お誕生会クロニクル

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刊行日 2020/09/17 | 掲載終了日 2020/09/17

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内容紹介

3.11に双子を出産した遠野多香美。4歳になる双子を保育園に預け仕事に育児に奮闘する日々だが、3.11に生まれたということで仙台に住む実母との間にわだかまりがずっと残っている。多くの命が犠牲になった日だが、多香美にとっては大切な双子の生まれた祝いの日。しかし東北に住む母は素直に祝う気持ちになれないようで――「あの日から、この日から」

娘の小学校ではお誕生日会を開くことが禁止されている。しかし、中国籍のクラスメイトがそのことを知らず、クラス全員を誘ってお誕生日会を開くといい――「ドールハウス」

実は戦後の文化であるお誕生日会。その有様をみることで、家族が、人間が見えてくる。

全7篇の短編集。

3.11に双子を出産した遠野多香美。4歳になる双子を保育園に預け仕事に育児に奮闘する日々だが、3.11に生まれたということで仙台に住む実母との間にわだかまりがずっと残っている。多くの命が犠牲になった日だが、多香美にとっては大切な双子の生まれた祝いの日。しかし東北に住む母は素直に祝う気持ちになれないようで――「あの日から、この日から」

娘の小学校ではお誕生日会を開くことが禁止されている。しかし、中国籍...


おすすめコメント

「お誕生会」にどんな思い出がありますか?

家族や友達、身近な人たちの姿が浮かびあがってくるような一冊。

一話一話が胸に迫ります。

「お誕生会」にどんな思い出がありますか?

家族や友達、身近な人たちの姿が浮かびあがってくるような一冊。

一話一話が胸に迫ります。


販促プラン

★8月31日まで★

初回指定承ります。

光文社書籍販売部・荒井(☎03-5395-8112)までご連絡ください!

注文書もアップしておりますので、販促素材からダウンロードしてお使いください。

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出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784334913663
本体価格 ¥0 (JPY)

NetGalley会員レビュー

少しずつ登場人物が重なっていくオムニバス、こういう形式好きです。どのお話もよかったけど、特に人事部長さんと、女性ファッション誌の編集部員くんに共感しました。どの人にも等しく訪れる誕生日。年代や性別によって共に過ごす人や心持ちは変わってきますが、いずれの登場人物も、派手ではない人生の変わりばえしない日常の中で、誕生日が幸せを噛みしめるきっかけになったことに安心しました。

読ませていただき、ありがとうございました。

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お誕生会をテーマにした7篇の短編集となっています。短編集ですが、全て登場人物が繋がっているので最初から順番に読んで下さい。
それぞれのお誕生日の思いが詰まった本です。共感出来ることも多く、考えさせられる事、涙無しでは読めない感動作もあります。
文中に新型コロナウイルス、マスク不足など書かれてる所もあり、今後の出版される本にも新型コロナウイルス関連が書かれる事多くなるのだろうなと思いました。

自分の子供の頃や大人になってからの誕生日会はどんなでしたか?素敵な思い出を思い出しながら『お誕生会クロニクル』読んでみてください。

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お誕生会に纏わる昨今お馴染みな問題から考えもしなかった観点の問題までを、ちょっとアイロニックに紡いだ連作短編集。7話全てにネガティブな要素が組み込まれているが、どれも些細な試みで一変出来る事を示す、暗澹たる今を鼓舞する様な応援ストーリーで、起伏がある分より後味がとても晴れやかに感じた。絶妙な繋がりに気付いてからはワクワク度も増し、違う角度からも同じ問題がピックアップされている所が一番興味深く面白かった。登場人物の年齢的にも幅広い層に推奨の一冊

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お誕生日会をテーマにした短編集
登場人物が少しずつ重なっていて
それぞれのその時の思いを知ることが出来るお話
登場人物が重なるとは言え独立した話になっているので
スッキリと読み進めます
各物語の前半は重く感じられるところもあるが最後は救われる感があるので読んでいる方もすくわれます

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教師も人間です。そして、学校は便利屋ではありません。要求は高まり、個々の主張は強くなり、協調性や社会性、倫理観を培うべきはずの場所が迷走していることに、そろそろ保護者も気付いていい時期にあると思う。自分の子どもでさえ、一日中一緒にいるのは大変だという。それが集まる学校はどんなところなのか、もう一度冷静に考えて欲しいと思うところ。

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小学生女子にとっての誕生会の存在の重さ、大きさを遠い記憶からひっぱられました。呼ばれる、呼ばれないとか、お返しとか…。いまだとたしかに学校で問題になりそうで、複数話に渡って触れられる度に他人事ながら苦労が偲ばれました。うれしい日、自分が主人公になれる日であるはずなのに、みんながみんなそうともいいきれない苦さが、とくにクラスという集団の中では際立ちやすいのが切ないところ。
既定金額でのプレゼント選びは、クリスマス会での経験ばかりですが、それもまた悩ましかったのを思い出しながらも、本書の話の運びに、だよね、と強く同意しました。もらった瞬間うれしくなくても相手を選ばない実用品がいちばんよいって気付けるのは、でも大人になってからなんでしょうね。

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“お誕生会”をテーマにした短編が全部で7話。登場人物が少しずつ関わりあっているので、読んでいて、作品の世界が何層も重なって広がっていくようでした。
誰にでもある誕生日を通して、自分や他人と向き合っていく様は、普段は忘れがちだけど、大人だって“人間”で“未熟”な面を多々持ち合わせているんだよ。不安でどうしようもなくて、選択を間違えることもあるし、勘違いだってあるよね、と目の前に突きつけられてる気分でした。
作中には今も猛威をふるっている新型コロナウイルスについても触れられてて、それでも日常を生きていく、生きてかなくちゃ、という淡々と、だけど前向きな雰囲気を常に感じました。

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お誕生会は一年に一度のビッグイベントでしたが、年を重ねる毎に普通の1日になっていました。どんな年代になっても大切な1日だったんだなと改めて認識させられました。自分の誕生日だけでなく、大切な人の誕生日を大切にしようと気づかせてくれるおはなしです

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老若男女さまざまな人たちのオムニバス形式の物語。
誰にでもあるお誕生日、自分自身のお誕生日会の思い出を思い出しながらほんのりと苦みを感じつつ一気に読みました。
他人にも自分自身にもほの暗い感情を抱えて疲弊してしまう日常の描写…古内さんはこういうリアルさを巧みに描くんですよね…。
人間だって、お誕生日会だって、十人十色、それでいい。それぞれの“お誕生日会”を大切にしていけばいいのだ!

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お誕生日にまつわる7篇の短編集。
古内さんの描く物語は
本当に優しくて私は大好きです!
今作は短編集ではあるのですが、
主人公達がみんなどこかで繋がっています。
そういえば私も小学生の時に
お誕生会に誰が呼ばれた呼ばれなかったで
いろいろあったなーと懐かしく思い出しました。
こんなに小さな頃から
私たちは周りの人の顔色をうかがって
ヒエラルキーの中で生きていたんだなー。
どのお話もとっても良かったんだけど
私は最後のお話の「刻の花びら」が
一番好きでした。
母と息子には特別な繋がりがあるかもしれないけど
母と娘にもやっぱり特別な繋がりがある。
お誕生日は母と子供の繋がりが
一番強くなる日だと思いました。

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この小説は古内さんから今を生きる私たちへのエールだ。
「誕生日。そこには常に自分にとって一番近くにいる人との関係が現れる」
「大切な人たちと出会えておめでとう」
今は出口のない不安の中にいるかもしれない。それでも、不安のない世の中なんてあっただろうか?
日々出来ることをひとつひとつ重ねて行こう。大切な人たちと誕生日を祝おう。自分にとって大切なものを守っていこう。
難しく考えず、ただ、生きていけばいいんだと思えた。
エール、受け取りました。
作者さんに感謝を伝えたい。

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誕生日や誕生会にまつわる短編集。 誕生日に起こった出来事は、自分のせいだと思っていた主人公は、ひょんなことから母の思いと母との繋がりに気づく〈万華鏡〉 中国の少数民族の伝統。「嬉しいことはできるだけ多くの人と分け合う。分け合えば分け合うほど、その先の幸が大きくなる。」〈ドールハウス〉 「誰もが自分自身と向き合う日。ひいては一番だいじな人たちと向き合う日。そこには一番近くにいる人とのかんけいが現れる。」 近いが故にいろいろなことが起こるが、そんなことも含めて大切な人たちとの出会った日。 なんかいいなぁ。励まされる感じ。😊

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誕生日と誕生会を縦軸に、様々な登場人物が年齢性別問わずに横軸となって織りなしていくこの作品は、温かくも鋭くもある古内さんの目線によってチリチリと、読み手の持つ記憶がまた立体交差しながら読み進めることで、自分のなかで一つの大きな物語が完成していくようになっている。

そこには、読者との乖離による疎外感がなく、一つとして立場や感じ方が同じではないことが自分の世界にも近く、そして人って憎めない存在だなと感じさせられる。

内省的な登場人物達のその後も気になるところだ。

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大好きな古内さんの新作は、お誕生日にまつわる短編連作集。
誰にでも、平等にやってくる誕生日。年を重ねるうちに「もう嬉しくもない」と言う人もいる。でも、私は、やっぱり嬉しいし、特別な日だと思う。そして、それは自分だけでなく、親にとっても「親になった」特別な日のはずだ。
私は8月生まれで、友達を招いてのお誕生日会が開きにくかった覚えがある。一度、出校日の帰りに、誕生日と言わずに、「遊びに来て」と誘って、誕生会をしたことがある。母が友達に負担をかけてはいけないと思ったようだ。私は正直、プレゼントがもらえず、ちょっと寂しかったけれど……。そんなことを懐かしく思い出した。
7人、それぞれの立場で、誕生日、誕生会にまつわる思いが語られる。切なくなる展開が多く、どうなるのかとハラハラする話もあった。でも、最後には、自分の本心に気づき、自分を見つめ直すきっかけになる。特に最終話では、目頭が熱くなった。
代表作「マカン・マラン」シリーズで、美味しい料理とシャールさんの名言で多くの人の心を癒してくれた古内さん。本作も、そうだった! 今の私たちの不安な心境にそっと寄り添ってくれる作品になっている。ぜひ、多くの人に読んでもらいたい。  

ちなみに、「クロニカル」とは、「史実にもとづいた記録(年代記)」という意味だそうだ。#NetGalleyJP

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お誕生会という催しについてが、本作でも少し書かれていましたが、女子が中心で男子ではあまりやっていなかったように記憶しています。
そんなお誕生会で気になるのは「お招きする相手」ということになるのでしょう。
もちろん意中の相手が来てくれれば舞い上がるし、仲の良い友人に囲まれて自分が中心になるというのは気持ちがいい。日常から少しだけ外れることができる、そんな特別な日。
しかし、特別だからこそ最近ではトラブルにもなるようです。
本作では、そんなお誕生会で発生するトラブルから物語は始まります。
誰が呼ばれた、呼ばれない。素敵なプレゼントがもらえた、もらえない。些細な事といえばそうなのでしょうが、一年に一度のイベントとなれば、子供には大きな問題。
そんな子供の複雑な気持ちに、さらに親の見栄が積み重なります。
自分の子供には、もっと中心で輝いてほしい。
お誕生日という特別な日だけは、自分の子供が主人公になってほしい。
それは子供の願いとは別の気持ち。

暴走したお誕生会はやがて学校で問題となり、お誕生会禁止の連絡が流れてしまう。

そんな短編から話が紡がれる本作は、連作短編です。
ある学校で流れたお誕生会禁という出来事がそこだけにとどまらず、直接的ではないにしろ、多くの人のお誕生日に関するお話につながっていきます。
どの作品から読んでも問題なく楽しめますが、登場人物や作中で起こる出来事等、短編を読み進めていくと絡まっていた糸がほどけていくような楽しさがあります。
とはいえ、やはり作者の意図があってこの順序に収録されているのでしょう。
頭からじっくり読むことをお勧めします。

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読み上げた瞬間、ふと漏れた言葉
「あー、こういうの大好き」
短篇はどうしても読み足りなくて、あまり好きではないのだが
こういったオムニバスタイプの短篇は大好物の私にとって、本作はとても良かった

皆平等に歳を取る
年齢が一つ増えるだけなのに、その日はとても特別な日
そんな誕生日を巡るストーリーの数々は、沢山の人達のそれぞれの想いが絡み合い
一つ一つが短篇とは思えない読み応えだった
次はどの人の話を読めるのだろう、あの人はこんな一面もあったのか
とページをめくる手が止まらなかった
最後の一話は、終わってしまうのも忘れて、次はこの人物の話を読みたいと思わせて
これで終いだったのかとがっかりさえした。
デジタルで読んだことを失敗したと、こんなに思ったことはない
本ならば、残りのページでこれで終わりだと心算が出来たのに

人と人は完全に無関係ではいられない
そんな人との関わり繋がりを、いつまでも読んでいたいと感じる一冊だった

実はもうすぐ息子の誕生日だ
今年の誕生日は一度きり、彼の心に残る誕生日なるだろうか

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登場人物同士が、ちょっとずつ繋がっているので、ある人から見たその人と、別の人から見たその人の印象で、人物像が異なるのが興味深い。人の背景や本心は、じっくり話してみないとわからないし、自分の気持ちも、率直に話さなければ伝わらない。話を聞いてくれた人の反応から気づくことも多い。認知症のお母さんを看る目、お母さんの真意。つらい状況でがんばっている登場人物たちの話だが、もっと悲惨な現実もたくさんあると思う。

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かつては年が明けるたびにひとつ、数えで年を取っていたのに、戦後のあるときから日本人は誕生日を祝いはじめ、子供たちはお誕生会を楽しみにするようになりました。

そんなお誕生会にまつわる悲喜こもごもを描き出した連作短編集。毎日を懸命に生きる人たちへの温かな視線がとても魅力的です。

新型コロナウイルス感染症のことも書かれていて、自分自身、先の見えない不安にさいなまれ、とにかく情報を集めなければ、対処方法を探らなければと、必死だったことを思い出しました。

今は当時よりも感染者が増えていますが、この作品に登場する人たちはみな、きっと無事でいてくれるだろうという謎の安心感があります。

個人的に、最初と最後の短編に登場した西原先生が好きです。明るく積極的で、みんなに頼りにされていて、でもだからこそ弱音を吐けなくなってしまう。コロナ禍の中で、それまでとは違う関係を築きはじめた西原先生、いえ、文乃さんには、もっともっと幸せになってほしいと願っています。

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『マカン•マラン』の古内一絵ワールドとは、また違った古内作品の魅力がいっぱい詰まっていた。泣かされちゃった。お誕生日会は、マウントの取り合いだとか、その日だけは自分が主役になれる日だとか、ウンウンそうだよねと共感。連作短編は、少しずつリンクしながら老若男女を主人公に誕生日に纏わる想いを紡いでいく。『ドールハウス』父親と娘のすれ違い。『あの日から、この日から』双子を育てるキャリアウーマンの葛藤だけでなく、3•11に生まれた命の重さを教えてくれた。『核の花びら』もうわかるわかると共感と涙。ステキな物語をありがとう。

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マカンマラン が記憶に残る古内一絵さんの新作、お誕生会クロニクル。
冒頭の作品から胸が苦しくなった。こんな作品がこの後も続くのかと思うと、このまま仕事休んじゃおっかなって位読む手が止まらなかった。
作中では誕生日会が時代と環境によってもとても様々で登場人物それぞれどう捉えているかが描かれている。
哀しかった思い出が蘇ることもあるけれど、みんながみんな生まれてから毎年やってくる自分の誕生した日を、大切な誰かが誕生した日をとても大事にしていることに気付かされ、想いを巡らせることが出来た。

(小さい頃はプレゼントが貰える日だ、わーい!としか思わなかったけど、親になっても良い歳を過ぎると思いはまた変わり、今の自分がいられることへの感謝を考えたりする日だな、なんて思うこともできるようになりましたよー。照れ)

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お誕生日会をテーマにした短編集でした。
どの話にも登場人物が少しずつでていて
それぞれの思いを感じることができました。
とても読みやすいです。
私の年になるとお誕生日もなかなか祝うこともなくなってますが
こどもや孫ちゃんたちはこんな思いをすることがあるのでしょうね。

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年代で異なるお誕生会の思い出。まさに『クロニクル』だと思いました。

ある世代から徐々にエスカレートし始めたお誕生会。35年前ごろでしょうか。
マックやファミレスでのお誕生会。記憶にあります。
誰を呼ぶかとか、呼ばれなかったとか。大問題でした。
過熱する親を制御するには学校が頼り。
4年生学年主任の西原〈果たして学校に持ち込まれるべき問題なのか〉ねぇ...。
お誕生会コーディネーターの存在にはびっくりです。
第5話:お父さんの手作り『ドールハウスに登場するルーちゃんがすてきです。
「世界でただひとつ、朱理ちゃんのお父さん、本当にすごいです」うんうん、ルーちゃん、いいこと言うよね。
ちょっと朱理ちゃんの欲しいものとずれていたけど、お父さん、がんばったんだよ。AIもいい仕事してる。
小学校の図工専科岡野尚子が戸惑いながらも、自分なりに子どもたちに接している姿もよかった。

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生まれてきたすべての人たちにある、誕生日。
たとえその日が、他の角度から覗いた時に悲しみの色をしていたとしても、違う角度から光を当てて、大切なことを見過ごさないでほしい。
どんなことが起こった日であろうと、どんなふうに感じようと、その日が誰かにとって特別な日であること。そのことを大切にしてほしいと切に願う。

自分の誕生日が「自分の母が、母親になった記念日」として意識するようになったのは、自分が子どもを生んでから芽生えた認識のように思う。「おめでとう」と「ありがとう」を一緒に並べて祝福する。そんな誕生日を重ねていけたら幸福だと思う。

お誕生日にまつわる様々な人間模様を描く七編。
ラストの一文を、すべての人へ届けたい。

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お誕生会をテーマにした7篇の連作短編集。登場人物が重なっているので、それぞれにとってのお誕生会への想いがわかって面白い。誰もが抱えている負の感情も、思い込みを捨てて違う視点で見てみると案外良い物であるのかもしれない。どれもとても良かったけれど、最後の「刻の花びら」が1番じーんときました。

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早くもコロナ禍が舞台になっていて驚いた。誕生日、大切な人と自分自身に向き合う日。大切だから無下に扱われたことがいつまでも忘れられない。大したことない、昔のことだ、と自分に言い聞かせても傷つけられた心の穴は埋まらない。大切に思っている人が、自分と同じように自分を思っていてくれなかった…それを知らされるのは悲しい。けれど、それが誤解かもしれないなら… わかり合うために、その努力を惜しんではいけないのだ。そう気づかされた。

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"お誕生会"をめぐる人間模様を描いた七編の短編集。それぞれ違った"お誕生会"についての思いを抱える人たちの物語は、結構ほろ苦かったり、胸が苦しくなったり。でも最後にじんわりとした温かみを感じさせてくれるところがさすが古内さんだ。避けては通れないコロナ禍や3.11の事も描かれていたりとグッとくるポイントはいくつもあるけど、やはり年齢的にそう遠くない日に同じような状況が来るかもと想像してしまった「刻の花びら」に一番心震わされた。

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お誕生日にまつわる短編集。どの短編も主人公は違うが、関わりのある人で繋がってゆく。お誕生日というと楽しい思い出ばかりのはずなのに、苦い思い出の人達が出てくる。大人になった現在ももやもやした気持ちの中で生きている。思い込みや、ちょっとしたすれ違いで傷ついたりもしている。辛いこともあるけど生まれてきたからこそ楽しかったり幸せだったりを感じる事も出来る。お誕生日はやっぱり笑顔で楽しい日であって欲しい。

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「マカン・マラン」シリーズをいつのまにか追わなくなっていた。お誕生日会、たしかに小学校のころあった!と思い出させる。なかなかの着眼点。お誕生日会、を軸として、人物が少しずつ重なってゆく短編集。うまい。深い。なるほど、とおもわせる。心の機微を描かせるとどんどん染み込んでくる。いままでの彼女の作品の中でいちばんしみじみと読んだかもしれない。
最後不覚にも泣けた。。



おめでとう、私。
一片の花びらを握りしめ、文乃は母とともに歩き出す。
自分に人間力があると言ってくれた尚子。
心配エゴ」に気づかせてくれた美優。
おめでとう。この世界に生まれたすべての私たち。
今日だけは、先を恐れるよりも、ただこのひとときを祝福しよう。
ハッピーバースデー。
大切な人たちと出会えて、おめでとう。

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職場の同僚だったり、保護者と教師だったり、兄と妹だったり登場人物の関係性を少しずつ重ねながら紡がれる連作短編集。現代を舞台にしていて、新型コロナウイルスの話題も作中に盛り込まれています。

”お誕生会”という言葉だけ聞くと明るくて、楽しいイメージしか湧かないけれど、本書に描かれているのはそのような話ではありません。張り切って開いた誕生会を娘がそんなに喜んでくれなかったり(娘は目立ちたくない)、3.11に生まれたがために孫の誕生日を実母が手放しでは祝ってくれなかったり。どちらからというお誕生会をめぐる苦さが描かれています。それでも読んでいて辛くならないのは、どの話も最後は明るい兆しがあるからだと思いました。どれも読後は爽やか。

印象に残ったのは最初の「万華鏡」と最終話の「刻の花びら」。「万華鏡」の主人公は小学校図工教師で、彼女の同僚のベテラン小学校教師が主人公なのが「刻の花びら」です。図工教師さんは学年主任も務めているベテラン教師さんを何でもできるスーパーウーマン的に見ていますが、実はそんなことはなく。彼女は家に帰ったら、認知症の母の介護でドタバタな毎日を送っています。見る人(自分も含む)が変わると同じ日常でも全然見えている風景は違うということが鮮やかに描かれていて、そこが”万華鏡”みたいなだと思いました。この2つのお話を最初と最後に配置したところが素晴らしい。

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私には誕生会は楽しかったというよりも、友達の選択をしたりされたりという、小さなスクールカーストの中の嫌な行事だった。だから、学校側がお誕生会を禁止するという始まりは納得できる。しかしそんな微妙に思えたテーマでも、さすがは古内さん。誕生会に関わる様々な一部を切り取って、しかもそれぞれは緩く繋がって最後には誰もが納得して前を向く。素晴らしかった。特に響いたのは、3.11にまつわる「あの日から、この日から」認知症を患った母との「刻の花びら」。お誕生会から受けたネガティブな響きは、読後違うものに変わっていた。

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マカン・マランのシリーズがとても良かった古内さん。今回も心に響く内容でとても良かった。
登場人物が緩く繋がった7編の主人公たちはみな家族や仕事について悩みを抱えているが、何かをきっかけに一歩前進する展開が心地よい。
古内さんの作品はいつも読者に寄り添い、そっと背中を優しく押してくれるところが好き。
7編の中では「万華鏡」「月の石」「あの日から、この日から」「刻の花びら」の親子の物語にぐっと来た。
身近な存在だからこそ不満を持ったりすれ違ったりする。そんな誤解や確執が解けていく様子に安堵の涙が流れた。全ての人が自分自身の誕生日や大切な人の誕生日に幸せな気持ちになりますように。

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お誕生会を題材とした連作短編集。誕生日には、大人でも、子どもでも、家族でも、複雑に絡み合う人間関係のせいで、楽しかったり、辛かったり、何かしら思いがあるもの。内面を知ろうとせずに、見た目や噂で先入観を持つと間違った判断をしてしまうと身に沁みて感じた。気持ちの行き違いほど恐ろしいものはない。どの話しもグサグサと心を締め付けられるような気分になるのに、読み終えたあとは温かい気持ちがこみ上げてくるところが素晴らしかった。思わず涙ぐんでしまう話しもあり、本当の気持ちや理由に気づいた時、人の心は後悔や切なさや愛おしさに包まれる。自分以外の人間の気持ちは、何かきっかけがなければそう簡単にはわからない。人は日々、手探りで戸惑い、色々なことに気づきながら暮らしているのではないかと思う。

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大好きなマカン・マランシリーズの古内一絵先生の本がネットギャリーで読めて大感激。
「お誕生日会」をテーマに書かれた短編集ですが、お誕生日会でここまで幅広く書けるのはすごいなあと思いました。
ちょっと苦い感じのお話もあればほっとするお話もある。
プランナーのお兄さんが姪っ子のためにお誕生日会企画をする話などは苦くてたまりませんでした。
でも苦いだけで終わらないのが古内先生の作品なのかなあと。

お誕生日会、私も小さいときにやったことあるけれど、私もそんないい思い出がないなあと想いを馳せながら読みました。お母さんとかはやっぱり料理を張り切ってくれたり、手作りケーキも今ビデオで見たらプロ級ですごいなとは思うけれどいかんせんそんなに活発な子ではなかったので、お誕生日会でたくさん友達を呼んでもそんなに楽しく遊べないというか。少人数のが楽しい・・・みたいな。

作品中にたびたび出てきた「昔の人は年明けに一斉に年を取る。」という文が、なんか心に残りました。

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