色どろぼうをさがして

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刊行日 2020/10/12 | 掲載終了日 2021/08/04

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内容紹介

少女の世界から色を盗む、色どろぼうはだれなの?
――ミステリータッチで読者を引き込みつつ、少女の成長を描く、感動の物語 

12歳、イジーのママは事故で昏睡状態になり、入院している。イジ―はそれを自分のせいだと思っていた。事故以来、親友のルーともぎくしゃくして、距離ができている。ある日、イジ―の夢に色どろぼうがあらわれ、その日から、部屋の壁画の色が1色ずつ消えていく。
そんな中、車いすの少年トビー、白鳥のひなトンガリ、クラスメイトのフランクとの関わりを通して、イジ―の心は次第に癒されていくが……。
色どろぼうの正体と少女の罪悪感に隠された謎とは――。

少女の世界から色を盗む、色どろぼうはだれなの?
――ミステリータッチで読者を引き込みつつ、少女の成長を描く、感動の物語 

12歳、イジーのママは事故で昏睡状態になり、入院している。イジ―はそれを自分のせいだと思っていた。事故以来、親友のルーともぎくしゃくして、距離ができている。ある日、イジ―の夢に色どろぼうがあらわれ、その日から、部屋の壁画の色が1色ずつ消えていく。
そんな中、車いすの少年トビー、白...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784591167860
本体価格 ¥1,400 (JPY)

NetGalley会員レビュー

8年生のイジーは最近、恐ろしい夢にうなされる。影の男の夢だ。不思議なことも起こっている。イジーの部屋のママが描いた壁画から色が一つずつ抜けているのだ。黄色、それから青色……。相談したくても、ママは入院していて、パパは大変そうだし、友人のルーはあの日から冷たい。イジーのせいで、ママにあんなことが起きた日から。
 そのころ、近所に車いすに乗った少年トビーが引っ越してきた。トビーは川にいる白鳥の親子をみつけ、ヒナの中でとりわけ弱々しい一羽のを助けようと、イジーに持ちかける。

 恐ろしい夢の意味は? 壁画から抜けていく色の謎は? そして、イジーの母親に何がおきたのか? イジーの罪の意識は、なにからくるのか?
 前半は謎ばかりでモヤモヤした。さらに、学校で陰湿ないじめがあって、腹立たしくもあった。ただ、トビーやヒナとの出会い、それに、クラスで味方になってくれた素直なフランクが、清涼剤になってくれた。

 イジーは、苦しみの中、ひとりぽっちでもがく。本当は、たくさんの人が救いの手をさしていたのだ。近所や親せきの大人、先生は、「だいじょうぶ?」とあたたかい言葉をかける。でも、イジーは、ただ「だいじょうぶです」と答えてしまう。本当はちっとも大丈夫ではないのに。
 人は酷く辛い時、自分を守ろうと、殻に閉じこもってしまうのかもしれない。とくにイジーのように罪の意識にとりつかれていたら、なおさら殻は分厚くなる。
 トビーにとくに心を許せたのは、トビーが引っ越してきてまもなく、母親の事故を知らなかったからかもしれない。また、トビーの、自分の弱いところを認めて進もうとする、前向きな姿勢が、イジーの心をゆり動かしたのかもしれない。

 後半、謎がほどけはじめると、すべてが一気につながった。それまでが、モヤモヤしていただけに、そのスピード感と爽快感が大きく、読後感がとてもよかった。

 それにしても、訳者も後書きで書いているが、12~13歳の子たち(日本なら小学校高学年)が、学校の劇で「マクベス」の舞台をするなんて、日本よりずいぶん文化教育がが進んでいて驚いた。

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すてきな表紙は、主人公の少女イジーの部屋の壁の絵でしょうか?
 この絵から、一色ずつ色が抜けていく・・・。

事故に会い、母親が昏睡状態になった子供の、どうしようもない罪悪感と恐怖の日々。
お父さんは相変わらず優しいが、完全に参っているようだ。
周りの大人達は優しく接してくれて、「何かあったら相談してね」というが、実際問題 何をどう話せばいいのだろう?
イジーの場合は、運が良かったと思う。
離れていった親友の代わりに、隣りに座った男の子フランクが、それとなくしっかり支えてくれる。
更に 隣に越してきた車椅子の男の子トビーも 頼もしい。
子どもたちの強さと白鳥の末っ子ひな鳥トンガリの強さに、心打たれました。

ただ、最後になってようやく明かされることを どうして誰もイジーに早く教えていなかったのか?
「事故はお母さんが起こしたんじゃないよ。」としっかり伝えていれば、それほど苦しむこともなかったはず。
最後に希望の光が見え、ほっとしながら読み終えました。

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ひとりの少女が交通事故によって抱え込んだ心の傷を癒していく物語。どこの集団にも理不尽に悪口を言ったり仲間から外そうとしたりする人間はいる。でも必ず手を差し伸べて支えようとする友達や大人もいる。そのメッセージを伝えているように思う。

夢を見るたびに一色ずつ壁の色が消えていく。それが自分だけに起こっている現象なのだということはわかっているのだがどんどん追い詰められていく少女、その解決の糸口を見つけてくれたのは車いすに乗った転校生(になるはずの)少年だった。二人と愛犬の時間が少女の心を癒し、少年の語った「自分のこと」から学んだ勇気が前に進ませる。夢の中で自分を襲う男、そして一色ずつ消える謎は少年の言葉によって解決に向かっていく。混とんとした気持ちの少女が自分から問題を解決したいと行動に向かう姿は読み手にも勇気を持たせてくれる。

また子どもたちの世界の描き方以上に、ここに出てくる大人たちの姿が印象深い。いつでも相談できる時間はあるからね、できることがあったらいつでもいいよと言った声掛けがさりげなく伝えられ、頭ごなしではない仲裁や手助けがそこにある。少女自身、受け止める余裕もない時は煩わしく感じるが、振り返った時にそれを自分への労りややさしさであることに感謝する。私たちは共感するという意味をこの大人たちから学ぶことができるように思う。どんなときもそうした共感の一言が人間を安心させ成長させていくのだろう・

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子どもがいかに必死になって自分なりに状況を理解しようとするか、おとな(親)はわかっているだろうか。わかる余裕がなくても、「その可能性・能力がとても高い」ことは前提として理解しなくてはいけないと訴えられる。
才能豊かな母との愛に溢れる生活から一転、母の動かない、真逆の世界に陥った一人娘。痛々しい描写に胸が痛い。
おとなの無理解(とまでいかなくても思いが至らない)もあろうが、そのの段階をとっくに超えて自分で世界を構築する。その世界にとらわれて生活・精神に変質をきたしてしまう(と自覚する)。家族における、親に対しての絶対的依存から逃げられない子どもの「自分が悪い」という図式があるがために。(このお話は当てはまるものではないが、虐待の図式を想起した。)
しかし、彼女にはよき友人が、いた。一人でなく。一人に集約されることは罪でもあるので、そのあたりが温かくなる。
最後に、とんとんとんとん!と小気味よく「謎」が解かれていく。
もったいない気もするけれど、「元の世界に戻ってくる」安心感が得られるのが児童書としてとても好ましい部分なのだろうか、などとも思ってしまった。

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