撃ち落とされたエイズの巨星

HIV/AIDS撲滅をめざしたユップ・ランゲ博士の闘い

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刊行日 2019/11/25 | 掲載終了日 2020/05/31

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内容紹介

12月1日の世界エイズデーを前に知っておきたい真実.敵は未知のウイルスだけじゃなかった

◯クイーンのフレディは,いまなら,死なずに済んだ

ーーHIVとの遭遇からまもなく40年,かつての死に至る病は,コントロール可能な慢性疾患と呼べるまでに.それを悪戦苦闘の歩みで実現させた,強靭な意志をもった有名無名の医師・研究者たちの歩み.

◯ヒトの叡智とHIVの攻防と,そしてエイズ対策の本質的な難しさ

ーーウクライナ上空で非業の死を遂げた国際エイズ学会・元会長ユップ・ランゲ博士の視点を通して振り返る.


【序文】メイベル・ファン・オラニエ妃

 二〇一四年夏のマレーシア航空MH17便撃墜の悲劇は、二九八名の男性、女性、子どもたちの命を奪い、遺族ははかり知れない喪失感に包まれました。また、世界のエイズ関係者も大きな衝撃を受けました。HIV/エイズと闘ってきた六名が、オーストラリアのメルボルンで開催される国際エイズ会議に向かう途中に命を奪われたからです。そのなかに、私の友人でもあり、エイズとの闘いにその一生を捧げたユップ・ランゲ博士と、パートナーのジャクリン・ファン・トンヘレンが含まれていました。

ユップは、HIV治療薬の普及推進運動のパイオニアでした。抗レトロウイルス薬による治療法が導入されたのち、彼は先頭に立って、貧富の別や出身地を問わず、HIVに感染したすべての人の手に薬を届けようとしました。彼はまた、妊婦から胎児へのHIV感染が薬で予防できることを実証する臨床試験を初めて行った人物でもあります。

ユップは厳しくかつ真摯な態度でリーダーシップを発揮してきました。権力者に対して率直に意見を言うことを恐れず、HIV問題に何ら対応しないこと、あるいは対応が不適切だったり不十分であることについて、彼らの責任を問いました。ユップの言葉は、ときに相手を困惑させたとしても、行動を起こさせる力を秘めていたことは確かです。アフリカのサハラ砂漠以南の地域に抗レトロウイル ス薬を普及させようとしても、お金がかかるし難しすぎると考えていた科学者や政策責任者は、今や有名になったユップの決まり文句に勇気づけられたに違いありません。

「アフリカのどんなへんぴな地域にも冷えたコカ・コーラやビールを届けることができるなら、薬を届けることも不可能ではないはずだ」

問題に対して現実的な手段で取り組み、意外と思われる相手(ハイネケンやタンザニア軍など)とも協力関係を結びながら、ユップはつねに、最も必要としている人々に対して薬や治療を届けるという目標を見つめていたのです。

ユップにとって、HIVは単なる感染症ではありませんでした。実態を知るうちに、病と貧困が切っても切れない関係にあることを彼は痛切に感じたのです。アムステルダムを拠点に飛びまわり、彼は世界各地の医療機関に足を運びました。カンパラのHIV専門の診療所から、バンコクの病院やナイジェリアの農村地域にあるHIV検査施設にいたるまで。どのような場所を訪ねても、ユップは現地の実情を知るために時間と努力を惜しみませんでした。HIVに感染した人々の話を直接聞き、より効果的な介入となるよう、革新的な解決方法を探ろうとしたのです。オランダの患者なら当然手に入るような薬さえ買うことができない人々の苦しみを目の当たりにするたび、彼は強い憤りを覚えるのでした。

病気の流行は社会的不条理によって勢いを増すということをユップは教えてくれました。そして彼はHIV対策にとどまらず、果敢にもアフリカのサハラ以南地域の医療制度改革に乗り出したのです。彼がファームアクセス財団を立ち上げたときの目標は、最貧の暮らしをする人々でも医療保険に入り薬を飲めるようにすることでした。そこまでやれるはずがないと言われることもありました。しかし ユップはそのような声には耳を貸さず、ジャクリンとともに、あらゆる人の医療を改善する取り組みを進めていったのです。

薬を最も必要としている人々に届けるというユップとジャクリンの取り組みのおかげで、おそらく何千万人もの人々が命を救われました。その努力は、二人の亡き後も続いています。将来を見すえた彼らの活動を今も引き継ぐファームアクセス財団、アムステルダム・インスティチュート・フォー・グローバルヘルス・アンド・デベロップメント、そしてユップ・ランゲ・インスティチュートは、彼 らが残した遺産のほんの一部に過ぎません。

やるべきことは、まだたくさんあります。ユップとジャクリンの思いやりと関心、そして強力なリーダーシップを失った今、私たち一人ひとりがHIV/エイズとの闘いに向けて、より一層努力しなければなりません。あまりにも多くの人が、日々新たにHIVに感染しています。それに予防や治療が可能となった今も、あまりにも多くの人がエイズで命を落としているのです。

科学者として、医師として、そして活動家としてのユップの一生を、語りつくすことはできません。この伝記はそのほんの一部に光を当てるものですが、本書がエイズ撲滅に向けた新たな活動を活性化し、その闘いに挑もうとする次なる世代の研究者・医師・政策責任者に勇気と希望を与えることを心から願います。ユップが示してくれたとおり、何かを変えたいと思っても、行動しない限り何も変わ らないのです。

12月1日の世界エイズデーを前に知っておきたい真実.敵は未知のウイルスだけじゃなかった

◯クイーンのフレディは,いまなら,死なずに済んだ

ーーHIVとの遭遇からまもなく40年,かつての死に至る病は,コントロール可能な慢性疾患と呼べるまでに.それを悪戦苦闘の歩みで実現させた,強靭な意志をもった有名無名の医師・研究者たちの歩み.

◯ヒトの叡智とHIVの攻防と,そしてエイズ対策の本質的な難しさ

ーーウクライナ上...


おすすめコメント

●本書は、全世界でエイズ予防の啓発活動が行われる、12月1日の「世界エイズデー」に合わせて刊行いたしました。日本全国でも、11月下旬頃から、12月中旬頃まで、さまざまなイベントなどが催されます。新刊時のみならず、毎年トピックスとしてご展開いただけます。

●本書の装丁も凝っており、表紙のデザイン使用されております「レッドリボン」は、エイズへの理解と支援の象徴を意味しております。
カバーをはずすと、「ブラックリボン」が大きくデザインされており、マレーシア航空17便撃墜の悲劇に巻き込まれ亡くなられたユップ・ランゲ博士への哀悼・追悼の想いも込められてデザインになっております。

●本書は、全世界でエイズ予防の啓発活動が行われる、12月1日の「世界エイズデー」に合わせて刊行いたしました。日本全国でも、11月下旬頃から、12月中旬頃まで、さまざまなイベントなどが催されます。新刊時のみならず、毎年トピックスとしてご展開いただけます。

●本書の装丁も凝っており、表紙のデザイン使用されております「レッドリボン」は、エイズへの理解と支援の象徴を意味しております。
カバーをはずすと、「ブラ...


販促プラン

本作品は、新レーベル「PEAK books」の第一作目です。 ノンフィクションコーナーにて、ぜひご展開ください。返品フリーにて承っております。 2月にはPEAK books 2作目、3作目が刊行予定です。

こちらから、本レーベルへの編集者の想いがご覧いただけますので、ぜひご一読ください。

https://peak.yodosha.jp/#concept

本作品は、新レーベル「PEAK books」の第一作目です。 ノンフィクションコーナーにて、ぜひご展開ください。返品フリーにて承っております。 2月にはPEAK books 2作目、3作目が刊行予定です。

こちらから、本レーベルへの編集者の想いがご覧いただけますので、ぜひご一読ください。

https://peak.yodosha.jp/#concept


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784758112109
本体価格 ¥2,000 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

謝意と決意を感じさせずにはいられない、熱意のノンフィクション。 不慮の航空機事故で亡くなってしまったユップ・ランゲ博士を中心とした、HIV感染に対する苦闘の歴史が描かれている。医学生期にAIDS発症者と接し、根絶を目指すことが自分の使命と感じた博士の想い・行動が周囲の状況と併せて描かれていて、HIV感染の悲惨さ、差別・偏見や無力感に対する怒り、それでも諦めない決意が医療従事者でない自分にも伝わってきた。全ての遠因として貧困・差別・偏見があると示されているようで、医療従事者でない自分でも貢献できることがあるのではとも思わされた。 「コーラを届けられるなら、薬も届くはず」か・・どこかのお偉いさんにも聞かせたい。

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ランゲ博士のHIV感染拡大を防ぐ戦いだけでなく、その周囲の事柄、人種問題、臨床試験問題、貧困などと戦ってきた歴史が詳細にまとめられています。ランゲ博士のお蔭でHIVの感染拡大を抑制できたとも言えます。このランゲ博士の偉業について、日本では全く語られたことも取り上げられたこともなく、また日本の科学者の口からも出たことがありません。そのような意味で、この本の価値は、非常に高いと思います。ただし個人的には、タイトルの日本語訳が引っかかります。それ以外は、必読の書だと思います。

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AIDS撲滅に邁進したユップさん。その波瀾万丈の生涯は人を惹きつける物があります。現代の「赤髭先生」って感じでしょうか。 AIDS、HIVに関する知識も得られ、現代人にとっては知っておくべきことばかりでしょう。 専門的な話が苦手な人にとっては読み進めるのがちょっと、、、かも知れないので、★一つ減点。 詳しくは私のブログに記事を掲載しましたのでそちらを見てください。

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飛行機事故で亡くなったユップ・ランゲ博士のストーリー。 真面目でかつ行動的なランゲ博士。 彼が飛行機事故に遭わなかったら もっと早くエイズの対策をうつことができ Queenのボーカルのフレディ・マーキュリーも もっと多くの作品を残すことが出来たのでは??? なんてことを思いながら読みました。 この本で初めてランゲ博士の事を知りました。 今はエイズは治療薬もあり、平均余命も長くなっています。 この本を多くの人に読まれることを望みます。

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読書動機はエイズ史を概観することだった。が、いつしか見知らぬエイズ研究の偉人・ユップと周りの人たちの奮闘を真剣に追っていた。何せ政治、利権(国、国連などの組織、製薬会社、活動家、寄付金調達、医療制度)、さらには人種・宗教上の偏見に対処せねばならないのだ。ゆえにユップら研究者の奮闘そのものがエイズの歴史とも言える。ウイルスに侵されたときの症状は、私が認識していたよりも数倍壮絶だった。試行錯誤の臨床試験の先に救いはあるのか知りたくて読んでいた(メモしたいことがたくさんある!!!)。ハイライトは、ユップがアフリカに渡ったときだろう。その現場を見たことがユップの原動力となる。「助ける/救う」とはどういうことか。正しさとは何かーー。なお、ユップの性格にはかなり難がある(完璧な善人にしない描写に好感)。それでも、かくも愛された理由は本書を読むうちにわかってくる。最後に、ユップはかなりの文学好きであることを付け加えておく(思いがけず文学や芸術の描写があるのも良かった。著者の力量!)。 追記。 本書の版元・羊土社さんは生命科学を基本とする医学出版社であることも今回はじめて知った(HPで面白そうな生命科学の本を数冊みつけたので読んでみたい)。 さいごに。 もうあと数ページのところにある、小説を書きたいし読みたい短編がたくさんある等々の描写。これらの「やりたいこと」・幸せ・未来はユップだけでなく一人ひとりに存在する。そのことの尊さを芯から(心の底から)実感して愕然とする。彼はもうできないんだと認識したとたん、絶望がこみ上げてきた。これは今の状況にも当てはまるから尚更。covid-19 に見舞われている現在、ユップがいてくれたらと思わずにいられない。。 いま、自分は生きている。何でもできる。そのことは当たり前ではない=いつ何が起こるかわからない。いま生きているしあわせを噛み締める。

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2014年のマレーシア航空17便撃墜事件で帰らぬ人となったユップ・ランゲ博士。この人はエイズ撲滅を願い行動を起こしていた人だった。 単に、エイズの広まった姿や、その病気の恐ろしさを伝えるだけでなく。 博士の情熱も伝わって来た。いい本だと思います。

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