川のほとりに立つ者は
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刊行日 2022/10/18 | 掲載終了日 2023/03/15
ハッシュタグ:#川のほとりに立つ者は #NetGalleyJP
内容紹介
2023年本屋大賞ノミネート!
『ガラスの海を渡る舟』『カレーの時間』など、今大注目の著者が描く意欲作!
新型ウイルスが広まった2020年の夏。
彼の「隠し事」が、わたしの世界を大きく変えていく――。
カフェの店長を務める29歳の清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いている。
原因は、彼の頑なな「隠し事」のせいだ。
そんなある日、松木が怪我をして意識を失い、病院に運ばれたという連絡を受ける。
意識の回復を待つ間、清瀬は彼の部屋で3冊のノートを見つけた。
そこにあったのは、子供のような拙い文字と、無数の手紙の下書きたち。
清瀬は、松木とのすれ違いの〝本当の理由〟を知ることになり……。
「正しさ」にかき消されゆく声を丁寧に紡ぎ、誰かと共に生きる痛みとその先の希望を描いた、あの夏の物語。
●著者プロフィール●
寺地はるな
1977年、佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、デビュー。2020年度の咲くやこの花賞文芸その他部門を受賞。21年『水を縫う』で第9回河合隼雄物語賞を受賞。他の著書に『夜が暗いとはかぎらない』『どうしてわたしはあの子じゃないの』『声の在りか』『ガラスの海を渡る舟』『カレーの時間』などがある。
出版社からの備考・コメント
※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
出版情報
| 発行形態 | ソフトカバー |
| ISBN | 9784575245721 |
| 本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
レビュアー 981507
人間の奥深い心が感じられた作品です。
カフェ店長の清瀬がスタッフへの接し方、松木と同級生とのかかわりを読んで考えさせられました。私たちが当たり前のように行っていることをなかなかできないことに苦しんでいるひとたちを「障がいがあるから」と一括りにしていなかったかと。
そしてもう1人。生まれた境遇から誰かに依存しないと生きていけなかった女性が清瀬に放った言葉と、清瀬がその女性に「明日がよい日でありますように」と願う気持ち。
”深く包み込むような想い”にはっと心が洗われました!
出版事業関係者 489563
テーマを言ってしまうとネタバレになってしまうから言えない。知らずに読んだ方が 登場人物に感情移入できる。
「無知」という罪は 知らぬ間に人を傷つけている。
読者はまさに、「無知」という罪を背負いながら読み始めた方が、読了後に 腑に落ちると思うのだ。
寺地さんはテーマを別の言葉で「羽化に失敗したセミ」と表現されているような気がする。まるで失敗作だから どうしようもない。
そう素通りしてしまうようなことも、
共感できる人が読んだら
胸をえぐられるようなツラさを感じるだろう。
テーマに対する結論や答えは無いかもしれないが、
「寄り添う」「共に生きる」なにより、「向き合う」「知る」ことが「救い」になる。
この問題に悩んでいる人や家族だけじゃなく、
会社経営者や、人の上に立つ人、学校の先生は 読むべき作品。
しかし なにげなく生活している全ての人が
きっと 傷つき傷つけている問題。
寺地さんの作品は 読了後に
心の中に灯りがともる。
どの作品も好きだけれど これはまた
別格だったなと思う。
さすがだな 読みやすいし、ページ数も200ページちょっと。
人権の作文や、小論文にも向いていると思われる。
中高生の読書感想文にも向いてる
レビュアー 912561
『タイムマシンに乗れないぼくたち』を読んで以来、寺地はるな氏の作品は読むようにしているので、今回、飛びつくようにリクエストさせていただきました。
「普通」を求められると難しい、生きづらいという人は、以外に多いのに、100年前と変わらぬ画一的な学校教育や、近年以前にも増して強くなる「空気読めよ」の風潮が高まる社会の中で、「できない人」「頑張らない人」「やる気のない人」だと隅に追いやられる人のことが、「わからない」人がいかに多いことか。
もうそろそろ義務教育くらいは、その子に合った難易度のものをその子に合ったやり方で進めていけて、デジタル、アナログ問わず、もっと「普通に」支援を求め、受けられる世の中になってもいいと思う。
そうならないから、たまたま学校でその時習う学年相応の内容が難し過ぎただけの子供が「自分はバカ」だと自己否定感を強くしてしまったり、たまたま学校教育と相性が良かっただけの子供が他を見下すようになる。
などと、言いながら、私自身、進学できて、「大きな会社」に入れたのは、「自分が努力したからだ」と無邪気に思っていた頃があり、その頃は多かれ少なかれ、そうでない人を下に見ていたと思う。
結婚し、子供を育てるようになって初めて、自分の周囲以外に目が向き、綺麗事でなく、世の中には「色々な人がいる」ということを知った。そしていかに自分が恵まれていたかに思い至った。
この作品はかつての私のような「わからない人」の胸に届き、新たな扉を開くと思う。そして、「普通」を求められて「生きづらい」と感じている人にも届いてほしい。あなたが悪いわけではない、と伝えてほしい。
書店関係者 426127
寺地さんの作品はなぜこんなにわたしの心を刺すのだろう。今まさに気になっていたことを物語という形でわたしの前で繰り広げられる。正直何が正解なのかわからないが清瀬の目を通して自分の中の何かが変わったのではないかと思う。
レビュアー 750904
自分には知らない事ある。
知らないと言う事にも気付いていない、だから誰かを傷つけてしまってもきっと、知らないまま生きてゆく…そう考えただけでゾッとした、知らなかったで赦される事なんて無いのだから。
1人1人が精一杯日々自分を生きている。だから、つい自分の物差しだけで判断しがちになる。
でも彼女は彼はあなたじゃない、同じではないそんな当たり前の事さえ気付けなくなる時がある、きっと誰しもが。
読んでいて辛かった、最初は主人公の周りにいる人達、と言う曖昧な輪郭が少しづつ真実が明らかになる度にフォーカスがピッタリと合った様に確かな実体となって現れる、と同時にその心の辛さも我慢して生きてきた事も突き刺さってくる。目をそらせない現実がそれぞれにある。
彼らの生きてきた道に思いを馳せ、耐えてきた言葉に胸が引き裂かれ…私の言葉では到底言い尽くせない。
だから思う。
『想像してごらん』かの有名な曲を私は日常で思い浮かべる事がある。
想像は人間が与えられた人として生きていく為の、もしかしたら?1番大事なものかもしれない。そして、何よりも知る事へ向けての第一歩だと思う!そして、それがどれだけ足りていないかも。
この世に欠けているのは、ほんの少しの想像力と余裕なのかもしれない。
彼らの声が届きますように、そして声が上げられますように、生きやすくなりますように!それは全て私達の生きやすさに繋がっているのだから。
書店関係者 907063
何から書けばいいのか、感想がまとまりません。いろんな感情が溢れて溢れて止まらないのです。
自分に突き刺さる言葉が多すぎて、共感、反省、気付き、心にぐわっと語りかけてきました。私は清瀬側だったので…まるで天音さんの叫びのように、この作品全体が「むきだしの、血を流している傷口みたいな声で」訴えかけているんです!
しかも、「むきだしの、血を流している傷口みたいな声」という表現、最上級にぴったりです。痛い程伝わります。むしろ痛いです!
そして「無知」という罪。これなんてたぶんほとんどの人が気付かないうちに、悪気なく犯している罪だと思いました。もちろん私もそうなので、めちゃくちゃ考えさせられました。
この作品を読んだ人(読むであろう人)のまわりにも、品川さんやいっちゃん、天音さんみたいな人がいると思います。私にも身近な所に品川さんがいます。
この作品を読んだ人が、私が、自分のまわりいる彼等を大切に出来たらいいなと心から思いました。
そして、明日がよい日でありますように。なんて素敵な言葉なんでしょう!決して相手に押し付けることなく、こちらが勝手に相手の明日を祈る。とても好きです。
相手に直接伝えることができなくても、せめて心の中で願いたいと思いました。
この素敵な言葉を忘れないように大切にします!
最後に、タイトルがすごいです。私も川のほとりに立った時、川底に沈む石の数を知らなくても、その沈んだ石がそれぞれ違うことに気付けるような人に成長していきたいと思いました!いろんなことを気付かせてくれる、素晴らしい作品でした!ありがとうございました!
図書館関係者 546150
あなたは上から目線だと、他者から言われることがある。その言葉は深く刺さる。フラットな目線を持ちたいと希っているのに、なぜだろう。それにどこがなのだろう。自分ではそれがわからなくて途方に暮れる。刺さったままの言葉を戒めにしようと、楔として自分でさらに自身に打ちこんできた。
この本を読んで思った。
そうやって私を責めた人たちは、彼女たちが自分で思っているような公平な目線を持っていたんだろうか。
もしかしたら私は、彼女たちの言葉を自分にさらに刺しこむことなんか、なかったんじゃないか。
この考えに手を伸ばすのは、傲慢の始まりかもしれない。
それでも。
この本を読むと思う。
川べりの人は、水底の石を知らない。
同じように、梢の葉のことも知らないだろう。
人は、自分の立ち位置からしか見えない。それは咎め立てすることじゃない。そこからは何が見えるのかどう見えるのかを、ほんの少しでもいいから慮るゆとりがないことが、駄目なのだと思う。
他者の立ち位置から見える景色を責め合わずに、尊重できるような人間関係を作れたらいいな。
描かれている以上のことを考えさせてくれる本だった。
読んでよかった。
書店関係者 576484
どんな人にも良い面も悪い面もある。
今見ているものは、その人のごく一部だと言うこと。
そんなことはわかっている。
いやそれ、本当にわかっているのか?
私達はいつも自分の考える枠を相手が超えてしまうと「わからないこと」にストレスに感じる。
なぜ隠すのだろう、打ち明けてくれないなんて冷たい人だと一方的に傷つく。
そして自分の「正しさ」をぐいぐいと押し付けてしまう。
寺地さんの今作は、読み終わって数日経つがボディブローのようにじわじわと効いてきて私の日常にふとした時に現れている。
いい歳になっても私はまだ狭量で未熟者だと感じる。
私は自分勝手で独りよがりの人間だ。
ちゃんとそんな自分であると自覚して人に対して向き合いたいと思う。
きっとこれからも傷つけ合うのかもしれない。
それでも誰かと寄り添い関わって生きていきたいと思った。
どこまでも、いつまでもだ。
書店関係者 466307
「何故、できないのか」「どうしてそんな考え方しかできないのか」
人に対して、そう思う時、自分の中に上から目線の驕りがあることに気づけるだろうか。
否定から入っては、その人の本当の姿は見えない。
寺地はるなの作品には、読む人がそれぞれの人物の視点に立つことができる。
だから、共感できるかできないか、改めていろんな角度で考える。
環境を選んで生まれてくることなど、誰にもできない。
傲慢さをもって、人に干渉をしてはいけないし、
差し伸べられた手を邪険に振り払ってもいけないと思う。
あってはならない格差。
「無知」であることに気づき、互いの立場を思い、助け合うことこそ、
それを無くす術だと信じたい。
是非、いろんな人に手に取ってほしい作品です。
教育関係者 565489
私はこれまで何を見ていたのだろう……。
最後のページに記された文章を心に刻みつけて生きてゆきたい。
そう思える作品でした。
川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。
でも 清瀬は水底の石がそれぞれ違うことを知っている。
川 自身も知らない石が沈んでいることも。
あるものは尖り、あるものはなめらかに丸く、
またあるものは結晶を宿して淡く光る。
人は石を様々な名で呼びわける。
怒り、痛み、慈しみ。あるいは、希望。
松木の小学校の卒業文集には泣けた。
すばらしい作品です。寺地はるなさんの代表作になるでしょう。
書店関係者 595176
大好きな寺地先生の新作。
自分が物語の内側にいるのか外側にいるのかわからなくなるくらい入り込んでしまった。
人を想うことって、人と関わることってなんだろう。
考えが至らなかった無知な自分に打ちのめされる。
出来るなら今、この時から、見えるものだけでなく その先に、奥にあるものにも気付ける私になりたい。
そして誰かの明日の幸せを祈れる人でありたいと思った。
心の中にいつも置いておきたい大切な本です。
書店関係者 930507
普段当たり前だと思っていることが当たり前ではないこと、人間はひとりひとり違う個性を持っていること、そんな分かっているつもりの物事を本当にあなたは深く考えたことがあるのかと問いかけられたように感じた。そして無意識のうちにある自らの傲慢さに気付いて震えた。すごく嫌なヤツに思えた登場人物の発言だって自分の中にないとは言い切れないしそれを隠して生きている自分の卑劣さに苦しくなった。
寺地はるなさんの作品はいつも読み手に気づきを与え、考えるきっかけを作ってくれるように思う。たとえそれが正解や答えのない問いであったとしても。一緒に考えて明日は今日よりも良い日にしましょうという願いがこめられている気がする。明るい光がさしたようなラストに希望が見えた。心の奥底まで響く作品でした。
図書館関係者 478435
知識として知っていても本当にわかることは難しい。わかっていても、いまだにどう接していいかわからないと、あまり近づかないようにしていた。それも後ろめたかった。読んでいて、わからないのは当たり前だと、川底の石は見えないのだということは理解した。そこで安心してはいられない。どんな石がわからないで、どうやって対処すればいいのか。その人そのものを受け入れるって、言うのは簡単だが、結局どうすれば良いのかは、考えるきっかけにはなったがまだわからないままだ。あいつはどうしようもない、と批判するのも、しかたないよねあの人は、と諦めるのも、どちらもダメ。難しい。
書店関係者 1003475
主人公清瀬と一緒に川に沿って旅をし、色々な景色を見せて貰った。真実がわからない不安、同僚への苛立ち、自分への嫌悪、友の癒し、そして確かな愛情。負の感情を含めて自分を肯定してくれる優しさに包まれた。最終ページの「川のほとりに立つ者は水底に沈む石の数を知り得ない~」の四行が美しい。詩を読むように何度も口ずさんだ。
書店関係者 575000
何が正義か、何が正しいのかそればかりを気にして自分を出せない、周囲に気を使いすぎて知らず知らずのうちに我慢して爆発する。しかも本人は我慢しているなんて思っていない。『ちょっと頑張れば』『些細なことだし』な感覚
そういう人たくさんいると思う。
私もその一人。主人公の一人清瀬に感情移入しながら読んだ。
特別に悪い人なんて登場しないのに、人と人とのつながりが絡まりあって問題が起こりそこから周囲に、そして自分に目を向け視界を広げていく、読者にそれを語りかけてくる。
ディスレクシアとADHDという見た目にはわかりにくい症状についても考えされられる。
症状に目がいって、彼ら自身に目を向けていますか?
自問自答した。答えは【否】
知識や情報が先走り、その人自身を見るのが二の次になっていないか?
別の角度から見ると違ったところが見えてくるというのに・・・
【誰が】見るのか、【誰を】見るのか、【何を】見るのか、【何が】見えているのか・・・
【ほんとう】なんて誰にもわからないのだと
穏やかな文章でそれを魅せる寺地はるな先生のこの物語を、私は【繰り返し読みたいくらい好き】だと思った。
レビュアー 772226
どんな人もみんな自分を守ろうと、様々な鎧をまとって生きてるんだな~と感じた。歩み寄ると迎え入れてくれる人もいるし、天音のように堅く閉ざして受け入れてもらえないこともある。それでも、ちゃんと自分で考えて、知ろうとするってやっぱり大事だなと思います。松木といっちゃんが目を覚ましてくれて良かった。天音といっちゃんが再び共に歩ける日が来ますように!!
レビュアー 897572
寺地さん読んだのはまだ3作目なのですが、1番好きでした。
「みんな違ってみんないい」「みんな個性だ」みたいな綺麗事なだけの話じゃなかったです。
主人公の清瀬に自分がすごく重なり苦しくなりました。まじめでがんばりやは時に狭量という短所になる… 自分のことを言い当てられたようでドキリとしました。
登場人物みんな短所があって、それが人間臭くて良かったです。
清瀬と松木のこれからをすごく見たいと思えました。切なくも温かいラストでよかったです。
LDという学習障害は知っていたので冒頭でピンときたのですが、知らない人にもこれを機に知ってもらいたいです
書店関係者 836390
知りもしないのに知ったような顔をして、わかりもしないのにわかったようなふりをして。そんな風に誰かを傷付けてきたんじゃないだろうか。
ここに出てくる人たちの様々な事情。
知識として知ってはいるけれど、身近ではなかった。でももしかして。本当はすぐ側に苦々しく思っていた人に出会っていたのかもしれない。
本を読むということは知るということ。想像するということ。考えるということ。
無知は残酷。自戒を込めてそう思った。
立つ位置によって見える景色は違う。優しさが自己満足な時もあるし、攻撃が防御であったりする。
そんなあやふやな所で誰もが立っている。
清瀬の視線は私の視線。気付かなかっただけで、身近でないというだけで、存在がなかったことになりはしない。知ったあとは知らなかったことにはできない。
当事者、その親、友人、同僚。
誰かにとっての最良が、誰かにとってはそうではないこともあるのだ。
常にみんな揺らいでいる。
悩んで考えて、辛いけど考えることをやめないで。
川のほとりに立って、川の底を見ようと目をこらして。
重く沈んだもの、耐えきれずに形を変えたもの、光輝くもの、それらの意味を考える。
振り払われた手も救いを求める手も差し伸べる手も、誰かにとって意味のあるもの。
何もかもが解決するわけではないけど、知ることで昨日までの自分ではないことに意味があるのだと思う。
そして、ひとりでもたくさんの人にこのお話を読んでほしい。そして、傲慢な自分と向き合うことになった時、この本を思い出してほしい。私もそのうちのひとり。
レビュアー 1035549
自分に欠けているものに気付いたときに、周りとの関係が少しずつ変わりはじめる…。
静かに流れてゆく物語の中に、登場人物の抱えている背景や悩みが散りばめられていました。
相手に寄り添うことで優しくなれたり、お互いに理解し合えたり。
でもなかなかそれが難しくて、お互いの気持ちを尊重したときに見えてくるものがあるのだと思います。
自分のために、誰かのために。
明日はよい日になりますように。
いつも願えるようになりたいです。
レビュアー 496151
寺地はるなさんの書くものはいつも、決してこちらを第三者にはさせてくれない。「小説を読んでいる」のではなく、そこにいる人びとの息づかいを通して、その登場人物のいる世界に足を降ろしているような読後感に包まれる。
外からは見えない障害や、普通という呪い、たとえ家族ではあっても必ずしも噛み合わないこと。そこに散りばめられた一つ一つが、「あなたならどうしますか」と、問いかけてくる。
なかでもハッとさせられたのが、店員のネームプレートの問題だ。ネームプレートがあることで客に執拗に絡まれたり、一方的に好意を押しつけられるといったことは現実にもあり、それに悩まされているサービス業の従業員の被害は後を絶たない。そういった、現実によくある、「嫌だな」と思いながらも、どこかで「仕方ないよね」と諦めてきたことをすくい取る描写の力が凄まじいのだ。
この物語には、「弱い」とされる立場に置かれている人びとが登場する。だが、本当に彼らや彼女はそうなのだろうか。「弱い」とされる人は何かに「困っている」人で、けれど角度を変えれば、そういった人びとには、違う「世界とのつながり方」がそなわっているのではないのだろうか。
何かを学ぶとき、文字で書かれているものを読むことが一番しっくりする人もいれば、音声や映像の方がなじむという人間もいる。それぞれが、それぞれの生きやすい形で生きられる世界になってほしいと、ただ願った。
たとえ外からは見えづらくわかりにくとも、弱い立場に置かれていたり、「困っている」人間は確かにそこにいるのだと、誰かに届くことを、この物語は信じて叫んでいる気がする。
レビュアー 990125
松木の隠していた事実を知りたくて、どんどんページをめくりました。
登場人物にはそれぞれの育った背景があり、とてもリアルに感じました。
話の後半では清瀬が天音に対して憎しみから一歩踏み出した感情を持つようになり、それがこの本のタイトルとなっています。幸せそうに見える人にもそれぞれの川底の石はあり、読み手である私にもそれを気付かせてくれました。
たぶん、日本中に同じように静かに苦しんでいる人はいて、教育のあり方や、子育て環境、そして誰かの苦しみを想像してみる力が国力になるのではないか、、なんて事まで考えてしまいました。
図書館関係者 625858
冒頭ミステリータッチ。続きが気になってグイグイ読んだ。少しずつ謎がとけるに従って、人の多様さに打ちのめされる。それぞれ違うのが人なんだ。同じであることを強いられた自分。子どもにも周りと同じであることを強いた自分。子どもだけじゃない。周りの人も同じであることを求める自分。両方の自分を想う。
人と人が分かり合うのは大変なことだ。でも人は人と繋がることで楽しく豊かな人生を送ることができる。人はひとりひとり、全部違う。
生きるために、大切なことがここにある。
レビュアー 781279
昨年、寺地先生の講演会に行き印象的だった言葉がある。
「小説とは答えじゃなくて問い」
この一年色んな本を読み、この言葉を思い出し、その言葉の意味を考えてきた。
今作も問われた。
正しさとは?自分に欠けているものとは?
その問いの答えが正しいかどうかはわからない。
でもこの本を読み、自分なりに考え心が動いたと感じる事ができた。
寺地先生、これからもたくさんの問いを読者に与えてください。
書店関係者 499556
この物語は響く人にはめちゃくちゃ響くと思うけど、響かないひとはこの感情が全くわからない人には響かないんだろうな寂しいなぁと思いました
人にはそれぞれの考え方、生き方があり、どれもきっと間違ってはいない
それぞれが自分にできることをしようとしている
それぞれが大事な人に楽しく幸せに生活してほしいから、気を遣いながら相対している
そこに齟齬が生じてしまうことはあるけれど。
違うと思えば、話をしたい
人の真意を聞き、こちらの意見を言い、どちらもが理解して、認め、共に動く
そんな社会にできればいいな
と、思いました
社会生活を営む上で、こう言うことがあるということは年齢関係なく知っておいて欲しいし、できれば理解して欲しい
読み返せば読み返すほど考える機会をくれる小説だと思いました
そして、自分が職場で年齢的に一番上の方になって、驕り高ぶっていたのじゃないかと考えるきっかけになりました
息をしにくい社会に一石を投じる小説になって欲しいです
そして、あまり外には見せない寺地はるなさんの本当の優しい心が見えた作品です
感想は難しい…
書店関係者 517889
寺地先生の作品が好きです。この作品も一気読みしました。清瀬が後半にお店のスタッフから言われた言葉に感情を鷲掴みにされて、電車の中で涙をこらえるのに必死でした。これだから、寺地先生作品はやめられない!あと、天音さんが…!とにかく天音さんが怖い!
レビュアー 780363
寺地さんの作品は、いつも言葉にならない感情を描いているので救われる気分になるが、このお話は見たくないもの、背を向けてきたものを突きつけられたような感じで、途中から胸が苦しくなった。でも「頼ってよ」と言ってくれる友人や会社の人たちがいるから救われる。そして、自分も「頼ってよ」と言えるような関係性になりたいと願う清瀬や篠ちゃんの優しさ、強さに勇気づけられる。
やっぱり今回も救済の物語だった。
書店関係者 956369
寺地さんの文章がとても好きです。
ポンポンと小気味よい会話や
ちょっと突き放したようでいて
真っ直ぐで、ぐいぐい読ませる感じがよかった。
お互いに対等な立場で付き合うって
難しいなと考えさせられました。
ひとりひとり、育った環境も生まれ持った能力も
考え方や感じ方も、みんな違う。
だから、理解しよう、思いやろうとするけれど
ときにそれが『上から目線だ』とか
『正しさを押し付けられている』と思われて
反発されたり。
主人公の清瀬もいろいろ悩んで、最終的には
自分なりに正しいと思う通りに行動したら
相手がそれを受け入れようが拒もうが
それはその人の自由であって
それでいいんだと吹っ切れるところで
こちらの気持ちもすっきりしました。
自分が見えていなかっただけで、実は周りに
助けられていると気づくところもよかった。
傷付けられることもあれば
救われることもある。
人と人との関係って、本当に難しいけど
疎かにはできない大切なものなんだなあと
改めて感じました。
書店関係者 463108
普段、生活していてなんとなくモヤる言葉にできない思いを言語化して見せてくれるのが、寺地はるなさんの作品。
今回もまた、意識と無意識の間に潜んだ心持ちをくっきりと浮かび上がらせてくれた。
全方向には優しくなれない。だから、かかわり合った人には意識的に心を向けられるような人になりたい。
傷ついた心を掬い上げてもらえる作品。
図書館関係者 841977
今まで生きてきた中で、恥ずかしいと思ったことはいくらでもある。樹に心を砕いていた松木も、清瀬に「あなたにはわからない」と言われて恥ずかしいと感じたことががあった。色々なことをすべてパーフェクトに、丸く収めることは難しい。篠ちゃんが言うように、コンデションによって心持ちが変わったりもする。だから、努めて誠実に生きようと心がけている篠ちゃんを素敵だと思った。いくら知識として知っていても、人はひとりひとり違う。樹と松木のように、清瀬と品川さんのように、誰かが困っている時、または誰かに困らされた時、逆に自分が困った時、誰かを困らせてしまう時は、人と人として分かり合う機会に出来るといいなと思った。天音のパスケースに大切にしまわれたものの存在が、そんなにも些細なものに縋るほど彼女は不運だったんだなぁと思わせるようで、切なくなりました。
レビュアー 876455
「普通」「常識」「世間一般」そんな言葉が本当は何の意味もないように感じる作品だった。
と同時に、「優しさ」「いい人」という言葉がどれほど曖昧なものであるかを感じる作品だった。
私が人と関わるとき、無意識に私の「常識」を基準にして見てしまっている。
その基準から大きく外れた人を私は非常識と捉えてしまっていることの怖さを知った。
私に「普通」があるように、人それぞれにその人の「普通」があるということをもっと考えなければならない。
目に見えるものだけが正しいとは限らない。
寺地さんの作品は人に寄り添うことをいつも教えてくれる。
レビュアー 835222
一つの事実に対して、
一つの行動に対して、
「私」が下す、
その評価は本当に正当なのだろうか。
「相手の立場に立つ」事の大切さと難しさ
いつも自分を振り回してくる相手に対して、
そんな寛大な気持ちになれるだろうか。
「振り回されている」と感じるその行動の裏にある真実。
私はよく「常識」とは何だろう、と感じます。
多くの人が考える事=常識?
常識通りにはいかない様々な思い。
知らなければ思い描けない、
一人ひとりに宿る様々な思い。
寺地はるなさんの小説を読む事で、
「様々な思い」に対する可能性の幅を広げたい。
寺地はるなさんの作品では、
そんな捉え方をする人もいるのか、と、
よくハッとさせられますが、
今回はそれがミステリー仕掛けで明かされていくので、特に分かりやすく、
また、自分もやりがちな誤解が胸に突き刺さりました。
人は人との関わりの中で影響を受けて変わっていける。
現実には、不満の種は沢山転がっていて、
簡単に寛容にはなれないかもしれないけれど、
この作品を読む事で、
主人公の清瀬と一緒に、少しは成長出来た気がします。
書店関係者 545342
”むごい事件や他人の非常識な言動を目の当たりにした時、いつも「そんなことをする人がいるなんて、信じられない」と眉をひそめてきた。その言葉で即座に他人事にできる。心を痛めながらも切り離せる。自分はそんな人間じゃない、と安心できる。”
主人公の清瀬にシンクロして、そこまでもさんざんに打ちのめされてきた上に、この言葉は本当に突き刺さった。まさに日頃の自分の姿だ。そこに天音さんのセリフがより深く切りつけてくる。自分はたまたま、恵まれていただけなんだ。
寺地さんの作品を読むといつも、感想がうまく出てこない。書店員なのだから、うまいこと読みたくなるような文言を書いてPOPを作りたいと思うのに、言葉が出てこない。もどかしくてたまらない。しかしたくさんの人に読んでもらいたい物語であることは確かだから、考え続けたい。
レビュアー 1033923
とっても良かった!寺地さんは新刊を中心に10何冊か読んでるけど、コンスタントに良い作品を生み出されてるのはすごい。基本ハズレなし。本作も内容を言うとネタバレになるので何も言えないけど、自分を省みるきっかけにはなる。それも押し付けがましくなく。とにかく良かったので、読んで損は無い。色々言いたいことはあるけど、とにかく、たくさんの人に読んでみて欲しい!
図書館関係者 584759
自分は相手の、何をどこまで知っているのか?この問いは、自分の日頃の人間関係…夫婦・恋人・友人・職場の人々等…に対し一考の余地ある根源的な問いだと思う。とかく人は、自分の側からの思いだけで人を判断したりイライラしたりしがちだ。昔別れた恋人が、ある時突然事件に巻き込まれ意識不明の重体との報を受け、主人公の清瀬は、この問いを一つ一つ辿り逡巡するなかで、彼の思いを知り、自分を振り返る。その中で清瀬が、とても共感できないような人に対しても、その人の明日が良い日であるよう願うくだりは、さすが寺地さんだなぁと思う。自分の周りだけでも数多いる人間の、それぞれの特性や奥深さに思いを馳せる時、まさに人の間で生きる自分にも、愛を向けられる気がした。
レビュアー 1036250
寺地はるなさんの作品は、全部おすすめです。必ず何かしらの気付きが得られるからです。
この作品も、ミステリー仕立てで興味深く読み進める間に、自分の考えの浅はかさに気付かされました。
寺地さんの小説には、いつも自分に似ている人物が登場します。これは、みんなそうなのでしょうか。
この作品では、品川さんが、程度の差はあるものの自分に似ていますし、清瀬の態度にも、心当りがあって痛い所を突かれた思いです。
この作品を読んだ私は、明日からは少しは周囲を思いやることができるかな。
ラストシーンにホッとして、救われる思いでした。
書店関係者 796923
一面を知っただけで、その人の全てを理解した気になって、この人はこういう人だと決めつけていた事が何と多かっただろうか。
清瀬の気づきは私に目を覚まさせてくれた気がする。
人付き合いとは?再度考えさせられた。
書店関係者 787614
寺地はるなさんの作品が楽しみで今回もあっという間に読み切ってしまいた。たぶん自分にも思うところがあったのだと思います。誰かの事を知りたいと思った時、人は知らないうちに自分の経験した事柄から全てを決めつけて疑わない時がある。この人はこうだ!と決めつけてしまう。実は知り得ない経験や感情、真実が隠れているかもしれないのに。この作品を読みながら大切な人達の事をもっと知りたいと思えました。沢山の人に読んでもらいたいです。
レビュアー 876403
序盤の「くっきりとした「好き」ではなく、ましてや欲情などではぜったいになく、淡くしみじみとした「好ましい」だった――」
この表現に惚れました!
恋愛ものであり、障碍についての話であり、同時にある種のミステリーでもあり、さらに努力とか人間関係とか不寛容さとか、いろんなことについて考えさせられる内容で、面白いだけでなく、すごく深い内容だと感じました。
万人にお勧めの一冊だと思います!
図書館関係者 601014
「知らない」ことの傲慢さをつきつけてくる。「知っていたら対応したのに」と思うことはきっと誰にもあることだろうけれど、それは強者の理論だろう。とはいえ、何もかもを把握し、どんなことにも正しい対応をすることなどしょせん一人の人間にはできないことだし、「良かれ」と思ったことが相手のためにならないことだってあるし、「こうであればいい」と思ったほうにだけ人生が進む人の方が稀だろう。そんなままならない中で必死にもがく人がすぐそこにいる。そんな感覚にさせてくれる本。最初のすれ違いは些細なものでも、いつか大きな亀裂になって取り返しがつかなくなる可能性もある。疲れやストレスがたまると余裕がなくなって、自分の方で一歩引いてみたり、相手の側に立って考えたりするゆとりを失いがちになるけれど、そんなときこそ一呼吸おいて客観的に自分たちを見つめ直すことができるとよいのだろうなと思わされた。
レビュアー 1039932
寺地はるなさんの作品は全作品読んでいますが、今作は今までの作品とは少し違って推理小説のようなスリリングな一面があり、引き込まれて、あっという間に読んでしまいました。読んでいて考えさせられることが沢山ありました。まずは字が上手く書けない特性を持ったいっちゃんのこと。私は職業上このような特性を持つことと接することがありますが、その子たちの苦しみや辛さまでは理解しきれていませんでした。この作品を通して、あの子達はこんな気持ちだったのかなと手に取るように伝わってきました。すごい表現力だと思いました。また登場人物皆の優しさでとても心が温まりました。清瀬のように周囲の優しさを感じ取れる人でありたいなとも思いました。
図書館関係者 1038994
著者の作品ふ好きで、全部読んでいます。
久しぶりにヒットかも。
途中苦しくなる時もあったけど、非常に読みやすかった。
男同士の友情も素敵だったし、ずっと会っていなくて別れてるのかわからない状態だったにも関わらず懸命に看病する主人公の姿。証されていく真実。ぐいぐい引き込まれてしまいました。
見えない障害についても、考えさせられました。
レビュアー 545125
川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。その通りだと思う。また最近自分自身がよく感じることは、人は皆同じものを見ても全く同じには感じ得ないということ。だから、自分以外の人と接する際は、幅を持つというか、余裕を持つというか、視野を広く、許容量を大きく、そんな自分でいたい。
レビュアー 876034
色々な感情が噴き出してきてしまい、感想がまとまらない。
寺地さん、久しぶりに読んだけどさすが。という感じ。
清瀬の思うことも分かるし、松木の嘘のつけない誠実な性格も好感が持てる。
天音さんは自己防衛が強くちょっと捻じ曲がってあるけれど、現実にもいるキャラクターだと思う。他者を頼りにしてしか自分を見出せないところやすごく弱いところは実は誰にだって持っている部分だと思う。
品川さんの持つ特性も知らないからと言って目を瞑る訳にもムカついて自分が頑張ればそれでいいんだという気持ちにもなれない。
自分が休んだら仕事が回らないと思っていた時期が自分にもあった。人に迷惑をかけてはいけないという思考にもゆるがないものがあった。
本当は自分がいなくてもなんとかなるし、頼る頼られることが人間関係の要や成長に結びつくものだったりする。
無知は罪なりとはよく言ったもの。
物事には常にA面とB面がある。(xyz軸やもっと存在するのかもしれない)見えているものだけを信じるのではなく、物事の本質をいつだって見つめる人になりたい。
カレーライスの時間に引き続き、胸がギュッとなる作品。
書店関係者 713393
寺地はるなさんの紡ぐ物語は読んだ後も余韻を残し、その後の生活にもそっとそれを読む前とは違う趣きを与えるように感じる。
自分から求めた訳ではなく、何かのきっかけで出会った人の中には、「ああ、明らかにこの人と私は違う世界に住んでる」と決めつけてさっと心を離してしまうところのある私には、今回の主人公のような人への接し方にはっとさせられ、憧れを抱いた。
出会いがもし違ってたら、こんな風になれたかもとちょっと止まって想像してみる…アリかもしれない。
書店関係者 475989
誰しも、知らない事を想像することは難しい。知らない中で誰かを傷つけてしまう事も、一方的な「正しさ」や「普通」を押し付けてしまっている事も。
その無知の罪に気づき、大いに戸惑い、狼狽える主人公の心情に、自分もそうなのかも知れないと省みて共感を覚えました。
自分の想像の外で苦しむ人々がいる。その境遇は自分にあったかも知れず、恵まれていたのだという自覚と、もし、過去に出会えていたら、手を差し出していたら何かが変わっていたかもしれないと思いを馳せる素直さは、いとも簡単に拒絶されてしまうけれど、主人公のこれからの未来に深みと広がりをもたらすのだろうと感じました。
川のほとりに立つ者は、水底の様子は見えないとしても、石や草や魚があることは想像できるのでしょう。
他者の心の底にある悲哀や苦悩、喜びがあることもまた想像することができるのだと、自分のもつ囲いの外を伺うことができるのだと覚えておきたいと思います。
明日が良い日でありますように。
誰かの為に願う、最高に素敵な言葉だと思いました。
レビュアー 554976
一体何が起きたのか?どこへ向かっていくのか?不思議な雰囲気から始まる物語は、読み進めるうちに人としてとても大切なことに気づかせてくれる心に響く言葉が散りばめられていた。
人生を振り返りながら色々なことを考えた。私だって他人ができて、自分ができないことはたくさんたくさん山ほどある。ありすぎて自信を無くすことばかり。傷ついたこともある。それなのに、みんなが普通にできることをできない人がいたら、え?なんでできないの?なんでそんなことするの?と顔に出したことはなかっただろうか?その人の性格だと思っていたことも、もしかしたら、理由があるのかもしれない。誰かの行動には事情があるかもしれない。と考えたことがあっただろうか?人はみんな育った環境も現状も違う。誰かを傷つけてしまわないように、少しずつ思い込みを捨てていこう。そう思える優しさに包まれた素敵な作品でした。
教育関係者 1041981
寺地はるなさんという作家を知ったのは、私の勤務する学校で行われた模擬試験の国語の文章の中でした。試験監督をしながら読んでいくうちに、人物の描き方がとてもすてきで、この人の作品をもっと読んでみたいと思ったのが、この作品を読むきっかけとなりました。
寺地はるなさんの作品は、本来ライトノベル世代より少しだけ大人の、しかし若い世代向けの小説なのかもしれませんが、アラフィフの私でもとても楽しく時には涙しながら、一気に読んでしまいました。
前述した作品でも感じたとおり、1人1人の人物に対する寺地さんの愛情が深く、どの人物も憎らしいところやいやなところがあったとしても、それは一面でしかなく、必ず何かしらの魅力を感じさせてくれます。主人公の清瀬もそうですが、松木、いっちゃん、品川さんもそう。職業柄、品川さんやいっちゃんのような存在はとても気になりますが、こういう人をそう特別扱いして書いているわけではないところもこの作品の魅力だと思います。人それぞれ、生きずらさを感じることもあるし、私ってこういうところがダメなんだよなとか勝手に落ち込んだり逆に1人で盛り上がったりして。そういうことは誰にでもあるし、みんな大丈夫だよ、と言われているような気がして、読み終わったあとで、すごくホッとした気持ちになりました。
このような作品に出会わせていただいたことに感謝です。ありがとうございました。次の作品も待っています。
レビュアー 573233
人の内面、特性を深く考えさせられた作品でした。
見えている姿だけで、無知にその人を判断してしまうのでなく、新たな視点で考えるきっかけになりました。
「川のほとりに立つ者は」、という題も読み終わって、しっくりきました。
図書館関係者 843661
意識不明となった2人の事故の真相と2つの恋の行方が、清瀬・松木の2人の目線で、現在・過去を行き来しながら綴られていきます。
目には見えにくい2つの障がいについて、当事者の気持ちが生々しく書かれており、周りの人間はどのように対応するのが正解なのか、そもそも正解はあるのか?といろいろ考えさせられました。
寺地はるなさんの作品はこれまで6冊読み、どれも素敵な作品でしたが、『川のほとりに立つ者は』は特別心に残りました。
生徒だけでなく、先生方にも是非読んでほしい。
書店関係者 1040963
心に残したい言葉がたくさんありました。
どんなに大切な人でも、その人のことを全部知ることはできない。その人の心の底に何があるかわからないから。だから、話し合うことが大切なんだと思う。
でも、「川のほとりに立つ者は」水底に沈むものを知ることはできなくて。なにが沈んでいるのかもわからないけれど、そこに何かが沈んでいるということを知っていることが大切なんだなと感じました。
どうしようもない人もしっかり出てきて、その人たちは良くないことをする(それは私達の日常にも当てはまるんだろうなぁと思う)。でも、その人たちも、誰かにとっては大切な人。もしくは、これから大切な人になる人。
決めつけは良くないけれど、決めてしまったほうが一時的に気持ちが楽なときもある。そんなとき「何か沈んでるのかな」と思えたなら、ちゃんと楽になれるのかなと思いました。
217頁辺りは、涙で読めない…。でも、この感動的なシーンを一気読みするのだ!と、涙をがまんしながら、読みました。
寺地はるなさんの作品、大好きです。