真実の口

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刊行日 2024/04/09 | 掲載終了日 2024/02/29

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内容紹介

// 夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選ばれる常連であり、児童文学の主要な賞を続々受賞している、いとうみくによる書きおろし最新作 //

人の善意とは、正しい行いとは何なのかを模索する高校生たちを描き切る!

---------------------
ある冬の夜、外で凍えて震えている幼い少女を見つけた中学3年生三人。彼らは少女を保護して交番に連れて行き、その結果、警察から感謝状を受け取って、一躍時の人となりました。

それから半年。

それぞれ別の高校へと進学した彼らは、等しくあの夜の自分たちの行動に引っ掛かりを覚えていました。なぜ、少女は自分たちに口をきこうとしなかったのだろう。なぜ、あんな幼い子があんな時間に一人で外にいたんだろう。なぜ、少女は警察に行くことを頑なに拒んだのだろう。

彼らの頭には、同じ思いがよぎります。

もしかすると少女は、親から虐待を受けていたのではないだろうか――。

彼らは自分たちの行いが「善行」とされるようなものだったのか、自分たちの力で決着をつけようと動き始めます。

■編集部よりメッセージ■
河合隼雄物語賞、坪田譲治文学賞、野間児童文芸賞など数えきれないほどの受賞歴を誇る、いとうみくさん。押しも押されぬ児童文学界のトップランナーが書き下ろした新作のテーマは、「親による子への虐待」であり、「自分の振る舞いを省みる難しさ」です。
メイン読者層を子ども、若者として見くびらず、ひとりの人間としてとことん向き合い、時に格闘する「いとう文学」の真骨頂を、じっくりとお楽しみください。

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著者・いとうみく
神奈川県生まれ。『糸子の体重計』(童心社)で日本児童文学者協会新人賞、『朔と新』(講談社)で野間児童文芸賞、『きみひろくん』(くもん出版)でひろすけ童話賞、『あしたの幸福』(理論社)で河合隼雄物語賞、『ぼくんちのねこのはなし』(くもん出版)で坪田譲治文学賞を受賞。『二日月』(そうえん社)、『チキン!』(文研出版)、『天使のにもつ』(童心社)などが青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれた。他の著書に、『かあちゃん取扱説明書』(童心社)、「車夫」シリーズ(小峰書店)、『夜空にひらく』(アリス館)などがある。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

// 夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選ばれる常連であり、児童文学の主要な賞を続々受賞している、いとうみくによる書きおろし最新作 //

人の善意とは、正しい行いとは何なのかを模索する高校生たちを描き切る!

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ある冬の夜、外で凍えて震えている幼い少女を見つけた中学3年生三人。彼らは少女を保護して交番に連れて行き、その結果、警察から感謝状を受け取って、...


出版社からの備考・コメント

★公開の書影はラフデザインのため、刊行時と異なります。
★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
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おすすめコメント

★刊行時はオビデザインにNetGalleyに投稿されたレビューを使用する予定です。

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読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!
著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。

※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはくれぐれもお控えくださいませ※

ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★

作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 出版営業局>まで直接お問合せをお願いいたします。
★★



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出版情報

ISBN 9784065344118
本体価格 ¥1,500 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

自分ならどう行動するだろうと考えながら読んだ。
この本に登場するのは高校生たちだけど、たぶん同じ状況に置かれたらいい大人な私でも悩むし、無力な自分が歯痒くて情けなくなるかもしれない。
世間から見た正解と自分が納得できる正解は必ずしも一致しないんだろうな。

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青春とは〈明るい〉というだけではない。「小さな大人」として〈人が見えてきて〉〈人に気を使い〉〈悩み落ち込み〉、その中で〈自分に問いかけ〉ながらも生きていく。ただ、まだ経験が充分でなく〈自らを省みる〉のはなかなか難しい。でも、そうやって人と触れ合い、結びついていくなかで経験を積み、成長していく。そして、前に進む力になっていく。

周東、七海、湊は初めは偶然であっても、自分達の意地でありすについて行動を始めた。大人から見たら、ヒーロー気分に陥るな、年齢的に早すぎ、先を見通してない、責任能力がない、尾行は犯罪、などなどとなるだろう。
周東だって気づいていないわけではない。「下手な正義感を振り回して間違っていたら?」と言われた後に狼狽えた。でも、〈ありすに感じた違和感〉を確かめる選択をする。真実を知った後のことは後回しにして……

そして、ありすの真実を目の当たりにした高校生3人は、とっさに行動に出る。しかし、〈連絡すべき所〉は明白でも、それはできない。ありすがそこを信じられないから。3人が信じさせなくしてしまったから。だから3人は、この思い切った行動を選んだのだろう。その過程でわかる3人が なりに背負っているもの、それぞれの想い。

「大人の都合」からの八方塞がりとなっても、3人は動く。その原動力は、「ありすに感じた不信感に目をつぶった自分たちが、今度こそありすの話を聞き、きちんと守るため」という思い。ありすの『真実の口』に耳を傾けるため。そして「自分自身」のため。

「他人の領域に踏み込むことは、背負う」ということ。大人は背負うものがさらに大きいだけに、それを躊躇する。背を向ける。でも、そうでない時があってもいいはずだ。そうに、この高校生3人に言われた気がした。

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大人が信用できないとき、
子どもに何ができるのか?

差し出された問いが胸に突き刺さりました。

主人公は他人への関心が薄い高校一年生。

当たり前に平穏な日々を過ごしてきた彼は、
虐待が疑われる【ありす】という幼女に出会い
中学時代の仲間とともに思わぬ形で
関わっていくことになります。

彼らが勇気ある決断の末に目にしたのは、
想像を超えた驚きの真実でした。

少女の切なすぎる境遇が
繰り返し胸に迫ってきますね。

物語の核となる高校生たちの「暴挙」は、
切羽詰まった状況を踏まえれば、
決して責められないと感じました。

トコトン重厚なストーリー展開なのですが
重いテーマも子どもに親しみやすく描き上げる
著者の特色が存分に発揮されてましたよ。

とくに友人兄弟のキャラが良くって、
そこかしこで楽しい気持ちにさせてくれました。

人との繋がりの機微にグッとくるシーンも多かった!

特に終盤。
ピンチに意外な人物が進み出る場面で滂沱ですよ。

「言ったれ!もっと言ったれ!」って、
もう、感情移入しすぎるほどに。

加害者の事情が描き込まれている部分は、
問題が単純な図式でないことを物語っていて、
深~く考えさせられましたね。

やはり、子どもが子どもらしく居られるために、
大人としてできることをしないといけないと
痛感しきりです。

あなたからそう遠くないどこかにも
【ありす】は居る。

もしも「おや?」と感じる場面に出くわしたら、
あなたならどうしますか?

あらゆる年代の読者にそう訴えかけてくる本作に
世の中をより良い方向に変えていく力を感じました。

(対象年齢は11歳以上かな?)

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見て見ぬふりする大人よりも彼らの方が行動力があると思う。
何かあった時に信じてもらえる大人になったり、社会にしていかないといけないと痛感した。
やり方はどうであれ、一人の子どもを救えて良かった。西村さんも良い人で良かった。
「踏み込むってことは背負うこと」重く心に響いた。だからこそ、大人は慎重になりすぎてしまうのかも。

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米澤穂信っぽい、ほろにが青春ミステリーかなあと思っていましたが、
やはり、いとうみくさんらしい、物事をいろいろな視点から考えさせていく内容の本でした。
高校生の子たちが選んだ手段はたしかに、あまりに幼稚で、その点では違和感を覚えてしまいましたが、その手段をとらざるおえなかった厳しい現実と、そして、じわじわとした葛藤が描かれていて、ミステリーという読者がもってしまった先入観をなくしてしまえば、なんともリアルで心にせまる物語だと思えました。
おそらく出版社が書いたであろう粗筋紹介のみごとさが、読み手に対して、物語への誤解を生んでしまったのかもしれませんね。
とはいえ、登場人物たちの個性豊かな設定、会話文のみごとさ、細かい心情描写の的確さには、読みほれてしまいます。児童相談所の活動など、丁寧な取材がなされていて勉強になりました。
読ませていただきありがとうございました。

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『真実の口』と聞いて、わたしが思い出したのは、嘘をついたものの手を噛み切るという、あの映画『ローマの休日』に登場する巨大な顔の石像。真実の審判者。映画の中では、おどけたシーンでしたが、印象深いシーンです。このときグレゴリー・ペック扮する記者は、オードリー・ヘップバーン扮する某国王女の特ダネ狙いで身分を偽ってのデートでしたからある意味、「うそ」をついていました。でも、手は無事でした。王女の慌てぶりがかわいく、微笑ましいので、真実の口は、おとぎ話におわりましたが、記者の立場を超えて、気づけば王女を好きになってしまっていた「真実」があったからなのかもって思ったりもします。
周東律希、青山湊、七海未央。それぞれ抱えたものの違う中学生の三人が出会った、外で独り凍えて震えていた少女眞中ありす。三人は、このままほってはおけないと、迷いながらもありすを警察に保護してもらうのですが、三人の心にはどこか、ありすの状況に違和感が残ります。なのに、それとは関係なく周りからの評価。警察からの感謝状、マスコミの取材。それは、「君たちは正しいことをした」という評価でした。
でもなぜ、ありすは、あの場所で独り、凍えていたのか?なぜ、簡単には口を利こうとしなかったのか?依然として残る違和感は、抜ききれない心の棘。わたしたちのしたことは、ほんとうに「ただしい」ことだったのか?もっと他により良い選択はなかったのか?
それぞれ違う高校に進学した三人は、ありすを再び見つけることになります。違和感を確信に変える再開。その確信とは「ありすが親による虐待にあっている」ということ・・・
あの冬の日、三人は、やはり、まちがったことをしてしまったのかもしれない。ではいったい、どうすることが、正しいことだったのか。そして、虐待の確信を得た今、なにをすることが正しいことなのか。今、なにが自分たちにできるのか・・・それぞれが深く、深く、自分の心と向き合い始めます。そして、三人が起こした決意の行動とは・・・
わたしたちは、選択の連続する人生の中で、とてもたくさんの間違いも犯してしまいます。自分と自分の関わった人を傷つけてしまいます。反省しても間に合わないこともあります。でも、もし、ほんの少しでもその間違いを、取り戻すチャンスがわたしにあたえられたとしたら・・・律希くん、湊くん、七海さんのように深く思い切った行動に踏み出す勇気が本当にもてるでしょうか?
自分なりの真実をみつけようと、後悔を反省し、より透明な真実に近づこうとあがきながら生きられるでしょうか?
作品の中で三人が、もがき苦しみ自分と向き合い、まっすぐに相手を見つめて、相手の幸せを願ったとき起こした実際の行動が、社会や大人にどう裁かれようとも、そこにあるのは、誠実な真実の愛に近づこうとするこころではないでしょうか。一瞬一瞬の精一杯の愛ではないでしょうか。
真実の口。三人の心はきっと「真実」をもとめていました。三人の手はきっと無事です。
大人には強烈です。本来守られて当たり前の子供たちが、大人に任せられない、大人を信じられない、そんな社会にした責任から目をそらしてはいけないと、これからの生き方、選択を厳しく問われます。自分には関係ないと逃げ口上を語らせません。大人だって、ホントは知っていますものね。芯から悪い人などいないってことも。ただ、目をそらして傷つくのを恐れる弱さがあるってことも。
いとうみくさん、心の真実から逃げられない気づきを、ありがとうございました。

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ありすちゃんのような環境に置かれている子はたくさんいるのだろうということはわかっていたけれど、実際に関わったことがないので、ただ知っているというだけだった。この本を読んで、現実に本当にいるんだと自分の目で見たことのように実感できた。
自分に何ができるだろうと考える。私は大人だから、この3人組のような行動は取れないだろうけど、最後の西村さんのような関わり方はできるかもしれない。何かがおかしいと気づける心と頭の感度を持っておきたいと切に思う。

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迷子として交番に連れて行ったありすのその後が気になり始めた3人。最初にありすを託した警察は、ありすの現状を見抜けなかったこともあり、公的機関に不信感のある3人は、自分たちの力でなんとかありすを救おうとする。3人がした行為は犯罪として罰を受ける可能性もある無謀な行動だけれど、問題を抱えたひとつの家族を救うことに繋がってゆく。一度見逃したかもしれない問題に向き合えたのは、3人だったからかもしれない。けれど、3人だったから無茶なことをしてしまったとも言える。だから、ありすが通う幼稚園や、ありすの家が見えるコインランドリーの利用者など、ありすの異常な様子に気づいているはずの大人が積極的に関わるべきだったのだと思う。
わがままは、愛されている自信のある者が言えること。すべての子どもたちが安心して親や周りの大人に甘えることができるようにと祈るように思う。児童虐待だけでなく、ヤングケアラーや、親の過干渉などにも触れられていて、いろいろな気付きを得られるストーリーでした。

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登場人物の抱えるものや悩みが三者三様で誰に共感するのかで読者の置かれている立場がわかりそうですが個人的には律希であってほしい。
自分の近くにありすのような状況の子がいたら気づけるか、何が出来るか、大人として手を差し伸べることは…、と何度も何度も考えた。
大人になりたいと思うことが悪いことだとは思わないけど、それに“早く”と付くとなんなんだろう、このヒリヒリする感じは。守りたい存在を守れるだけの力をそなえることが出来る環境でゆっくり大人になれる世の中であるはずなのに。
目蓋が痛くなるくらい泣いてしまった。大人とか子どもとか関係なく、とにかく、たくさんの人に届けたい作品。

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毎日のようにTVやSNSで見聞きする児童虐待のニュース。その隙間にはこの物語のような出来事がたくさん潜んでいるのかもしれない、と思わされた。憤り、悲しみ、でも何もできない、何もしていない自分を情けなく思う人も多いだろう。(私も)
でも知ること、知っていることがどこかにつながることごできる、ということも忘れないでいたい。
3人の高校生たちの姿が、リアルで、好感が持てる。同年代であれば、誰か1人と自分を重ね合わせて読めるのではないだろうか。
日常のモヤモヤとした思い…自分がこんな行動ができたら…それを具体化して見せてくれている物語だと思った。
この3人はどんな大人になるんだろう。ぜひ続編も読んでみたい。

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児童虐待、親子のしがらみ、貧困家庭、ヤングケアラーなど様々な問題が盛り込まれた物語であるが、高校生三人、青山湊、周東律希、七海未央を主人公に彼等の会話で進むこの物語は、大人である自分達が、果たして「頼れる」「信じられる」「任せられる」大人なのかどうか、という疑問をつきつけてくる。中三の冬に出会った当時四歳だった女の子、ありす。三人は雪がふりしきる中、祠の前に黄色い傘をさしてしゃがんでいたありすを何の迷いもなく「迷子」だと思い、ありすが嫌がるのも無視して交番に連れていった。迎えにきた母親にほっとし、警察から「感謝状」をもらい、その後、三人は中学校を卒業し、それぞれの高校へ進学。しかし、ある日、七海の声掛けで三人が再び集合し、ありすは本当に「迷子」だったのか、という話になってくる。高校生三人の行動はまるで大人を必要とせず、自分達だけでありすを「守ろう」とする。そして、大人が信じられないばかりに「犯罪」にもなりかねないことをやってしまう。でも彼(彼女)等は、誰かを「守ろう」とすることで、自分たちが現在置かれている状況を振り返ることになる。大人でもなく、子供でもない「高校生」である彼(彼女)等ができること、できないこと、「平凡」だと思っていたことが、実は少しも「平凡」ではなく、たまたま偶然「ラッキーの積み重ね」なのだとー誰かを真摯に「守りたい」という気持ちが彼(彼女)等を大きく成長させていく。最後に、青山湊の弟、凪の存在が大きい。母親に気を遣い、いつも「いい子」でいようとする同い年のありすに比べ、凪が両親がいない中、父親代わりの兄の湊に思いっきり甘え、わがままもいう。それは、どんなにわがままを言っても、「いい子」でいようとしなくても、愛が与えられなくなることはない、と小さいながらに認識しているからだ。全ての子どもが、凪のように、愛情を受けながら伸び伸びと育っていって欲しい。そんなことを考えずにはいられない物語だった。

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日常の中で見過ごしてしまいそうな小さな違和感に、恐れることなく向き合うことのできる人がどれだけいるだろうか。あの時こうしていれば、と思わないために今できることがあれば後回しにせずやりたい。大事なことを眼前に突きつけてくるいとうさんの作品にはいつもハッとさせられる。若い人だけでなく大人にも読んでほしい。

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ある冬の夜、幼い少女を見つけた中学3年生の3人。
彼らは少女を保護し交番に連れていき少女の母親が迎えにきました。
それから半年がたち3人はそれぞれ高校に進みますが、あの夜のことに違和感を持ち続けます。
3人がとる行動はとても純粋で、大人から見るとその行動には無計画さも感じます。しかし少女の姿を見てみぬふりをし、少女の声を聞かなかった大人たちには3人がとった行動を責めることは出来ないでしょう。

虐待やネグレクトのニュースが報じられる度、サインが出ているのに傷つけられる子供たちがいることに胸が痛みます。もし隣家にこの少女がいたら私は行動することが出来るだろうかと何度も考えました。私の恩師がいつも口にしていた傍観者になるなという言葉を思い出しました。
どこかに助けを求めサインを出している子供がいるかもしれない。そのサインを受け取り、傍観者ではなく問題意識を持ち行動できるかという問いを突きつけられました。児童書でありながらも大人にこそ読んでほしいです。

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テーマが「親による虐待」「自分の振る舞いを省みる難しさ」ということで、身構えて読んだのだが、意外にも楽しんで読むことができた。重いテーマを扱いながらも読者をエンターテインすることを忘れない著者の作家魂を感じた。登場人物ひとりひとりのキャラクターに奥行きがあって魅力的なこと、特に主人公の律希や湊、七海らの深刻になりすぎないところに好感が持てる。ありすの父親を探す小さな旅は、一種の冒険もののようにも読める。厳しい現実について考えさせられながらも、爽やかな読後感を得られた。

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読後、果たして他に方法があったのだろうか、彼らの行動の背中を押したものは一体、と考え込んでしまった。

中学生だった時の自分達の行動を振り返り、違ったのではないかと、もやもやを抱える主人公達3人。
虐待ではと疑いを持ち、調べ、行動するなかで主人公は自分の置かれている境遇についても考えるようになる。
正しい家族の姿なんてないのだと気づくなかで、それでも守るべきものは何なのか、を行動によって見つけていくさまは、危なっかしくもあり、清々しくもある。

行動することについて、深く考えさせられる一冊だ。

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三人が出会った?見つけた?少女との関わり。読者まで、三人と一緒なって少女のことを考える。そして、三人のとった行動は、正しいのか?許されるのか?三人にのそれぞれの事情も相まってストーリーにどんどん引き込まれる。そこには、今の社会問題が映し出されている。読者に考えるテーマを与えてくれる物語。

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大人こそ、読みたい1冊だと思う。
読みながらずっと、主人公たち3人の行動と考え方に、心を揺さぶられた。

大人は、社会でうまくやっていくことを無意識にでも考えがちだけど、まだそこまで力を持たない高校生だから、そしてすでに子ども時代を脱皮しようとする年齢だから、あのような行動を起こすことができるのかもしれないい。
でも、大人たちもそれぞれに弱さを持つ存在として描かれてもいて、単純な判断をするだけではダメなんだよということも、主人公たちは分かっている。

祖母と暮らしながら歳の離れた弟の面倒も見る湊くん、
プライバシーのない生活を送る七海さん(そしてそれはサラッと書かれている。本当はとても大事なことなのに。もちろんわざとだと思う)、
そんな彼らと行動することで、平凡な自分の生活を顧みる律希くん。

先が気になり、ほぼ一気読みに近い形で読了。
考えさせられる1冊。

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迷子だと思った。中三の律希たち3人が出会った小さな女の子。人助けできて嬉しかった、でも…。
高校生になってからも消えない違和感から3人は再びあの日の女の子を探し始める。様子のおかしかった女の子の謎、明らかになっていく真実。他人の事情は端から見ただけではわからない。わからないのに正義感を持って行動したことが招いた結果に愕然とする。あ、いとう先生が書きたかったのは、こういうテーマか。主人公たち3人だって、それぞれ家庭に事情を抱えていて、そのことは打ち明けない限り誰も知らないんだ。
助けを求める誰かのための「正義」ってなんなんだろう。正義のために行動する高校生たちの勇気に圧倒される作品だった。

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人の善意とは、正しい行いとは何なのか。

こういう事は、自分にも実際にあるかもしれない。
でも、その時、疑問を感じたとして、
どうやって真実を知るか、
どう行動するのが正しいのか、
自分には何が出来るのか…

いとうみくさんは、
今回もまた、これは本当に「児童書」なのですか、と思う、なかなかに重たい、けれどとても大切な事を問いかける本を書いてくださいました。

これを全国の若者達がどんな思いで読むのか、
そして何を感じ、
同じ場面に出会ったら(それはないとは言えない気がします)
自分ならどうしようか、と思考する事を思うと、
すごい作品を、またまた世に送り出してくださった、と感じました。

自分は大人だから、
どうしても大人の論理で考えてしまうけれど、
1番大切な事は、今、目の前にいる1人を守る事のはず。

思い込まずに、
こういう事もあり得るんだ、と、
真実を見極めようという思いを、
しっかり持ちたいと思いました。

作中にワガママについて書かれています。
このセリフに救われて、
我が家の反抗期(だいぶ落ち着きましたが)&わがまま言いたい放題状態を、愛おしく感じられるようになりました♡

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虐待されているかもしれない子どもを見た時、どういった行動をとるのか。
この高校生たちが取った行動は最善の方法ではなかったかもしれない。
しかし、そういう方法を取ったことには訳がある。
面倒なことには首を突っ込まずに見て見ぬふりをする大人たち。
自分たちの仕事はここまでだから、ここから先は自分たちの責任ではない。
虐待されているかもしれない真中ありすの家庭のことを書きながら、世間の無関心な大人たちを痛烈に批判していた。

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雪の降る夕方、迷子の女の子を助けた中学生三人組。警察から感謝状をもらい、あちこちで褒められた。けれど、それから半年後、ひとりが偶然目にしたその女の子の様子から、自分たちが間違ったことをしたのではないかと危ぶみ始める。調査を始めてみると、やがて虐待という確信に至り、少女が会いたいという父親のもとへ連れて行こうと決心する。

高校生になった三人が過去の過ちを正そうと行動を起こす。大人のわたしたちでは法律や世間の目にしばられて躊躇することを、主人公たちは<この子を幸せにしたい>という思いで突き進んでいく。それはたぶん、同じ思いを三人で共有しているからだと思う。自分がひとりぼっちではないこと。それはとても大きな支えになるはず。
そしてまた、登場するそれぞれが違った家族的な背景を持っていることもさらりと描かれている。幸せも不幸せも、家族の形で決まるものではないと、読者にそっと知らせてくれる。
十代の読者が自分と家族の在り方や幸せについて考えるきっかけになるとよいと思う。

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雪の夜に出会った幼女を交番に届けた中3の三人組。守られた世界で生きる彼等が感じた、小さな違和感。虐待の疑いに気付いた彼等がとった手段は正しかったのか?優先されるべき事とは何かを問うた社会派YA小説。

信用出来ない、と子供たちに感じさせてしまった大人の責任感のなさが招いた事態を、果たして責められるのか。正しい事が必ずしも幸せとは限らない、と良く言われるが、それが顕著にあらわれた作品だと深く感じた。正しさ、規則がこの国を保っているのも理解した上で、時にはその枠ではおさまらない事も発生する。その時にしっかりとルールを変える勇気と、それを信じてもらえる大人でありたいと思った。

作品に深みが出る家庭環境の違う三人のキャラ設定もとても良かった。特に、湊の「自信があるから」という言葉に共感した。行き過ぎるのは困るが、せめて幼い頃くらいは無敵でいさせてあげたい。

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明らかに違和感があっても、人の家庭に口を出すことは勇気のいること。
雪の降る中、迷子になってうずくまる4歳のありすを保護した中学三年生の三人。後になって虐待を受けていたのではと考え直し、本当のことを突き止めるために行動に移します。

じぶんだったらどうしていただろう。
常にその問いを突きつけられながら、読み進めました。この物語の中には多くの気づきが散りばめられています。どうすべきだったのか、社会としてどうしていけばいいのかクラスや家庭で話し合うのもおすすめです。

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こどもの・・・こどもだからこそのまっすぐな行動が心に響いた。
大人になるにつれてなくしてしまった思いや行動力が、
周りを動かし、一人の人間を救っていく。
読みながら、はらはらして彼らの行動を見守り、
ほっと安心のため息をついた。

人としてなくしてはいけないもの、忘れてはいけないものを、
作者は静かに語りかけてくれる気がした。

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善行の中身を問い、自分たちが型にはまった表面的な評価をされたことに疑問を持ち始めた高校生三人。中学三年時に迷子を交番に連れていったという経緯に納得のいかない印象を持ち始めたのだ。4歳のありすの不可解な状況。動き始めた周東、七海、湊の三人の無茶な行動は危なっかしい。大人に頼らないのはどこかで信用していないから。そして、4歳の子どもが受けるべきではない仕打ちに憤っているから。気づかないふりがいちばん危険であることを彼らは知っている。問題は山積。どうすればもっと速やかに解決したのか?親から子への虐待の負のループの怖さに震えた。やったことは短絡的かもしれない、でも手を出したことに後悔はないところに、彼らの真実を感じるのです。

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中学生の同級生たちは小さな子を迷子だと思って助け感謝状までもらったけれど、後から考えるとどうやらネグレクトされているようだった。高校生となり活動範囲も広くなり色々な考え方や見方が出来るようになった3人がまたその子を助けようとする話。
いとうみくさんの物語はいつだって考えさせられます。使われる単語は難しくないので小学校高学年のお子さんも読めると思います。
物事の様相には色々な側面があって見えていることがすべてではありません。小さな頃は教科書通りの習った正義をかざしそれが正しいと疑ったりはしないと思います。
それぞれの心情の機微やありすの子どもなのに子どもらしからぬ感情や切なさ。私の身近にも施設出身の友人がいます。親になった人すべてが子どもを大事にする訳ではない現実に聞いた話とも重ねて悲しくなりました。それでもこういう境遇の方がいる、色々な理由があるということにも目を逸らしてはいけないし自分の子どもにも分かっていて欲しいとも思いました。

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中3の冬、七海、律希、湊。彼らはあるとき迷子の幼女ありすを「迷子」として交番に届けた。そしてそれを表彰された。高校生になった彼らは、虐待の記事を見つけありすの事を思った。そしてまた彼女に出会う。シングル、児童相談所、虐待、誰かに支配され弱くなる心。彼らは「親がいて、家があり守られる」そんな環境が当たり前ではない事を知る。ありすは「ママといるとここ(むね)がきゅっとなって、いきができなくなる」と自分の気持ちを伝えた。子供は親の保護のもとで生活するけれど、自分の気持ちやそれらを選択はできる。彼らがの行動は常識からみて犯罪にあたる。けれどそこに信頼できる大人がいなかったことも事実。彼らが笑顔のありすとすれ違う日をー。
『羊の告解』『夜空にひらく』と、子どものリアルを書く時のいとうみくさんは、重いけれど考えさせられる。

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児童書だけど大人にこそ読んで欲しい。確かに彼らのやり方は無謀だったけれど、SOSに気付けて本当に良かった。
「踏み込むってことは背負うこと」。そして、背負うことは面倒だ。彼らが感謝状をもらった後も、心に引っかかった小さなトゲを見過ごさない心を持っていてくれて良かった。
三人それぞれの葛藤や事情、ありすの母親の事情も描かれていたところが一方的な視点でなく良かったと思う。自分ならどうするか。常にそんなことを考えながら読んだ。

虐待による痛ましいニュースは繰り返され、その度に児相や警察、学校や園は何とかできなかったのかと批判される。身内に児相職員がいるが決してサボっているわけではない。虐待以外にも相談は多岐に渡るのでとにかく案件が多い。月の残業40時間など当たり前。その倍でも驚かない。休日でも夜中でも何かあれば電話一本で呼び出されて対応し、虐待を疑われた親には怒鳴られ凄まれることも。
ただ、一人でも取りこぼすことがないように頑張っていても、家庭の中のことは外からは見えにくい。だからこそ近くにいる人はおかしいと感じたら迷わず通告してほしい。法律の中でしか動けないので対応が歯がゆく感じることもあるかもしれない。それでも他人に知られることが抑止力になることもある。
我々が思っている以上に、世の中には支援の必要な子どもは大勢いることを忘れてはいけない。

「わがままを言えるのは愛されている自信があるから」って本当だと思う。すべての子どもがわがままを言えるようになりますように。

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過去へのやるせなさを忘れることができず、時が経ってからもその思いから行動する3人にエールを送りたい。いや、本当は然るべき機関に預けなくてはいけないのだろうが、過去のアレコレもしっかり読んだあとでは、不信感が拭えずあのような行動になるのも分かる気がする。気がするだけで、実際行動できる人間なんてわずかのはず。そして、いま日本のとこかで、別の「ありす」が震えながら生きていることにも思いがはせ、胸が痛む。設定もミステリー仕立のような風味もあり、最後までどうなるのか目が話せない展開だった。

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親による子どもへの虐待のニュースが報じられるたびに、何とも言えない気持ちになる。この物語に登場する3人は、中3のときに保護した5歳になる女の子のその後を案じ、多分親から虐待を受けているのではという思いを共有して、何とか自分達の力で助けたいと思い切った行動をとる。結果周りの大人の力も借りて、女の子を救うことができて、本当によかった。

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