リラの花咲くけものみち
藤岡陽子
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刊行日 2023/07/20 | 掲載終了日 2023/07/20

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内容紹介
獣医師を目指し、北農大学獣医学類に通う岸本聡里。幼い頃母を亡くし、再婚した父と継母とはうまくいかず、祖母・チドリとペットたちと暮らすうち、獣医師を志すように。面倒見のよい先輩の静原夏菜や加瀬一馬、トラブルを経てともに励まし合える仲になったルームメイトの梶田綾華、同級生の久保残雪らに囲まれ、動物病院でのバイトや学業に奮闘する日々。一年の夏の臨床実習で馬のお産に立ち会うが、難産の末死産させねばならない場面に立ち会い、逃げ出してしまったことも。伴侶動物の専門医になりたいと思っていた聡里は、馬や牛などの大動物・経済動物の医者のあり方を目の当たりにし、さらに祖母・チドリの死をうけて”命”について考えさせられることに――
ネガティブだった聡里が、北海道の地で人に、生き物に、自然に囲まれて大きく成長していく姿を描く感動作。
おすすめコメント
丁寧な心情描写とストーリーテリングの巧みさに定評のある著者。リアルな描写で”獣医学大学”のニッチで魅力的な世界を描く。北海道・京都(著者の地元)の書店さんにPRしたい作品。
丁寧な心情描写とストーリーテリングの巧みさに定評のある著者。リアルな描写で”獣医学大学”のニッチで魅力的な世界を描く。北海道・京都(著者の地元)の書店さんにPRしたい作品。
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書店の皆さま
初回指定のご希望がございましたら、
FAXにて希望数をお送りいただくか、
光文社書籍販売部 近藤、川原田までご連絡ください!(☎03-5395-8112)
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出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784334915414 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー

リラの花咲くけものみち。
なんてさわやかなタイトル。これを読んでる時点では、仮、になっているけれど、とても心ひかれる、手に取るきっかけになる題名。
リラ冷え、という言葉を久しぶりに聞いた。この本を読み終えたいま、札幌ではライラックが花盛りの季節で写真などでよくみる。その言葉の通りに急に気温がさがった、同じ道内に住む友に、寒いね、リラ冷え、というのかな、と口をついてでてきた。夏は過ごしやすく冷房もいらない北海道だが、冬の寒さは厳しく、毎日が自然との戦いになる。リラ冷えという言葉も寒さを美しく表現ししのぎやすくする工夫なのかなとおもった(渡辺淳一氏が広めたのであろう)
ナナカマド、ハリエンジュ、ラベンダー、マリーゴールド、クリスマスローズ、ガーベラ、シラカバ、リラ。各章を象徴するような植物の名前がはいっていることに途中からきづき、次はなんだろうと楽しみになってゆく。
東京で生まれ育った聡里(さとり)は苦しい体験を重ねた少女時代をもつ。獣医になるための勉強をしに、はじめて北海道の地を踏む。彼女の成長記をともにたびしながら、日頃都会ではめにすることがあまりない、わたしたちの生活に様々にかかわる生き物たち、そこで生きる人々のことに思いを馳せる。
ずっとまえから擦り切れるほどに読み、セリフも覚えている、獣医学部を舞台にした有名な漫画、を思い出しながら読んでいました。
喜びも悲しみも、すべてが生き生きと描かれ、楽しかったです。ありがとうございました。

『いつまでも白い羽根』『晴れたらいいね』で著者の作品を好きになり、しばらく藤岡さんの作品を追っていたことがある。今回、新作を読めるとあって、すぐリクエストした。
北海道にある大学の獣医学部に進学した岸本聡里。初めはおどおどしていたけれど、その彼女がどのように成長していくかの物語。
獣医になるって、本当に大変だ。動物が好きなだけではとても難しい。ある意味割り切れないと、心が病んでしまう。それはどの職業も同じだとは思うけれど。
また、聡里の家庭環境も、本人だけではどうしようもない問題があって、それもまた、彼女がどう乗り越えるていくか、目が離せなかった。
物語の最初と最後では、聡里の印象がガラリと変わる。いや、芯にあるものはきっと同じなのだろうけど。
聡里と関わった人たちのその後も、とても気になった。
みんな、幸せになってほしい。

一気に読みました。
主人公が、とても芯が強くて、真っ直ぐで一途な姿に心打たれました。
周りの人たちもとても温かく見守り続け、ハッピーエンドでした。
当初は、引きこもりがちでしたが、周囲の導きを素直に受け取り、過酷な獣医師を志し、実現しました。
祖母の命を削るほどの強くて優しい愛情に支えられて、とても大きく成長していきます。
寒い北海道が舞台ですが、登場人物が皆魅了的で熱い人達ばかりです。
人生に本気で向き合う素敵な物語でした。

前にペット番組を作っていたことがある。番組の看板犬が全国、いや世界まで旅をするというコーナーが名物の人気番組で、私は番組立ち上げと終了のプロデューサーを担当した。
番組スタート時、獣医の先生に話を聞きに行った。番組全体の監修をお願いし、ペット番組を作る上で気をつけることなどを伺うためだ。それまで家で犬を飼っていたことはあるが、主に面倒を見ていたのは家族なので、あまり細かなことがわからない。
例えば犬であれば、玉ねぎをあげてはいけない。そんな基本的なところから学ぶ。なにしろ犬は日本中を旅するので、何が起こるかわからない。看板犬には長生きをしてもらわなければならないし、何よりペット好きな視聴者に嫌われてはいけない。
話を聞いていると、獣医もなかなか大変な職業ということがわかった。町場の獣医の先生なので、犬、猫だけでなく、フェレット、ウサギなど、様々なペットが連れてこられる。しかも当時はまだペット保険が出る前だったので、治療費もなかなかの高額になる。そこも悩みだという。
人は高額のかかる医療でも保険があるから自己負担は数割だし、高額になれば高額医療費控除制度もある。この人間の保険にヒントを得てペット保険を開発したベンチャーを取材したことがあるが、これは時代の需要にベストフィットする発明だった。
この小説の舞台は北海道。数ヶ月前まで北海道のテレビ局のために番組を作っていたので、ロケで北海道には何度も行った。なかなかいい場所だ。ロケは主に札幌で行っていたが、中心地を外れると自然が残るのんびりとした土地だ。
そこで獣医を目指して大学に通う女性が主人公。家族事情が複雑で、祖母が家を売ったお金でやっと大学に通う。
冒頭、主人公は祖母と一緒に北海道にやってくる。寮に着くと、祖母はすぐに東京に戻る。空港まで送るという主人公に「交通費のことを考えるとここでバイバイするほうがいいの」と告げる祖母の言葉ですっかり心を掴まれる。新千歳空港はちょっと郊外なのでけっこう電車代は高い。こういう細かな描写が物語に深みをもたらしている。
獣医の成長小説としても読み応えがあり、主人公の成長物語としてもグッとくるものがある。
マンガに「動物のお医者さん」があるが、それとは全く違う視点から主人公の成長が描かれていて、人間味という意味では個人的には今作の方に強く惹かれた。人生ってなかなか思うようにはいかない。だから人生は面白いし味わい深い。
作者の方は全く存じ上げなかったが、スボーツ新聞の記者の後、タンザニアの大学に留学、結婚後、看護師資格を取得したとある。なかなかの人生だ。こちらも興味深い。
数奇な人生経験があると、小説には独特な深みが出てくるのだろうか。

藤岡さんの『きのうのオレンジ』を読んだとき、命についてここまでリアルな感情を込めて描けるのかという衝撃が忘れられない。それ以来新作を楽しみにする作家さんの一人になった。
獣医師を目指し、北農大学獣医学類に通う聡里(さとり)が主人公。
命の輝きを感じるだけでなく、その命を救えない現実にもぶつかる。
聡里の先輩である夏菜の「無理だと思うなら、やめたほうがいい」この一言が突き刺さる。私も看護師をしていたころ壁にぶつかったとき同じことを考えた。命を扱うということはそれだけの責任がある。だからこそ夏菜の言葉は突き放した言葉ではなく、現実をそのまま言葉にしたのだと感じる。
章ごとに植物の名前が付けられ、その花言葉の意味もとてもいい。
北海道の美しい自然の描写と、獣医師を目指す聡里の成長、聡里に関わり彼女を見守る人たちの優しさ。
命についてのリアルさが心に何度も突き刺さる。藤岡さんの作品で第1章から泣いたのは初めてだ。とても心が潤う作品を読ませていただきありがとうございました。

2023年を代表する教養小説。
小4の誕生日に心臓に持病のある母を亡くした聡里は再婚した父の連れ合いに辛く当たられやがて祖母に引き取られる。
祖母の支援のもと北海道にある大学の獣医学部に入学。
誰かと人生とともにある、自分の存在が誰かの暮らしの一部になる獣医師の仕事を聡里は邁進してゆく。