宝島

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刊行日 2018/06/19 | 掲載終了日 2019/01/16

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内容紹介

第160回直木賞候補作  
期間限定にて公開いたします!


第九回山田風太郎賞受賞作
異常な熱量を持った叙事詩が生み出されたようだ――京極夏彦(選考委員)
圧倒的な熱量と迫力とを持って読者に迫ってくる――林真理子(選考委員)
小説を書くというのはこういうことなんだ――夢枕獏(選考委員)
小説の本質ともいくべき「かたり」への配慮と工夫――奥泉光(選考委員)

私の年代では記録といえる戦後復帰時代の話ですが、肌がちりつきました。 読み進めるにつれ鳥肌が止まらなくなるのは、私が沖縄人だからでしょうか? ――リブロリウボウブックセンター店 宮里ゆり子さん

米軍施政下の時代に翻弄されながら、立ち向かい、熱く生き抜いた沖縄の若者たちを描く超大作!そして現代に続く基地問題を知る必読の書!――ジュンク堂書店那覇店 森本浩平さん

占領下、実際に起きた戦闘機小学校墜落、米軍車両死亡交通事故無罪判決。県民の怒りが爆発したコザ暴動。主人公たちの生き方を通して沖縄の痛みが理解できる作品です。――球陽堂書房メインプレイス店 新里哲彦さん


革命を生き抜いた若者たちの青春小説。

さぁ、起きらんね。

そろそろ本当に生きるときがきた。

戦果アギヤーの勃興からコザ暴動を生き抜いた青年たちと英雄の抒情詩。

これぞ青春小説にして、革命小説の最高峰。

第160回直木賞候補作  
期間限定にて公開いたします!


第九回山田風太郎賞受賞作
異常な熱量を持った叙事詩が生み出されたようだ――京極夏彦(選考委員)
圧倒的な熱量と迫力とを持って読者に迫ってくる――林真理子(選考委員)
小説を書くというのはこういうことなんだ――夢枕獏(選考委員)
小説の本質ともいくべき「かたり」への配慮と工夫――奥泉光(選考委員)

私の年代では記録といえる戦後復帰時代の話です...


おすすめコメント

逃げるな、緩むな、諦めるな――真藤順丈の才能を信じて10年。著者にかけ続けてきた言葉が、途轍もない物語となって返ってきた。全力をもってこの作品に応えたい。
小説現代編集長

私はこれまで128冊の本をつくってきました。本作は129冊目です。
この原稿が自己ベストであり、最高傑作です。
本作が読者の胸に届かなければ、私は編集者をクビになってもいいと思いました。編集者生命を賭けてお届けします。真藤順丈の『宝島』。どうか読んでみてください。
文芸第二出版部 担当編集者

逃げるな、緩むな、諦めるな――真藤順丈の才能を信じて10年。著者にかけ続けてきた言葉が、途轍もない物語となって返ってきた。全力をもってこの作品に応えたい。
小説現代編集長

私はこれまで128冊の本をつくってきました。本作は129冊目です。
この原稿が自己ベストであり、最高傑作です。
本作が読者の胸に届かなければ、私は編集者をクビになってもいいと思いました。編集者生命を賭けてお届けします。真藤順丈の『宝島』...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784065118634
本体価格 ¥1,900 (JPY)

NetGalley会員レビュー

とても良い作品です。雰囲気や文体、登場人物の大らかさも沖縄を感じさせてくれ、一度は読むべき本という評価になると思います。なのであえて気になった点を書いてみます。
自分は読書量はかなり多い方で、哲学書のような読み辛い文体にも苦痛を感じることはありません。
ですがこの作品は読むのがキツかった。読み落としのないように細部まできっちり読む癖があるからでしょうが、表現が豊かなだけに言葉に振り回されてしまったような感覚があり、日数を掛けて細切れにしか読むことができませんでした。表現酔いというか、そんな感覚に陥り、途中で何度も挫折しそうになりました。
独特な表現でふわっとした世界を表すのに成功していますが、逆に文体にリアリティという重さが発生しておらず、考えながら読まなくてはならない部分が多かったです。一人称と三人称が混じったようなことろも迷わされました。この感じが好みの方には良い文体なのだと思いますが、自分は正直、辛かったです。

ストーリについてですが、過去の沖縄のことを調べ、作中にはめ込んでいるのて読みごたえがありました。沖縄を背景にしなくては表現不可能な流れも多く、よく考えられていると思います。
ただし、全体にあまりにも偶然という要素が多く、ストーリーが流れが出てきたと思ったら急に次の場面に切り替わってしまったり、後々に種明があるという、読んでやっと解るという手法が散見されて物語に没入できず、ちょいちょい現実に引き戻されてしまいました。自分はもう少し表現がシンプルの方が楽だったかなと。長い話なので。

物語には心を打つリアルな背景があるのに、それ以外のところに生々しさがないと感じさせられてしまう。暗い話にしたくないというのは理解できますし、若者のエネルギーや葛藤、人に関わることでもつれていく運命と、待ち構えていた宿命などを書きたかったのではないかと思いますが、沖縄人というところではなく、ただの人間というところの表現が薄いため、沖縄を良く知らないというだけで、どこか遠いところの物語。過去の話、本の中のお話というところで終わってしまい、読み手の生活に迫って来ないところがあります。

良い作品です。沖縄の事も考える切っ掛けになります。ただ、資料としてのノンフィクションの部分に、フィクションの部分が力負けをしているようにも感じます。
これまで知らなかった沖縄の歴史には興味が出ました。その意味では読むべき本です。これだけは間違いがありません。ですがそれ以外のストーリーや登場人物の何らかで感動したかと言えば、そこは微妙でした。
もう一つ気になったのは、アメリカイコール悪というイメージが強すぎるような。当時のアメリカの肩を持つつもりは微塵もありませんが、当時はあっちもあっちで必死だったのではなかったと。最低野郎は間違いなく多かったと思いますが、アメリカはアメリカで、日本を恐れていたということもあったではなかろうかと。兵士らは命令されて沖縄に駐屯していたわけで、まともな人もある程度はいたと思います。
切り口によって善悪は安易に逆転したりするもので、正常なアメリカというものも少しは書かれていたら、より葛藤に深みが出たかとは思いました。当時のアメリカは残酷でクズというだけはとても残念。

これは愚痴ですが、オンちゃんネタで引っ張り過ぎ。もっと別の要素でも引っ張って欲しかったです。

気になったことを書きましたが、素晴らしい作品であるのは間違いありません。今後も素敵な作品を書いて下さると思います。更なるご活躍をお祈りいたします。

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自分では沖縄のイントネーションがわからないので朗読CDが欲しいです。

小学6年の頃、学校で平和学習として1年かけて沖縄戦と沖縄問題のことを習ったから知っていると思い込んでいたけど、実は何も知らないのと同じだと突きつけられて胸が痛くなりました。

沖縄の方言で「なんくるないさー」が沖縄の人のおおらかさと明るさを表していて好きだと思っていたけど、本当はずっと支配されてきた生活を生きていくための言葉だと知って愕然としました。

73年間日本は平和なんだと信じていたけど基地が無くならない限り平和にはならないと胸に刻んでこれから日本はどうしていくべきか考えようと思います。

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あきさみよう!
ていうのは沖縄の方言でびっくりしたときに使う感嘆詞なんだそうな。
本書を読み終えたときに無性に声をあげたくなって、きっと沖縄の人たちはこういう気持ちのときに「あきさみよう!」と言う
のだろうなと思った。

舞台は戦後の沖縄。
小学生の頃に習った「戦後」とはアメリカの占領下にあった沖縄にとってはまだ戦後なんかではなく「戦時中」に等しいものだということを改めて思い知らされる。
アメリカ軍の基地があり、通貨はドル、本土に渡るのためにパスポートが必要だった時代。
そんな時代を命を懸けて生き抜く青年たちの物語。

ある日突然失踪したかつて人々から英雄とよばれた男の行方を追いながら、
英雄の恋人、親友、弟たちはそれぞれの道をすすみ、やがて一つの真実にたどり着く。
この真実にたどり着いた瞬間、ようやく長い旅の末に全ての答えを見つけられたような気がして涙腺が緩んだ。

あの場面がすごかった、あの台詞が素晴らしかったなんて言いたいことならたくさんあるけれど、言い出すとキリがないのでともかくたくさんすごかったと、それだけ言いたい。
踊りだしたくなるような歓び、身を裂かれるような悲しみ、抑圧され続ける憎しみ、命を懸けて大切なものを守る情熱。
読んでいるとそんな人々の息遣いが聞こえてくるような気がした。
誰もが必死に生きている。生きている実感がわいてくる。この本は生きている、と思った。

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著者の饒舌な文体が更にパワーを増して、何かに憑りつかれたように物語を語る語る語る。
伝説の戦果アギヤー、あの英雄が消えてからのちの残酷な時の流れ。沖縄という名前の孤児が受けた仕打ち。
どこまでが真実でどこからが夢なのか。すべてが猛烈な情熱と怒りと欲望に彩られ、境界も曖昧なままに疾駆してゆく。

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あきさみよう!・・・編集関係者・書評家が絶賛し、今年の大本命というだけの作品でした!終戦直後、米国占領下の沖縄嘉手納基地に潜り込み、脱出するシーンから一気にその世界に引き込まれました!沖縄言語と共に、読者を飽きさせないテンポの良いストーリー展開で、消息不明になった英雄オンちゃんを探して、友人グスク(後刑事)、弟レン(後ヤクザ)、恋人ヤマコ(後小学教師)が飛行機事故、刑務所入り、ヤクザ抗争、ストライキ、暴動、生物化学兵器と豊富な要素で、楽しませてくれました。エンディングでは、最初から登場するあの少年がキーマンでした!読むべし!

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本土返還前の沖縄で戦果アギヤーのオンちゃんは英雄だった。基地襲撃に失敗しオンちゃんの消息が不明になった後、遺された親友グスク、恋人ヤマコ、弟レイの三者は歩む道が別れてしまう。その三者から観た激動の時代の沖縄、あきさみよう!そのハンパない熱量に段々と惹きこまれました。現在まで続いている基地問題、米軍絡みのやりきれない事件、それらを乗り越えて今も沖縄の人達はなんくるないさと生きている

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魂が高揚する作品。
戦後の沖縄を題材としており、沖縄返還に至る流れを沖縄の人々が米軍基地との関係に苦悩し
翻弄されながら生きていく姿を描いています。
とにかく熱い!そして哀しみもあいまって懐が深いところに惹かれます。
沖縄の方々はみんな戦果アギヤーなんだな~。

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私たちは決して、物語それ自体を経験することはできない。小説という形式においては、物語は常に語られるものであることを免れ得ない。本書『宝島』では、その語りの語り手が自身の考えを述べるかのごとく前景化してくるのが特徴的である。それでいて、語り手は物語の登場人物として現れることはない(後に「語り部」として、小説の中で言及される)。この点を踏まえておかなければ、語りの独特の沖縄ことばもあいまって、読みにくい作品として片づけられてしまうだろう。だがこの戦略こそが、この作品をより魅力的なものにしているのである。

物語は4人の主要な登場人物たちの青春小説である、とひとまずは言えるだろう。沖縄を舞台とし、戦後から本土返還がなされるまでの彼らの生きざまが描かれる。独特な文体をともなった物語は、息をつかせぬ展開の連続で、読者を瞬く間に虜にしてしまうだろう。物語のクライマックスからラストにかけての展開は、語りの戦略が見事に作用しており、深い感動を呼び起こす。

惜しむらくは(筆者の読解力不足かもしれないが)、この語りの戦略を用いるのであれば、モノローグ的な語りではなく、ポリフォニックな語りで物語られていたならば、大傑作になったに違いないと思わざるを得ない。だが、それでも本書が良くできた作品であることに相違はなく、単純に言って面白い。

今なお戦後は終わらないと思い知らされるが、忘れることを忘れてしまったこの世界で生きるということは、私たちは過去を引き受けて生きていかざるをえないということを忘れてはいけないということだろう。それは、物語が連綿と語り継がれていくように。

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この本には熱がある!‬
‪まるで体感しているかのような、
魂が喚き心打ち震えるような本。‬

‪戦後の米軍占領下の沖縄。
確かにそこにいるような感覚。‬
‪両手に残っている金網の感触。‬
‪吹き上がる土埃。空に轟く戦闘機の音。‬

‪怖くて。苦しくて。
やりきれない悲しみ。血が滾るような思い。‬

でも、それだけではない。
もがきながら生きる3人の幼なじみの、
根の明るさ、芯の逞しさ、熱い息吹を肌で感じるような疾走感。

実際に沖縄で起こった事件などを背景に、
行方不明になった島の英雄の消息を追う3人の奮闘記は、エンターテイメントそのものだし、ミステリとしても楽しめる青春小説となっているのが凄い。紛れもなく傑作小説!

誰もが頑張って(チバって)生きてきた。

降りかかった理不尽な運命を、どんな想いで沖縄人(ウチナンチュ)たちは「なんくるないさ」と生きのびてきたのか。

きっと、忘れられないことを、忘れなきゃ生きていけなかった人が、生きてく知恵として生み出した言葉なのだろう。

本作品で、はっきりと区切られている〝沖縄人〟と〝日本人〟
自分は沖縄の歴史について、教科書でどれ程の言葉で学んだだろうか。
私はまぎれもなく〝本土の人〟なのだ。
線引きに悲しむ権利すらないほどに。
そんな自分にできることがあるのかわからないけれど、書店員として、この本を多くの人に届けたいと心から思いました。


本土返還までの20年間。

あなたに目があるのなら
目を逸らしてはならない

あなたに耳があるのなら
耳を塞いではならない

あなたに心があるのなら
どうか歩み寄ってほしい

沖縄には、日本人が考えなくてはいけない問題が、今もなお続いています。

沖縄リゾートに旅するよりも、
この本を開いて、これまでの沖縄を、これからの沖縄を、しかと見据えてほしい。

ひとりの日本人として、
大切な魂の旅が、ここにあります。

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この作品の本当のすばらしさは一読だけではわからなかった。二度目に読んだ時、沖縄ことばや一見わかりにくかった登場人物がしっくりと落ちてきて、彼らの発する圧倒的な熱量に平伏した。傍観しがちだった沖縄の問題を自分のものとしてとらえる疑似体験ができたお陰で、沖縄を含めた、戦争に振り回され続けた地域、人々の思いに、わずかながらでも目を向け、気持ちを寄せることができて良かったと思う。主人公たちが彼らの「英雄」を追いかける物語もミステリーとして面白く読むことができた。

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