エピソード

アメリカ文学者 大橋吉之輔 エッセイ集

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刊行日 2021/10/04 | 掲載終了日 2023/06/27

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内容紹介

推薦――鴻巣友季子氏(翻訳家)

ユーモアとペーソス、茶目っ気と真摯。大橋先生の大きな愛に、"アメリカ文学"は輪郭をあたえられた。


一般的に病院の内科では、既往症のことをエピソードとも言う。そのエピソードがいくつか重なってメイジャーなものになると、ヒストリーとも言う。」


編者のアメリカ文学研究における恩師 須山静夫氏の壮絶な半生を描いて話題となった『S先生のこと』(第61回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)を書き終えた後、もう一人の恩師である大橋吉之輔氏(1924-93、慶應義塾大学名誉教授)のことを書かねばならないと思い立った。

大橋氏は、ヘミングウェイ、スタインベック、フォークナーといったアメリカ文学の研究、翻訳の大家として知られる。中でもシャーウッド・アンダスン研究の世界的権威であった。

しかし、その死から20年余り。記憶を辿るには遠くなった恩師の生涯を恩師自身に語ってもらうべく、書き残された文章を収集することから始めた。そうして選ばれた46篇の文学論やエッセイは、晩年に至って「私小説」の領域に近づく。編者によるサイドストーリーを交えて描き出される、ユニークで傑出したある文学者の生涯。

■目次■

小伝 大橋吉之輔先生

第一章 「大橋吉之輔」の形成

ヒロシマ・ひろしま・広島

菊池寛のトランク

書物とのつきあい

シェイクスピアのこと

Episode 東大時代の先生

厨川先生のこと(厨川文夫氏への追悼文)

“Three Lives”(龍口直太郎氏への追悼文)

思い出すこと(西脇順三郎氏への追悼文)

師恩(西川正身氏への追悼文)

Episode 大橋二等兵

第二章 先生の文学論

アメリカ文学へのアプローチ

Episode 大橋ゼミ

スタインベックの文学

アーネスト・ヘミングウェイの死

ウィリアム・フォークナーの人と作品 ―私は人間の終焉を信じない―

大橋健三郎著『フォークナー研究 1』

Episode 大橋先生の文学論

いまなぜユダヤ系なのか

谷崎、荷風の作品を評価 来日の米小説家ソール・ベロー

死を想定しない倫理

Episode 先生の、そして私の『ライ麦畑でつかまえて』

本国におけるメイラーの評価

『カリフォルニア州ヨコハマ町』

Episode 大橋先生と翻訳

事件と文学の間柄

南部女流作家の写真集

ケルーアック再考

思い出すこと

サーバー雑感

われわれにとって外国文学とは何か――「アメリカ文学に対するアジアの反応」会議に出席して

シャーウッド・アンダスンと私

シャーウッド・アンダスンの文章

Episode 大橋先生の「アンダスン愛」

第三章 仕事・クルマ・映画・古本

貧乏性

ヘミングウェイ架空会見記

国産車の余禄

病気のあとで

Episode 先生とクルマ

映画三題 強烈な人間臭さ――イタリア映画「道」

身と心で生きている人々――「喜びも悲しみも幾歳月」

リアリズム映画の極限――ポーランド映画「地下水道」

アメリカの古本屋

Aを追え

ニューヨーク・ブック・フェアにて

さぎそう

第四章 晩年の先生

天邪鬼

Episode 李さんのこと

インディアン

タイムズ・スクェア

Episode 恵泉女学園大学時代

なまえ

なまえ(続)

Episode 入院中の先生

第五章 最後のエッセイ

シカゴ再訪

Episode シカゴへの旅

ジョン・アンダスンのこと

宇和島へ

Episode 私の就職問題

シェリーかシャンペンか

Episode 大橋先生と松元寛先生

感謝祭の七面鳥

Episode 絶筆

エピソード

大橋吉之輔著作目録


著者紹介

著者 大橋吉之輔(1924-1993)

アメリカ文学者。慶應義塾大学名誉教授。東京大学英文科卒業。高校教師、雑誌編集などを経た後に、1952年より慶應義塾大学文学部で教鞭を執った。日本におけるアメリカ文学研究の黎明期を支えた一人。ストウ夫人『アンクル・トムの小屋』、ウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』、ウィリアム・スタイロン『ナット・ターナーの告白』、アーウィン・ショー『富めるもの貧しきもの』などを翻訳した。シャーウッド・アンダスン研究の世界的権威として知られ、『アンダスンと三人の日本人――昭和初年のアメリカ文学』(1984年、研究社出版)で日米友好基金特別図書賞を受賞。

編者 尾崎俊介

1963年、神奈川県生まれ。愛知教育大学教授。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得。専門はアメリカ文学・アメリカ文化。著書に『S先生のこと』(新宿書房、第61回日本エッセイスト・クラブ賞)、『ハーレクイン・ロマンス』(平凡社新書)、『ホールデンの肖像――ペーパーバックからみるアメリカの読書文化』(新宿書房)、『紙表紙の誘惑』(研究社)などがある。

推薦――鴻巣友季子氏(翻訳家)

ユーモアとペーソス、茶目っ気と真摯。大橋先生の大きな愛に、"アメリカ文学"は輪郭をあたえられた。


一般的に病院の内科では、既往症のことをエピソードとも言う。そのエピソードがいくつか重なってメイジャーなものになると、ヒストリーとも言う。」


編者のアメリカ文学研究における恩師 須山静夫氏の壮絶な半生を描いて話題となった『S先生のこと』(第61回日本エッセイスト・ク...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784798701820
本体価格 ¥2,700 (JPY)

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本作は、アメリカ文学者の大橋吉之輔先生が生前に発表した論文やコラム、エッセイなどを、愛弟子である著者の尾崎氏が先生に代わって纏め上げた自叙伝のような一冊であった。
正直を言うと、私はアメリカ文学についての知識はほぼゼロで、文中に登場する作品においては、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」くらいは読んだことがあるといった程度だ。けれど、シャーウッド・アンダスンをはじめ、ジェイムズ・ボールドウィン、フォークナーなどについて、ときおり雑談を挟みながら彼らの作品や生い立ちについて述べられたエッセイはとても分かりやすく、ページをめくりながら大学時代の講義を聴いているような気持ちで読み進めるのが楽しかった。
個人的には、戦時中に大橋先生がどのようにして文学を志したのかに至る過程が特に興味深かった。また、公式に掲載されたコラムやエッセイには書かれていない、大橋先生と尾崎氏の何気ない会話や、二人で訪問したアメリカ旅行談等のサイドストーリーも面白いので、文学の世界を知らなくても置いてけぼりにされる事は無いはず。現役の大学生にはもちろん、アメリカ文学を読んだことがないという人にも是非手に取って読んで欲しい作品だ。

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本書はアメリカ文学者・大橋吉之輔が残した文章を、愛弟子である尾崎俊介が収集編纂したものである。
文学者の文章って難しくてつまらなそうという私の予想は、見事に外れた。
大橋の文章はどれも読みやすく、また尾崎が記す恩師とのエピソードも実に楽しい。師弟の文章がコラボして「大橋吉之輔」という人間を浮かび上がらせ、まるで自叙伝を読んでいるようだ。尾崎は、本書を愛弟子から恩師への「贈り物」の一冊と記しているが、読者にとっても大橋の人柄と功績を知ることができる貴重な「贈り物」である。
私が特に印象深いのは、「アメリカの古本屋」など大橋の文学好きとそれを学ぶ楽しさが伝わってくるエッセイだ。最近学びたいほど好きなことがないな、と思いつつ、日々ぼんやり過ごしている私にとって、その姿はうらやましく、自分も学ぶ楽しさを知りたい!とさえ思えた。
学びから離れて、その楽しさを忘れてしまった私のような人も多いはず!
この「贈り物」を、学びの楽しさを知るためのきっかけの一冊にしてみてはいかがだろうか。

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最高に深くて面白いんです。本が好きな方とにかく読んでください!

アメリカ文学、に囚われすぎずに楽しんでいただけると思います。アメリカ文学のことはあまり詳しくないからと臆さなくても大丈夫です。本が好きな気持ちを共有してくれて、本を読んだり何かを見聞きしたときに思考を巡らすあの姿勢を肯定してくれます。

翻訳者さんらしい美しい文章にもうっとりしました。

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