ひとりかもしれない

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刊行日 2023/05/26 | 掲載終了日 2023/06/09

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内容紹介

風がふいて、わたしの心をゆらした。

どうしてあんな気もちになったんだろう。


ことばはすうっと上にあがり、天井にくっついた。

わたしがパパのことをおもいだしているのを幸介さんもママも知らない。

わたしのなかに、だれにもいえないことばかりがたまっていく。わたしはわるい子どもになったのだろうか。わたしはぎゅっと目をつむった。

——本文より

風がふいて、わたしの心をゆらした。

どうしてあんな気もちになったんだろう。


ことばはすうっと上にあがり、天井にくっついた。

わたしがパパのことをおもいだしているのを幸介さんもママも知らない。

わたしのなかに、だれにもいえないことばかりがたまっていく。わたしはわるい子どもになったのだろうか。わたしはぎゅっと目をつむった。

——本文より


出版社からの備考・コメント

*校了時のデータを使用して作成しております。

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おすすめコメント

2024年の国際アンデルセン賞作家賞の日本からの候補に選ばれた、岩瀬成子さん。

小学校中学年向けの物語です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

岩瀬成子(いわせ じょうこ) profile

1950年、山口県生まれ。1977年、『朝はだんだん見えてくる』(理論社)でデビュー。同作で日本児童文学者協会新人賞受賞。『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』(PHP研究所)で第41回小学館児童出版文化賞、第39回産経児童出版文化賞受賞。『あたらしい子がきて』(岩崎書店)で第52回野間児童文芸賞。『きみは知らないほうがいい』(文研出版)で第62回産経児童出版文化賞大賞受賞。『もうひとつの曲がり角』(講談社)で第36回坪田譲治文学賞受賞。 そのほかの作品に、『ともだちのときちゃん』(フレーベル館)、『わたしのあのこ あのこのわたし』(PHP研究所)、『ひみつの犬』(岩崎書店)など多数。

2024年の国際アンデルセン賞作家賞の日本からの候補に選ばれた、岩瀬成子さん。

小学校中学年向けの物語です。

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岩瀬成子(いわせ じょうこ) profile

1950年、山口県生まれ。1977年、『朝はだんだん見えてくる』(理論社)でデビュー。同作で日本児童文学者協会新人賞受賞。『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』(PHP研究所)で第41回小学館児童出版文化...


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出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784577051900
本体価格 ¥1,400 (JPY)
ページ数 132

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NetGalley会員レビュー

目をさましたとき、遠いどこかから帰ってきたような気もちだった。。。

児童書、小学校中学年向け、と思いながらページをめくる。子供はもう児童ではなくなったけれど、子どもの本は絵本でも児童書でも、小学校で読み聞かせたらどんな感じだろう、自分で読める子どもたちは読んでどう感じるだろう、と頭のどこかで想像する。
でも、子どもの本、じゃない。この冒頭の一文、から、なんだか素敵ではないですか。出だしからひきこまれていくのを感じた。美味しそうな朝ごはんの匂いがしてくる。
でもこの子の毎日は、きっとそんなに平穏じゃない。家族が家族になろうとしてみんなすれ違ったり気づかいしあったりするさま。学校の友達とのたくさんのやりとりのあたたかさと切なさとお話とは思えないリアルさ。みんな悩みながら一所懸命生きているのがよくわかる。大人の私の心にもスッと入ってくるお話で、気がついたら読み終えていました。

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お母さんが再婚し、それまでお母さんと二人で暮らしていたアパートに、貝とお母さんと幸介さんの三人で暮らすようになった。
そのうち、もう少し大きなところに引っ越す予定で、すると貝は転校することになる。
でも、貝は保育園からの幼馴染の高広くんと一緒にいたくて、転校はしたくない。
そのことをお母さんと幸介さんに言えなくて、なんとなく胸がつっかえている。
高宏くんを好きな様子の世里ちゃんのことも気になるし……。

知らないおじさんに濡れ衣を着せられてもやもやしたり、友達にあんなこと言っちゃった、ともんもんと考てしまったり、子どもの頃に感じた、怖いような、逃げ出したいような気持ちを思い出した。
それで、なんとなく「ひとりかもしれない」と感じたんだろうな、と思う。
大きな出来事が起こるわけではないのだが、物語の最後では、貝の気持ちが随分と軽くなっている。
そこに至るまでの貝の心の揺れがとても繊細に描写されてた。
「ひとりかもしれない」と思ったのが、その時だけで、実は「ひとりじゃない」ということに気がつけてよかった。

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独り言ちる貝のことばが部屋の天井のあたりに浮かぶ。いくつもの夜の滓のように行き場のないことばがそこに溜まっていく。
ママの再婚、新しい姓とこれからの予定。新しい父親、幸介さんは精一杯貝になじもうとがんばっているのがわかる。小4ともなればじゅうぶん大人の気持ちを忖度できる。
そして、芽生えつつある恋心と友情との天秤が見えてしまった貝の葛藤は、リアルで切ない。
クラスでの粘っこいからかいとちょっかいも腹立たしい。
ひとりかもしれないと思う時間が貝の心を掘っていく。逡巡も停滞も自分を見つめさせる材料となる。
いつも忘れかけていた子どもの頃の瘡蓋を思い出させてくれる岩瀬成子さん。沁みつつもわたしが歩いてきた時間を垣間見る思いでした。

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わたしは、ひとりかもしれない・・・どこか、さびしいのだけれど、なんだか、せつないのだけれど、こう思ったときに「わたし」がはじまるのかもしれません。
貝ちゃんは、いま、大人へと心が成長し始めたんですね。
「諦める」。それは、そこでおしまいではなくて、ほんとは、そこから始まるスタートライン。「諦める」は、仏教では「明らかに見る」ということ。ごまかさないで、透徹した目をもつということ。
さみしくて、いたくて、自分のジメジメした暗さにこころが重い。まわりへの期待は、子供ならして当たり前です。戻れるなら戻りたい、懐かしいぬくもりの場所が貝ちゃんにはある。そこへ戻れるかもしれないという可能性が、今を、これからの未来を、縛り付けて息苦しくなっているみたい。貝ちゃんだって本当は気づいてる。戻れる可能性なんて、きっとない。そんなことは、わかってる。それでも、貝ちゃんは、そのわずかな可能性が捨てられない・・・
パパとママの離婚。タカヒロの成長。自分にはない強さを持つ世里ちゃん。そして、幸介さん。やさしいみんなが、いることが、余計に貝ちゃんの心を小さく暗い部屋の中に閉じ込めて、惨めな気持ちになってしまうのです・・・貝ちゃんは、 ”戻りたい場所” を脅かす外側の世界の「異物」に苦しみます。
でもどうやら、それが、貝ちゃんのホントの「わたし」の始まり。
うつむいていてもひとり。顔を上げてみる。それでも、やはり、貝ちゃんは、ひとりでした。でも、顔をあげてみて、見えたものは、心配するママ。お父さんになろうと一生懸命な幸介さん。自分の弱さを知って強くなろうとしている高広くん。爽やかに「わたしたち仲間だね」って笑う世里ちゃん・・・みんなが、貝ちゃんのそばでいる・・・あれ、満更でもないじゃない?素敵なんじゃない?今のわたし。これからのわたし。・・・あきらめよう。そして、あるきだそう。なくしたくなくて掴んでたものを手放そう。それでも、ちゃんと残ってるものを、なくならなかったものを大切にしよう・・・
貝ちゃんは、「異物」に見えたものを受け入れました。いえ、認めてしまうのが怖くて「異物」だと遠ざけていた「ちっちゃな貝ちゃん」自身を受け入れたのかもしれませんね。
窓を開けてこころの霧を晴らす外の世界の風に吹かれてみました。モヤモヤとしたものを吐き出しました。かわりに受け入れた異物に見えたものを、そして、おさなかった「ちっちゃな貝ちゃん」を優しくだきしめました。やがて貝ちゃんは、これを元に心の中で美しい真珠のような宝物を育てて行くんでしょうね。大切に、丁寧に、時間をかけて・・・そんな気がするちょっぴり切ない「成長の物語」でした。ありがとうございます。

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穏やかな、そしてリズム感にのった文で綴られていく物語。
父となった康介や、クラスメートになった高広、クラスの他の友達。言葉少ない貝から見た彼らと、貝の胸の内が丹念に丹念に語られてく。貝は自分の気持ちにも友達の気持ちにもとっても敏感。更に優しいから、言葉に出さず自分を責めてしまうんだね。だから必要ないことまで気をつかってため息ばかり。それがいくつも天井に登っていく。かわいそうに。
だから心配しながら読んでた。貝の気持ちを置き去りにして物事が動いていって、「ひとりかもしれない」が本当になっちゃうんじゃないか、と。でも貝は言えたんだね。「私は自動車を傷つけてない」って。それで、貝にも自分なりの気持ちがあることを康介やママが気づいてくれた。我が子なんだと意識させてくれた。二人に拍手。
でも、まだパパとの思い出を追い続けてしまう貝。それは仕方ないよね。あんなに大好きだったんだから。そして友達への気遣いも重なったから、迷子になりたいと思ったのも仕方がないさ。
だからこそ、その果てに高広と会い、カラスノエンドウが二人を繋げてくれたのが、固まりかけていた心を溶かし、胸につっかえていたものを取り去ってくれたんだ。
そして貝は言えるようになった。思った事をきちんと。今度は貝に拍手。さらに友達の気持ちを認められたから、ため息は窓から外へと出ていった。よかったね。だからこそ、次の番。父となろうと頑張る康亮を父を、仲を取り持とうとするママを、正面から見られた。そして最後のママと貝のおんなじセリフ。気持ちが繋がったセリフ。心にジーンときたよ。もう、「ひとりじゃない」よね。
あの、空の高いところにあがっていくボール、これからは更に高く高く昇っていくのだろう。楽しみだなぁ。

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ある日、母親が再婚することになり主人公の小学四年生の少女、貝は新しい家族との生活が始まります。
幼馴染の高広くんへの恋心、友達との小さなトラブルや新しい家族との関係。モヤモヤと悩み、考え、葛藤しながら貝は心の成長を経験していきます。
物語の中で貝が感じる孤独や不安な気持ちが丁寧に描かれています。この作品は、子どもだけでなく大人も共感できるエッセンスが散りばめられた作品だと感じました。

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貝ちゃんの揺れ動く気持ちに共感。粗忽なクラス男子のからかいは、本当にどうしようもない。同級生だったら何も言い返せないかも…その中でバシッと言える世良ちゃんは素敵な女の子だ。黒い気持ちに飲まれ切らず、ちゃんとそこに気づけて良かった。幸介さんと仲良くなれるといいな。きっとなれるだろう。

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幼なじみの男の子が親切にされているのを見たとき、ママが新しいお父さんが提案したことの味方になったとき。うまく言葉にできないいろんな気持ち。言えない気持ちが積もっていくと、孤独な気持ちが増えていく。わたしと家族の関係から、友だちや近所の大人たちへと少しずつ世界が広がっていく年頃の小学生の繊細な気持ちをみずみずしく描いている。うまく言えないがためにしてしまった行動に胸が押しつぶされるような気持ちになる…そんな幼い頃のことを誰もが思い出すのではないでしょうか。

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