ケチる貴方
石田夏穂
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刊行日 2023/01/24 | 掲載終了日 2023/01/23
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内容紹介
「冷え性」と「脂肪吸引」。
いま文学界が最も注目する才能が放つ
身体性に根差した問題作！
第44回野間文芸新人賞候補となった表題作と
第38回大阪女性文芸賞受賞作を同時収録。
主人公の不機嫌さは極端な冷え性ゆえで、よく読むと類型的な「不満持ち」ではない。気まぐれな「親切」が身体に激変をもたらす一夜を経て、劇的な面白さをもたらした。
（「ケチる貴方」野間文芸新人賞選評より）――長嶋有
自己肯定と自己否定の相矛盾する狭間の中で生きる人の心を描いて大成功している。
（「その周囲、五十八センチ」大阪女性文芸賞選評より）――町田康
私は寒いとき必死だ。
こんなにも必死なのに、何故この身体は頑なに熱を生産しないのだろう。
骨と皮ならまだしもお前はエネルギーの塊じゃないか。私の代謝機能よ、
この身体を温める薪ならここに山のようにあるよ。
頼むから、どうかケチらずに使ってくれないか。（「ケチる貴方」より）
私の脚は、生来、人並み外れて太かった。
その程度を定量的に示そう。その周囲、五十八センチ。（中略）
私は自分より脚の太い人を、終ぞ目にしたことがなかった。（「その周囲、五十八センチ」より）
石田夏穂（いしだ・かほ）
1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2020年本書収録「その周囲、五十八センチ」で第38回大阪女性文芸賞を受賞。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文学賞佳作、同作で第166回芥川龍之介賞候補。2022年本書表題作「ケチる貴方」で第44回野間文芸新人賞候補となる。
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出版情報
| ISBN | 9784065303580 |
| 本体価格 | ￥1,500 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
メディア／ジャーナリスト 922937
衝撃的なデビュー作で著者名をしっかり覚え、次作を心待ちにしていたので期待度MAXでの対面！著者は一貫して肉体改造を軸に内面とのせめぎ合いで私達に妄想させる。外面とは？内面とは？肉体改造によって内面も少し変化したり、許容度が少しだけ広くなったり、かたや全く変わらない人間を見て安心したり。抜群の読み応えで今作も堪能。
メディア／ジャーナリスト 890602
実はわたし、野間文芸新人賞は「ケチる貴方」で間違いない！と思っていました。
わたしは冷え性というよりただの寒がりなのかなと思い、むしろ無防備な薄着がどうしても苦手で夏場に汗だくだくになる自分と似たようなものだと感じました。
人に過度な期待をしない姿は冷たいのでしょうか。温かいのでしょうか。
自分が何かに取り憑かれたときに、その異変に気がついてくれる人もいない人もいるでしょう。
放っておいてくれても、止めてくれても、優しさかもしれません。
そんなに壮絶であると知らなかった究極の冷え性と脂肪吸引スパイラル。
それが面白おかしく読めて、じんわり突いてくる。だからわたしは小説を読むことがやめられないのです。
