楽園の犬

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刊行日 2023/09/08 | 掲載終了日 2023/09/04

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内容紹介

戦争に突き進もうとする時代――

人はどこまで強くいられるのだろうか?

1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。日本と各国が水面下でぶつかり合う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が降り立つ。表向きは、南洋庁サイパン支庁庶務係として。だが彼は日本海軍のスパイという密命を帯びていた。日本による南洋群島の支配は1914年にさかのぼるが、海軍の唱える南進論が「国策の基準」として日本の外交方針となったのは1936年だった。その後、一般国民の間でも南進論が浸透していった。この地にはあらゆる種類のスパイが跋扈し、日本と他国との開戦に備え、海軍の前線基地となるサイパンで情報収集に励んでいた。麻田は、沖縄から移住してきた漁師が自殺した真相を探ることをきっかけに、南洋群島の闇に踏み込んでいく……。

時代が大きなうねりを見せる中、個人はどこまで自分の考えを持つことができるのか? そして、どこまで自らの意思を通すことができるのか? 南洋の地に生まれた壮大な物語がここに――。

日本推理作家協会賞候補『最後の鑑定人』、山本周五郎賞候補『完全なる白銀』と、今まさに注目を集める著者の最高傑作!

著者プロフィール

岩井圭也Iwai Keiya

1987年生まれ、大阪府出身。北海道大学大学院修了。2018年『永遠についての証明』で第九回野性時代フロンティア文学賞を受賞し作家デビュー。著書に『文身』『水よ踊れ』『生者のポエトリー』『最後の鑑定人』『付き添うひと』『完全なる白銀』などに加え、書き下ろし文庫シリーズ「横浜ネイバーズ」がある。


戦争に突き進もうとする時代――

人はどこまで強くいられるのだろうか?

1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。日本と各国が水面下でぶつかり合う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が降り立つ。表向きは、南洋庁サイパン支庁庶務係として。だが彼は日本海軍のスパイという密命を帯びていた。日本による南洋群島の支配は1914年にさかのぼるが、海軍の唱える南進論が「国策の基準」として日本の外交方針と...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784758444591
本体価格 ¥1,890 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

WW2開戦前夜の日本、海軍の一員としてサイパン島に赴任した麻田は、上官の堂本からスパイ摘発を命じられた。
日本の命運を憂いながら奔走する主人公。時代の趨勢の中、非戦に殉じた2人の男の生き様を描いた大作。因果に抗った結末は如何に。読み応え満点の星4.5

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太平洋戦争勃発を目前にしたサイパンで、日本海軍の手先として働くことになった麻田健吾が主人公。この設定から、若い頃に夢中になって読んだ冒険小説の再来かと狂喜したが、残念ながらこちらの早とちりだった。本篇4章+終章で構成された連作長篇で、それぞれの章は最近の岩井さんの作品に多いパターン化された内容だ。
うーんと首をひねりながら読み進めたが、それぞれのエピソードに込められた意味が判明し、本書がなにを主眼として書かれたかがわかってくると印象が大きく変わった。終章は涙なくして読めなかった。

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1940年 太平洋戦争勃発直前のサイパンに、横浜で英語教師をしていた麻田が密命を帯び赴任してくる。
その密命はスパイ。犬として情報を収集をしながら、島で起きる事件の真相を探り更なる深みにはまっていく。

麻田は開戦前、開戦について何度も問い問われ、自分の意思を示していく。史実を知る今なら間違っていたと言える選択であっても、当時であればどのような選択をしただろうかと何度も考えてしまう。誰の言葉が正しいのか、真相はいったいどこにあるのか、これは因果なのか。開戦について上司に問いかけられるたびに、そして大切な家族を思い麻田自身が自分に問うたびにこちらにまで問いかけられているようだった。
麻田が選択する道は正解か不正解という単純なものではない。ただ家族を思い守りたいその思いのみだった。その強い思いが伝わるラストはもう言葉にならないほどの感情になり号泣した。

今まで読んだ岩井先生の作品で一番胸に刺さり号泣しました。
素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございました。

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灼熱の太陽と湿度が常にまとわりついていた。
拒否をする、という選択肢がない状況で、最低限、自分の精神を守りながら最善を尽くした生き様を、震えながら見届けた。
戦争という国同士の諍いは、個人の狡さや弱さを正当化する。
誰かの命を軽く扱ってもいいし、蔑んでいい、蹴りとばはしても構わない、そんな異常が日常になる。
死も常に側にあって、時に美しく語られる。
そこに彼は否と言った。
死は死でしかない。美しい死など存在しない。生きてこそなのだ、と。
畳み掛けるように叫ぶ彼の言葉が、時を越えて国を越えて、現代の私たちを貫く。
この世の中、歪み続けている。この言葉が届く者も届かない者もいるだろうと思う。
けれど、ひとりひとり、感じることが違うはずなら、せめて自分の心の中からは、嘘や見栄や虚勢を除いて欲しい。
大きな争いも、始めは小さな争いなのだから。
たくさんの人の目に触れて感じて欲しい一冊だ。

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