心臓の王国
竹宮ゆゆこ
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刊行日 2023/07/21 | 掲載終了日 2023/07/18

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内容紹介
内容紹介:
発売前から話題沸騰!
著者の才能が爆発した、最強青春ブロマンス小説!
2023年、PHP文藝はこの本を、自信をもって送り出します!
●Story
十七歳の鬼島鋼太郎は、夏休みのある日、白いワンピースのような服に身を包む美青年と橋の上で出会う。「アストラル神威」と名乗るその青年は、『せいしゅん』をするために橋の上から川に飛び込んで溺れそうになるなど、予測不能な行動ばかりをとり、鋼太郎を困惑させた。
鋼太郎と友達になりたいと言う神威に対し、面倒に巻き込まれたくない鋼太郎は、悪い奴ではないと感じつつも、そのままその場を後にした。
しかし数日後、アストラル神威が鋼太郎の通う高校へ転入してくる。青春を謳歌しようとする神威に巻き込まれながら、鋼太郎もともに高校生活を送るが、そのうちに神威が抱える「恐ろしい秘密」を知り——。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784569855059 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
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おとぎ話のような出だしから一転
「ずぅーっと前から決めてたんだ。もしも十七才になれたら、絶対に『せいしゅん』するって」と謎のせいしゅんする宣言の十七歳アストラル神威と鋼太郎が出会う。
会話がキラキラして眩しくて、テンポよい会話の応酬がなぜか突き刺さりぼこぼこに殴られているような気持ちになった。
十七歳のとき、学校と家で全く違う自分を作り上げていたなと思い出し、これが『せいしゅん』するってことかと思いながら読んでいたが神威の秘密が明かされて急降下し、キラキラしていたのに景色が真っ黒になってしまった。
510ページとボリュームもある。
正直に書くが途中まで何を読まされているんだという戸惑いも感じた。でもこれはすべてラストに続く一歩一歩だったのだ。
青春の輝きも苦しさも、そして病気の妹を抱える兄の思い、神威が抱えている秘密、どれも無駄なく描かれている。小ネタも登場し、これ十七歳には分からないだろうなとクスッとしてしまう。
『せいしゅん』している若者たちに、かつて『せいしゅん』していた世代にも突き刺さってくれ!

待て待て待て。嘘だろ、オイ。
もしや自分はとんでもない作品を読んでしまったのではなかろうか──。
控え目に言って最高!
大袈裟に表現するなら地面に平伏して心の底から感謝の意を捧げたい!
まず、言葉選びが天才的。読みながら何度も噴き出した。
まるでコントのような鋼太郎とアストラル神威の掛け合いに腹を抱えて笑い転げた。
しかし!
物語は思わぬ方向へと舵を切る。
前半のハイテンションは成層圏の彼方へ飛んでいき、
後半は息を呑むシリアスな展開に。
まさに青天の霹靂。
汗臭くて泥臭くて、笑って泣いて全力で馬鹿やって──。
ラスト一行まで目が離せない、最上級の青春小説ここにあり。

恋あり友情あり、笑って、泣いて、とにかく忙しい。『せいしゅん』を楽しみたい不思議な男の子と、秘密を抱える普通の男の子。男子中学生の生態に、めちゃめちゃ笑いました。はじめに読んだ物語の、不穏さを忘れた頃の、あのラスト。泣きすぎて、目と頭が痛くなりました。

読み手の心を数知れぬ回数吹き飛ばす、鋼太郎と神威を中心とした、17歳と言う熱過ぎる「せいしゅん」の群像劇とその後の物語。まさに、正に怪作快作喝作。
まず、プロローグに唖然とした。まさに童話。美しく残酷という意味で。だからこそ、不穏を感じながら本編に入った。
リズム感溢れる文章で語られていくのは、「アストラル神威」のあまりにもピント外れの言動。このアンバランスさ、更に同様の登場人物達に爆笑しつつ頭を抱えるしかなかった。神威がまるで触媒のように、周りを17歳という「せいしゅん」に巻き込んでいく。熱く盛り上がる「せいしゅん」に。それに唖然として、でも喜びに満ちて読み続けた。
でも、鋼太郎の心は鋼ではない。時々侵入してくる「現実」に押し潰されそうになりながらも、何とかそれを「せいしゅん」で上塗りする。それは本当の「せいしゅん」なのか?
その一方で、異様な盛り上がりの文化祭練習の中、皆の雰囲気が変わっていく。楽しくハチャメチャに、でも真剣に全身全霊で。神威がいたから、鋼太郎の傍に。
だからこそ、価値観の違いから起きた急展開に呆然とした。そこからは衝撃の連続だった。ここで「あのプロローグ」に繋がるとは。そして「せいしゅん」は完膚なきまでに叩き潰された。言葉もなかった。そこからの、鋼太郎の到底信じられない反撃の準備が。彼はまさに鋼になっていた。それさえ徒労と化し、無駄となった10年もの歳月。
でも、やっぱり17歳は魔法の歳。うーちゃんに「せいしゅん」が訪れた時、何が起きたか一瞬分からなかった。奇跡が起きた、それに気づいた時、もう次のページがなかった時、心から拍手をしていた。2人に向かって。

茫然とした。
こんな作品があるなんて・・・。
最初は、金太郎飴のような作品だと思った。
どのページを読んでも心が躍る。笑える。もう吹き出さずにはいられない。
でも、途中から金太郎飴の顔つきが変わる。
ゆがんだ苦痛に満ちた顔だ。どこもかしこも苦しい、悲しい・・。
心がきりきりと痛む。
こんな不条理があっていいものか。
読み進めずにはいられない。
家事も睡眠も全部すっとばして読んだ。
今までにないくらい笑って、そして泣いた。
この本を読む前と読んだ後で、自分は確実に変わったと思う。
「心臓の王国」という題名は、読み手の心臓をわしづかみにしてゆさぶるから
ついたにちがいない。