川っぺりムコリッタ

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刊行日 2019/06/25 | 掲載終了日 2019/06/24

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内容紹介

大ヒット映画「かもめ食堂」「めがね」 「彼らが本気で編むときは、」の 監督が贈る、書下ろし長編小説

【あらすじ】
高校生の時に母親に捨てられ、もがくように生きるうちに前科者となった30歳の山田。
出所後、海の近くの工場で働きながら独り暮らしを始めたアパートには図々しい隣人の島田、墓石を売り歩く溝口親子、シングルマザーの大家の南など、他に行き場のないような人々が住んでいた。
そんなある日、会ったこともない父親が孤独死したと役所から連絡が入り―― 。

貧困、虐待、孤独死――現代社会の闇を描きながらも、あくまでもやさしい、人間への眼差し。
あたたかい涙があふれる、新しい“家族”像。

※ムコリッタ(牟呼栗多) 仏典に記載の時間の単位のひとつ  1/30日=2880秒=48分 
「刹那」は、その最小単位 



【著者プロフィール】
荻上直子(おぎがみ・なおこ)
 1972年、千葉県生まれ。映画監督・脚本家。千葉大学工学部画像工学科卒業。1994年に渡米し、南カリフォルニア大学大学院映画学科で映画製作を学び、2000年に帰国。2004年に劇場デビュー作「バーバー吉野」でベルリン国際映画祭児童映画部門特別賞受賞、2017年に「彼らが本気で編むときは、」で日本初のベルリン国際映画祭テディ審査員特別賞など、受賞多数。他の監督作に「恋は五・七・五!」「かもめ食堂」「めがね」「トイレット」「レンタネコ」、著書に『モリオ』がある。

大ヒット映画「かもめ食堂」「めがね」 「彼らが本気で編むときは、」の 監督が贈る、書下ろし長編小説

【あらすじ】
高校生の時に母親に捨てられ、もがくように生きるうちに前科者となった30歳の山田。
出所後、海の近くの工場で働きながら独り暮らしを始めたアパートには図々しい隣人の島田、墓石を売り歩く溝口親子、シングルマザーの大家の南など、他に行き場のないような人々が住んでいた。
そんなある日、会ったこと...


出版社からの備考・コメント

校了前のデータを元に作成しています。 刊行時には内容が若干異なる場合がありますが、ご了承ください。 ※発売前の作品のため、ネタバレのレビュー投稿は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

校了前のデータを元に作成しています。 刊行時には内容が若干異なる場合がありますが、ご了承ください。 ※発売前の作品のため、ネタバレのレビュー投稿は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784065160282
本体価格 ¥1,400 (JPY)

NetGalley会員レビュー

高校生の時に母親が失踪し、1人で生きなければならなくなった山田くん。もがきながら生き続けているうちに悪い仕事に手を染め、前科者になってしまいました。すっかり自分に自信が無くなってしまった彼は、紹介してもらった仕事に就くために、知らない町へやって来ました。

 いかの塩辛工場で働き、徒歩で通える場所にある古いアパートに暮らすことになりました。勝手にご飯を食べにくる島田さん、大家の不愛想な南さん、墓石を売っている溝口親子。隣人たちは不思議な人ばかりです。

 でも、少しずつ隣人たちのことが分かってくるに連れて、不思議な連帯感が生まれてきたのです。

 そして工場の社長さんも、先輩の中島さんも、黙って山田くんのことを気にしてくれています。

 貧乏でも、不幸な過去があっても、今を楽しく生きていくことはできるんだって、やっと気づくことができたんです。

 ずっと孤独だった山田くんにとって、家族のような気持ちを持てる人達に囲まれて生きられるということは、本当に幸せなことなんですよね。

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全体が暗いトーンで覆われているが、読んでいて不快でなく、むしろ心地良い。出てくる人々に、誰も悪い人間がいない。それぞれが、それぞれの問題を抱えながら、それでも淡々と生きている様子が、主人公の目を通して語られていく。生きることや、辛い境遇、人間関係に悩んだとき、何度も読み返したくなる小説だ。

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高校生の時に親に捨てられ前科者になった山田くん。出所して工場で働きながらボロアパートで暮らす。 図々しい隣人との交流から生み出されたもの。 行き場のない人たちの中でやっと居場所を見つけられた山田くんは孤独ではない。 人の眼差しが温かい作品。

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一人一人にそれぞれの人生がある、わかってはいるのについつい忘れがちに。所謂世間のはみ出し者ばかりがでてくるけど、どのヒトも人間味があり愛おしく思えました。孤独死や貧困もあり重い話しかと思いきや、そんなことはなく全体的に読みやすい。

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「私ね、夫の骨を食べたの」

刹那、他刹那、臘縛、牟呼栗多(むこりった)。仏典からの数字の概念である。今こうしている瞬間に死と生が繰り返されているという。

刑務所から出所した山田は、北陸の塩辛工場で住み込みで働く。紹介された木造住宅のアパートは「ハイツムコリッタ」。どこか訳あり住民達と受入先の工場での人との出会い。そして届いた一通の連絡。それら一つ一つの出会いの中で山田自身が成長していくヒューマン物語である。

冒頭の言葉は、輪廻転生を信じていない住民の南さんの言葉である。繰り返されていくことは諸行無常である。しかし同じ点というのは二度と存在はしない。何故なら時間の概念があるからだ。今こうしている間も刹那前の自分は死に、また生きる。人生は同じ点の往復であるように感じるが、実は螺旋を描いている。

何度でも人生はやり直せる!
過去に躓いている全ての人にオススメします!

本が好き!倶楽部
せいちゃん

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ネグレクト状態で育ち、高校生の時にとうとう母親に捨てられた山田くん。食べるために犯罪を犯して前科者になってしまう。そして出所後に住んだ川べりに建つアパートのムコリッタでのお話。生に魅力を感じない山田は嵐で流されそうな川べりに住みたいと思っていたが、アパートの隣人達と関わるうちにいつしか生きていく事や他者への気持ちが変化して行く。日々のささやかな幸せを見つけて生きていく事は誰にとっても大切な事だと思った。

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心地よい読後感の残る作品。それと同時に、今の社会が抱える問題を多く含んでいる。
北陸地方のイカの塩辛工場での仕事に就いた山田が、出会った人たちとの関わるうちに、心の奥に潜んでいた自分の気持ちに気づく。
「僕は、まだ、大切なものを失ってはいないと思う」と感じる場面や九九の七の段を逆さまから唱えて自分を励ます場面が印象的。
「おまえとはもうこれで終わりだよ」と高校生のときに母から捨てられた山田が“川べりの暮らしがしたい”と思った理由が読み取れなかったり、話がどんな方向に転がっていくかがなかなか見えてこなかったりで、前半は気詰まりな気分で読んだ。
強引な隣人島田、工場のベテラン中島さんや社長を通して周囲の人と関わり始める山田。
家賃半年滞納の南父子がすきやきを食べているところへ、アパートの住人が茶碗と箸を手に乱入した日が面白かった。
母が家を出てから場面緘黙になった溝口の息子:洋一がピアニカで返事をしたり気持ちを伝えたりするのが切なかった。

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どんな人でも決して一人ではない!

荻上さんが監督をされた映画の雰囲気がとても好きなので、楽しみに読みはじめました。

育児放棄、貧困、犯罪歴、孤独死、ホームレス、などなど現代社会の問題点とも言える『何か』を抱えた人々。しかしなぜか読んでいて心地よい。それは、その「問題点」を重視したストーリーではなく、あくまでもそのキャラクター一人ひとりの個性としてそこにあり、その人たちの関係性がとても優しく繋がっていくからではないだろうか。そして愛すべきキャラクター達のやり取りが目の前に浮かんできていつの間にか笑っていました。

何とも言えない世界感、人と人との関わり方、個性の立ったキャラクター、静かで心地よい間のとり方、人間臭さ、日常の中の非日常、そしてクスッと笑えるユーモア、まさに荻上監督の作品を見ているようでした。

どんな人でも決して一人ではない、そんな安心感をもらえた。

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かもめ食堂のような、あの不思議な独特の空気が漂う。死にたいと思いながら生きることはつらい。幸せになれないと自分で自分に呪いをかけているような。そんな世界でも、人は関わり、意味を問いながら生きる。生い立ちを理由にするのは陳腐だが、育てられた環境によって培われなかったものの大きさを嘆きたい。今からでも遅くはない。誰しも幸せになっていいのだと伝えたい。

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荻上直子さん作品だからと映画化されること前提で読んで自分の知ってる限りの役者さんを配役しながら読めたのも楽しかった。
隣人はリリーさんかな、とか。
主人公が話しかけると父親以外とは喋らない息子君がピアニカで答える会話の場面がとっても好ましかった。

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居場所のない人間に「居場所を与えてくれる」物語というのは、きっとこんな作品なのだろうと思います。高校生のときに母親に捨てられ、前科者となってしまった30代の男。川べりの古びたアパートでの、それぞれに事情を抱えた人々との出会い。家族でも友達でもない、けれどこの距離だからこそ、交わせる言葉や、届く体温もあるのだと信じたくなる。書かれなかった登場人物それぞれの人生が、いつまでも余韻を残す。この物語を「映画で観てみたい」、ただそれが浮かびました。

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山田、島田、溝口、大家の南。
皆、それぞれ過去があり現在があります。
お互いがそれぞれの過去を受け止め、今を共に過ごす。
みんな心に傷があるから、相手のちょっとした変化にも気付く。
とてもとても温かい話でした。

人は弱くてもいい、自分らしく生きることが大切なんだ…。
人は一人では生きてはいない。
誰かと繋がって生きている。
それを感じる一冊でした。

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父親の顔も知らずに育ち、母親の育児放棄で孤独な幼少期を過ごした少年は、高校の時に母親から捨てられて以来一人で生きてきた。食べる為に盗み、人を騙し、気がついたら刑務所で30才を迎えていた。刑期を終え社会に戻った男には、帰る場所も会いたい人を居ない。これから先、“生きなければならない月日”を思って愕然とするだけだった…。
絶望からの再生をテーマにした小説です。
著者は、映画「かもめ食堂」「めがね」などの監督。その世界観が小説にもあふれてました。冒頭から終わりまで、読み終わるのが惜しい様な感覚が嬉しい読書でした。

主人公の山田は、生い立ちから他者に期待する事がない孤独な男。生きる事を楽しいと思えないし、将来に希望を持てない。生きることに疲れて、偶然の死さえ望んでいる。そんな彼が新天地「ハイツムコリッタ」で様々な人間と出会い、経験したことのない濃いご近所付き合いに巻き込まれて行きます。
山田の中に眠っていた知覚が呼び覚まされていく感覚は、冷えた体に血が流れ体温が戻ってくるのに似ている。
さすられて叩かれて、指の先まで感覚が行き渡って生きている事を実感する。
個性的なムコリッタの住人は、ドラマ化するなら誰をキャスティングするかな?なんて考えるのも楽しかったです♬

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変わったタイトルですが、とても暖かく素敵な話で、読み終えてからタイトルも好きになりました。
ネグレクト状態の子供時代を経て高校生で母に捨てられて、何とか生きていくうち前科者になってしまう主人公。
出所して、なんの希望もないまま工場に勤め、世話してもらった古いアパートで暮らすようになり、人との関わりの中で日々の幸せを感じられるようになっていく様子が優しく描かれています。

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ドラマティックな話ではないけれど、とても好きな感じでした。
「ハイツムコリッタ」の底辺ギリギリの住人たちの少しだけの幸福を味わえるような作品でした。
なるほど、「めがね」や「かもめ食堂」の監督さんの作品なんですね。
そういった映画の好きな人はこの小説もきっと気に入るはず!

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高校生の時に2万円だけ渡され母親に捨てられた山田は食べるために前科者になり、刑期を終えた後に塩辛工場の社長に受け入れられ、川のそばにある古びたアパート「ムコリッタ」で暮らし始める。引っ越した早々に風呂を貸してくれと言ってきた隣人の島田を筆頭に墓石を売る溝口など一風変わった住人たちとの交流や、父親の死をきっかけにどこにも居場所がないと感じていた青年がささやかながら日常生活を送ることができるようになるまでの再生の物語。胸に沁みる言葉が多く、とても心地いい物語だった。おススメ!

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タイトルの響きと表紙の可愛い印象と内容のギャップが激しいと思ってたけど、カバーのそっと押したくなる背中は読みながら気づく気づかなかったエールと幸せな気がした。

読み終わって個性的なアパートの住人たち、特に隣人の島田の図々しさにこういう人ほんと無理って思ったけどいなくなると少し寂しく感じるのが悔しくて「自分が死んだとき、寂しいって思ってくれる人がひとりいてくれたら、それでいいと思ってる」この言葉がしみじみ胸に響いた。

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悲しみを抱え不器用に生きる人達が住むハイツムコリッタ。助けてと声を上げなければ誰にも気付いてもらえない。小さな幸せを見つけて積み重ねていく事で人は変わっていける。読み終えると住人達を愛おしく感じるはずです。

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少し暗い作品でした。
現代の問題が様々な個所に散りばめられ、時間と人間関係を考えさせられてしまう。
かもめ食堂とは違いまた違う世界観を感じました。人がそばにいると煩わしいこともあるけれど
助けられることもあるとわかり不思議な空気感のある作品でした。
#川っぺりムコリッタ #NetGalleyJP

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