夜空にひらく

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刊行日 2023/08/01 | 掲載終了日 2023/07/28

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内容紹介

内容紹介

「花火は打揚げたら約6秒。観てもらえるのは一瞬だ。けど、心(ここ)に残る

アルバイト先で暴力事件を起こし、家庭裁判所に送致されたのち試験観察処分となった、鳴海円人。

幼い頃母が家を出て行って、祖母と二人暮らしだった円人は、祖母と折り合いが悪く、できるだけ早く自立したいと思いアルバイトに明け暮れていたが、そのなかで起きた暴力事件だった。

補導委託先に選ばれたのは、山梨県で煙火店(花火の製造所)を営む、深見静一の家だった。

深見と深見の母まち子、住み込みで働く双子の花火師、健と康と同じ屋根の下で暮らすうちに、円人は居場所を見つけていく。

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著者紹介

いとうみく

神奈川県に生まれる。児童文学作家。『糸子の体重計』(童心社)で第46回日本児童文学者協会新人賞、『空へ』(小峰書店)で第39回日本児童文芸家協会賞、『きみひろくん』で第31回ひろすけ童話賞受賞。『つくしちゃんとおねえちゃん』で第69回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞、『朔と新』で第58回野間児童文芸賞、『あしたの幸福』で第10回河合隼雄物語賞受賞、『ぼくんちのねこのはなし』で第38回坪田譲治文学賞を受賞。ほか、著書多数。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。




内容紹介

「花火は打揚げたら約6秒。観てもらえるのは一瞬だ。けど、心(ここ)に残る

アルバイト先で暴力事件を起こし、家庭裁判所に送致されたのち試験観察処分となった、鳴海円人。

幼い頃母が家を出て行って、祖母と二人暮らしだった円人は、祖母と折り合いが悪く、できるだけ早く自立したいと思いアルバイトに明け暮れていたが、そのなかで起きた暴力事件だった。

補導委託先に選ばれたのは、山梨県で煙火店(花火の製造所)を...


出版社からの備考・コメント

※校了前のデータを元に作成しております。実際の刊行物とは異なる場合がございます。

恐れ入りますが、この作品の閲覧は、書店関係者さま、図書館関係者さま、教育関係者さま、メディア関係者さまに限らせて頂いております。ご了承ください。

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おすすめコメント

児童文学作家、いとうみくさんの書き下ろしの新作です。いろいろな家族の形を描かれてきたいとうさん。今作は親の愛情を知らずに育ってきた主人公と、子供を亡くした煙火店店主の深見との血のつながりをこえた交流を、力強く爽やかに描きます。

・花火の製造工程については茨城県の山﨑煙火製造所へ取材、監修していただき、保護観察制度については弁護士であり、『少年のための少年法入門』(旬報社)作者でもある山下敏雅先生へ取材し、監修していただきました。

・装画は『蜜蜂と遠雷』などの装画を手掛ける杉山巧さん。タイトルは箔押しを予定しています。


児童文学作家、いとうみくさんの書き下ろしの新作です。いろいろな家族の形を描かれてきたいとうさん。今作は親の愛情を知らずに育ってきた主人公と、子供を亡くした煙火店店主の深見との血のつながりをこえた交流を、力強く爽やかに描きます。

・花火の製造工程については茨城県の山﨑煙火製造所へ取材、監修していただき、保護観察制度については弁護士であり、『少年のための少年法入門』(旬報社)作者でもある山下敏雅先生へ取...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784752010722
本体価格 ¥1,500 (JPY)
ページ数 256

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NetGalley会員レビュー

めちゃめちゃ良かった。

ハメられて罪を犯した少年が、裏切りたくないと思う人との出会いにより、過去を当たり前に抱えて生きていこうと歩み始める物語。

あたりまえのことをあたりまえに行うことの大切さは、年を重ねるごとに身に染みるようになる。オンオフの切り替え、些細なことで笑い合うこと、ただいまとおかえりのあいさつ、そして何より一緒にご飯を食べること。そんな日々が、主人公の心を整えていく様子が、沁み入る。じわっと涙が浮かんでしまった。こんな硬くなった心の私でさえも。

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デビュー作『糸子の体重計』でその細やかな心情描写のファンになり、『小さな宇宙の扉のまえで』で最も好きな児童文学作家となった、いとうみく先生の最新作。という事で、この機会に早速読み始めた。主人公が小学生の作品が多い中、これは『車夫』三部作と同じくYA世代の物語だった。
その生い立ちから、ひとりは慣れてると、恵まれてる人には分からないと独りごちる円人。そんな彼を、ひとりの人間として認め、声を掛け、先を示していく花火屋の人達。その言葉で最初に心に残ったのは、「考える習慣」から始まる示唆だった。それにぎくりとした。かつての自分に言われた気がした。そして、自分が言うべき言葉だった。
ここで生活し仕事を覚えていく中で、様々な人と触れ合っていく円人。そのやり取りを読む中で、自戒しながら感じた。後から歩いて来る者を未熟として扱わず、手を差し伸べて引き寄せ、更に後ろから押してやる、それが育てるということだと。優越感やプライド、自己満足、地位などに囚われるのは己の卑小さの現れだと。
円人も真摯に取り組み、人々と関わる中で変わっていく。それは、変わろうとしているからだと気づいた。人はその意思がなければ変わることはできない。難しくても、時間がかかろうとも。それに気づくのが遅かったと感じるかもしれない。でも、気づいてから始めればいいのだと言う事。そして、その変化を認めてくれる人もまた、必要だと言うことも。
だから、この本は円人と同世代はもちろん、その世代と関わる人達にも読んで欲しいと、願っている。

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冒頭から惹き付けられました。
花火の描写が素晴らしくて頭の中で色々な花火がうち上がりました。
「変わっていくことは、こわいことじゃない」いいタイミングで、この言葉がでてきた。
さまざまな想いを抱えた人々が、少しずつ変わっていく様子が静かに熱く描かれていた。花火の儚さとも合っていた。
作者が大好きで前作チェックしていますが、上位に食い込んでくるほど気に入りました。

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補導委託制度なんて知らなかった。アルバイト先で暴力事件を起こして試験観察中の高校生円人。花火の製造をする煙火店を補導委託先として過ごす事になる。どうして罪を犯したのに助けられる余地があるのか、本人が突きつけられることも読んでいて気付かされる事も沢山ある。でも、花火の美しさが見えるような話でした。

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いとうみくさんの描く人間が好きです。一見ドライなようで、その内面は魅力あふれる人物が多い。今回の作品も「円人が報われますように」と祈りながら読み進めました。周囲の人も、皆完璧ではないけど、優しくてホロッとさせられました。
物語というのは、自分ではない誰かの人生を疑似体験できるのが素晴らしい。まさにそれを実感しました。自分にはあり得ないこと、などとは思わずに、手にとって読んでみてほしい、と中高生に勧めたいです。

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暴行事件を起こし、家庭裁判所での処分決定前という少しショッキングな立場で、主人公が見知らぬ地へ連れていかれるところから物語は始まります。彼が過ごした煙火店では、にぎやかで優しい家庭の空気に触れます。それまで彼が感じたことのないものだったでしょう。人とふれあい、仕事を学び、考えはじめた彼がどういう成長を遂げるのか、見守りたいと思いました。この作品で、補導委託という制度があることをはじめて知りました。

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人は、変われる。そう思わせてくれる作品、人はみな息苦しさの中で生きている。それを諦めず、コツコツと積み重ねることで変わっていける、変わるよろこびが感じられる、それを改めて思った。そんな主人公の成長と、花火師と言う、普段目に耳にすることのない職場、保護観察という立場、それらが、読んでいる者も、一緒に成長させるのだろう。

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行ってらっしゃい。おかえりなさい。温かい食卓を囲み、他愛ないことで笑い合う。そんな日常を知らなかった少年が、少しずつ心を開き居場所を見つける物語。いとうさんの作品でも一番好きな「車夫」と通じる。今回は花火師。何ヶ月もかけて仕込む打ち上げ花火が夜空を彩るのはたった六秒。花火の臨場感とともに、職人の苦労や覚悟、伝統文化を守ることの難しさなども伝わってくる。読後感がとても清々しい。

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こういう制度があることも知らず。
児童文学というジャンルが確立されているからこその子供に読んでもらいたいという点と、
知ったかぶりをしている大人にも知ってほしいと感じました。
一度悪いことをしたからと言ってずっと悪い人とは限らないことは万が一自分が当事者になった時に身に染みてよくわかることだと思うので。

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嵌められたとはいえ、元のバイト先の人に怪我を負わせてしまった円人。傷害事件をおこし逮捕された円人は、補導委託という制度によって審判まで深見煙火店に預けられる。そこで出会う人々との交流は、“この場所に居続けたい”という望み、この人を裏切りたくないと思える感情、閉じていた円人の心をを少しずつほぐしていく。
円人の質問に対する深見さんの「一人で生きているやつなんていないぞ」の言葉から、自立するのと一人で生きることは全然違うことが伝わってきて、今まで手に入らないと思っていた家族や仲間のあたたかさを感じながら頑張る円人の様子に胸が熱くなりました。
読み進めていくと深見さんには深見さん側の事情とかもあって、優しさだけの世界ではなかったけど、変化を許容し、変わることを恐れずに進む強さを手に入れた円人の姿にこの先の人生のきらめきがありました。
読ませていただき、ありがとうございました。

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花火を見るのは好きだし、花火師が一瞬のためにかける労力もおぼろげには知っていたものの、見えていなかったものの大きさに圧倒されました。花火の筒は再利用するものだとか、それが子どものお手伝いになるとか、夏休みが仕事のピークで親が忙しいとか、本筋ではないところも丁寧に描かれているからこそ、主人公と親方(とは誰も呼ばない人間関係の描き方も印象的でした。誰もが個人で、役割ではない関係性)以外の家族関係などにもより思いを馳せやすくなっているように感じた。補導委託制度もこの本で初めて知りました。こういった制度がもっと浸透することで誰かの息苦しさ(は生き苦しさでもあると思う)が軽減されると思うので、物語きっかけでも広く知られていくといいと思う。
いとうみくさんの作品は、重たい現実を抱えた人が出てくるわりに読後が苦々しくならないのは、人間に対する希望が芯にあるからなのだろうと思う。花火の思い出のようにじんわりと胸に残る作品。

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(花火を)見てから読むか、読んでから見るか!

昨年、雨でずぶぬれになりながら、午後3時から9時まで大曲の花火大会をみました。
初めて昼に揚げる花火があること、雨でも花火は打ち上げられること、大勢の職人さんが素晴らしい作品を作り上げていることを初めて知り、感動の1日でした。

本書を読みながら、花火から受けた感動がよみがえってきて登場人物とともに涙がこみ上げてきました。
この美しさの中にはいっぱい込められたものがある。生半可な気持ちではなく、命をかけて作り上げられたもの、人と人の信頼から生まれてくるものがあるからなんだな・・と。

人を信じ、赦すという作業の難しさを乗り越える一つのきっかけを作ってくれた花火。それが自分自身を信じ赦すことにつながっていく、すがすがしさをいただきました。読後感、爽快です!

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タイトルを見て飛びつきました。
もともと職人ものが好きで、しかも花火好きの上、ネットで花火師のドラマを観たあとだったので、
たまりません。
装画もすばらしいです。
文章も読みやすく、花火制作の過程も興味深いです。小学校高学年ぐらいから大人まで楽しめると思います。
物語にはたくさんのドラマがうまく絡み合っていて、まるで映画を観ているようでした。よくできているなあと、感心するばかり。
後半、主人公がまわりの人々の優しさや、祖母の本当の想いを知ることができて、本当に良かった。
夜空に花火が咲くように、素敵なハッピーエンドでした。

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他人も自分も、その行いでしか他者には伝わらない。何をしたか、何を言ったか、どういう表情で接したか。どう思っていたか、どんな事情があったかは、相手にはわからないんだ…ぐらいに思ってないと勝手に傷ついたり失望したりしてしまうのだなぁ。健康双子が皆を救う。

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事件を起こしてしまっても、家庭環境が悪くても
心を許せる家族のような大人が近くにいると自覚できれば、人は変われると思わせてくれる作品です。
小学校高学年以上ならすいすい読めます。
中高生より大人が読んでもらいたいと思いました。

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人の心の本当。それを、どれだけ寄り添った温度を持って、知ることができるのでしょう?
起こった事実を、自分なりのの当たり前で「善」だ、「悪」だと、推し量る独善的な狭いな世界に住んでいる限り、決してわからないことがある。背負ったものの違いは、他人には簡単には見えないから。わたしにとっての当たり前と、円人の当たり前が、同じ訳がないのは明らかなのに・・・
母に捨てられた。面倒を代わりに見ることになった祖母はきつい性格だった。愛情深いくせに、愛情表現の下手くそな祖母を円人の境遇では理解できなかったのはしかたない。早く自立したいと、バイト先で円人なりに頑張っているときに、あの先輩の嫉妬からの罠では、自分だって円人と同じになったかもしれない。円人も祖母に似て言葉足らず、愛情表現べたなのかもしれないですね。
そして、円人は、罪をおかした。おかした罪は、消えない。たとえ、許されたり、償ったりできたとしても。
補導委託という制度の趣旨は理解できても、もし、自分が深見の立場で、映見の立場でこの制度が受け入れられるだろうか。私だって、映見の方、だったかもしれないです。
わたしの当たり前は、荷物の少ない当たり前。だから、ふらつくことなしに真っ直ぐ歩ける。でも、円人や、深見の背負ったものの重さを思うとき、一歩一歩の足取りの重さを思うとき、バランスを崩して、つまずきそうになっても、まっすぐに歩こうとする真面目で不器用な円人や深見の心のがんばりをみるとき、なんだろう、胸が熱くなるのです。どうか負けないでと、願ってしまうのです。もうこれ以上つらい思いが訪れませんようにと。
読後、わたしのこころは一瞬無音になり、やがて、ドンッ。大輪の花火が心に開きます。そして、また、深い沈黙が訪れます。
この、いとうみくさんが丁寧に仕込んだ物語は、玉貼りのしっかりされた花火のようです。この花火の印象は、私の心にのこり、この出会いが必ず、新しい、より深い、自分であろうとするささえになるのでしょうね。
人は、罪をおかしたら、幸せになってはいけない?いえ、人をその分以上に、幸せにしなきゃなんないのです。
そんなことができるのか?「できるようになりたければ」そう、いとうみくさんは信じておられるようです。
わたしも、そう、信じます。人は、自分を信じてくれる人の中で、必ず、必ず変わっていけるのだと。
ありがとうございました。

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各地で多くの「花火大会」が開かれる夏。多くの見物客が実際に見ようと会場に足を運び、打ち揚げられるその花火の美しさに驚嘆し、歓声を上げる。

いとうみく作『夜空にひらく』(アリス館)は、12年前の5才の夏にアパートの部屋の窓から母と花火を観ていた鳴海円人の記憶から始まる。そして、17才になっていた円人は、弁護士の岩切に連れられ、補導委託先として、煙火店を営む深見静一の家に向かっていた。

最初は、育ててくれた祖母にとって自分はただの「厄介者」であり、自立したい一心だった円人が、次第に、花火の魅力に魅せられ、また、深見に「花火師」としての素質を見つけられ、花火師として成長していく。そうした円人の心のひだが実に細やかに表現されていた。

また、この作品は、単に主人公の円人が「花火師」として成長していく話だけに終わらない。アルバイト先で暴力事件をおこし、誰も信じることができなかった円人が、辛い過去をもつ深見を「裏切りたくないひと」と思うようになり、煙火店の従業員との繋がりを通して別の形での「家族」のような居場所を見つけていく話でもある。

「花火は打揚げたら約六秒」「観てもらえるのは一瞬」でも人々の心に深く残る。ラストのシーンは実際に花火を観に行けなかった人も、感動を味わえるだろう。

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児童文学作家いとうみくさんが今回手掛けられるのは、青少年の「更生」についての物語です。
花火などを制作する煙火店での指導委託。
私はこの主人公は何も悪いことをしていないと思っているのですが、ご本人が暴力を正当化してはいけないと言うことに自分で気がついていきます。
そう言ってもらうと私の方でもなんだか納得ができて、不思議な気持ちになりました。
花火が上がる瞬間をこんなに見事に文章にした小説を未だかつて見たことがありません。

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子育てに向いていない人というのはいる。本作品中で印象に残ったことばだ。鳴海円人の母もまさにそういう人だった。親だって人間だし、子どもの成長とともに親も育てばいい。だが、本作品はそうはいかなかった親のものに育った子どもの物語だ。親に見捨てられ祖母のもとで育った円人、冤罪で罪に問われて何もかも諦めていたが、補導委託先の深見も家族に根深い事情を抱えている。罪を犯した側と被害者家族の複雑な感情と、その昇華が感動的でした。職人の手仕事というもののが全編を通して描かれている点も読みごたえのある一作。

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人は誰にでも過去があり、知られたくない事が多いだろう。
人を信じれなくなり、助けを求めることもできない、だから周りと関わらずに一人で生きていくしかない。そう思っていた少年。しかしある人がその手を掴んでくれた。
自立とは一人で生きることではない。それを教えてくれる大人が近くにいるだろうか。自分はそんな大人でいたい。
涙が止まらないYAだった。

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アルバイト先のコンビニで暴力事件を起こし、試験観察処分となった鳴海円人が主人公。祖母との二人暮らしだった。円人の保護観察先となったのが、煙火店の主人だった。彼にもまた、家族にある事情があった。円人は、この煙火店で働く人々と接しながら、自分の居場所を見つけていくが、それでも日々の暮らしの中で、様々な葛藤がある。そんな中、一瞬のためにはたらく花火職人のひたむきな姿や、花火を見たときの喜びや感動が物語全体をやさしく包んでいるような印象。
幼年童話からヤングアダルトまで幅広い対象に向けて多くの作品を出している作家。今回のヤングアダルト作品もおもしろかった。

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さすがは、いとうみくさん。今回の話も、何かがずれてまっすぐに進めなかった主人公と、そのまわりでゆっくり見守ってくれる大人たちとのやりとりを中心に、主人公の様々な変化を丁寧に表現されていると感じました。ごく当然の生活を、目一杯の、でもさりげない愛情を持って教えてくれる煙火屋の人々の描写は、読者の心を鷲掴みにするのではないでしょうか。

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10代を終えるまでに、信頼できる大人と出会えるかどうかが、その子の人生にとっていかに大切なことなのか…そういったことを深く考えさせられた。
そして、それは血のつながりなど関係なく、出会いに遅すぎることもないのだということも。

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