悲しみと怒りに、読んでいると身につまされるかもしれません。震災後の土地ならではの設定と、中山七里先生の、加害者側に寄り添った表現が、この重いテーマをエンタメとして昇華し、読ませてくれました。映画が楽しみです。

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この物語の根底にあるのは生活保護を受けたくても受けられない人たちが大勢いるという事実です。生活保護を申請するには、自分には財産がなく、頼れる身寄りもないということを証明しなければなりません。でも、財産がないということを証明するのはとても難しいのです。

 もし持ち家や車があれば、売ってお金にしなさいというところから話が始まります。もし兄弟や親戚がいれば、その人たちから援助してもらえないのかと聞かれます。そんなこと言ったって、もう何十年も音信不通になっていて、どこにいるのか、死んでしまったのかすらわからないのに、どうやって連絡を取れというのでしょう。でも福祉保健事務所の人はそういうのです。

 そんな役所仕事に腹を立てた利根は、福祉保険事務所で暴れ、更に事務所の一部に火をつけたという犯罪で刑務所に入っていました。その彼が出所し、誰かを探しているようなのです。一方、警察は殺人事件の容疑者として、彼の行方を追っていたのです。

 刑務所でどんなに頑張っても、出所してから仕事を探すのは困難で、結局悪い方へ引っ張られてしまう人が多いというのも、辛い現実です。

 利根は決して悪い人間ではないのに、生きづらい人生になってしまったのは環境に恵まれなかったからで済ませてしまったら、余りにも酷い話だと思います。

 社会弱者を助けてくれない世間や役所、様々な問題を考えるきっかけとなる作品だと思いました。

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生活保護をテーマにした小説は、「パレートの誤算」があります。それもなかなかに面白く、恐ろしく、犯人が最後までわからなかったのですが…
今回、同じ生活保護をテーマにしている小説でも、中山七里ワールド全開、といった作品で、読みやすいけれど怖くて、最後まで犯人がわからなくて、面白かったです。

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高齢化の日本の福祉が抱える闇に迫った社会派ミステリー。真っ新な状態で読み始めたならきっと何度も気持ちが移り変わり、著者の「あなたにこの物語の犯人はわからない」の言葉通り、何処に怒りの矛先を向けていいのか分からず憤ること間違いなし。経歴、前科、生活、全てに置いて表面を軽く掬い取っただけの他人への杜撰な評価を苛立たしいまでに代弁した問題作。救いのない話の中で利根や刑事コンビ、その他登場人物に任侠があり、それがまた切なく感じ、感情を煽る展開が絶妙で堪らなかった

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2018年の作品が何故#NetGalleyJP に、と思えば映画化のタイミングか。目下積んである本が多すぎ、謎解きミステリーに手が伸びないのだが。なかなかのものだった。どんでん返しの名手、と呼ばれているらしい著者だか、かなり最後の方までわからなった。途中からあれあれ、どうして?あ、そういえば、となってきて結末はなんとなく想像ついたけれど。
それをこえたところで、しんどい、重いところをつくテーマだった。重いテーマを扱うものには責任が伴うと思っている、半端な覚悟で扱ってはならない。苦しんだひとがたくさんいるのだから。
本作はとても緻密に描かれ、作り物感がない。見事だった。

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私自身公務員ですが、社会福祉の最前線で働いている人達の大変さを感じました。限られた予算の中で、本当に必要としている人を助けたくても、かたや不正をしている人を見抜か泣けるばならず。また切られた側の苦悩が伝わってきて、切なくなりました。
この本を読むことで、世の中の不平等に目が向けられ、少しでも世の中が良い方向に向かうことを祈ります。

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社会福祉行政を扱ったミステリ。なかなかにキツイ内容になっている。圧倒的に不足している限られた予算をいかに配分するか?社会構造や社会制度の問題であり社会福祉の外側も含めて解決策を導かなければならないだろうが、安易な恣意的抑制策に活路を見出してしまっている現状が見える。運用者個人の問題ではないとはいえ、人としてのやさしさや社会福祉本来の理念を忘れてはならないと言って糾弾するのは簡単だが、事はそう簡単ではない、のだろう。そんな諸々の難しい現状を背景に物語は進む。捜査側の視点に利根の視点の物語が絡み合ってきたあたりから、徐々に切なさがこみあげてくるとともに、社会福祉の深刻さが加速度的に読者に迫ってくる。その苛烈さは「餓死」という状況に象徴される。現在の日本において餓死するというのは、どこか歪んでいる。中山七里らしい仕掛けや趣向も凝らされておりミステリとして面白いといえる本作だが、それ以上に社会福祉というものを考えさせられる内容であった。

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どんでん返しを売りにしているところに抵抗があって今まで読まないでいた中山作品、タイトルに惹かれて初読み。結果、大正解!読み始めたらグイグイ惹きつけられ、最後までノンストップ。読むのをやめられなかった。犯人は誰?とか、どんでん返しとかじゃなく、震災からの復興の問題や、社会保障の闇に真正面から切り込んだ重量感ある社会派ミステリー。予算の都合で切り捨てられる本当に生活保護を必要とする者たち。片やのうのうと衣食住を賄われる懲りない服役囚たち。同じ税金なのにとやるせない気持ちになる。舞台が震災の大きな被害を受けた宮城県というのも作品に深みを増している。ラストのSNSにアップされた言葉が胸を突く。読んだ後もいつまでも尾を引く作品でした。大満足です。

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「護られなかった者たちへ」というタイトルが秀逸と思う。
展開が気になり、一気に読み進んでしまったが、このタイトルを考えながら、
もう一度読み返したいと感じた。
「護られなかった者」は、読む人間によって違うのではないだろうか。
映画化が楽しみだ。

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誰もが当事者になるまでは法も市政も善良な市民を護ってくれると思っている。
ところが今の社会はそうではない。色々な理由で弱者は切り捨てられていく。それに気づくのはトラブルに巻き込まれてからだ。いくら訴えても拒絶されたり無視されたりする者の心の痛みを、私はどれだけわかっているだろうか。

物語が進むにつれて彼の怒り、悲しみ、絶望が、まるで自分の身に起きたかのように胸がえぐられていく。

自分に関係のない不幸には同情し偽善的な言葉を吐くだけで、多くの人がそうであるように私もまた何もしない傍観者でいるか、もしくは正義を振りかざした偽善者ではなかったか。

これは、護れなかった人への想いがそれぞれの行動へと駆り立てた悲しい物語。
なのに、本を閉じた時に私の胸のうちにあったものは絶望感や虚しさではない。

少し前に戸籍のない親子が餓死したニュースが流れたが、この小説を読む前ならばあの記事に目を留めただろうか。読者の目を覚まさせ、生き方にまで影響を及ぼす一冊。
読む前と後で読者の意識を大きく変えるのは間違いない。

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人格者と呼ばれる人たちを拘束し餓死させるという酷い殺人事件…犯人は誰なのか?
ページが進むごとに、自分の共感がどこに向いているのかわからなくなりました。
被害者であり加害者である者がいて、加害者であり被害者である者がいて、絶対なる悪者というものを見失う…。
この作品の背景に、実際に起こっているであろう社会福祉の問題を見ました。たくさんの人に読んでもらい、このような問題が実際に起こっているということを知るきっかけになって欲しい。不正受給を減らすための監視の目を増やしたい。そして本当に必要としている人たちに受給してもらえる世の中になってほしいと思いました。

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真の善人も悪人もいない。社会の制度を知っている気になっていた自分が恥ずかしいと思った作品。重く難しい内容だけれど、不謹慎にも本当に面白かった。話の展開にはさすが中山七里!と唸りました。
殺人事件が起こるきっかけのお婆さんが気持ち良い位のいい人。それだけに切なさが増しました。

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後悔というのは
もうどうしようもなくて、
後悔のないようにと生きたいと思っても
日々の忙しさとちょっとした油断で
忘れてしまって
こんなことになるなんて思わなかったと
言い訳をしてしまう。

どうしようもないのかもしれない。
でも見て見ぬふりはしたくない。
現実でもこんな苦しいことばかりなのかと
思わせる作品でした。

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ミステリーとしては、ラストのひねりは良かったが平凡。しかし、モチーフは胸をつく。護れなかった者たちは貧者のこと生活保護の需給がモチーフ。予算が決まっているのだから支給条件が厳しいのはわかる。でも、ヤクザが外車を乗り回し支給されているのに、その反面、餓死する人もいるという現状は看過できぬものがある。怖いから停止にはできない。新規はお断り。その匙加減は小役人に委ねられているというのも怖い。彼らにそんな大切なことを委ねていいのか疑問である。おばあちゃんの残した遺言が泣ける。

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「生活保護」問題は実際にある。
必要な人にちゃんと届かず、不正受給している人も実際いる。
毎日対応に追われる市の方も、職務を全うしたかっただけなのかもしれないが、
最悪の復讐劇に繋がってしまった。
生活保護だけではなく、福祉全体の制度がどうあるべきなのか
考えさせられる作品でした。

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