銀河の図書室
名取 佐和子
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刊行日 2024/08/01 | 掲載終了日 未設定
文芸小説 | ミステリー/サスペンス | YA/児童読み物
ハッシュタグ:#銀河の図書室 #NetGalleyJP
内容紹介
第71回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書 高等学校の部
先輩が消えた。
「ほんとうの幸いは、遠い」という言葉を残して――
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。
著者メッセージ
「根っからの読書家でなくても、本に助けられることはある。本に委ねるときもある。ままならぬ青春を宮沢賢治の本と進む高校生たちのお話です」
名取佐和子
【図書館司書さんからの感想】
「くじけながらも、必死に前へ前へと向かっていこうとする高校生たちにとても感動しました」――E.Mさん(名古屋市守山図書館)
「図書館は、過去の言葉を未来へ伝え、人と人を言葉でつなぐ場所でもあります。そんな場所を、作中の伊吹さんのように私も司書として守りたいと強く思いました」――T.Uさん(島根県立図書館)
「私の予想はことごとく安易な思い込みだったと気づき、幾度となく考えさせられた。
驚きとともにページを遡ってほしい」――松村幹彦さん(図書館流通センター)
【著者略歴】
(なとり・さわこ)
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、独立。2010年『交番の夜』で作家デビュー。著書に第5回エキナカ書店大賞を受賞した『ペンギン鉄道なくしもの係』、『金曜日の本屋さん』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『ひねもすなむなむ』『文庫旅館で待つ本は』ほか多数。
『銀河の図書室』と同じ県立野亜高校が舞台の『図書室のはこぶね』(2022年刊行)は、各地の司書が選ぶ「イチオシ本」に選定されるなど、幅広い世代から愛読されている。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784408538594 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 320 |
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野亜高校の図書室を部室として借りる弱小イーハトー部。その面々の等身大の青春群像。
悲喜こもごもの1年が、宮沢賢治の詩や未完成の傑作『銀河鉄道の夜』に導かれ、人を思いやる事へと昇華していく様を、読んで確かめてほしい。
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突然高校に来なくなった風見先輩が送ってきた、《ほんとうの幸いは、遠い》という宮沢賢治からの一節。これが物語の根底をずっと流れつづけていく。
チカ達イーハトー部の面々を中心とした高校生活の1年間が、宮沢賢治の詩や作品を介して描かれていく。イーハトー部の勧誘活動、文化祭のビブリオバトルへの出場と棄権、伊吹との本の修理、キョンヘの弟の死。そして夏合宿(宮沢賢治の本に挟まれたそのメモを見た人はどうに感じるのだろうか)。
全てが素晴らしく輝いていたものではない。穏やかな思い出になったものもあり、後悔ばかり残ったもの、必死になったものもあった。
そしてこの1年が終わる時、風見先輩、〈まっくらな巨なもの〉に囚われた彼に対して向き合っていく。この1年は、宮沢賢治の作品と言葉に後押ししてもらっての、必要不可欠な1年間だったのたのか。
とうとう、イーハトー部の部室でもある図書室で風見先輩と向かい合うチカ達。互いの心情の露呈、これからの道を探っていこうとする様。この1年間に一人一人が味わってきた忌避こもごもが、この時に集中していた。そして、その力添えとなっていく宮沢賢治の詩や作品たち。全てが圧巻だった。
善意であっても結果は望んでいたものとは限らない。でも、それで〈終わり〉ではない。必ずどこかから手が差し伸べられる。また歩み出せる。だから、人を思いやることは大切であり、それによる人の歩みは〈永久の未完成これ完成である〉のだ。我々が今読んでいる「銀河鉄道の夜」がそうであるかのように。
《ほんとうの幸いは、遠い》。でも、そこに向かっていくことそのものが〈ほんたうのさいはひ〉。
そう思い、私も歩んでいこう。

「図書室のはこぶね」と同じ野亜高を舞台にした小説。今回は、「ほんとうの幸いは、遠い」という不登校になった先輩からのメッセージを軸に、悩みを抱えた高校生たちが、救い、救われながら日常を送る姿が描かれていました。自分の常識や感覚を基準にしてしまうことで、誰かを傷つけることに無頓着なのは、何も未熟な高校生だけではなく、大人も同じ。最近はやっと多様性を尊重する風潮となり、いろいろな角度から物事を見ようという意識が高まってきてはいても、万全とはいかないし、考え過ぎてナチュラルに親切ができなくなってしまうのもさびしい。だから、イーハトー部の卒業式がとても良かった。

高校図書室で図書委員を兼ねながら活動する弱小同好会「イーハトー部」
ひとりで同好会を立ち上げ、高校生活を全力で謳歌しているように見えた先輩が
修学旅行から戻ったらそのまま不登校に。
それから1年、理由もわからないまま、先輩不在のイーハトー部を守ってきた
チカと、仮入部してくれたキョンヘ、そして新入生マスヤス
全てを知って、彼らが選んだのは…
主要登場人物は、それぞれ痛みををかかえて
それを表に出さないまま生きていて
仲間といっしょの時間を重ねる中で、
自分の弱みや辛さを信頼できる相手に打ち明け、受け入れられるようになる。
高校時代という、限られた時間の中での、彼らの成長を感じられる。

この物語を読めてよかったです。「賢治さん」の世界観と物語の世界がリンクして美しく哀しく感じられました。すごく爽やかな読後感でした。あと本ソムリエ端末うちの図書館にも欲しい。私も使いたい。日常的に使いたい。本好きの心をくすぐると思う。そう思いました。主人公たちと一緒に、賢治の世界を旅した感がしました。ありがとうございました。

善意だと思ったことが全ての人にとってそうとは限らない、そうかもしれないと素直に思いました。
風見さんのように誰とも関りを持たないようにする人生を送ろうとする、否定はできないけどそうあって欲しくないと
思いました。
ただチカ、キョンヘ、マスヤスやその他の沢山のいい仲間がいたから結果的にはいい人生に向く選択をして
良かったです。
本を通じて仲間が増え、信頼関係が深まりお互いを支えられる関係はうらやましい関係だなと思います。
人はそれぞれ他の人には言えない苦しみがある。でもそれの苦しみから救ってくれるのは仲間なんだろうなと思います。
そこには弱みを仲間に見せるちょっとした勇気もいるんだろうなと思います。
書店で働く身として、その人の人生に影響を与えてくれる本の紹介が出来たらなと思います。

野亜高校の図書室でひっそりと活動するイーハトー部。この部の名前だけでも惹き付けられた。しかも部長は修学旅行を終えてから突然姿を見せなくなり、その原因は謎に包まれているという。追究していく過程で宮沢賢治にも思いを馳せることができ、有意義な読書体験をさせてもらいました。
生きていく中で考え続ける事がある。聖人君主というわけでなく生身の人間らしい側面のある賢治さん、だからこそ作品には包みこまれるような温かさがあるのだろう。本書もその要素が散りばめられていて、読み返したくなる書籍がまた1つ増えたなと感じました。

図書室で細々と活動するイーハトー部のメンバーが、宮沢賢治の作品を手がかりに、突然不登校になってしまった先輩のメッセージをどうにか読み解こうと奮闘します。作中で取り上げられる宮沢賢治全集について、時代ごとに解釈の違いがあり、収録作品や構成が異なるなど、伊吹さんの解説が分かりやすく勉強になりました。
登場する高校生たちがそれぞれ抱える後悔の念が、他者を思うがゆえの苦しみで、なかなか人に打ち明けられず一人で抱え込むところにいじらしさを感じました。自分の後悔をも糧にして、先輩がまっくらな孔に落ちないように手を差し伸べられるようになったチカの成長が嬉しかったです。伊吹さんと郡司先生のさりげないサポートと、ちょっと怖そうな校長先生の懐の深さも素敵でした。

イーハトー部。宮沢賢治のイーハトーブから文字られた宮沢賢治の作品を語る、部活。
面白い部があるな、と冒頭で帰宅部だった高校時代を思い出した。
創設者の風見さんは、なぜかある日不登校。チカは、仮入部のキョンへと共に新入部員獲得を目指し·····。
最初はよくある青春物か、という目線でした。しかし、宮沢賢治の作品を通して善意の難しさ、人と人の付き合い方の難しさ、人の行動の裏には表面だけでは語れないことも往々にしてあることを巧みに表現されている。
宮沢賢治の作品が好きな人、青春を改めて噛み締めたい人、ぜひ読んで見てほしい。

野亜高図書室で図書委員を兼ねながら、間借り活動する同好会「イーハトー部」の先輩である風間さんが突然学校に来なくなり、連絡が途絶えるのに困惑しながらも帰ってくる場所を守ろうと奮闘するチカ、それを支える仮入部のキョンヘ、最初から前のめりの後輩マスヤス。
先輩が不登校になった理由はどこにあるのか。先輩不在でのビブリオバトルに挑むチカ。仲間には言えない理由によって「イーハトー部」から少し距離をおくキョンヘ。そして、マスヤスの抱えるもの。
青春とくくるには、いささか重めのものばかりですが、賢治さんが照らし出す淡い光に導かれ各々が答えを獲得し、前へ踏み出す姿は、なんもいいことがないような世の中に少しだけ希望の兆しをみせてくれる。
キョンヘから頼まれた岩波少年文庫を探しまくるチカが、賢治さんの作品なのにない!なんだったら、本屋がなくなっている!ことごとく消えている!ピンチ!な展開に、自分が本屋勤務だからか、フィクションとはいえとてもショックだった。

宮沢賢治の、賢治さんの作品に魅了されたのは、私は中学生の時でした。あれは映画タイタニックを観たあと「銀河鉄道の夜」を読みながらあるシーンで感じ入るものがあったから。それから私の1番好きな作品はやはり「銀河鉄道の夜」です。
本作品に登場する少年少女らはそれぞれに〝痛み〟を抱えている。彼らはそれぞれに影響しあいながら、賢治さんの作品を通して関わり合い、自分の痛みと向き合ってゆく。解決する!とかハッピーエンド!とか恋愛ちっくな甘酸っぱいものが生まれるわけではない、そんなに甘くない。けれど、彼らは確実に1歩踏み出し、強くなっていた。眩しいその姿が、本当に美しかったです。

宮沢賢治の作品や彼自身の生き方を土台にして、野亜高校のイーハトー部という同好会メンバーの青春を描いた物語です。
鈍感だとよく言われる主人公のチカは、突然不登校になった風見先輩から送られてきた「本当のさいわいは、とおい」というメッセージを起点に、仮入部のキョンへや新入部員のマスヤスと、メッセージの謎の解明を始めます。
キョンへとマスヤスも、それぞれ表面的に見ると自分に正直に生きているように見えるのですが、やはりというかそれぞれに事情を抱えているんです。
人は、他人には見せない心の闇や傷があるという当たり前のことを提示しつつ、物語は風見先輩の心の傷へと進んでいきます。
読了後、なんて清々しい、そして感情が洗われる物語なのだろうと思いました。
そして、自分の価値観や自分からの見え方だけで他人を判断する危うさ、良いことをしようと考え続ける姿勢について考えさせられました。
高校時代に私はここまで考えられただろうかと振り返ってみたり、自分が学校図書館にいたとき司書の伊吹さんのように道を示せていただろうかと思ったり、改めて自分を振り返るための小説になりました。
コロナ後の今を生きる中高生に読んでほしい小説です。

宮沢賢治を絡めた青春小説。
高校の図書室で活動するイ-ハト-部の面々の1年間が描かれる。
それぞれに思い悩むことがある中ともに過ごし、支え合う姿。
1年間で成長し、前進していく様子。
そんなイ-ハト-部を支える担任の先生や司書の存在。
本を読み、本人に支えられ、本に助けられ…
多感な高校生の頃を思い出しながら一気読み。
懸命に過ごす彼らの日々は私には輝いて見えた。
うらやましい限り。
「銀河鉄道の夜」をはじめ、数々の宮沢賢治の作品が登場。
未読のものも多数あり、読みたくなった。

2年生の秋から学校に来なくなった先輩を待ちながら、宮沢賢治の同好会「イーハトー部」を支えるチカ/高田千樫の進級からの1年間の物語。
宮沢賢治の作品やエピソードがあちこちで登場人物たちによって語られます。読み進むうちに、わたしも宮沢賢治ともう一度向き合ってみたくなりました。
また、チカが自分も傷を抱えながらも、周囲の苦しみを静かに受け止めてゆくストーリーが、宮沢賢治の童話のイメージとよくマッチしているように感じます。
時短やタイムパフォーマンスなどの言葉で効率が重視されがちな中、急がずじっくりと読みたい物語です。

そうか・・こうやって、続いていくのかと思った。
すぐれた作品というのは、こうやって何十年もたった世界で、
読まれ続けて、人の生き方に影響を与えるのだ。
高校生たちの迷いながら進むひたむきさな姿に、
宮沢賢治が与えた大きな影響を思ってため息が出た。
でも・・とハッとした。
この高校生たちがあまりにも生き生きとしていてつい忘れていた。
この子たちも、作品の中で生きている人たちなのだ。
物語の中の物語・・幾重にも折り重ねられた箱の中をのぞいたような気がした。

実に清々しく、人を思う気持ちに溢れた、グッとくる青春小説で、ラストの展開には思わず込み上げてしまった。野亜高校の図書室で宮沢賢治の作品を研究する同好会"イーハトー部"の生徒たちが主人公。チカが入学した4月、自分に声をかけイーハトー部に誘ってくれた風見先輩が、修学旅行のあとから登校しなくなった。その訳を巡りチカは仲間の協力を得ながら様々な行動を起こす。自分や友達の、人に話していない内面に思いを馳せる大切さと、悩みながらも一緒に前に進もうとする気持ちが温かく胸を満たし、彼らをとても応援したくなった。
賢治のいろんな作品がキーとなっており、途中、その賢治作品に触れながら読み進めたことで、主人公たちの思いをより実感もって知ることができた。そして賢治作品をもっと読みたいと思ったし、宮沢賢治記念館にも行ってみたくなった。等身大の共感と気づきがきっと得られる、中高生にもイチ推しの良書!

これは、今を生きる人、みんなの物語。そして、未来を諦めない人、みんなの物語。
今というとき、自分の関わった人たちと、この場所。それがすべてなんだと、駆けるしかないんだってことを教えてくれる、勇気の物語。
前作が爽やかさをともなった青春の深みを描いたものだったのに比べ、今作は、年齢なんて関係ないようです。
本を読むって、人の話を聞くってこと。そして、深く自分に潜っては、心の海の奥底に眠る真珠のような自分だけの答えを、見つけるんですよね。少なくとも、名取佐和子さんの、宮沢賢治作品の読み込み方は、間違いなくそうでした。作中でチカや、キョンへ、マスヤス、みんなが足掻くすがたは、まさに、名取さん自身の姿の写し身なんでしょうね。郡司先生や、伊吹さん、校長先生もそう。
そして、風見さんと、美濃部先輩。この二人は、銀河鉄道にならんでのる、ジョバンニとカムパネルラのようですね。
普通の青春物なら、鈍感は罪、繊細は罪。世界は切なく悲しいことだらけ・・・そんなふうに気取っておしまいかもしれない。でも、そこで終わっては、本当に罪です。だって、「ほんとうの幸い」をもとめた、本当の自分を否定することだもの。
人のために良かれ。それが、結果を産まないことなんていくらでも、何度でも、おこること。大切なのは、折れないことじゃないですか。生きているってことの意味。密度。それは、魂が、ああ、この事をなすために生まれてきたって思えるまで、足掻き、求め、戦い続けることにかかっています。生きるってことは、変わるっていうこと。失敗を乗り越え、つよくたちあがること。傷つき、傷つけられることをおそれずに、ほんとうの幸いを求め続けること。
チカもは、イーハトー部に係るみんなが、最後のビブリオトークにそれを見つけられたみたいです。
今生きていますか?今を生きていますか?未来を諦めず努力していますか?言い訳ばかりの自分に決別する、その勇気がありますか?関わり、変わり、深め、より豊かかな時間を求め続ける、心がありますか?
そんな、熱い物語。自分を、人を、信じ諦めない物語。傷つき、傷つけ、臆病になってしまったわたしも、風見さんや、チカでした。わたしもきっと勇気と努力で立ち上がろう・・・ありがとうございます。

『図書館のはこぶね』の野亜高校図書室のその後が読めるなんて! 嬉しいです。名取さん、実業之日本社担当編集者さま、ありがとうございます。
「イーハトー部部員:高田千樫、学校に来なくなった風見先輩の“まっくらな巨きなもの”を探る。
思い込みや一方的な同情、よかれと思ってしたことが招いた悲劇。高校生でなくとも当てはまります。
宮沢賢治の生涯や作品と絡めながら、チカたち部員が互いを信頼し合う姿がほほ笑ましくもまぶしい。

『図書室のはこぶね』と同じ野亜高校の図書室を舞台とした青春ミステリ
正直言うと、宮沢賢治作品を読んだのは子どもの頃に数冊…で、あんまり馴染みがない
なので、イーハトー部という真っ正面から宮沢賢治に取り組んでいる同好会が主役だなんて尻込みする気持ちもあったけど…
とっても良かったです!
思いがけず他人を傷つけてしまい、後でその事実を知って愕然とすることってありますよね
大人であっても動揺してしまうのに、ましてや多感な高校時代
必要以上に自分を責めてしまう気持ちも分かるだけに胸が痛い…
『銀河鉄道の夜』を読み解きながら、それぞれの抱える悩みや迷いと向き合い、部長だった先輩が不登校になった理由、「ほんとうの幸い」とは何か考える
不器用だけど真っ直ぐな彼らが眩しかったし、顧問の郡司先生も司書の伊吹先生(憧れ♡)もちゃんと大人で素敵でした
宮沢賢治作品が何度も推敲を重ねていて、作品に幾つものバージョンがあるということも恥ずかしながら初めて知りました
『銀河鉄道の夜』を久しぶりに読みたくなりました

これから訪れる、長いようで短い夏の始まりとリンクして、この物語の駆け抜ける青春を感じました。
人生の中ですべてはたった一瞬のこと、でも忘れられない出来事、そういったターニングポイントが人にはあると思います。
《ほんとうの幸いは、遠い》という言葉を残して姿を消した先輩の背中を追って、宮沢賢治の残した言葉を追っていくうえで、自分や友人、先輩の心に向き合う時間があります。その時間、自分が何者かになろうともがいている苦しみも、諦めないことも、これからの人生の岐路において大切な出来事だったのだと感じます。
図書のレファレンスのように、答えを教えるのではなく、答えにたどり着けるよう力を貸す大人たちの姿も印象的でした。

大好きだった先輩が、突然学校に来なくなった。イーハトー部のチカは、先輩の不登校の理由を探して奔走する。先輩のSNSが投稿されなくなったときに遡り、修学旅行のときであることを突き止めた。良かれと思った行いが、相手をさらに悪い状況に追い込むこともある。随所に宮沢賢治の名作が登場し、読みたい気持ちを大きくさせる。そして、一人ではどうしようもなかったことが、友の協力で可能になる。やはり、高校時代の部活仲間は大切だ。

なんて尊い青春を見せてもらえたのだろう。
読み終えて、あ~良かったと声に出るような、ありがとうと言いたいような、胸が一杯になる気持ち。
それぞれが自分のこと、言動、行動について深く考えている姿を応援する気持ちで見守った。
ビブリオバトルで紹介された本や、賢治さんの未読の本も読みたくなった。出会えて良かったと思える1冊だった。

「本当の幸いは遠い」というメッセージを残して学校に来なくなった先輩。
先輩に誘われて入ったイーハトー部は宮沢賢治を研究する弱小同好会。
先輩と過ごした図書室での時間。受験に失敗して暗い海底に沈んでいたぼくを
先輩は救ってくれた。なのに先輩は修学旅行の後、学校から消えた。
先輩になにが起こったのか?宮沢賢治の言葉と共に先輩を理解しようとする
イーハトー部の後輩たち。人はよいことをしたい、よい人でいたい、そう思って
行動する。だけど善意が間違って人を傷つけるときもある...
現代を生きる高校生たちが自分と向き合い、人を想い、助けたい、取り戻したいと
動くとき小さな奇跡が起きる。
ラストに涙せずにはいられない究極の青春小説。宮沢賢治の魅力満載。
是非読んでほしい。

イーハトー部の風間先輩が不登校になった。
彼に何があったのか。
宮沢賢治の作品と図書室を舞台に描かれる青春物語。
それぞれの悩み、風間先輩の謎、「ほんとうのさいわい」の意味。
宮沢賢治の作品を読みに図書室を訪れたくなるたくなる。

万琴が最後に風見くんに謝った言葉「傷つけられたから、自分も傷つけていいなんて正義はこの世にない」。この言葉、今の世の中に忘れてはいけないことが詰まっていました。とても優しい終わり方だった。そして、伊吹さん最高です!

これまで宮沢賢治の本に寄り添う事は、そこまでしてきませんでした。
一部の本以外は…
「ほんとうの幸せ」とは何なのか。
私自身も知らず知らずのうちに、これまで人を傷つけて来た事があったであろう。
何気ない言葉や行動で、自分は良かろうと思ってした、または言った事でのその先…
途中で少し重く感じた本でしたが、最後はホッとできた作品でした。
虐待を受けていた少年のその後が気になりました。

部長だった風見先輩はなぜ突然不登校になってしまったのか。何とか活動を続ける残りの部員3人が、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』を紐解きながら、それを手がかりに先輩の謎を追う展開で、つくつく相手の側に立って考えてみる想像力の大切さを痛感させられる展開でしたが、それぞれに悩みを抱えている彼らが「ほんとう」と直面していく中で、大切なことに気づき育まれてゆく信頼関係があって、彼らが先輩たちのために開いた最後の卒業式には強く心を揺さぶられました。

野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は宮沢賢治を研究する同好会。「ほんとうの幸いは、遠い」という言葉を残し立ち上げた部長の風見は不登校になる。部員3人はなぜ不登校になったのかを知るため『ほんとうの幸い』について考えることに…。登場人物がそれぞれに辛い現実を抱えていて胸が痛くなりました。善意が裏目に出る事も他人の気持ちに鈍感になる事も誰にでもある。そんな時にいつでも真摯に向き合う事が大切。「図書室のはこぶね」と同じ野亜高校が舞台とは知らずに手に取ったので再読したくなりました。

『図書室のはこぶね』の野亜高校図書室の続編。今回は宮沢賢治『銀河鉄道の夜』に出てくる"ほんとうの幸いは、遠い"がキーワード。野亜高のイーハトー部。部長の風見が学校に来なくなった。彼に何があったのか、チカ、キョンヘ、マスヤスは様々な作品からヒントを得られるか?!この本から『教師 宮沢賢治のしごと』を読みたくなり、出版社(訳)によって多少の違いも知る。岩波少年文庫『風の又三郎』、新潮文庫『ポラーノの広場』、集英社文庫『注文の多い料理店』を読みたい。風見にとって"ほんとうの幸いは、"はなんだったのかー。
司書の伊吹さんも健在でした!

高校生ならではの青春な感じに懐かしさを覚えつつ、作中にある無意識だからこその大きな悪というのはとても共感できることで、
「自分にとっての善きことが、他人にとっての善きこととは限らない」は考えさせられる。
最後は救いのあるいい終わり方で爽やかな気持ちで読了。その後の「イーハトー部」の活動も見守りたくなった。

野亜高校図書室の物語の続編が出た!前回とは登場人物たちの世代は交代。そして今回は「銀河鉄道の夜」が主なモチーフの今作品。「図書室」&「宮沢賢治」なんて、本好きの心をくすぐるワードでしかない!
「ほんとうの幸い」とは何だろう。宮沢賢治作品を研究するイーハトー部創立者であり、伝説の先輩風見さん。リア充そのもので輝いていた先輩がなぜ不登校になってしまったのか。知性行動力人望すべてを兼ね備えていた人なのに。風見先輩にあこがれているチカ、仮部員のキョンへ、新入部員のマスヤス。みんなそれぞれ悩みや事情があって、ぶつかり合い、認め合う。そんな姿が瑞々しく爽やかな作品でした。なにより、司書の伊吹さんの存在感と生徒との距離感が最高に素敵です。