BIRTH いのちの始まりを考える講義

発生生物学者ギルバート博士が生殖補助医療と人間を語る

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刊行日 2020/10/29 | 掲載終了日 2021/11/01

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内容紹介

さまざまな角度から語られていく、“いのち”に関わる数々の物語

赤ん坊はどのようにできるのかーー。新しいタイプの家族はどうやって考え出されるのかーー。バイオテクノロジーは生殖補助医療をいかに変えたかーー。科学、宗教、一般人の認識はどのように変わっていくのかーー。

世界的な発生生物学の権威が、不妊治療当事者でもある研究者とともに語る、いのちの始まりを考える講義。ぜひお楽しみください!


【※“はしがき”より一部抜粋】

生物学者と神学者、哲学者が酒場にやってきます。3人は大いに満足です。底冷えするフィンランドの冬の晩を酒場で過ごすのは悪くないし、おまけに熱心な聴衆が大勢集まって3人を待っているからです。急ごしらえの壇上で椅子に腰掛けると、小生意気な大学院生が質問を投げかけます。「世界で最も重要な物語といったら何ですか?」


神学者がまっ先に答えます。「神の恵みによる救いです」。そして十字架の奥義の解説を始めます。


哲学者は見下したように「啓蒙主義ですな」と答え、知的生活と真理の発見について話します。


生物学者は、みなが「進化」という答えを待っているのを感じましたが、それがいちばん重要な物語ではありません。実は、進化は結果です。「世界で最も重要な物語は」と彼は言いました。「胚の構築です」


私たちが本書を書いた理由はこれです。詩編139章に書いてあるように、私たちは「畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られている」のです。実のところ、私たちがどれほど「畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られている」か、それを発生生物学者以上に想像できるのはほんの一握りの人たちだけです。発生生物学者は胚の研究という特権を与えられています。私たちはふたりとも、発生生物学者であることに幸運を感じています。私たちの意見が一致しない点は多々ありますが、体に対して抱く畏怖の念と、その体が示す調和と謎に関しては同じ考えを持っています。そしてこれは人に語り聞かせるべき物語であるという点でも一致しています。また互いに、こうした物語が世間ではつねづね誤って伝えられていると考えています。偽りの物語はヒト胚を貶め、生物科学における人間の創意工夫をも貶めることになります。生物科学は今、受精が起こる仕組みと、それに続いて発生するたった1つの細胞である受精卵から私たちの体が構築される仕組み、そしてこの知見を人間の幸せのために使う方法を明らかにしつつあります。政治家や神学者、科学者、メディアのコメンテーターたちが、ヒト胚について愚にもつかない話をまくしたてるのを聞くことは、私たちにとっては、愛する人への侮辱以外の何物でもないのです。おまけに私たちは憤慨しているのです。何かしら変化があると、もろ手を挙げてこれは進化だともてはやす風潮に対して。それが生身の人間とどう関わるのか、当事者とその家族に対してどのような悪影響の可能性があるのかについて調べもせずに。そこで――侃々諤々の議論がなかったわけではありませんが――生殖科学とその関連テクノロジーについてのこうした考えを本にまとめようという話で一致したのです。


【目次】

序文/はしがき/謝辞


◆第Ⅰ部 物語の重要性

第1章 概念のデトックス:ホグワーツに戻りヒト発生学を学ぶ 

第2章 不妊とその克服の物語:ブラッディ・メアリーとの姉妹性 


◆第Ⅱ部 受精とその不満

第3章 受精:死の淵にある2個の細胞、数十年を生き延びる新たな生命体の形成に共同作業で臨む 

第4章 受精の儀式:人工授精と体外受精――希望と恐れ 


◆第Ⅲ部 母親と胎児

第5章 ヒトの正常な発生と生命の始まり:なぜ科学者は神学的疑問を問われ、なぜ神学者は科学的疑問を問われるのか 

第6章 テクノロジカル・マザー 


◆第Ⅳ部 生物学を介して人の在り方を改善する:現実と幻想

第7章 動物、細胞、遺伝子のクローニング:クローニングはどこから来て、この先どこへ行くつもりだろう? 

第8章 黄金時代:私のクローニング秘話 


◆第Ⅴ部 エピローグ

第9章 不妊戦争:すべての望みがついえたあとの人生とは? さて、どう立て直していきましょうか?

第10章 人は恐れ、人は驚異する:人体に乾杯

さまざまな角度から語られていく、“いのち”に関わる数々の物語

赤ん坊はどのようにできるのかーー。新しいタイプの家族はどうやって考え出されるのかーー。バイオテクノロジーは生殖補助医療をいかに変えたかーー。科学、宗教、一般人の認識はどのように変わっていくのかーー。

世界的な発生生物学の権威が、不妊治療当事者でもある研究者とともに語る、いのちの始まりを考える講義。ぜひお楽しみください!


【※“はしがき”よ...


出版社からの備考・コメント

●著者プロフィール

・スコット・ギルバート:ワースモア大学名誉教授・ヘルシンキ大学Distinguished Professor。著名な進化発生生物学の研究者であると同時に、教育者としても、世界中で使用される「ギルバート発生生物学」をはじめ発生生物学・進化生物学・生命倫理に関する数々の教科書を執筆。



・クララ・ピント.-コレイア:発生生物学研究者、小説家、科学史家、教育者。マサチューセッツ大学のポスドクとして動物の受精とクローニングを研究。研究と並行しジャーナリスト活動も行い、ポルトガルのラジオ局にて生物学の番組を長年担当。著書に「The Ovary of Eve: Egg and Sperm and Preformation」「The Marvelous Adventure of Life」がある。



●監訳・解説者プロフィール

・阿久津英憲:国立成育医療研究センター研究所再生医療センター 生殖医療研究部部長、同再生医療センター細胞医療研究部幹細胞・生殖学研究室室長。産婦人科専門認定医。医学博士。



校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
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●著者プロフィール

・スコット・ギルバート:ワースモア大学名誉教授・ヘルシンキ大学Distinguished Professor。著名な進化発生生物学の研究者であると同時に、教育者としても、世界中で使用される「ギルバート発生生物学」をはじめ発生生物学・進化生物学・生命倫理に関する数々の教科書を執筆。



・クララ・ピント.-コレイア:発生生物学研究者、小説家、科学史家、教育者。マサチューセッ...


販促プラン

レーベル「PEAK books」3週連続刊行予定です!

『美食のサピエンス史』

『ワクチン・レース』

『BIRTH いのちの始まりを考える講義』

激動の現代だからこそ、永く語り継ぎたいー。

いずれも科学者や医療者の喜びや情熱、知恵や根拠や教養が詰まっている珠玉の書籍ばかりです。 

レーベル「PEAK books」3週連続刊行予定です!

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『BIRTH いのちの始まりを考える講義』

激動の現代だからこそ、永く語り継ぎたいー。

いずれも科学者や医療者の喜びや情熱、知恵や根拠や教養が詰まっている珠玉の書籍ばかりです。 


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784758112154
本体価格 ¥2,400 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

10月29日発売予定の羊土社 スコット・ギルバート、クララ・ピントーコレイア著 
『BIRTH いのちの始まりを考える講義』読み終わりましたので感想をお伝えします。

生命の神秘や遺伝子に以前から関心がある私。医学用語などが解らなくても大丈夫です。こちらの本は分かりやすい説明(例えを童話やハリーポッターで表している)でナゼナゼを楽しく解明できます。
不妊治療の研究者が語る内容も大変興味深いものがありました。
不妊、、、なかなか触れずらい内容かと思いますが触れずらいからこそ知るべき事もあるのかなと感じました。

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本書の内容を一言で言えば、人工授精や、体外受精などの生殖補助医療の歴史とそれに関係する受精に関する科学といったところか。本書を読んで感じたのは、こういったテーマを西洋人が書くと、やはり宗教的な影響を感じる。日本では、あまり特定の宗教に縛られるのを好まない人が大多数だろう。私の個人的な考え方を述べると、こういった問題に宗教が絡むとろくなことにならない。それでなくとも難しい問題をさらに紛糾させるだけだと思う。一番大事なのは直接の関係者の気持ちだろうと思うのだが、そこに宗教が入ると、傍からワイワイと碌なことを言わないような気がする。こういった問題は、特定のイデオロギーに縛られずにニュートラルな立場から考える必要があると思う。

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お二人の発生生物学者によって書かれた本書。命の始まりを司る学問といっていいのでしょうか。命の定義から始まって、生物学的な意味での命にとどまらず、宗教、社会といった重く長い歴史を持つ面からも考察されており、自分が新聞などで知る知識が本当に表面的なものであることを感じました。

例えば性教育と言うもの一つとっても大きな誤りがあることに驚かされました。そしてその誤りは命の成り立ちを考えるうえでも、進化論とは対極に位置するものであるのだと思うと、両性の合意という法律上の言葉もまた深い意味を持ってくるのだと思えてきます。命がいつの時点で命と認められるのか、法律が示すものの妥当性を生物学的に考察されているのにも考えさせられました。

本書の後半を担当されたクララ博士の体験を通じた不妊治療に関する想いや統計を挙げた実態には本当に考えさせられるものが多くありました。自身の遺伝子を引き継ぐ子どもはどの国においても親の強い願望なのですね。博士がおっしゃるように本当は様々な道があるはずなのでしょう。それでもあきらめきれない思いを叶えられるように、日本でも政治が動いています。それは決して悪いことではなくそれで幸せになれる人がいるのならば応援してあげたいと思います。でも今、幸せを手にできない子どもたちにもぜひ手を差し伸べてあげたい。「隣の家族は青く見える」と言うフジテレビのドラマがありましたがいろんな家族の形が、いのちの育み方をも変えていけるのではないかと本書を読みながら、あらためて感じさせられました。

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非常に考えさせられる本で、途中何度も後戻りして読んだりしました。
医療従事者として不妊の男女や妊娠中のトラブルを持った方々などとも関わっていますが、医学書を読むのとまた別の方向からの読み物で、目からうろこでした。

宗教や種族を超えた広い視点で地球人全体のヒト、ホモサピエンスとして捉える、愛情に包まれた一冊だと思います。

発売されたら是非購入したいです。そして近々助産婦になる姪っ子にもプレゼントしようと考えています。

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人はいつ、どこで、どの段階で人になるのか?

これは哲学の話だけではなさそうだ。
人の生命の始まりを、データとサイエンスで導く。
多様な見解から有益な情報を得ることができるのが嬉しいところ。
クローニングについて、持っていた価値観やイメージが根本的に覆された。
かつてこんなにわかりやすく人工生殖のタブーを説明した本はあったでしょうか?

クローニングに使う技術は不妊に悩む人を救う、一つの手段である。
倫理観なのか、「あなたはどう考える」と問われているような感覚にさえなる。

2つのエピローグは特に意味が深く、圧巻の説明で突き刺さる。
筆者の胸の内を悟るように、読み手にこだまする疑問符。
まさに発生生物学のスペシャリストといった内容は一見の価値あり。

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本書では、まず直喩とメタファ(隠喩)の違いを説き、メタファが心情的で魔術性があり、私たちはメタファの不適切な使用に対し身を守らなければならないとしています。これをハリーポッタの闇の魔術に対する防衛術に例えます。(メタファの適切な使用例?)そして「私たちの考え方の基盤を、作り話や夢物語ではなく本物の科学に置くこと」が大切だとします。「なぜなら、私たちが自然をどう捉えるか、これが、自分たちが何者かに対する私たちの考えを決定するからです。」
その第一の例として精子がライバルと競い合い一番に卵子に侵入した精子が勝者として受精するといったメタファが科学的でなく誤った考え方をもたらすとします。受精とは、精子と卵子と男と女が見事に助け合い、力を尽くした結果に他ならないのです。

本書は、発生生物学の研究者による生殖科学とそれに関連するテクノロジーについて描かれている。受精と胚の形成、不妊治療、IPS細胞、クローン技術等がテーマになる。著者ひとりクララ・ピントは、クローン羊ドーリーの研究に関わり、また自身が不妊治療で経験をもつ。

生殖に関するマスコミジャーナリズムがいかに誤った見識による報道をしているか、凍結卵子や代理妻を使った出産がいかにリスキーか、不妊治療ビジネスにより多額の金額を費やしても妊娠出産に成功する確率は低くさらに母親にも子どもにも種々のリスクが伴うこと、子どもが出来ない女性に対しての周りの重圧さらに著者が遭遇したドーリー報道に対する間違った理解からくる非難等々が綴られ、これに対する科学的な知見による真実の姿が描かれる。

生殖科学や技術はいまや創造主の立場に近づいてきているが、それが神の国に近づいているという訳では無さそうだ。自分のDNAを子孫に引き継ぎたいという欲望は生物としてのサガかもしれないが、それを現代の生殖科学を使って無理にでも実現させようとすることにはまだまだ種々の問題があるようだ。

私たちは「畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られている」それは今も変わらない。科学の進歩がそのまま人々の幸せに繫がるわけではないということをいつも考えなければならない。本書は、データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣を教えた「ファクトフルネス」の生殖科学版とも言えそうである。

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モチーフは生命なのか。人工授精の話しがけっこう多かったように感じました。体外受精とかの、えっと生殖の補助医療の歴史とかの話志賀いろいろ・・・・。そこに関連したところの受精という観点からみたような科学みたいな感じかな。

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発刊からしばらく時間が経つ。その間に大型書店で、平積みになっているのも見かけました。
話題の書であり続けるといいなと思う。
専門家の書いた非常に緻密に、データと共に書かれた書。
いのちのはじまり
とはとても大きな概念。
単なる医学書のようなものではなく、倫理や哲学についても示唆に富み、また翻訳本であることから、考え方、例えば、読み手に共通の文化的背景、宗教的な考え方、も独特のものがある。言葉の使い方、何かを論ずる時のメタファーの使い方の重要性。
非常に内容の濃い本なので、物語のように一気に読み切るというタイプの本ではない気がする。必要な時に必要なところを時間をかけて噛み締めて読むもの。
改めて、本にであう機会をいただけてありがたく思います。

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