黄金の村のゆず物語
著/麻井 みよこ
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刊行日 2022/11/14 | 掲載終了日 2025/03/31
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内容紹介
1960年、徳島県⽊頭村。主だった産業のないこの村に⼀⼈の破天荒な農業技師が現れた。その名は⾅⽊弘さん。⾅⽊さんは村人たちの貧しいくらしをすくうため、村の特産品として「ゆず」に⽬をつけた。
ところが、「ももくり3年かき8年、ゆずの⼤ばか18年」といわれるくらい、ゆずは成⻑のおそい果物。その栽培技術の確立はけっして容易ではなかった。はじめはゆずの苗⽊開発に乗り気ではなかった村の⼈々。でもしだいに⾅⽊さんのまっすぐで豪快な⼈柄に魅かれ、やがて協⼒するようになっていく……。
はたしてゆずは村の特産品になるのか︖ ⽇本ではじめてのゆず栽培に挑む⼈びとをいきいきと描く。
<もくじ>
プロローグ パティシエの国際コンクールで
一.さすらいの家庭教師
二.ももくり3年かき8年、ゆずの大ばか18年
三.黄金の村をめざして
四.木頭ゆず、日本のゆずになる
エピローグ ゆずの香りは時代をこえて
販促プラン
児童図書選書のための総合ブックカタログ Luppy(るっぴぃ)2024年版
特集 SDGsに取り組もう 選定作品
【テーマ 11 住み続けられるまちづくりを】
児童図書選書のための総合ブックカタログ Luppy(るっぴぃ)2024年版
特集 SDGsに取り組もう 選定作品
【テーマ 11 住み続けられるまちづくりを】
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784591175286 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
麻井みよこさんの「奇跡の村」を以前読み、その努力、苦労とたゆまぬ挑戦がとても心に残っていました。その児童書ということで今回は子どもたちが読むという視点で読まさせていただきました。
長さも内容も読みやすく、臼井さんが起こした木頭村のゆずの村になるまでの村の人との協力や努力、また料理人やパティシエにより、ゆずが馴染みのないものからより身近に価値あるものになっていくのがよく分かりました。
またその技術や知恵を他の村などへも教え、さらに広めていく努力を知り、是非多くの子どもたちに読んでほしいなと感じました。
とても清涼感のある、清々しい物語でした。
山間の奥地、とても農業には向かない立地の村に住む人々が、ある日突然現れた青年を中心に、様々な化学反応を起こしながら、新たにゆずの栽培に挑んでゆくという話でした。冒頭では、村には将来に対して悲観的なムードが漂っていましたが、青年の熱に動かされた人々が、試行錯誤しながらも、将来の村の発展のために奮闘する姿が描かれています。
何か新しいことをする時には、やはりそれなりの熱量であったり、努力が必要だと思います。この物語でも、そういった面がしっかり描かれています。現代では、泥臭い努力がやや敬遠される風潮があります。しかしながら、この物語では、やっぱりそういったものも素晴らしいんだぞと、熱く感じることができます。
児童向け文学という事もあり、試行錯誤面であったり、人間関係のドロドロといった部分にはあまり深入りをされていません。純然たる大人向けの話であれば、そういった部分も読者が求めるところなのかもしれませんが、この本では不要だと感じます。そのおかげか、非常に清涼感の強い、スッキリとした読後感を得ることができます。
全体の分量はそこまで多くないので、サクサクと読み進められます。小説というものをまだ読みなれていない子が、最初に手に取るものとしてはちょうどいい分量のような気がします。しおりを挟みながら、数日かけて読む本の楽しさを味わってくれたらいいなと思います。
薬味として、最近ではスイーツとしても人気の「ゆず」。そんなゆずの意外な歴史を知った。
栽培が始まったのは昭和60年からで、かなり最近。しかも日本で栽培されているほとんどが、この本で取り上げられている「木頭ゆず」の子孫なんだそう。てっきり大昔から特産品として栽培されているものだと思っていた。
所得倍増計画などで工業化が一気に加速した時代に、農業のこと、未来の村のことを考えた臼木さんという人物がすごい。着眼点も行動力も、きっと人望もあったのだろうと思う。そんな人々のおかげで、私たちはゆずを当たり前のように口にすることができている。ありがたいなぁ。
読んでいると、さんまや鍋が食べたくなってくる。
この物語は、徳島県にあった貧しい山村の木頭村(合併により、現那賀町の一部)をゆずに目をつけて生まれ変わらせた臼木さんの奮闘ぶりを描いたものである。農業普及指導技師として木頭村に赴任してきた臼木さんは、ゆずに目をつける。木頭村には、野生のゆずが沢山生えており、品質も非常によかったが、いくつかの問題点があった。その中でも、一番のの問題は実がなるのがものすごく遅いということだ。俗に「桃栗3年柿8年ゆずの大馬鹿18年」と言われるように、実生で育てるとゆずは収穫できるようになるまでものすごく時間がかかる。また、木頭のゆずの知名度は低い。臼木さんは、村役場に転職をしてこれらを解決していく。その過程は、新しいことをやろうとしている人には大いに参考になるだろう。
ゆずの栽培から販路を広げるまでの人々のこころを伝播する2人の男性。貧しさを放っておけないという白木さんと木頭を黄金の村にしたいという藤田さん人の熱意と意欲には計り知れないものがあり、周囲を次々と変えていきます。
「黄金の村」とは、まさに村人が一丸となった結晶の証でしょう。
ゆずの重みをひしひしと感じた1冊で、これから入浴時などにも大活躍するゆずを大事に使わせていただきます。
今ではゆず由来の食べ物、飲み物のみならず、入浴剤など、味だけではなくその香りを楽しむ果実として、知らない人はいないと言っても過言ではないゆず栽培が、こんなに過酷な試練を経ていたなんて仰天しました。
木頭村の天然のゆずの試行錯誤の苗木開発、販路の拡充、他地域への普及の協力、ゆずで食べられる村にするために奔走した臼木さん、そして藤田さんの熱意が広がっていくさまに胸を掴まれました。
35年の長きに渡り、木頭村のため尽力した臼木さんの絶対に諦めない姿勢には、多くの学ぶところがあります。
ゆずを日本国中に広めた木頭村が地図の上から消えようとも、その功績は受け継がれて語られるべきものでしょう。
「ここを、黄金の村にしたいんじゃ」これは、一人の青年の夢でした。
それは、一本のローソクの火のようなものだったかもしれません。
たった、ひとりの青年心に宿った、まだちっさくて姿は見えないけれど、心のなかではもう、おっきな夢。
まずしく、生活も不便な木頭村。あかるくまじめに、おだやかに暮らす村の人たちを愛した、藤田青年の夢。その、未来の村民の笑顔を、つよく、ありありと胸に描き続けた、夢は情熱を生み、木頭村は「黄金の村」へと変わりはじていきます。
一本のローソクの火は、また次の一本へ。夢の感化力ですね。感動は、ウイルスどころのものじゃない。
響き合い共鳴し合う。感染するごとく。その火は、もう村を照らす炎、いや、太陽のように輝くのです。闇の中に、小さいキラキラした明かりが灯り続けていきます。
臼木青年に飛び火した「黄金の村」という夢。走川青年の心の氷をとかした「黄金の村」という夢。
「黄金の村」・・・言葉になったこの夢は、実体を持ち始め、本当に光が村を包んでいくその強い勢い。
人の不安や恐れ、保身の壁を、内側から崩させる力が、きっと、夢にはあるのですね。
” できそこないの果物 ” と呼ばれたゆずでした。でも、それを世界は待っていた。その間に夢の架け橋をかけた人たちの物語です。
思えば、「米」という従来の作物から、食べることのできない染料「藍草」に夢を託したのもこの徳島でした。私は、この地に住みながらこのゆずが徳島から世界に広まったことをしりませんでした。でもそれとは関係なく、夢に生き始めた青年たちのなんという清々しさ。涙がながれます。
・・・見えないものを身近に感じて、でも、結果のなかなか出ない若者たち!あなたの火はいつか人の心を照らすはず。どうか、信じて!諦めないで!夢は感染し、真の友をあなたのそばへと、引き寄せてくれるはず・・・
がんばりましょう!ありがとうございました。
『奇跡の村』では、ゆず栽培に至るまでの努力と人々の絆、ゆず栽培が軌道に乗ってからも続く村の危機、悲しい出来事、それを乗り越え次の世代がまた村を引き継ぐ。世代が変わっても繋がっていく村への思いに胸を打たれ涙しました。「思いは繋がるんだ」と。
児童書ということで、ゆず栽培のことに絞ったのだと思いますし、「学習」という意味ではこれでよいのだと思います。
でも、あの胸の震えが忘れられません。
小学校でこれを読んで、中学、高校にあがったら是非『奇跡の村』も読んでほしいなぁと思います。
興味をもって読み始めた物語ではなかったのですが、臼井さんの行動がとてもすごくて(今と違って物があふれてもいないし、豊かでもない)、どんどん引き込まれていきました。
ゆずと言うひとつの食べ物を村全体の産業にして、村を活気つけていく、途方もない挑戦だったと思います。
もちろん、臼井さんにそれだけの能力があったからこそですが、村のみなさんの努力もすごいと思います。
実家に大きなゆずの木があり、20年以上の木らしいです。そんなゆずの木ですが、実家を片付けることになり、家の解体とともになくなります。このお話を読んで今、とても寂しく思っています。
日本料理、そしてお正月料理、我が家では特にお雑煮に欠かせない柚子ですが、その地位を築くまでにこんなに、まさに血の滲むような全方位への努力の結晶の果実だと、どれほどの人が知っているでしょうか。
この本は、貧しかった徳島県木頭村にきた農業指導員の若者が、柚子をもって村を再生していく物語です。当たり前の日常にあった柚子、商品価値があるなんて思いもつかない、しかも柚子の大ばか18年と謳われるほど結実までに時間のかかるとされた果実。
努力を実らせていくために、様々な人たちを巻き込んでいく。臼井さんのひたむきな行動力が周りの心を動かしていくさまは、その努力の大変さに思い至る以上に清々しさを感じます。子どもたちも、彼の熱意に並走して応援する気持ちで読むことでしょう。
現在、コンビニで売っている飲み物にも柚子味のものがあったり、居酒屋には柚子の入ったお酒などもメニューに並んでいるはほど普通に存在する柚子。しかしこの柚子にこのような奇跡のような物語があること自体が、奇跡。子どもたちだけではなく一緒に親御さんにも読んで欲しい一冊です、
ゆず味噌、ゆず胡椒、ゆず湯など、今では当たり前のように使われているゆずが「できそこない」「山の雑草」と言われていた時代があったとは知りませんでした。そして木頭村のゆずが日本中で今、栽培されているゆずの源になっていることも知りませんでした。そして、徳島はすだち、木頭ゆず、実生ゆず、阿波番茶など優れた農産品がたくさんあるのに知名度が低く残念に思いました。この本をきっかけに徳島のことをもっと知りたい思える1冊でした。
1960年(昭和35年)から徳島県の山奥にある木頭村が物語の舞台。
陸の離れ小島と言われるほど交通の便が悪く、林業以外主だった産業のなかった木頭村を、臼木さんを中心に、村人が一丸となって柚子の一大産地に育て上げるまでのノンフィクション児童小説。
子ども向けなので、平易な言葉でつづられているが、読みごたえがあった。
コンビニやネットで何でも手に入る時代に育つ子どもたちに、自らの考えと力で新しいことに挑戦し、切り開いていくということの素晴らしさを感じてもらえるのではないかと思った。
小学校四年生くらいから読めると思うが、ルビがひとつもふられていなかったのが気になった。
これからふられるのだろうか。
徳島県の木頭村が舞台になっており、今では全国的に有名な『木頭ゆず』の歴史のような物語。
臼木さん(農業普及指導技師)の情熱的で諦めない精神は、きっと、児童や大人に良い影響を与えてくれるのではないか。私もその中の一人になった。
また、児童文学ということもあり、文も短くわかりやすい言葉で読みやすい。
ぜひ、この一冊を読んでいただき、木頭村の『木頭ゆず』の伝統を知ってほしい。
個人的な思い出で恐縮ですが、ネットギャリーさんの企画とご厚意により、本書の最初に出てくる「柴田勇作さんの手掛けた、木頭ゆずを使ったチョコレート菓子「ボンボンショコラ」アジア大会 Top of pâtissier in Asia 2019 受賞作」を食する機会をいただきました。
麻井みよこさんのご著書の
「奇跡の村」木頭と柚子と命の物語
を拝読したときの思い出。
凄まじい筆の力、そしてそこに実際に生きた人々の物語の力。
久しぶりに心を揺さぶられる本との出会いだった。
著者のお名前と、表紙を見ただけで
あのお話を、次の若い世代に向けて再構築されたのだな
とわかった。
子供たちに、若い人たちに届いて、という思いを改めて感じた。
奇跡の村、と一緒に読むとなおよい思います。
あまりに厳しく悲しい出来事は本書には出てこないので。
新たな物語の誕生、おめでとうございます。
私はこの作品を読んで、大きな勇気と希望を持ちました。それはこの物語の主人公である「臼木さん」という人物の人柄と熱い情熱に影響されたからです。
何度揶揄われようが決して諦めない臼木さんの真の強さと熱量に圧巻され、読んでいくうちに徐々に心が動かされていきました。また、私と同じように、この物語に出てくる村人や農家の人々も臼木さんの熱に惹かれていました。その様子から私は、情熱がある人には自然と信じてついていこうと思える『覚悟』が生まれるような気がしました。私も実際、熱い心を持っている人の言動をきっかけに、成し遂げられるか分からない目標に挑戦をした経験があるため、少しは農家の人々の気持ちが理解できました。その人についていこうと最終的に決めたのは自分であるため、結果がどうであれ、信じたことに後悔するようなことはないと思います。それが『覚悟』であると私はこの作品読んで改めて思いました。またこのようなことが起きても、次はついていく立場ではなく、逆の立場で在りたいと思いました。私の人柄に惹かれ、「この人についていこう」「この人と共に人生を歩いていきたい」と思ってもらえるような存在になりたいと思いました。人が覚悟を決める瞬間は大抵、人生の分かれ道のときだと思っています。そんな瞬間に今後立ち会えたときは、臼木さんのように熱く、強い人間になっていたいと思いました。
目標を達成してもすぐに次の目標を設定し、大きく成長していく臼木さんの姿は、非常に信念深く、周りの人々を惹きつける力があると思いました。「どうせだめだ」と決めつけずに何事もやってみることが大切であるとこの作品で学びました。臼木さんのように常に探究心と物事に対する意欲を持ちたいと思います。物語の途中に「だれもやってないからこそ、挑戦する意味がある」という文がありました。これは簡単なことではなく、大きな一歩を踏み出す『勇気』がいることです。栽培の教科書がない中、ひたすら試行錯誤を繰り返し自分なりの教科書を作る臼木さんの姿は、私にとってとても心に響きました。うまくいくかどうか、根拠も保証もない挑戦に、できる限りの努力をする、臼木さんの忍耐強さ。そして、一歩前に進もうとすればあらゆる障害を、地道にとりのぞいていく、そんな気の遠くなるような状況下の中で、「それでもだれかがやらないといけない」と決心し動き出す臼木さんの行動力。気づけば私は彼の人柄に惹き込まれていきました。さらに、「作物を立派に育てる喜びだけでなく、報われない努力に終わる虚しさや悔しさも、よく知っている」という文は特に印象に残りました。私は幼い頃からラグビーをしているため、「報われない努力」の辛さを知っています。それでも臼木さんは最後まで諦めずに戦い続けていて、報われない努力でも、いずれかは大きな花として咲き誇ることができるんだなと知ることができました。また、報われない努力は決して無駄な努力ではないということも学ぶことができ、私にとっても大きな自信につながりました。
最後になりましたが、私は将来、保育士または小学校教員を目指しています。そのために日々勉強に励んでいますが、将来教育者になれたら私はぜひこの作品を子どもたちに紹介したいと思っています。「前例のないゆず栽培の研究に、農家自身がとりくんだ勇気、どんな条件の悪さにも負けなかった心のたくましさ、村が一丸となって前進した団結力」など、先が見えないゴールに挑む勇気と希望を子どもたちに伝え、今後の人生の糧になればいいなと考えています。また、私と同じように臼木さんと自分を照らし合わせながら読み進めるのも自分にとってたくさんの学びが見つかるため、ぜひ子どもたちに勧めたいと思います。
この作品に出会えたこと、とても嬉しく思います。臼木さんのような強く逞しい人になれるよう、これからも成長していきたいと思います。長々となってしまい申し訳ありません。
素敵な作品を読ませていただきました。
本当にありがとうございました!
ゆずポン酢にゆず胡椒、ゆず茶にゆず風呂。冬だけではなく、1年中欠かすことのできないゆず。
そんな当たり前のように存在しているゆずは1960年1人の青年が貧しい村を救いたい、という思いから始まったものでした。
県から派遣された農業普及指導技師 臼木さん。木頭村の村民の貧しさ、それでも失わない温かさに触れ、村をなんとかしたいという思いが藤田青年、村人へと伝わっていきます。
料理人、パティシエによって広まっていく過程もわかりやすく、当たり前に存在しているものなどないのだと思わされました。
巻末に「未来コンビニ」が紹介されていてビックリ!世界一美しいと言われているこの場所は私も知っていました。木頭地区は人々に愛されている地区なのですね。児童書ですが、読めて良かった本でした。