兄弟

この作品は、現在アーカイブされています。

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。

出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。

1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのEメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2021/06/28 | 掲載終了日 2021/08/15

ぜひ次のハッシュタグを付けてSNS等へご投稿ください:#兄弟 #NetGalleyJP


内容紹介

したたかでたくましく 一途で愛おしく 下品で猥雑な 極上の物語

ノーベル文学賞候補として常にその名が挙げられる、中国文壇の大御所・余華。その代表作として名高い世界的ベストセラー『兄弟』が、満を持して復刊。文化大革命と開放経済、二つの時代の狂気をドラマチックに爆走する当代の傑作。

カフカなど海外文学の影響を受けて人の世の不確実性を描き、そのあたらしさと実験性をもって中国文壇で「先鋒派」と呼ばれた余華。その代表作である『兄弟』は、日本では文藝春秋より2008年に単行本、2010年に文庫本が、それぞれ泉京鹿訳で「文革篇」「開放経済篇」として上下2巻で刊行されましたが、その後長く入手困難となっていました。ファンのあいだで伝説になっていた本書が、このたび、全1巻・1000ページに迫る大著として、アストラハウスより待望の復刊を果たします。

したたかでたくましく 一途で愛おしく 下品で猥雑な 極上の物語

ノーベル文学賞候補として常にその名が挙げられる、中国文壇の大御所・余華。その代表作として名高い世界的ベストセラー『兄弟』が、満を持して復刊。文化大革命と開放経済、二つの時代の狂気をドラマチックに爆走する当代の傑作。

カフカなど海外文学の影響を受けて人の世の不確実性を描き、そのあたらしさと実験性をもって中国文壇で「先鋒派」と呼ばれた余華。そ...


おすすめコメント

作家・篠田節子さんによる解説より

余華は予定調和をひっくり返していく。読者が泣けると期待した場面で怒らせ、笑った次の瞬間に慄然とさせ、下劣さに眉をひそめるエピソードの結末で感動の涙を流させる−−。

担当編集者より
どうか、冒頭の「便所覗き」をクリアして、この物語に身をゆだねてください。物語の愉楽をたっぷり味わえることでしょう。そして読み終えたとき、パワフルで謎の多い「愛すべき中国の隣人たち」のことが、これまでより身近に感じられるかもしれません。

【ざっくり導入のおはなし】
主人公は弟の李光頭(リ・グアントウ)。直感と行動と性欲の人物。十四歳で公衆便所を覗いてしょっぴかれるが、そのときチラリとみた街一番の美少女のおしりのことをネタに街の男たちから三鮮麺をおごってもらった経験が彼の商売のはじまり。ふてぶてしくもたくましい生粋の商売人として、文革後、開放経済の世の中をうまく渡ってゴミ収集から大富豪になり、スーパーリッチになってロシアの宇宙船ソユーズで宇宙遊覧をしよう……という破天荒な物語です。彼がまだ幼いころ、李光頭の母と宋鋼(ソン・ガン)の父はそれぞれ小さな男の子を連れた寡婦と寡夫として出会い、愛し合い、束の間の貧しくも暖かいステップファミリーが誕生します。


文化大革命の無惨な時代:文革篇
血のつながりのないふたりの兄弟は8歳と9歳。当初は民衆の革命的ヒーローだった父が、元地主の出身だとわかって民衆の攻撃を受ける側になり、最後は凄惨なリンチで絶命。やがて、母も悲しみのうちに死亡してしまいます。孤児となったふたりは、苛烈な文革の嵐のなかで、助け合い、強い絆で生き延びていきます。そのエピソードはかわいく、せつなく、痛々しく、愛おしく、かつ、おかしくてちょっとばかばかしい。作者はこの文革篇を「悲劇の旋律の中にたくさんの喜劇の音節を書きました」と解説します。


豊かになれるものから豊かに:開放経済篇
後半は、主人公の18〜19歳から30代までを描きます。弟と兄は一人の女性(林虹(リン・ホン);李光頭に尻を覗かれた街一番の美女)に恋こがれます。下品で直情的な弟は相手にされず、イケメンでピュアな兄に軍配があがり、兄の宋鋼は結婚。ところがこれが悲劇のはじまり。世渡りのうまくない繊細で内気な兄は、何をやってもうまくいかず、ひたすら転落を続けるのです。作者はこの開放経済篇を「喜劇の旋律の中に悲劇の音符をさんざん飛び跳ねさせました」と語ります。ふたりの兄弟は互いを誰より大切に思っているのに、すべての歯車がかみ合うことなく、最終的な悲劇へと突き進んでいきます。

作家・篠田節子さんによる解説より

余華は予定調和をひっくり返していく。読者が泣けると期待した場面で怒らせ、笑った次の瞬間に慄然とさせ、下劣さに眉をひそめるエピソードの結末で感動の涙を流させる−−。

担当編集者より
どうか、冒頭の「便所覗き」をクリアして、この物語に身をゆだねてください。物語の愉楽をたっぷり味わえることでしょう。そして読み終えたとき、パワフルで謎の多い「愛すべき中国の隣人たち」のことが、こ...


販促プラン

アストラハウス 営業担当より
このたびはご覧いただきありがとうございます。
ご一読いただき、おもしろいと思われましたら、ぜひコメントを頂戴できますようお願いします。

6月30日までにコメントを頂いた方から抽選で3名様に、弊社が昨年刊行いたしました余華の幻の長篇デビュー作『雨に呼ぶ声』(泉 京鹿・訳 定価2420円(税込))をプレゼントいたします。


※当選発表はご本人様への当選通知メールを持って変えさせていただきます。

※いただいたコメント(書店名・お名前など)は、弊社のTwitterや宣伝のためのPOPやチラシなどに掲載させていただく場合がございます。掲載に当たっては事前に確認のご連絡を差し上げます。

※国内在住の方が対象となります。

アストラハウス 営業担当より
このたびはご覧いただきありがとうございます。
ご一読いただき、おもしろいと思われましたら、ぜひコメントを頂戴できますようお願いします。

6月30日までにコメントを頂いた方から抽選で3名様に、弊社が昨年刊行いたしました余華の幻の長篇デビュー作『雨に呼ぶ声』(泉 京鹿・訳 定価2420円(税込))をプレゼントいたします。


※当選発表はご本人様への当選通知メールを持って変えさせてい...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784908184246
本体価格 ¥3,600 (JPY)

閲覧オプション

NetGalley Shelf App (PDF)

NetGalley会員レビュー

なるほど。。。こちらの作品は、確かに好き嫌いがわかれるかもしれませんね。
けれども、確かに読み終えてみると、つきぬけてすがすがしさがあります。
わたしは好きです。こういう作品。
個性があって、独特の世界観があって、予定調和がいっさいない!!
日本の文学界ではあまりみない作風ですが、
それこそが海外文学の醍醐味ですね。
おもしろかったです。

このレビューは参考になりましたか?

本当に中国は壮大だと、作品を読むたびに感じます。そんなこと有り得んでしょと思えることが次々に起こって、一人一人がどうすることもできない政治の大きな流れの中にあってもしたたかに生き抜く人々。どろどろとした人間関係の中にも一人ひとりの個人の生きざまが浮かび上がる、そんな物語に思わず涙があふれてきました。
 どちらかと言えば風俗小説に近い作品で、劇画を見ているような面白さです。それでも、いやそれだからこそと言えるでしょうか、恋人思う純な気持ち、必死に耐え乍らも家族を守る姿に胸が熱くなります。いわゆる世間のつめたさも不当な圧政もやり過ごしてきた二人の兄弟を分かつものが、恋人であったことは人にとって一番大切なものが何かということを示してくれているのかもしれません。
 すごい作品です。文革の嵐の中で生き抜いてきた中国人の強さはどこにあるのか、今の私には到底想像できない世界です。

このレビューは参考になりましたか?

かなりの分量だ。前半は文化大革命の悲惨な出来事が描かれていて、兄弟が手を取り合いながら生きていくさまに感動すら覚えた。後半は復興経済編。金もうけが価値観の中心になり、人々はプライドや自意識すらなくしていく。平気で金持ちにおもねり、立場の弱い奴らをいじめる。金さえあれば何でもOKというような雰囲気は滑稽であり、とくに弟が義理の姉をものにするところは腹がたつ。その彼女が最初のころとは別人のようであり、淫売のように思えた。誠実さや正しさは意味を無くし、金が物を言う世界に腹がたった。前半の文化大革命の理不尽な運命選択に、泣かずにはいられない。よく当時の中国の様子が描かれていると思います。

このレビューは参考になりましたか?

まずは、これだけのボリュームの作品を書いた余華さんと、訳者の泉京鹿さん、そしてそれを読み切った自分に拍手。
前半は、親戚の法事でおじいさんやおばあさんのとてつもない昔話を聞いているようで、とても興味深く、かつ心を揺さぶられました。つらいことが多い分、幸せな記憶は燦然と輝くし、そういう時こそ人はユーモアを必要とするのかもしれないと思わされました。
後半の評価はさまざまようですが、私は読んでいて正直しんどかったです。ポリティカルコレクトネスなどと声高に言うつもりはありませんが、女性を貶める描写があまりにも多すぎるし(レイプシーンを冗談のように描くとは…)、アフリカ人に対する差別表現の箇所なども、この小説に不可欠とは全く感じられません。はちゃめちゃぶりは素晴らしいのですが、題材が悪すぎたという印象でした。
登場人物たちのたくましさ、身勝手さ、小狡いところや欲深いところを嫌だなーと思ってしまうのは、彼らの中に自分を見てしまうからかもしれません。松本清張のドラマを見ているようでした。

このレビューは参考になりましたか?

「僕はないんだよ。本当だよ。いままで一度だって性欲があったことはないんだよ」P118

殺伐としたセリフに心が苦しくなった。
しかしこれがリアルだったのだ。
ある者は地主というだけで暴行を受け命を落とした。
そんな混乱の文革時代を生きた2人の兄弟。
夢や希望などといった話の類ではないのは明白で、ここにあるのは、なし崩し的に進むストーリーだ。
だからこそすんなり入ってくる部分もある。
もし、この時代、この国に生まれたら、自分はどんな生き方をしていくのだろうかー。
そんなことを強く感じた1冊だ。

このレビューは参考になりましたか?

文革時代、親が再婚し兄弟になった少年達は、母は上海に父は投獄されている間二人で寄り添い、絆を深くする。しかし大人になってからは女性を巡り離ればなれになり、経済清祥の時代に対照的な人生を歩む。前半は少年達の瑞々しい友情文学、後半は怪しげな商売が横行しや猥雑な大会が開催されるスラップスティックと2面ある作品。パワフルな人々が織りなす生き生きとした叙事詩。

このレビューは参考になりましたか?

グロくてやめようかと思ったが、現実から目を背けるべきではないと読み進んだ。日本にもこんな時代はあったのかもしれない。だが、中国という国、国民性の一端に触れた気がした。
激しくて極端で、現実的な格差が当然なものとしてあって、差別される側も受け入れているように見える。そこにいたら気が狂いそうだと思ってたら、そんな最後……。優しさよりも、賢さと強さが求められる。程度の差こそあれ、それは今も、ここでも同じなのだろうと、普通とは違う方向で励まされたかたちになった。

このレビューは参考になりましたか?

「兄弟」、途中で休み休みやっと読み終えた。
最初の便所での尻覗きさえクリアすれば、、、と思ってなんとか読み進めたが、たくさんの暴力シーンや李光頭のストーカー行為など、何度も読み進めるのが辛くて止め、また数日後に読み始めるという事を繰り返していた。
また、われらが劉鎮の無知さや単純思考回路に時々イラつきながらも、今だってSNSでデマが広がりそれを信じた人達が同じような事をしているではないか、、、と思いつつ読み進めた。

従順で優しい宋鋼が意中の人と結婚出来たり、李光頭が中古品を売りながらどんどん金持ちになっていく場面では拍手を送った。

最後の最後はどんでん返しのような結末だったが、みんなそれぞれの事情の中で社会の中の一人として生きたり死んだりしているんだなぁ、人の人生なんてどこでどう変わるかわからない、自分でコントロールできないことがたくさんあるんだ。。。。私は今この瞬間を精一杯生きて行こう、と再確認した次第である。特にこんなご時世にあって、「われらが劉鎮」の出来事も、明日は我が身である。

このレビューは参考になりましたか?

とんでもなく暴力的な熱量が迸っている。
文革に殺された父。それによって一家離散しなくてはならなかった義兄弟、李光頭と宋鋼を巡る物語。
どうしようもなく猥雑で強かで、下品で軽薄で、それなのにどうにも目が離せないまっすぐなものに貫かれているのは否めない。
劉鎮の街のゴシップ好きな人々のパワーと喧騒も物語の背景を固めている。
恋に、仕事に、全身全霊で立ち向かう李光頭の直情径行な言動も、己を信じる馬鹿みたいな自信も、渦巻く欲望のままに突っ走る快感を読み手にも与える。対して宋鋼の零落がやるせない。兄弟愛の深さ、大きさも桁違いの悲劇であり喜劇だ。

このレビューは参考になりましたか?