法廷遊戯

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刊行日 2020/07/15 | 掲載終了日 2020/07/14

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内容紹介

第62回メフィスト賞受賞作!

法律家を志した三人の若者。 一人は弁護士になり、一人は被告人になり、一人は命を失った――謎だけを残して。



法曹の道を目指してロースクールに通う、 久我清義(くがきよよし)と織本美鈴(おりもとみれい)。
二人の“過去”を告発する差出人不明の手紙をきっかけに、 彼らの周辺で不可解な事件が続く。
清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨(ゆうきかおる)。
真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?

2020年3月、エンタメ界に激震をもたらす長編法廷ミステリー 。

第62回メフィスト賞受賞作!

法律家を志した三人の若者。 一人は弁護士になり、一人は被告人になり、一人は命を失った――謎だけを残して。



法曹の道を目指してロースクールに通う、 久我清義(くがきよよし)と織本美鈴(おりもとみれい)。
二人の“過去”を告発する差出人不明の手紙をきっかけに、 彼らの周辺で不可解な事件が続く。
清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨(ゆうき...


出版社からの備考・コメント

校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。


おすすめコメント

森博嗣さん、西尾維新さん、辻村深月さんら、人気作家を多数輩出している小説新人賞・メフィスト賞から、超弩級の才能が登場します! 
著者の五十嵐律人さんは、弁護士を目指す若き現役司法修習生です。応募原稿を手にしたとき、多忙であろうそんな人が、どうして今、小説を……?と不思議でしたが、読み終えて、絶対にこの小説を刊行したい!と興奮したことが忘れられません。ものすごく面白かったですし、もっとこの人が書く小説を読みたい、という衝動に駆られたからです。
五十嵐さんは、小説と法律、どちらに対しても確かな知識と情熱を持ち合わせた稀有な作家です。
ぜひご注目ください!
――担当編集者より

森博嗣さん、西尾維新さん、辻村深月さんら、人気作家を多数輩出している小説新人賞・メフィスト賞から、超弩級の才能が登場します! 
著者の五十嵐律人さんは、弁護士を目指す若き現役司法修習生です。応募原稿を手にしたとき、多忙であろうそんな人が、どうして今、小説を……?と不思議でしたが、読み終えて、絶対にこの小説を刊行したい!と興奮したことが忘れられません。ものすごく面白かったですし、もっとこの人が書く小説...


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※サイン本当選者は7月上旬にTwitterのダイレクトメールよりご連絡させていただきます。
※発売前作品のため、発売後に読まれる読者の皆様のためにも、「ネタバレ」は極力お控えいただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。


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2020年5月20日(水)~6月30日(火) 
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・講談社 文芸第三出版...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784065184479
本体価格 ¥1,700 (JPY)

NetGalley会員レビュー

二転三転するスリリングな展開で、一気に読ませる。小出しにされる真実に仰天の連続。散らばった伏線の回収の仕方もまさに論理の矛盾をついている感じがして、とてもうまい。法律の専門用語もサクを使うことで、わかりやすく説明されている。清義、美鈴、馨の三人が辿る運命がとても悲しい。そしてその上で、人が犯した罪には必ず償いとしての罰を受けなければならないのだということを考えさせられた。法律上では罪に対する罰の重さは決められているが、人が人生で背負っていく罰に「ここまで」という終わりはないのかもしれない。

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過去と未来、すべてはつながっていて、まるで過去の自分の犯した罪が、現在の自分を罰しにやってきたようだ。
因果応報という言葉が思い浮かんだ。
平和な毎日を生きる人間が法律や裁判所の下す判決の〝正しさ〟を疑うことはない。
私自身も本書を読んでいて、それらが完璧であることを根拠もなく信じ込んでいる自分に気がついた。
だけど、法律を作るのも、裁きを下すのも人間、であれば誤りがない、などということはあり得ない。
そうして、その誤りによっていくつもの冤罪が生み出されてきたのだった。
再審請求についてもその制度自体は知っていたけれども、それほどに要件が厳格ということも知らなかった。
私たちはあらゆることを知らないままで生きている。
情けないことに自分自身が被害者や加害者、不利益を被る側になってみないと、制度自体に欠けがあるという可能性にすら思い至らない。
その他にも〝無辜ゲーム〟を通して同害報復に基づく償いの方法や罪に対する罰の重さなど改めて考えさせられることがたくさんあった。
本書は物語であると同時に現行の司法機関の在り方を読み手に伝え、法律を学ぶ中で著者が抱いてきた問いが込められた作品でもあるのではないだろうか。
専門的な用語や制度に関してもその道に明るくない者でも理解することができるように法律を学ぶ学生たちを通してわかりやすい説明が丁寧になされている。
登場人物たちはそれぞれが重い過去を背負いながらも己の正義を貫くために、幸せになるために、がむしゃらに生き抜こうとするその必死さに心が揺さぶられた。
また、法律家を志す者だからこそ善と悪の間で葛藤する姿は辛く、彼らに救いの手が差し伸べられることを願わずにいられなかった。
彼らが迎えた結末は見方によっては最善の道を歩み出したとも思えるし、誰一人報われなかったとも受け取れる。
それだけに読み終えた後もまとまらない考えや感動や切なさなどの感情が渦巻いている。
しばらくの間はこの余韻を引きずりそうだ。

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法曹とミステリーとは意外と相性が悪い。法制度の原則を徹底すれば,真相がはっきりしないまま決着ということもある。言い換えれば,真相が必ずしも明らかにならないことを前提にしたのが法制度だからだ。
本作ではそのあたりがよく工夫が凝らされている。第一部では底辺ロースクールの生々しい実態を描くと同時に,「無辜ゲーム」という大きなフィクションを取り入れている。この「無辜ゲーム」は,告発者が立証に失敗すると罰をうけるとか,罰が同害報復に限られているなど前近代的な要素がありすぎていて,ロースクール生が行うものとしては物騒すぎるのだが,話を大きく展開させる要素となっている。これに加えて,主人公のダークヒーロー的な面もあったりして,本作が一筋縄ではいかないものである雰囲気を醸し出している。
第二部では実際の刑事裁判が舞台となる。弁護人として悪夢的な状況をこれでもかとぶちこんでいるところがよい。この絶望的な状況の解決は古典的なトリックの部類であり,証拠的にも"魔法の弾丸"が入手できてしまうものだが,「無辜ゲーム」を始めとした第一部から積み上げてきた伏線からの流れであって,入り組んでいながらも鮮やかである。 
ラストでまた二回転半くらいのひねりがあるのだが,最後まで法制度と法哲学を活かしたもので(よくあるリーガルサスペンスでは最後は真犯人が襲ってくるなどのアクションに走りがちである),本作によってあらたに「リーガルミステリー」を打ち立てたといえるような快挙だろう。

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「無辜ゲーム」という仕掛けがうまく働いていて、伏線回収も見事で、ぐいぐい読ませるミステリーだった。
「へーまあそういう展開だよな」と油断していたら、中盤から展開が二転三転。主要人物3人の辿る運命が、つらすぎる。神様なんていないよ。神様みたいな人もいないんだよ。

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読み始める前は心理ゲーム的な内容のちょっとエグい感じなのかと思っていたが全く違った。幼い時の生活環境があまりに酷く心が痛む。罪を憎んで人を憎まずという言葉が過ぎる。人間が判決を下す裁判。そこに完璧は無い。罪の真の償いとは。読了後、非常に考えさせられる内容でした。

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ロースクールでの無辜ゲーム。ずっとこんな感じなのかと思ったら、段々雲行きが怪しくなってきました。
過去の罪が現在へ。
罪は償わなければならないけど、それぞれの思いが痛ましいです。
裁判になってからは、一気読みでした。

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ロースクールでの模擬裁判を中心に起こる
いくつかの事件の章と、卒業後の生徒達が
関わる事件の章でできているリーガルサスペンス。
前章で模擬裁判をしながら各登場人物の
キャラクターだったりバックボーンが
過不足なく説明されていて、それを元に
後章で展開していくストーリーは秀逸。
悲劇的で、社会の在り方も考えさせられる。
「法律家が倫理を言い出したら終わり」
というセリフがありますが、この本を読んで
確かにそうだなと思わされました。
裁判員制度に反対はしていませんでしたが、
読了後は、裁判員の感情を含めた裁判は
判決を出すのがすごく難しくなるのでは?と思い
複雑な気分です。

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弁護士を目指す現役司法修習生が書いた本作。
内容紹介に加え、担当編集者の力のこもったコメントに興味を惹かれてリクエスト。
物語序盤のロースクールで開かれる模擬裁判での会話が少し難しく感じ、これ楽しめるかなと若干の不安を覚えつつも、過去に何があったのか登場人物たちの含みをもった会話や小出しにだされる情報に、ページを捲る手は止められなかった。
真相は明白、あとはどんな展開が待っているのかと思ったら最後の100ページで驚きの展開。
読み返してみると何気ない会話が、物語の核心をついていて、行動を起こした人物の覚悟がみてとれる。
けれどこれだけで終わらないのがメフィスト賞作家!そこから先はぜひミステリーの醍醐味を味わって欲しい。
この物語の後味は苦くて重い。完璧な正解を見つけることは難しいがこれだけは言える。
人は正義の使い方を決して間違ってはいけない。
この本はリーガルミステリー好きには勿論のこと、中山七里先生など社会派ミステリーを好む方に強くお勧めしたい。

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著者の五十嵐律人さんが、弁護士を目指す若き現役司法修習生という事で、事件、裁判等、ひとつひとつがリアルなのだろうと思った。単語が聞き慣れないため、少し難しく感じる箇所があったが、ストーリーが面白くぐいぐい引き込まれた。ただ、登場人物がみんな哀しい、、、。

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第62回メフィスト賞受賞作

ロースクールに通う 久我清義、織本美鈴、結城馨。
時は経ち、それぞれ弁護士になり、被告人になり、被害者となった。。。

作中にちりばめられた伏線の張り方と、回収の仕方が見事!

罪を認めて、罰を受け入れるのか、罰を拒否して、罪と向き合うのか。
正当な報いとは何なのか。
裁くのは誰なのか、裁けるのは誰なのか。
ラストはあまりにも切ない。深く余韻が残る。

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ロースクールで行われていた、自己にかかった被害について、審判者を間に加害者を指定する無辜ゲーム。そのゲームの参加者だった三人は、その後、一つの事件で、弁護士、被告人、被害者となる…。最初はこの変わったゲームや、一連の不可解な出来事がどのように何につながるのかと思いながら読んでいましたが、いざ、事件が起き、彼らの立ち位置が決まった後は、先が気になり一気に読み進めるしかありませんでした。凄く綺麗な構成で、伏線の回収やラストの畳みかけなど法廷ミステリとしてとてもよくできていると思います。読後の余韻も凄かったです。今後の作品も楽しみです。

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ロースクールに通う久我清義と織本美鈴と結城馨。
彼らが通う学校で行われていた本物の裁判を模した無辜ゲームにまつわる出来事。
そして美鈴の周りで起こっている嫌がらせ事件。一体だれが何のために・・・?
それらを引きずったまま、第二部ではロースクールを卒業したあとの彼らが、弁護士、被告、被害者となった事件が語られる。
なぜその事件は起こったのか?その事件の背景が少しずつ解されたとき、すべてがつながっていく。

第一部からのさまざまな伏線と共に、読みながら感じていた違和感をすべて回収するようなエンディングまで、見事でした。
読み終わった後は、登場人物たちの抱える過去と闇に切なくなりました。

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二転三転、四転五転、たどり着いた真実は??圧巻の法廷ドラマ登場!
法律家を目指す久我清義は仲間と共に、日々勉学に励んでいた。仲間内で息抜き兼勉強として「無辜ゲーム」を行っていたのだが、ほんとの事件が発生してしまう・・・。
有罪率90%以上の日本の刑事裁判を逆手に取る真実には圧倒されます。また主要登場人物3人のそれぞれの背景が明らかになるにつれ、真実が迷走しさらに袋小路に導かれていくようです。
「人」が「人」を裁く難しさを極上のエンタメとして昇華させた作品。

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舞台はあるロースクール。そこでは生徒たちによる「無辜ゲーム」が行われていた。
人が人を裁く。それは選ばれた人にしかできないこと。
主人公の清義は、司法試験に見事合格し、弁護士としての道を歩み始める。
そして、そんなとき事件は起こった。現役司法修習生が描いた、法廷ミステリー。
春からロースクールに通う我が子にも、おすすめしたい1冊。

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人が人を裁く制度とその基準、法制度と法理・法哲学をテーマにしたダークな物語。こういうテーマを少し硬めの文体で論理を構築しグイグイと読み手に迫ってくる本作は、もしかしたら読み手を選んでしまうかもしれない。私は文体・構成・テーマのどれも上手くまとめていると感じた。特に1部の「無辜ゲーム」は秀逸といってよい出来だと思う。この1部がなければ、今一つの三流法廷ミステリになってしまったと思うが、無辜ゲームという遊戯が読み手に法理を突き付けることで2部の下地を見事に作っている。とても面白かった。

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予想できたと思ったのもつかの間、たたみかけるラストの二転三転。色々すごかった。家庭環境、養護施設での虐待、教育にお金がかかること、冤罪、警察のシナリオに沿った捜査と起訴、罪と罰、友情まで絡ませて、盛り込みすぎでしょ。最後まで知りたい気持ちを途切れさせることなく、夢中で読みました。あの後どうなったのか、いいとこで終わって、気になります。

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小説はあまり読まないですし、特に推理小説は数年ぶりに読んだのですが、大変面白く読みました。
「法廷ごっこ」を通じて、裁判の専門用語や具体的な流れが自然と理解できて勉強にもなりました。
最後、怒涛のどんでん返しで、何回も何回もひっくり返されました!
事件とは別の、ミステリーも同時に進行して、読み応えがありました。

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広島 蔦屋書店 文芸コンシェルジュ 江藤宏樹

やられました!うまい!本当に新人の作品なのかと疑ってしまうほど。
途中に挟まれる様々な興味深い事柄が、本編に関係ないのかと思わせといて
実は、、、という見事さ。
これぞ王道の本格ミステリです。
でも、それだけじゃない。
青春ものとしても、素晴らしい。
そして、ラストまで響く「必ず守るから」というセリフ。
この言葉の真の意味を知った時、この物語のもう一つの側面が見えてくる。

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てっきり、あらすじを見る限り、ロースクール時代を中心とした物語かと思っていました。
しかし、この作品は2部に分かれていて、ロースクール時代が第1部で、そして第2部は、時が経ち、ある殺人事件を中心にした物語になっています。所々「この話いる?」と思っていたエピソードが、後になって活かされていることに驚きの連続でした。最終的に全てが繋がっている実感があり、作者の発想力が素晴らしいなと思いました。
第1部が、正直退屈かなと思っていたら、第2部での殺人事件を皮切りに第1部のエッセンスを加えながら、怒濤の展開になっていくので、しっかり第1部も見逃さないようにしてください。

作者が法律に携わっていることもあり、難しい法律用語はあるのですが、噛み砕いて柔らかく解説してくれます。
多くの法律用語が飛び交うので、その分リアル感がありました。特に法廷のシーンなどでは、緊迫感が漂っていました。
次から次へと意外な真相、登場人物たちの隠された真実など登場していくので、最後の最後まで目が離せませんでした。
次回作も期待しています。

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法曹養成関係者として、ミステリー好きとして読ませていただきました。大変面白かったです。

第一部は「無辜ゲーム」を中心としたロースクール生の日常生活、第二部はとある殺人事件の裁判を主軸に、物語は展開していきます。前半で小出しにされていたエピソードが全て回収されていく様は見事で、クライマックスの展開は一行一行目が離せないものでした。主要登場人物の暗い過去や、物語が終了したあと各々が背負っていく罪を想像すると、考えさせられます。

また、実際の裁判の手続に即した内容で、裁判の進行に沿った形で物語が展開されていく記述は巧みなものでした。
細かな刑事裁判手続も正確に記され、舞台装置として組み込まれながらも、知識を前提としない人であっても違和感なく読み込める作品となっていることは、この作品を他の法廷ものとは一線を画するものとしています。

また、神ならぬ人が裁くことの限界や、弁護人としての正義/検察官としての正義/裁判官としての正義が神の目から見た正義と食い違う部分があることは、刑事司法永遠のテーマでもあります。
そのことに正面から向き合わさせられる作品であるという意味でも、読まれるべき作品です。

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これは弁護士を目指す若き現役司法修習生が書いた、法廷を舞台に繰り広げられる小説である。
ヒューマニズムと功利主義、小説と法曹を天秤にかけたそのほとばしる才能に目を奪われる。
キーワードとなるのは実際の法廷を模擬した無辜ゲームなるシステム、強引にいいかえれば論破ゲームであろう。
遊び半分のゲームであるはずが、それが実際の裁判とつながっていくのは非常にスリリングである。
点と点がつながり線となり物語が進むスピードにあわせ、自分の中の何かが加速していく。
何かはなんであろうか?
この言い知れぬモヤモヤを、例えば「罪と罰」(ドストエフスキー)で描かれたソーニャの健気さに対するラスコルニコフの心境の変化と説く。
その心は自己犠牲への目覚めと言い換えることができるだろうか。
自分の感じるモヤモヤは、どうやらこの自己犠牲というバイアスに引っ張られているように思う。
本書では、ある1人の青年の死から大きく物語が動く。
何かを守るための自己犠牲なのか?
何かに復讐するための自己犠牲なのか?
ここでも自分の咀嚼した思考のバイアスが天秤にかけられている。
ヒューマニズムな母性と功利主義的な父性が絶妙にからみあいながらお互いを干渉し時に暴走を抑制したり促進させたりする。
制裁か救済か?
読み終えたあと、「あなたがかけた罪の意識の天秤はどのように傾いてますか?」そんなふうに言われているように感じた。

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一言でおもしろいです。リーガルミステリーならではの専門用語も分かりやすく表現してあり、すいすい読めます。登場人物に課せられた社会問題。それをを背景におきる二転三転する事件の行方を追いながら、正義とは何かを考えさせられました。愛とは、正義とは、永遠のテーマですね。

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命を懸けて仕掛けた馨の法廷遊戯が、一つの結末を迎えようとしている。

 法曹の道を目指すロースクールの模擬法廷で行われるゲーム。被害を受け告訴した者・刑罰法規に反する罪を犯した犯人・犯人が罪を犯したことを証明する者・審判し罰を与える者・傍観する者。審判し罰を与える権利を持つ者には、無辜の制裁・罰が科せられる。
 法曹に至る前の成長段階で行われる、遊戯。遊戯とは、そういう意味かと感じながら読み進めるうちに、罪とは言えない行為や、行為に至らない罪や、さまざまな事情を孕んだ罪が折り重なっていく。それらが、一人の若者が法廷に仕掛けた、遊戯へと繋がる。

 罪とは。罰とは。考えられ続けてきた問いにまた挑戦してしまうストーリー。一気に読み進めてしまう、一冊でした。


本が好き!倶楽部
まっちー

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普段、ミステリー小説を読まない私が、ラストへ近づくにつれて一気読み!
複数のピースが1つになっていく真相追求に心が惹かれました。


ミステリー小説を普段読まない人にもお勧めしたい本です。

というのも、ミステリー小説を読むのが苦手と思っている私が、
最後まで読み切れたからです。

私自身は、ビジネス本や自己啓発本をメインに読んでいるので
ミステリー小説本は、本屋で手にすることはほぼありません。
(自慢できる話ではありませんが・・・)

特に、小説の中でも法廷を舞台としたものは、
事件の真相や登場人物の把握などが複雑で苦手なイメ―ジを持っていました。

ところが、本作品は、数回に分けて読みましたが、
特に、ラストに進むつれて本を読んでいくスピードが加速していきました。

「法律家を志した三人の若者。
 一人は弁護士になり、一人は被告人になり、一人は命を失った――謎だけを残して。」

と本の紹介にある文言にあるように、
謎の事件について、複数のパズルが徐々に集まり真相究明の中で1つとなっていく姿は圧巻です!

著者の五十嵐律人さんは、弁護士を目指す若き現役司法修習生とのこと。
法廷内の描写もリアル感を感じさせてくれました。

まるで、名探偵コ◎ンの謎解きを見ているかのような気持ちで
リアルな法廷内で、登場人物がリアルに論議している姿が見えました。
いやあ~、見事でした。次作品もぜひ読んでみたいですね。

本が好き倶楽部@のり

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法律家を志した三人の若者。一人は弁護士になり、一人は被告人に。そして、もう一人は…。
複雑に絡み合う三人の運命と、二転三転する物語の結末とは。

犯した罪は、どれだけ時間が経過したとしても、決して消えるものではありません。
法によって罰せられ、償うのか。
もし、その道を選ばないとしたら、どうするのか。

著者は、現役司法修習生。本書には、法律を専門的に学んでいる方だからこその強い説得力があります。
人が人を裁くということの難しさ。
制裁とは、そして救済とは?
そして、正義とは何か。
様々なテーマが、息をつく間もなく押し寄せてきます。

著者の問いに、あなたはどう答えを出しますか?
その答えは、読み終えたあなたの心の内にあるはず。ぜひ、証言台に立ってみてください。

法廷ミステリと聞くと難しそうな気がしますが、作中、自然な形で法律の説明がなされており、とても読みやすい作品です。
普段、法廷ものを手に取らない方にもぜひ読んでもらいたい!

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その天秤は錆びているかもしれない。

刺が疼く。いつ刺さったのか知っているのは自分だけ。
天秤と十字架どちらに救われたい?
正しさとは誰が決めるもの?
重い扉の厳格な法廷と、薄暗い地下の接見室。法律の専門家にしか描けないリアリティー。



本が好き!倶楽部
みよひ

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人はどうやって理不尽な出来事に向き合うのか。

人は過ちを犯す。
犯罪は加害者と被害者を生み、
憎悪の感情は新たな憎しみを生む。
それらを論理的に解決する道標が法律であるなら、それに照らして行われる裁判の判決は完璧であるべきだ。
しかし実際はそうではない。
この物語のように。

物語は理不尽の連鎖である。

思えば自分が生きている現実の世も同じ。
偽証、裏切り、あらゆる権力によって真実はそこかしこで歪められている。

登場人物の言葉にあった
「同害報復とは、寛容の論理なんだ」
同害報復とは、された事以上の報復はせずに、それと同じ罰を与えて罪を許す論理。

被害者は苦しみを背負って生き続けるが、加害者は認定された罪により量刑され、罰を受け、償えば許される。

なんという理不尽、このやり場のなさ。

その罰以上の苦しみがあっても、それ以上の報復は実行しない。それを寛容と言った彼の、ひたむきに理性を保ち、合法的に解決しようとした日々を思うと胸がしめつけられた。

人が人を裁く難しさ、人としてのあり様を深く考えさせられる。
赦すことは並大抵なことではないが、赦すことでしか自分を救い、自由になる方法はないのかも知れない。

#書町レビュー

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メフィスト賞、満場一致で受賞という触れ込みに期待して読み始めた。その期待は裏切られなかった。良質なミステリー。法曹界に疎い素人にも理解できるように専門用語が登場人物によって解説されていく様も上手い。名探偵コナンを読んでいる気分だった。
 著者は、森博嗣に憧れる天才司法修習生とある。小説を書き続けながら、大学で教鞭をとるのなら、その授業を受けてみたい。次の作品が楽しみな作家が、また一人増えて嬉しい。

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罪と罰の境界を決めるのは、人か法かそれ以外か

法律を学ぶ学生達が学校内で行う裁判ゲーム。そこでは罪を名指しされた者と名指しした者が争い、敗者にはもれなく罰が下される。そのゲームには隠された目的があった。
卒業して弁護士となった主人公のもとにある日ゲームの再開を知らせるメールが届く。それは、過去から続く因縁をめぐる道のりの第一歩だった。
無罪を主張する旧友を弁護士として助けたいと葛藤しながら進む道はどこに続くのか。
謎めいた人間関係とリアルな法廷描写で手に汗握る本格ミステリー。様々な立場からみた罪と罰の意味について深く考えさせられる問題作。
ミステリー好きな人、法律を学んでいる方にオススメしたい一冊。

本が好き!倶楽部
かおる文庫
板谷薫

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法律が定めているのは、滞りなく社会を運営するためのルールであり、
個人の幸せを追求するためにあるのではない。
裁判は、その法律を使って社会から逸脱した人を人が裁くが、
その時の正しさは必ずしも絶対ではない。

そのことを誰よりもわかっている、とあるロースクールで法律を学ぶ主人公たち3人の、
それでも、と自分たちの過去、嘘、罪の鎖を引きちぎり、
必死で幸せを掴もうとする姿に何度か胸が詰まった。

ページをめくるたびに、信じたはずの真実がひっくり返り続けてびっくりし、
伏線が回収されるたびに、あの部分には矛盾があったんだとハッとし続ける。
とにかく読了まで感情が忙しかった。

現役司法修習生であり、弁護士になるべく忙しい日々を送っているはずの著者が、
なぜペンを執ったのか。その理由は、最後まで読めばわかるはずだ。

人間は、神様にはなれない。
何が罪なのかなんて、本当は誰にも分からない。

「仕掛けられた罪には、罰を以って答えよ。」

読後に、無辜ゲームのルールが頭の中をぐるぐると回り続けた。

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この遊戯にまんまと乗せられちゃってください!

最後のページまで、目を離してはいけません!!
最初からスリリング、息をつかせぬ展開で一気引き込まれました。幾重にも緻密に積み重ねられた論理に脱帽です。安心して、犯人に(著者に?)仕掛けられたこの遊戯にまんまと乗せられちゃってください。ラスト一行のなんとも言えない余韻を味わうことができます。

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文章自体は平易であるが、内容は法律の引用、その解釈や法手続き、裁判の仕組みなどがストーリーにそって織り込まれ、とても興味深く読めた。また人物が複雑に設定され、読者には次々と進展する状況に息をのむと言う上質なミステリーとなっている。

舞台は二流の法科大学院。その中の三人の逸材が中心となってストーリーは展開する。そして彼らが模擬法廷で行っていたのが「無辜ゲーム」である。裁判官役である審判者、検事役である被害者の告訴者、そして訴えられる犯人(弁護人とはいえない)-証拠を検証し、証人を選んで審判は始まる。そして法廷での論争の後に審判者が敗者を決め、判決を言い渡す。ここでのルールが目には目を歯には歯をと言う報復ではなく、罪に相当する罰を勝者が敗者に課すことができる。(こう書くとどう違うのかと言われそうだが、ネタバレにならないように実際のゲームを読んでいただければと思う。)

なぜこのゲームが行われたのか、それはストーリーが展開されていくにしたがって明らかになっていく。そして彼らが背負う過去が一つの事件へとつながり、それは現在の殺人へとつながっていく。「無辜ゲーム」と言う名の模擬法廷は、現実の法廷に場所を変え、三人の運命の糸は複雑に絡まっていくのである。

この法律を駆使したミステリーの面白さの一方で、「法の正義とは何か」と言う重い問いかけがこの物語のもう一つの側面である。彼ら一人ひとりの人生の選択は、一人ひとりの「法」への向き合い方でもあると言える。もちろん法律を志した者という前提であるがどんな生き方を選ぶのかと言う意味で私たちに問いかけているものだとも言えるだろう。

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展開が想定外の面白さ

ロースクールの
無辜裁判で始まり
法廷の裁判で終わる

3人の人生背景が複雑に絡み合い
それぞれが大切な人を想い
護るために行動し
犠牲を出してしまう
信じるとは何か
正義とは何かを
考えさせられました

専門用語がたくさん出ますが
さほど気にならず
さくさく読めました


本が好き!倶楽部
   みやこ

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よく考えると、最近、小説らしい小説を読む機会がなかった。世の中も疫病のおかげで気忙しく、私も公私共に思いもよらない状況下に置かれ、ますます小説から遠ざかっていた。
 しかし、世の中の流れは、今度は私に時間を与えてくれるようになったーーそしてこの本にたどり着いた。
 元々法廷ドラマが大好きで、海外の弁護士が主人公のドラマはほとんど見ているし、国内のドラマはすかさず見ている。そして探偵モノも同様なのだが、その二つの要素が楽しめて、まるでドラマを見ているかのようにスルスルと引き込まれ、あっという間に読めてしまうー
 そんな本です。

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多くの人に支持される小説は、誰もが存分に楽しめるように、工夫されているものだ。
苦手意識のあったジャンルの本でも、評判を聞きつけて読んでみたら面白くてハマった、という経験があるはずだ。

実は、本書の「法廷ミステリー」という紹介を読んで、読み始めるまでは気が重かった。
過去に複雑な法廷ものにあたり、物語の隅々まで理解しきれなかったり、途中で記憶があやふやになったりしたことがあったからだ。

 しかし本書は、私の法廷ミステリーに対する苦手意識を見事に消し去った。
この物語は、オセロゲームによく似ている。
オセロゲームは奥の深い緻密な頭脳戦でありながら、ルールは至極シンプルだ。
構えず、誰もが知的な遊戯を存分に楽しめるつくりになっている。
本書は、そんなオセロゲームに似た魅力をもつ、極上の法廷ミステリーだ。

法廷ミステリーに苦手意識があった私を振り落とすことなく、最後の最後のページまでたかぶらせ、夢中にさせたこの本。
法廷劇の難解なイメージに抵抗を感じた人にこそ、読んでいただきたい。

#書町レビュー

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むこ【無辜】
罪のこと。また、その人。  

無辜は無罪と同義語ではあるが、読み進めて行く内に少しニュアンスが違うように感じた。

この物語は、幾つもの哀しい悲劇が、折り重なって、最も大きな悲劇を導いてしまった。

それぞれが暗い過去を持ち、光と陰の様な関係で生きてきた二人の男女。そして、どことなく陰を感じる突出した異端のクラスメイト。
三人の『思い』は、どこに向かうのか、読みながらに目が離せなかった。

最後に現れたシンボルアイテムが、それぞれの道を導いてくれるに違いない。迷える魂の救済、そして慈悲の思いが込められていると、私は信じたい。

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冒頭の「無辜」という初めて見る何やら難しそうなこの2文字に、この小説は私には、難解物かも知れないとやや拒絶反応を感じましたが、読み始めると止まらない、意外なストーリー展開にぐいぐい引きつけられていきました。
時系列や人間関係などストーリーの組み立てが計算し尽くされていて、この若い作家さんの頭の中はどうなっているんだろう?と興味津々です。
難しい裁判や法律用語も注釈文無しで理解出来るように表現されていて、勉強にもなりました。
五十嵐律人氏の今後の作品、ご活躍が楽しみです!

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揺れ動く天秤が、最後に指し示すのは、
有罪か、無罪か?
その先にあるのは、
制裁か、救済か?
.
法律の道を志し、司法試験を目指す若者が学ぶロースクール。
輝かしい未来を追い求める場所であるはずのその場所で、三人の若者が囚われてしまったのは、ある罪にまつわる過去だった。
.
前半の学生達が興じる「無辜(むこ)ゲーム」では、ひとつひとつの言葉や状況を理解していくには、少し頭を使うことになる。
だがここで張って読み解いてみてほしい。

学生達と共に法律を学び、その奥深さと面白さを体感したその後の展開に、今までの全てが緻密で用意周到な伏線であったと必ず判るはずだ。

そして気がついた時には、無罪か有罪、どちらに傾くか分からない天秤が揺れるたびに、ひしひしと迫る緊張と責任の重圧に震えながら、ひと時も目を離せないくらい夢中になっているはず。

かつて同じ教室で学んだ彼らが、それぞれの正義をかけ、法律という武器を使って過去に立ち向かう。
これは、運命をかけた法廷サバイバルゲームである。

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ジェットコースターに乗っていたようでした

小説に入り込む幸せを久しぶりに感じました。本当にあっというまに最後のページで早く先を読みたいけれど終わってしまうのはもったいないと葛藤していました。

久我清義の決断 織本美鈴の決意
登場人物の想いが絡み合いどうなるのかが知りたくてページをめくる手ももどかしかったです

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清義さんの独特の感性と謎めいた美鈴。法の専門家であるからこその視点が、実に面白く、推理しながらもハラハラドキドキ、いつの間にか息をするのも忘れそうになる位小説の世界に入り込みました。事件の真相が知りたくて、知りたくて。かおるとは一体何者なのか、脳裏の片隅にありながらも、読みすすみ、驚くほどの結末。予想を、はるかにいい意味でうらぎられ、でもなぜか真理をつかれ、「被告人は、無罪-」の意味とは、、。考えさせられる。
色んな人生があり、様々な考えをもった人がいる、自分ならどうすればよかったのか、どう考えるか、どう捉えるか、実に面白い。どなたにもおすすめします。


本が好き!倶楽部
ちゃこちゃん

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『法廷遊戯』には、いくつかの罪が描かれている。
その行為は正しいものではない。
けれどわたしはどうしても、作中で罪を犯した全ての人を悪人と呼ぶことができない。
それぞれに、大切なものを守るための正義があったからだ。

人には人の正しさがある。
でも主観のみで正しさを決めてしまえば、見えない部分も必ず出てくる。
それを忘れてしまったら事実を見誤るし、不理解によって人を傷つけるかもしれない。

わたしだって間違いたくないし、いつだって正しくありたいと思う。
けれど今自分にとって正しいことが、誰にとっても同じように正しい訳ではない。
そのことを作中の人物たちから突きつけられる。

だから正しくないと感じたことも、感じたままには受け取らない。
その背景を想像して、深く考える。そういう態度でいたい。

この小説を読んだ人にも、どうか考えてみてほしい。
正しくないように見えた行いの背景に何があるのか。
何が人をそうさせたのかを。
「自分の中の正しさを疑う」という楽ではない体験を、こんな時代だからこそしてほしいと思う。

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法律家を志してロースクールに通う三人の若者。彼らが卒業後に、そこでとある殺人事件が起こる。どうやら彼らが関与しているようだが... 法廷を舞台に真実が明らかにされていく。

最初のうちは彼らが取った行動の意味に疑問を持ったし、供述で不自然に感じられることもいくつかあった。しかしながら、巧みな尋問で矛盾が解消され、伏線が一つ一つ回収されていく。この回収のされ方が凄まじく、話が急展開していくのでページをめくる手を止めることができなかった。後半は人生で最も読むのが早かったと思う。

読後、どうしてこのような手に汗を握る法廷劇が書けたのか不思議に思った。著者は弁護士を目指す若き現役の司法研修生なのだ。なるほど、だから法律を題材にしてここまで緻密に話を組み立てることができるのか。彼はこれから弁護士になるのだろうが、私は小説家になるべきだと思う。いや、二足の草鞋もありではないか。

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人間の幸せとは何なのか。誰かの役に立ち世の中を正すことに幸せを感じる人がいれば、人に褒められ、愛されることに幸せを感じる人もいるだろう。このように幸せの価値観は様々で、白と黒で判断できない。

しかし、法律の審判は無罪と有罪という「白」「黒」しかない。法律は紛争を解決するために必要なルールであるだけで、必ずしもその先に幸せを用意してはいない。
幸福とは掴みどころのない概念で、合理的な説明ができるものではないが、誰しも幸せになろうと試み、幸せは存在すると信じていて、白でも黒でもない曖昧な概念の中に幸せを見出している。

最後の一ページをめくり終えた時、単なる小難しい法廷ドラマではない、法律の「白」「黒」はっきりさせる残酷な一面と、その「白」「黒」が必ずしも幸せに結び付かないのだ、という事実が突きつけられるたびに、言いようのないジレンマで胸が張り裂けそうになり、気持ちのおさまりがつかなかった。
白黒分けることが出来ない幸せは、何によってもたらさられるのかについて考えさせられる作品である。

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あまり、法廷物もミステリーも普段読まないのですが、難しい表現も無く、とても読みやすかったです。テンポ良く話が進み、飽きることなく最後まで一気読みしました!! 真実が分からない事はたくさんあるんだろうなと思いました。

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法の前に、人は無力である。

普段はあまり気にもしないが、法律という絶対的な基盤の上で、私たちは生活をしている。 

完全なロジックで絶対的な存在、それが法律だ。

法律は真実を決めているが、必ずしもそうではなく、冤罪はそこかしこに転がっている。

法廷遊戯はロースクールの同級生たちが社会に出てからのお話だ。

序盤から漢字がいっぱい、法律用語わんさかと象形文字の様に見えてくる。

でも頑張って読み進めると完璧なロジックが浮かび上がってくる。

そして鮮やかな伏線回収に度肝を抜かれる。

まさにタイトル通り「法律」が「遊戯」しているかのようだ。

読後、改めて思ったことがある。

法廷には絶対呼ばれたくないし、こういうお遊びは外野から見ているに限る。

ロジックが好きな人や著者の手の中で転がされたい方は、是非読んでいただきたい。


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「リーガル本格」と評されたイギリスの推理作家シリル・ヘアーを思い起すような小説です。
ヘアーと同じく法の、少なくとも一般の人にとっては意外な側面を軸にしたミステリ。息をつかせない展開の速さや、法とその運用はどうあるべきかとでもいった作品に通底するテーマなども印象に残りました。

ヘアーの作品についてはしばしばアンフェアであると評されることがあったらしいが、『法廷遊戯』の作者は前提となる知識を少なくとも最低限説明しているところは好ましいように思います。その説明の仕方もなかなかわかりやすい。

それだけに事件の真相の骨格がかなり早い段階で見えてきてしまうところがあるように思います。

作者が自らの武器を活かして、今後も高水準なリーガル・ミステリを書いてくれることを期待します。

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人間が人間を裁くには、確信に近い心証を形成し、法廷で起きた過ちは、法廷で正す必要がある。
久我と美鈴、そして、結城馨。高校三年生の夏、選択を誤った僕たちは、許されざる罪を犯した...
模擬裁判から裁判所の裁判へ。すべてが繋がったとき、なるほど、だから法廷“遊戯”なのかと腑に落ちました。
全体的に硬くて思い空気感の流れる作品だが、サク(佐倉咲)の存在に救われる。

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これまで、法律や裁判を扱う物語はそこに出てくる用語が難しくて、興味はもっても苦手意識の方が強かった。本作品もまた、タイトルから受ける印象や量の多さに読み終えられるか不安があった。

それが、読み始めると話の先が気になってページをめくる手が止まらなくなりあっという間だった。いつもと違うのはなぜだろうと考えてみたら、難しい法律の用語は出てくるが、それを登場人物の口を借りて分かりやすく再度書き表してくれていたからだ。だから、どういう意味なのか、なぜ今使われているのかということがすぐに理解出来たし楽しめた。
それともう一つ、主人公だけでなく、他の登場人物の背景や性格が細かく描かれていたことだ。その為、事件の動機や手段が分かりやすく、物語に寄り添いながら読み進められることができたのだ。

読み終えて、これまで抱いていた苦手意識が克服されたような気がした。なので、もし私と同じように感じている人がいれば、ぜひ読んでみて貰いたい。読めばきっと、これから興味をもつ本の幅も広がると思うのだ。

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法律家を目指して、ロースクールに通う学生たちの間では、模擬裁判が「無辜ゲーム」という名前で、行われていました。そこから始まるミステリーと法定劇。
主人公たちは、青年期の境遇からの自分の力ではどうにも出来ない現実に立ち向かい、脱却しようと奮闘します。しかし、法律や裁判は人が作ったもので、完璧ではないために、主人公たちの思うようにはいかなかったのです。私は、それを目の当たりにして、辛い思いでいっぱいになりました。
けれども私は、理不尽な現実から脱却しようとした主人公たちの頑張りは、無駄ではなかったと思います。なぜなら、彼らの行動によって、たとえ思うようにはいかなかったとしても、少しでもかわった現実があるのではないかと思うからです。
私も、自分の力ではどうにもならない現実を、諦めたくないですし、その為にどうすればよいのか、考えていきたいと思いました。
書町レビュー

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とあるロースクールに通う主人公の二人。
ある日学内で、彼らの過去が書かれたビラが出回り、この日を境に犯罪まがいのいたずらが繰り返されるようになる。
そこで学年一の秀才である同級生に助けを求めた二人だったが、事態は思わぬ方向へと向かう。

私は当初、推理小説だからと推理する気満々で読み始めたが、次々繰り出されるどんでん返しに、ついていくのがやっとでそんな余裕などなくなり、
ずっと、やられた!うそ!それは!と、びっくりするばかりだった。
驚きすぎて疲れてしまったが、読み終えた後は心地の良い疲労感だった。
また描かれる人間ドラマも読みごたえがあり、主人公たちの思いを知るたびに切なくなり泣きそうになった。

アッとびっくりする倒叙ミステリーが好きな人はもちろんのこと、
推理小説はあまり読まない、日常を描いた小説が好きだという人もきっと楽しめる一冊だ。
驚く覚悟と泣く覚悟をもって、じっくり読んでみてほしい。

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すごいものを読んでしまった。
感情が追いつかない怒涛の展開。
正しさとはなんだろうか。償うとはなんだろうか。
前半はエンタメであり、後半は骨太なミステリ。
あらゆる意味で面白かった。
これがデビュー作なんですか?
今からでも次回作が読みたい位です。

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同じロースクールに通っていた若者たち。彼らはなぜ、そこで出会ったのか。
複雑に絡み合うそれぞれの過去。終盤に近づくにつれ、徐々に解き明かされていく真実に釘付けになり、
気がついたら、周りの音も聞こえないほど夢中になっていた。
言葉の裏に隠されている真意とは。すべてがつながったとき、驚愕の真実が明らかになる。
運命は時に残酷だ。罪と罰。正当な報いとは何か。さまざまな思いが頭を駆け巡る。
過酷な運命に翻弄される人々の切なくも秀逸の法廷ミステリー。
大切なひとを守りぬきたいと思ったとき、人はどこまで自分を犠牲にすることができるのだろうか。

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読者を飽きさせない様に新しい展開がリズム良く散りばめられていたり、専門用語も必要最低限にしてあることからとても読み易いと感じました。私は法廷ミステリーが好きなのですが、裁判の場面も十分楽しめます。終盤、登場人物達の行動原理が明らかになるところも読者のツボをおさえています。一気読みさせる本ですね。

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メフィスト賞受賞作品。作者は現役司法修習生だそうで法とは、罪と罰とはというテーマにミステリの切り口で挑んでいる。ロースクールに通う清義と美鈴は養護施設出身で過去にある事件を起こしていた。隠された過去、葬られた真実が法廷で明らかにされる過程はなかなか面白いのだが動機がいまいちしっくりこない。それでもラストまで幾度も練られた展開に作者の力量を感じる。次作はどう攻めてくるか期待。

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作者が司法修習生ということで、法律的な内容もふんだんに盛り込まれ、面白くも為になる作品でした。前半の無辜ゲームの章と、後半の法廷遊戯の章がやや分断されたような気がしましたが、終盤で無辜ゲームのルールが効いて来る!様々なエピソードが後で生きて来る展開はミステリの王道だし、ラストには小さなどんでん返しも用意されていて、最後まで楽しめました。施設のトオルが伏線として後で何かに関係して来るかな……と期待したけど、そううまくはいかないですね笑。
心に残ったのは、”冤罪は神のみぞ知る“という言葉。考えさせられました。
法廷物としては、主人公の心理描写に頼るより法廷での丁々発止のやり取りをメインに進めていく方が臨場感があるので、次回はそんなスリリングな法廷ものを是非、書いて欲しいです!

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ロースクールに通う学生たちが模擬法廷で行う疑似裁判の顛末を描く「無辜ゲーム」と、彼らの卒業後に起こった事件の発生から判決までの行方を追う「法廷遊戯」の二幕構成からなる法廷ミステリ。とてもおもしろく、とりわけ第2部に入ってからは一気読みだった。

第1部で扱われた3つの事件のあらゆる部分を鍵にして第2部の事件を解決していく展開が素晴らしく、謎が解けていくたびに夢中になり体温が上がった。一方で、久我清義、織本美鈴、結城馨の3人の中心人物の過去が少しずつ明かされていくにつれてやりきれなさと怒りが高まっていくのを肌で感じた。臨場感のある巧みな描写にまるで清義たちをよく知っているかのように錯覚させられ、感情をひどく揺さぶられた。

クライマックスですべてが繋がっていく爽快感はすさまじく、虜になる。余韻の残るラストも見事で、もう一度読み返したくなった。また、佐倉咲や権田の本筋には薄くしか絡まない挿話までもが印象に残っていて、主人公たち以外の将来も気になった。

洗練された語りや法に基づいた冷静な思考と、司法に対する疑問から生まれた行動や若者らしい青さといった硬軟のバランスも絶妙だったように思う。ミステリファンだけでなく様々な読者に手に取ってほしい作品だった。

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端的に言えばリーガルを舞台としたホワイダニットになるでしょうか。
法曹三者を目指す3人のロースクール生、それぞれの罪と罰。
あたかも傍聴席にいるような感覚で一気に読了しました。
評者の1人がサプライズとカタルシスを併せ持った稀有な作品とコメントしていましたが、
まさにその通りだと感じました。
司法制度の限界と人が人を裁くことの重さ、それに殉じる若き3人を描いた本格の香りも薫る本作は、
来年の本屋大賞にノミネートされるのではないでしょうか?

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専門的な分野の話もきっちりわかりやすく、ストーリー展開の面白さ、所謂エンタテインメント性もしっかり持ち合わせ他作品と思いました。デビュー作とは思えない作品。

主人公正義(セイギ)が通うロースクールで流行っている変わった遊び(無辜ゲーム)なる模擬裁判が、遊びの域を越えそうなきな臭さを帯びてくるところで、なるほど現実と理想(仮想)の間を巧みに利用する犯罪を暴くような話に展開するのかなと、素人ながらに推測しましたが、そんなレベルでは全然なかった。
こんな風に想像を膨らませながら、読み進めて『あ、そっちだったか〜』、『引っ掛けられた〜』等と思える作品は大好きです。本作品にもその要素がふんだんに盛り込まれています。
また読者に考えさせて答えを出さずに終わったものが気になりますが、私なりの答えを心の中で出しておこうと思います。

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ロースクールで学ぶ久我、美鈴、馨。
舞台は模擬裁判から法廷へ。
起訴後の有罪率99.9%の検察にどう挑むのか。
臨場感溢れる法廷シーン、検察側の登場人物のキャラもイイ。
しかし、予定調和の展開にちょっぴり感じる違和感。
独特なキャラの切れ者馨が拘る裁く者としての姿勢。
馨が証拠を託した相手は?
明らかになる素性。
ポイントは影のように寄り添う二人。
見事な伏線の回収。
最後に大どんでん返し。
引き込まれました。😊
司法の在り方、人が人を裁くこと・・・・・。
考えさせら

ポイントは影のように寄り添う二人。
見事な伏線の回収。
最後に大どんでん返し。
引き込まれました。😊
司法の在り方、人が人を裁くこと・・・・・。
考えさせられました。🤔

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法曹界を担う若者たちが、法廷で丁々発止のやり取りで事件を解決してゆく…というような法廷のお話かと思っていたら、思いもよらない展開にびっくりしてページを捲る手が止まらなくなりました。
あれ?被害者だと思っていたのに…?
あれ?仲間だと思っていたのに…?
誰の話を、どの状況を信じればいいのか。最後の最後まで気が抜けない、そして、やっぱり驚かされる。してやられました。
そして、その『してやられた』ラストで、立場が違うそれぞれが起こす言動が全て、自分ではなく大切な誰かの為のものだったと気付かされ、大きく胸打たれるのです。やはり、してやられました。

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最初の方は一体どういう展開になっていくんだろうと淡々と読み進めていましたが、
馨が死んでからの怒涛の展開で急に面白くなってから一気読みしました。
馨の思惑が全然読めなくて、美鈴もなかなか真実を明かしてくれない。
「無辜の制裁」という言葉だけが頭に残って、最後の展開に「なるほど、そういうことなのか」と納得。
さらにそれだけでは終わらない展開に非常に満足した一冊でした。

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司法試験を控えた学生たちのリアルな裁判ゲームの展開は面白く、張り巡らされた伏線にハラハラさせられた。二転三転しながらじわじわと物語の核心に迫っていく運びにするする読めてしまった。変えられない過去と、それに付随する今、そして回避できない未来。人が人を裁くことの難しさを感じずにはいられない。

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法廷遊戯
遊戯とは遊びたわむれること。

ロースクール生が法廷を舞台に、遊ぶように青春を謳歌していく物語なのかなと、勝手に想像してしまっていた。
実際は、静かに感じた。
なぜなんだろうか…
法廷から受ける印象からなのか静かだった。

法律や裁判ってなんだろうと考えさせられた。
罪は法律があるから生まれる。
殺人を犯しても、殺人罪がなければ罪にはならないし、罰せられない…
昔はなかったかもしれないが、今は、法律があり罰せられる。
でも、証明できなければ無罪になる。
無罪は無実ではないのか。
罪を犯してなくても、偽ものでも証拠かあれば罪になるかもしれない…いわゆる冤罪。
人が裁くことは、全て正確というわけではない。

どんな理由があろうと、罪に手を染めてしまったら幸せにはなってはいけないのか…

3人のロースクール生の運命は…
幸せになって…と思ったけど…

最後の場面は何度も読み返した。
心が痛めつけられるような切なさ…
通じ合ってるはずなのに…
涙が溢れた。

著者の五十嵐律人さんは、弁護士を目指す司法修習生でもあるとのこと、
難しい法律用語が出てくるけど、丁寧に物語の中に組み込まれていて分かりやすかった。
素晴らしい才能に感謝!
メフィスト賞受賞おめでとうございます‼︎

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素人にはなかなか理解が難しい法律や制度などについて、「無辜ゲーム」という学生間の裁判ゲームを通して分かりやすく説明されていたので、話し自体に集中することができました。
後半、様々な謎が明らかになっていき面白くて一気に読みました。話の繋がり方、最後の二転三転する結末。すごく惹き込まれました。
色々な社会問題も盛り込まれていて、さらに人が人を裁くことの難しさなどとても考えさせられました。

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罪を裁かれるとはどういうことか。そうするしかなかったのか、それで良かったのか、密かに抱えているものがあった登場人物たちに突きつけられ、良心が問われる中で向き合ったそれぞれの結末が、とても真摯で印象的な物語でした。

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これがデビュー作とは。
なんたる才能か!
どうやら作者の方、本当に弁護士の卵みたいです。
物語は大学で行われる模擬裁判もどきから始まります。
そこで裁判長を務めていた頭脳明晰な大学生が
のちの被害者に。
そして容疑者として逮捕されたのはその学友であった女性。
この大学生の時のお話と事件が繋がっていて
とっても読み応えあり。
ミステリー好きならぜひぜひ読んで欲しいです!

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「無辜」ってなに?まず読者はそう思うだろ。あまり馴染みの無いロースクール。そこで行われている「無辜ゲーム」を通じて司法修習生たち。その主な三人の過去から現在までの経歴を描く事で、この物語りに馴染むことが容易にできた。ここに出て来る人たちはみんなこんな生き方しかできなかったのか?読んでいて度々そんな思いになった。
後半、三人は弁護士、被告、被害者となり法廷シーンが続くが、そこからは人格不詳な証言者、辛辣な検察官と共に、目眩く展開で二転三転、新人弁護士の奮闘ぶりなど読みどころ満載です。

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司法は絶対的なもので、間違いのないものだと、多くの人は認識している。裁判とは唯一無二の真実を見つける場ではなく、黒or黒ではないのいずれかを立証しようとする手続きに他ならないのだと思い知らされる。有罪か無罪かは裁判官が決めるが、冤罪かどうかは神様しか知らない、という言葉が印象的。疑わしきは罰せず。同害報復。罪を憎んで人を憎まず。正義という言葉そのものの驕り。神が裁くべき事柄を人間が裁くことの傲慢さ。罪と罰を天秤にかけ、剣を振り翳す権利は果たして人にあるのだろうか。理性的で真実に最も近くあるべき法廷に復讐を持ち込むのは、まさしく法廷遊戯。

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不穏なゲームの始まりと過去の秘密、人が人を裁くことの難しさや重さをしみじみ感じました。
すべてがこんな結末でよかったのか?主人公は、もちろんですが、他の登場人物もそれぞれ個性的で
どこにもいるような感じでした。
どこかでこんなことが起きても不思議ではないと思いました。
次回作にも期待できる作品でした。#法廷遊戯 #NetGalleyJP

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この青春群像は必読。
リーガルミステリという枠組みを中にいるが、友情、愛情、譲れないプライド。全てが眩しい。超オススメの青春ミステリです。
デビュー作にして、軒並みランキング上位にランクインしたのも納得の傑作。

メフィスト賞はこれだからやめられない。

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