雨にシュクラン
こまつあやこ
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刊行日 2023/04/10 | 掲載終了日 2023/04/06

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内容紹介
高校卒業検定受験の準備をしながら図書館の宅配ボランティアをする真歩はある日アラビア書道の流れるような美しい文字に魅了され・・・・・・
2019年度の中学入試で最多出題作となった『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』で講談社児童文学新人賞を受賞、『ハジメテヒラク』で第54回日本児童文学者協会新人賞を受賞したこまつあやこ氏、待望の新作。
私、本当に影山高校の書道部員になれたんだ。
「いってきまーす。花音も遅刻しちゃだめよー。」
そうして、桜の花びらの残る通学路に踏み出した。七月にはその道を歩かなくなるなんて、思ってもみなかった。―――(本文より)
父の療養のため急な引っ越しをよぎなくされ、憧れだった第一志望の高校を六月で辞めることになってしまった真歩は高校卒業検定の準備をしながら図書館の宅配ボランティアをすることに。
ある日真歩は、ボランティアで伺ったお宅で、アラビア書道の流れるような美しい文字「約束は雲、実行は雨」と書かれたアートに魅了される。
著者・こまつ あやこ
一九八五年生まれ。三十二歳。東京都中野区在住。
清泉女子大学文学部日本語日本文学科卒業。公共図書館にて司書として勤務した後、私立中高一貫校に司書として勤務。2017年『 リマ・トュジュ・リマ・トュジュ・トュジュ』で講談社児童文学新人賞受賞。『ハジメテヒラク』で日本文学者協会新人賞受賞。
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出版情報
ISBN | 9784065292839 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

主人公の意思の強さや行動力に勇気をもらえました。
一旦は歩み始めた、夢みていた世界への道が突然閉ざされてしまうのは相当辛いはず。原因が自分でなければ尚更。
けれど、状況を受け入れて、考えて、やりたいことに向けて自ら進んで行動すれば、その先で新たな人・もの・ことと出会えるし、それらの出会いは自分を成長させる大きな財産となる。持ち前の行動力でそれを得た主人公。
自分の思い描く未来のために難しいことでもやってみせる!という強い意思を持つところ、見習いたいです。
また、もし周りに"大多数とは違う"という人がいても、マイナスに捉えたり決めつけたりせず、自然に寄り添えたり理解の出来るような人間になりたいと思いました。
アラブのことわざ『約束は雲、実行は雨』
中高生のみなさんにも、このことわざに出会ってもらいたいです。
著者の他の作品も読んでみたいと思いました。

もう、「異文化交流ならこの人!」という感じになってきましたね。
主人公は書道が大好きな16歳。憧れの高校に入ったばかりの彼女に、降ってわいたような話が舞い込み、当初思い描いたのとはまるで違う道を歩むことになります。
ままならない運命に翻弄され、自分を見失っていた彼女が、素敵な出会いに恵まれ、一番大切だと言い切れるものを見つけていく展開は爽やかそのものでした。憧れの人の言葉が大事な場面で活きてくるところも良かったです。
どの作品も道徳っぽい要素があるのに説教臭くならないのが凄い!
この作品も、いかにも女の子が喜びそうですが、視野を広げる意味でも男の子にも読んで欲しいですね。
間違いなく気づきがあるから。

真歩は、志望校選びのために訪れた影山高校の文化祭で書道部のパフォーマンスに魅せられて、同校に入学した。
ところが、家庭の事情で引っ越すことになり、影山高校は6月で退学し、高校卒業検定を受けることにする。
転校するのではなく、退学すると自分で決めたものの、周りの目がきになる真歩。
しかし、図書館の宅配ボランティアを始めたり、トルコ料理の宅配に来た伶来と友達になり、アラビア書道を始めることで、真帆の頑なになっていた心がほぐれ、世界が広がっていく。
タイトルの「シュクラン」とはアラビア語で「ありがとう」という意味。
イスラム文化やアラビア書道について、初めて知ることが多く、とても面白く読んだ。
真歩本人だけでなく、真歩の父も、いわゆる一般的な道からは逸れてしまったところを歩いていたのだが、それでもいいじゃない、と肯定してくれるような、暖かい物語だった。

努力がみのり、憧れの高校に入学出来たのに家庭の事情により通い続けるのが困難になり、転校ではなく高校中退という道を選ぶ主人公・真歩。
始まりからなかなかに厳しい展開。高校へ行かないことが悪いとは思わないし、それだけが正しい道だとも思えないけど、他人と違うルートは平坦ではないし、仕方なかったとはいえ手に入るはずだった学生生活を手放さなければならなかった辛さを考えると、大人ではないことへの無力さを感じて胸がしめつけられるようでした。
図書館での宅配ボランティアをきっかけに出会った人々に影響を受けつつ、アラビア書道と巡りあった真歩の世界はゆっくりと、でも、ぐんと広がっていき、彼女の心の動きがしなやかに爽やかに描かれていて夢中で読みすすめました。
今作はアラビア書道を通してアイデンティティやルーツ、異文化理解へのきっかけ等、たくさんのヒントが散りばめられていて、こまつあやこさんの作品はこちらが想定してなかったもの同士の調和が見事すぎて毎回驚きの連続です。
真歩がたくさん悩んで辿り着いた答えだからこそのラストに目頭をあつくするのは私だけではないはずです!
ことわざ好きな船島さんの
一度傷ついたからこそ輝けるっていうのが素敵じゃない。
という言葉が胸にしみます。

高校を中退して図書館の宅配ボランティアをしている主人公。この設定が今の時代ならではだ。
昭和の時代、高校を中退するとこの世の終わりのように後ろ指を指された時代があった。今は違う。色々な選択肢が社会に用意されている。自分で勉強して大検を受けて大学に行く道もあれば、通信で高卒の資格を手もあるし、通信とリアル学校を組み合わせたサポート校で卒業資格を取るという手段もある。人の個性が無限であることに対応して、選択も数多く広がっている。
その人の状況、心情に合わせてあえて高校を休むというのも一つの選択だ。休んで、立ち止まって考える。それを許してくれるのが今の社会。
この主人公は、家の事情で高校を休んで、図書館に来られない老人日本を宅配するボランティアと出会う。これは豊かな出会いだ。そして宅配の中で、アラビア書道に出会う。これはさらに豊かなる出会い。
そしてアラビア語の「シュクラン」という言葉に出会う。「ありがとう」という言葉だ。そして自分の新しい進路を選択する。
少女の成長譚だが、今の時代を的確に掴んでいて、非常にいい読後感が得られた。

心身共に疲れ果てた父に母は仕事を辞めさせ、家族は田舎に引っ越した。真歩は書道部のある高校への5時間の通学時間に挫折し中退。
しかし、16歳の無職は辛いものがある。そんな時、彼女は「アラビア書道」と出会う。書道を生き甲斐としてきた真歩にとってのカルチャーショック。学ぶ度に触れていく、見知らぬ文化や生活の様。人の多様性に触れていく。人の見方が変わっていく。
真歩はアラビア習字を書く。かすれないように、刻み込むように。ゆっくり、ゆっくり。人との関係も同じ、真歩は気づく。第一印象から始まり、慌てずゆっくり歩み寄っていく大切さを。あだ名がナイチンゲールの父や、トルコと日本のハーフ千凪に対して。
「約束は雲、実行は雨」 これを私達の感覚でマイナスに捉えてはいけない。この諺が産まれた地、アラブではプラスに捉えている。だからこそ、この「書名」のメッセージを受け取って欲しい。そう、多様性を知り、多様性を認めていこう。切にそう感じた。