13歳からの研究倫理

知っておこう!科学の世界のルール

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刊行日 2018/08/10 | 掲載終了日 2019/02/28

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内容紹介

中学生・高校生に知っておいてほしい科学研究の基本的な心がまえをまとめた初めての本.

学習指導要領改訂で高校に新設科目「理数探究」によって,大学入学前に研究活動をおこなう機会が圧倒的に多くなることが予想される.しかし,現状は,成果が出さえすればよいという雰囲気も強く,研究倫理的なさまざまな問題が生じている.
中学生を主人公にした対話形式で読みやすくするとともに,ケーススタディを通して問題を疑似体験して考えることができるようになっている.

指導者の参考にもなり、また、高校などでの副読本にも最適だと思われる。 

中学生・高校生に知っておいてほしい科学研究の基本的な心がまえをまとめた初めての本.

学習指導要領改訂で高校に新設科目「理数探究」によって,大学入学前に研究活動をおこなう機会が圧倒的に多くなることが予想される.しかし,現状は,成果が出さえすればよいという雰囲気も強く,研究倫理的なさまざまな問題が生じている.
中学生を主人公にした対話形式で読みやすくするとともに,ケーススタディを通して問題を疑似体験して考...


おすすめコメント

大学生や研究者の間では、必須となっている研究倫理教育ですが、本書では、それが中学生・高校生の段階から必要であることを訴えています。そして、中学生・高校生の等身大の事例をたくさん載せて、身近な問題として理解できるように工夫しています。

大学生や研究者の間では、必須となっている研究倫理教育ですが、本書では、それが中学生・高校生の段階から必要であることを訴えています。そして、中学生・高校生の等身大の事例をたくさん載せて、身近な問題として理解できるように工夫しています。


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784759819670
本体価格 ¥1,600 (JPY)

NetGalley会員レビュー

私も高校時代に研究活動をしたことがあるので、本の内容と絡めながら自分の体験を述べていこうと思います。
自分の将来について漠然と『研究を仕事にしたいなぁ』と考えていた私は、SSH(スーパーサイエンスハイスクール、文部科学省が科学技術教育を重点的に行う高校を指定する制度)に指定されている高校に進学し、その中でも普通科ではない理数科に3年間在籍していました。理数科としての取り組みのひとつに「課題研究」が2年生の時に組み込まれており、研究チーム決めから研究発表までの流れを1年間かけて行いましたが、まさにこの本で説かれている「研究とは何なのか」「研究におけるルール・御作法」にぶつかり、大いに学んだ1年でした。

・研究とは何なのか
研究テーマが決まらない、メンバーの予定が合わずに人が揃わない、実験するための環境が整わずに研究が進まない、研究テーマを変更せざるを得なくなった、発表の締切に間に合わずやりたい実験を完遂できなかった……色々な壁にぶつかりながら何とか研究を形にして、最終的にはとあるコンテストで小さな賞をいただくに至るまで進められたのですが、『自分は本当に研究という行為が好きなのだろうか?』と自問自答を続けたものです。
学校の授業で習う理科が好き、科学の実験教室でスライムをつくるのが楽しい、綺麗な草花や昆虫をずっと観察していても飽きない……そんな体験のちょっと遠いところにあるものが研究なのかなぁと、課題研究を始める前の私は軽く考えていましたが、先に述べた数々の苦労を経験するうちに「答えがわからないものに向き合うこと」が研究なのだという現実に直面し、そこでやっと『自分が今まで好きだったものは研究じゃなかったんだなぁ』と気付いたのです。それでも、仲間と共に研究を続けられたのは「明確な目的を持ち」ながら「何かをやり遂げたいという強い気持ちを失わなかった」からだと思います。

・研究をにおけるルール・御作法
課題研究をする前から、「存在しない結果を作り出す」「都合の悪い結果を公にしない」「許可なく他の研究者のアイディアを使う」といった行為が不正であるなど、より良い研究活動のために絶対してはならないことが幾つもあることは分かっていました。実際に研究をする際にも細心の注意を払いながら進めてはいましたが、ひとつ分かっていなかったことがありました。それは「賞を獲るために研究をしない」ということです。
素晴らしい研究をして公に発表すれば認められて、賞がいただける……自分もそんな研究がしたいなぁとずっと思っていたのですが、いつしか「研究すること」よりも「誰かに認められること」ばかり望むようになってしまい、うまくいかないことばかりの研究がつらくて仕方なくなってしまったのです。そんな考え方を周りの先生方に諌められ、心を入れ換えてからは、『たとえ大きな成果がなくても、得るものの大きい研究だったなぁ』と思えるようになりました。(その他、「賞のいただける研究」を違う学会・コンテストに幾つもエントリーさせ、機会の公平性を奪ってしまう危険性もあります)

世の中には研究という行為に関わらないまま大人になる人も少なくないのですが、研究を自分の職業としようと夢見、志す者にとっては、社会に出る前の教育機関、すなわち大学は勿論のこと中学校や高校で訓練を積むことが必要です。また、研究を職業としないとしても、学生時代に研究活動に取り組むことは、様々なことを学べる貴重な体験となるでしょう。この本の中ではどうしても理系中心となってしまいますが、研究で養う「ものの見方」「ルールの感覚」「ひとつの事をやり遂げる信念」……そういったものは文理関係なく、大学に入ってからと言わず、早いうちにきっちり教えて訓練を積んでおくべきなのだと思います。そういうわけで、すべての学生にとって価値のある一冊なのではないでしょうか。

余談その1
1年生の頃、理数科に限定しないSSHの活動として「一人一研究」というものがありましたが、実態はアンケート調査or調べ学習+プレゼンテーション学習でありました。文献の扱い方やプレゼンの仕方は学べましたが、ほんとうに研究をさせたかったらこんなことしてる場合じゃねぇ!せめて「研究」って名乗るな!と今になって思いました。他の学校でも、こんなことがあったりするのでしょうか……

余談その2
生物を扱う研究に関して、生命倫理について軽く触れられていましたが、1ページにも満たない内容の薄さだったのが残念でした。詳しく知りたい人には同じく化学同人社の「マンガで学ぶ生命倫理」「マンガで学ぶ動物倫理」がお薦めです。

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学校での実験は「成功した」「失敗した」で捉えられがちであり、また先人が発見したことを追体験するものであるため手順や方法はすでに指定されていて生徒は機械的に従い、理論に当てはめることになる。

大学に進学してからの研究のための実験も、今までの実験の延長線上として捉えてしまう学生は多いと思う。しかし、教員(研究者)は研究に臨む姿勢を当たり前のように持っており、呼吸をするように実践しているため本書に書いているような実験ノートの重要性や予想-実験-考察 の行い方、研究倫理などはあまり詳しく教わらない。

かく言う自分もそうであり、教員養成の一環で行った実験では実験ノートを整理して書く意味・ペンで書く意義がわからず、「うまくいかなかった、測定誤差が大きかった」と行った実験を振り返ることも少なく、研究のための実験の姿勢を理解したのは大学の後半であった。

この本は研究に興味のある中高生はもちろん、実験と研究がスイッチする大学生が是非読むべき一冊だと思う。
「仮説と実験結果が合っていないのはどうしてだと思う?」
「この方法で正確なデータを得られるだろうか?」
こんなことを考えて実験を行える学生になれば一つ一つの実験・研究がより有意義なものになるのではないか.

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理系の研究に関する倫理を、中高生を対象にわかりやすく会話形式で、ケーススタディとともに一緒に考えながら理解していく一冊。
え?それって人として当たり前のことよね?レベルから、その倫理を守るために例えば実験ノートの付け方、学会でのカメラ使用、SNSの投稿など身近だが本質的な事も書かれていて、そのあたりは研究発表という意味では文系でも同じだと思いながら読んだ。
研究は一見、すぐに結果を出さなければならないと無意識に自己中心的になるあまり、思い込み、結果を自分の方に引き寄せてしまう。その心理状態に陥ってしまうプロの研究者に対しては、本来心理ケアという観点も必要のではないか?と思う。科学者はストイックに研究に邁進し続けて当たり前なのだろうか?限られた予算のパイを取り合う多額の研究費用の為に、結果を求めざるを得ない状態から、データへの視点が思い込みになってしまうケースを時々聞くのは、残念である。
一番興味を惹かれたのは、動物実験の生命倫理の部分。これについては他の本でも詳しく知りたいと思った。

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「研究」をする時に大切にしなくてはいけないことについて、分かりやすく書かれていました。倫理的な部分も具体的な例をあげて説明されていて、中学生だけでなく研究について知識のない大人にも分かりやすい内容だと思いました。

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今ほど研究倫理が叫ばれる時代はない。
 研究費の不正流用、論文の盗用、ニセ科学……。挙げていくときりがないほどに問題が起きている。
 そういった世の中で、子供達---13歳というと中学生だ---に教える研究倫理とは。

 非常に強い興味を持って読み進めることができた。

 これは研究倫理というだけでなく、実際の研究の仕方までも丁寧に紹介し解説している。
 コピペやSNSといった若者にも多いトラブルについても触れられており、まさに最新の「生徒に教える研究者としての心構え」である。

 しかし同時に、これは大学生にも必読の一冊である。大学生であっても、研究のいろはがわかっていない、ルールやリスクを把握していないものは多い。読みやすいからといって、タイトルに「13歳」と書いているからといって、子供向けだと見くびってはいけない。

 とても大切なことが、平易な言葉でわかりやすく記される、というのはものすごいことなのだ。

 良い本です。

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「リアル!」

研究のルールってどれも普通のことじゃない……。

Oぼかたさんが浮かびました……。
いやそれでこの本が企画されたんでしょうね

会話形式で読み進めやすかったですが……
そのイメージが立ってしまって入ってこないorz

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書名は13歳からの~となっているけれど、理科や実験、あるいは自由研究の指導なんかを担当する小中高の先生にこそ読んでほしい本だと思う。子どもたちがここに書かれている考え方を身に着けられれば、テレビをはじめとするメディアにあふれる「実験的なもの」への見方も随分変わるのではないか。
捏造や盗用などの、みんな何となく悪いことだと思っているけどはっきりとは説明しにくい・どこまでなら許されるのかが分からない問題を、ケーススタディも交えながらちゃんと説明してくれている。研究をするときには何かと比較することが必要だ(つまり対照群を置く必要性)というような、基本的な研究・実験手法の考え方や科学リテラシーについての説明もあるのがとても良いと思った。ただ、それだけに、内容が研究倫理に限定されているかのような書名は読者の間口を狭めるような気がする。研究倫理であれば研究をしない人は興味を持たないだろうけど、科学リテラシーの本であれば全ての人に関係があるし、実際本書にはそういう人にも知って損はない内容も含まれている。結局のところ本書は、倫理を含めた、だけどそれだけではない科学リテラシー全般についての本だと思うので、書名だけがちょっと残念だなあと思った。
内容が全般的に実験や動植物の観察などの自然科学的な研究に偏っている気がするけれど、アンケート調査や文献調査などの人文科学的な研究の方がひょっとすると中高生には身近かもしれないし、そういった研究の方が倫理は問題になりやすい気もするので、人文科学研究もバランスよく取り上げてくれればなおよかったのではないかと思った。
蛇足だけど、中学生以上を対象にしているにしては、文章が全体的に幼い感じが…。なんとなく小学校の中~高学年くらいがターゲットなのかなあと思ってしまった。でも自分が中学生だったのは遠い昔なので、こんなものだったかもしれないなあ…。

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「研究」をするための約束ごと、マナーのような決まり事を解りやすくまとめてある、会話型のテキスト。
こういうことを知っていて研究するのと、知らずにするのとでは、やはり違うだろうと思う。
それは当たり前だよね、ということもしっかり頭に刷り込まれると思うので、理系の研究者を目指す子が通うような学校で採り入れると良いと感じました。

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科学は真実を解明するために行うものだが、真実を解明するためならなんだってやっていい、というのは科学じゃない……というか、そもそも科学においてたった一人の独断にだけ左右される「真実」なんてものは存在しない。

事実を生み出し、確定させるための正しいルールに従って、それを世界に公表して認められて初めて「ただの研究結果」が世界の科学に寄与する真実となる。その真実を確定させるための作法である研究倫理というものを、ライトノベルチックな対話調でわかりやすく教えてくれる一冊である。

研究倫理というとどうしても動物実験などの生命倫理とかそういう方面を連想する人が多いだろうが、実際の研究のルールというのはそうした事例だけでなく多岐にわたる。フェアに結果を検証してもらうために、きちんとデータを誠実に取っているか、引用の要件をきちんと満たしているかとか、一見細々として見えるが現代の科学のほとんど全てはその細々とした部分のルールを守ることによってこそ共有すべき定説として認められているのだ

とはいえ、実際に研究をするのはなかなか大変で、しばしば誘惑に駆られることもある。例えば友達からのデータの借用とか、我慢しきれずSNSに実験の動画を載せてしまうとか……そういうギリギリの事例もケーススタディ方式で具体的に教えてくれて、しかもわかりやすくすっと入ってくる良書だった。

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