私たちはなぜ傷つけ合いながら助け合うのか

社会心理学のテーマを広く扱った本。テーマごとに実験結果など裏付けのある説明がされており、信頼性が高いと思いました。現代社会に沿った、興味深いテーマばかりです。

ただ、文章の難易度は、ある程度文章を読むことに慣れた人でないと読めないレベルです。ルビもほとんどありませんし、専門用語の解説もありません。実験結果などのデータ部分と解説部分を一つの文章に入れ込むのではなく、それぞれに切り分けたほうが一般的な読者にとっては理解しやすいのではないかと感じました。（せっかく裏付けがあるので、そのことを打ち出す編集にしても良かったのではないかと、もったいない気がしました。）

また、細かいことですが、明朝体に見える部分のフォントは製品版では別のフォントになるのでしょうか（そうであってほしいです）。

特に心理学に深い興味はなかった、という人の目にも、今や毎日のように耳にする、例えば、バイアス、という言葉。
本書は、一見教科書のような体裁に見えるのだが、専門的でありながら、読みやすく構成されている。
社会心理学、の考え方、日々起こるさまざまな現象を、人間の行動をさまざまな側面から読み解き分析していく。コロナ禍の影響もあり、ここ数年で大きく様変わりしたような感がある世界情勢や人間同士の関わり。
これからも研究が深まっていく興味深い分野なのだと感じられた。

私たちの生活に深く関わる今日深い内容が多かったので、その時その時で関心のあるトピックを読む形で生活のかたわらに置いてあっていい本だと思った。

Wishで拝読しました。ありがとうございました。