夏物語
川上未映子
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刊行日 2019/07/11 | 掲載終了日 2020/03/01
ハッシュタグ:#夏物語 #NetGalleyJP
内容紹介
「自分の子どもに会いたい」と願う夏子に届くさまざまな声。この世は生まれてくるのに値するのか。エネルギーに満ちた世界文学の誕生。
「自分の子どもに会いたい」と願う夏子に届くさまざまな声。この世は生まれてくるのに値するのか。エネルギーに満ちた世界文学の誕生。
おすすめコメント
第73回毎日出版文化賞
文学・芸術部門受賞!世界十数カ国で翻訳が決定!!そして、2020年本屋大賞ノミネート。生まれてくることの意味を問い、人生のすべてを大きく包み込む、泣き笑いの大長編。
著者渾身の最高傑作です! まだまだご感想を募集しておりますので、レビューを是非お願いいたします。以下、著者からのメッセージです。
『夏物語』は、これまで書いたなかで、いちばん長い物語になりました。小説を書くときはいつも怖いし、困っているし、不安でたまらないのですが、でもこの作品を書いているときはそんな自分の感情や都合が入り込めないくらいの強い何かにずっとずっと惹きつけられていました。子育ても家事も、ほかの仕事も生活もしていたはずなのに、執筆期間のことがうまく思いだせません。この数ヶ月のあいだ、わたしは『夏物語』の登場人物たちの喜びや悲しみや苦しみ、そして笑顔や生きてきたみんなのさまざまを聞く、耳や目そのものにでもなったようでした。書き終わったとき、前髪のほとんどが真っ白になっているのを鏡のなかで見つけてびっくりしたのですが、もしかしたらここではないどこかべつの場所に行っていて、なんとか戻ってこれたのかもしれないな、そしてこれは、わたしの体に残った旅のしるしなのかもしれないな、とも思いました。 とくべつな誰かに会うために、どうしてひとりではだめなのか。 そもそもなぜ、わたしたちは知りもしない誰かに会いたいと思うのか。 生むこと、生まれてくるとはどういうことなのか。 わたしたちにとって最も身近な、とりかえしのつかないものは「死」であると思うのですが、生まれてくることのとりかえしのつかなさについても考えてみたいと思っていました。そして書き終わったいまでも、その思いはさらに深まり、わたしをノックしつづけています。 最後のページから顔をあげたとき、読んでくださったかたは、何を感じてくれるでしょう。こんなふうに生まれてきて、生きて、死んでゆくこの世界のいっさいを、どんなふうに感じてくれるんだろう。 風は? 光は? 思いだす誰かのこと。もう帰らない日々、いつでも思いだせる笑顔、すべて。もし叶うなら、わたしはひとりひとりと、そんな終わりのない話がしてみたい。小説を書くということは、もしかしたらその気持ちとつながっているのかもしれません。 『夏物語』が、どうかあなたの人生の大切などこかと結びついて、いつまでも響きあう物語でありますように。 川上未映子
『夏物語』は、これまで書いたなかで、いちばん長い物語になりました。小説を書くときはいつも怖いし、困っているし、不安でたまらないのですが、でもこの作品を書いているときはそんな自分の感情や都合が入り込めないくらいの強い何かにずっとずっと惹きつけられていました。子育ても家事も、ほかの仕事も生活もしていたはずなのに、執筆期間のことがうまく思いだせません。この数ヶ月のあいだ、わたしは『夏物語』の登場人物たちの喜びや悲しみや苦しみ、そして笑顔や生きてきたみんなのさまざまを聞く、耳や目そのものにでもなったようでした。書き終わったとき、前髪のほとんどが真っ白になっているのを鏡のなかで見つけてびっくりしたのですが、もしかしたらここではないどこかべつの場所に行っていて、なんとか戻ってこれたのかもしれないな、そしてこれは、わたしの体に残った旅のしるしなのかもしれないな、とも思いました。 とくべつな誰かに会うために、どうしてひとりではだめなのか。 そもそもなぜ、わたしたちは知りもしない誰かに会いたいと思うのか。 生むこと、生まれてくるとはどういうことなのか。 わたしたちにとって最も身近な、とりかえしのつかないものは「死」であると思うのですが、生まれてくることのとりかえしのつかなさについても考えてみたいと思っていました。そして書き終わったいまでも、その思いはさらに深まり、わたしをノックしつづけています。 最後のページから顔をあげたとき、読んでくださったかたは、何を感じてくれるでしょう。こんなふうに生まれてきて、生きて、死んでゆくこの世界のいっさいを、どんなふうに感じてくれるんだろう。 風は? 光は? 思いだす誰かのこと。もう帰らない日々、いつでも思いだせる笑顔、すべて。もし叶うなら、わたしはひとりひとりと、そんな終わりのない話がしてみたい。小説を書くということは、もしかしたらその気持ちとつながっているのかもしれません。 『夏物語』が、どうかあなたの人生の大切などこかと結びついて、いつまでも響きあう物語でありますように。 川上未映子
出版情報
| 発行形態 | ハードカバー |
| ISBN | 9784163910543 |
| 本体価格 | ¥1,800 (JPY) |