人魚が逃げた
青山美智子
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刊行日 2024/11/14 | 掲載終了日 2025/01/10
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内容紹介
本屋大賞4年連続ノミネート!
今最注目の著者が踏み出す、新たなる一歩とは――。
幸福度最高値の傑作小説!
<STORY>
ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。
その「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。そして「王子」は人魚と再会できるのか。
そもそも人魚はいるのか、いないのか……。
おすすめコメント
僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ、この場所に――。
本屋大賞4年連続ノミネート! 話題の著者が紡ぐ、新たな代表作。
僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ、この場所に――。
本屋大賞4年連続ノミネート! 話題の著者が紡ぐ、新たな代表作。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784569857947 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
ページ数 | 240 |
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閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
逃げた人魚を探し、銀座を彷徨う王子。
現実に突如として訪れたファンタジーはやがて、孤独な心を抱えた悩める者たちを取り巻いて、その飢えた大地に一つ一つ綺麗な花を咲かせていく。
連作短編形式で読みやすく、各話、『人魚姫』の物語に絡めた素敵なドラマが待ち受けている。
それらを吸収するたびに私は、「自分の心がまだこんなにも温かくくすぐられることがあるんだ」と驚いていた。し、自分を物語の主人公に据えることで見えてくる未来への希望にも打ち震えた。
著者はいったい、どれだけ頭の中に『優しさ』と『愛情』の引き出しを持っているのだろうか?
この世に、また新たに心の居場所が誕生したといっても過言ではない。一冊で、過去の私が何人ぶんも救われ報われたような気持ちになった。
愛に悩むなら、自分の人生に戸惑うなら、大切な人がいるなら、物語を愛しているならば、是非とも読んでほしい。
読後、私は大切で愛する人に本作を『マイ/ユア・プレゼント』として贈りたくなりました。
人生の節目にこそ、手に取ってほしい物語がある。それが、青山美智子さんの紡ぐ物語だ。
幸せはきっと求めるものではなくて、与えあえるものだと教えてくれる。かつて読んだ『人魚姫』を、ふたたび読み返したくなった。
楽しみにしていた青山さんの新作。いつもより早く起きて、家事もメイクも済ませて出勤前に一気読み。マスカラが落ちても、丸めたティシューが散乱しても、至福の時間でした。
物語の舞台は銀座。そこには逃げてしまった人魚姫を探す王子様!
えっ?どういうこと?という世間を置いてけぼりにして、お話の幕はあがります。
王子様を通して少しずつ重なりあう5人の登場人物たちの“銀座での午後のひととき”は観客=読者だからはっきり認識出来る状況と関係性が本当に巧みに散りばめられていて、彼らが霧のなかを爆走している姿にやきもきしたり、後から気づきそうな予感がチラっとみえて嬉しくなったり。読んでいる間ずーっと青山マジックにかかってました。一般的に失敗と受け取られがちな事ですら、前へ歩み続けるための糧だと思わせてくれる魔法に溢れていて、『幸福度最高値の傑作小説!』のあおりに嘘偽りなし。今まで読んだ青山さんの作品の中で1番が更新されました!
ひと足早く読ませていただき、ありがとうございました。
青山 美智子さんの新作の舞台は銀座。
銀座の歩行者天国に王子が現れる、王子が探すのは人魚姫。
銀座と王子と人魚姫、このありえない組み合わせなのに不思議な世界観に引き込まれていくのが青山さんの魅力。
ちょっとクラシックな雰囲気もある銀座を舞台に今時のSNSを組み合わせる展開も巧い。
1章は元タレントの青年、2章はニューヨークにだ旅立つ母と娘、3章熟年離婚された男性、4章作家、そして5章は1章の青年の相手、12歳年上の女性。
彼の一方的な想いかと思われたのが、実は彼女のほうが彼を先に見つけていたとは・・・
こういう構成がまた本当にお上手。
2章のお嬢さんも素敵、きちんとお母さんが育てたんだなぁ、と嬉しくなりました。
あちこちにちりばめられた伏線が楽しく木村屋のあんぱんを食べていたあの兄弟が・・・と最後のエピソードまで楽しませていただきました。
アンデルセンの人魚姫を使った群像劇というのか、短編集というのか、そういう感じです。人魚姫を探しているという王子様の発言がSNSでバズっている。彼に関わった複数の人たちの人生がそこには凝縮されていて、とてもポジティブになれる物語だ。とくに、役者を辞めた男と、その恋人の手タレの女性の話しの二つが良かった。彼女の気持ち、彼の気持ちがよくわかり、最後にはそうだつたんだと納得できる。王子の謎も面白い。感動したというほどではないが、青山さんらしい作品だとは思います。
表紙は、見立てのミニチュア作家田中達也さんが作りあげた銀座4丁目交差点の様子。
この銀座を舞台に物語は繰り広げられる。
よく目を凝らして見ないとミニチュア作品の細かな部分を見逃してしまうように、この物語もよく気をつけていないと、銀座の人混みに紛れた登場人物たちを見逃してしまう。
「最後までわからないものですよ、物語というものはね。」
青山美智子さんらしい温かな物語に、遊び心も加わったお茶目なお話だった。
ある土曜日の銀座に現れた謎の王子。彼は人魚姫を探していると言う―そんな王子と同じ時と場所をほんの少し共有した人たちのお話です。
どの話も優しくて、切なくて、心に残るものでしたが、特に最初と最後のお話は視点が変わるとこんなにも見えてくるものが違ってくるのかと感じるお話でした。エピローグまで読んだら、もう一度ページをめくって読み直したくなると思います。
表紙も好きです!
悪く考えてはダメ。
しっかり相手を見るの。
言葉にならない気持ちさえ
くみ取れるように・・・
そんなメッセージを
物語から受け止めました。
これまでの作品にくらべ
恋色が強めですね。
主要キャラの関係性は
恋人や夫婦、あるいは親子など。
それぞれにままならない思いを
抱える主人公たちが、
銀座の人魚騒動にかかわるなかで
何ものにもかえがたい気づきを
手にしていきます。
思わぬ背景が明かされて
物語が縦横無尽に躍動する
5章の魅力が凄い!
1章の伏線がババババッと
回収される妙技に息をのみましたよ。
なんて素敵すぎる奇跡。
とろけるような巡り合わせ。
夢が現実になっていく浮遊感が
脳へダイレクトに響きわたりました。
恋愛や家族愛が柱となる作品ですが
それだけで終わらないところもいいですね。
この作品がくれるひらめきは
人生のあらゆるシーンで活きると
感じ入りました。
とくに刺さったのは、
独りよがりではいけないという
単純なようで深いテーマ。
二章では、いま手の中にある
しあわせの種を見落とさず
大切に育んでいきたいという
気持ちになれましたよ。
どちらを選んでも正解という
三章には心が軽くなり
四章では、悩める小説家の姿が
好奇心をそそりました。
そして、エピローグでは
銀座を縦断した人魚騒ぎの
意外な真相にビックリ仰天。
そ、そうきたか~。
気持ちよ~く騙されちゃいましたよ。
過去の著作とのさりげな~い
リンクにも心が浮き立ちましたね。
湯水のように力が湧いてくる一冊。
きっと、たくさんの読者の人生を
ほんのり上向きにしてくれることでしょう。
(対象年齢は13歳以上かな?)
青山美智子さんの新作との事でワクワクしながら読み始めました。銀座の歩行者天国で人魚姫が逃げたという自称「王子」。ファンタジーの世界から紛れ込んだのか何かの演技なのか??
歳上の女性に対し年の差と住環境の差に怖気付いて自分の本当の姿を偽る元タレントの青年が最初に描かれ、ラストの章では逆に歳上の女性側からの視点で。「ティファニーで朝食を」はタイトルは昔から知ってるものの内容は観たことなくこれは観なければならぬという神のお告げかな。
2章の母娘。こんな関係いいよね。言われずともやる事が本当に好きな事。そして娘さんが王子に対して人魚姫の覚悟と決意を語るところがまたよくて。
3章は熟年離婚した男性と妻から貰った腕時計の話。元妻に言われた「うるさいって一言が夫婦の終了ゴング」という台詞。そしてラストで思い出す自分だけの値打ち。腕時計つけなくなって久しいけどこんなん読むとクラシックな腕時計いいなってなる。
4章の作家はいまいち響かず。
でもやっぱり安定の青山さん。満足度高く読了しました。
銀座の街にあらわれた王子が『人魚が逃げた』と言った。
5人、それぞれに節目にいて、いろいろな事情をかかえた人々。
アンデルセン童話の人魚姫の王子様を中心として、まじわっていく。
なんで、そう思っちゃうのーってもどかしいところも、あったり。
青山美智子さん、連作、本当に素晴らしい。
連作って、繋がったとき、納得できる。
今回の作品、新しい感じがして、おもしろかった。
メルヘンのようで、銀座という現実感もあり、融合が楽しく引き込まれました☺️✨
アンデルセン童話の人魚姫、うる覚えだから、読み返してみたくなりました。
読ませていただき、ありがとうございました。
通じない思い、独りよがりの思い込み、すれ違い。『人魚姫』のエッセンスを銀座の恋人たちにふりかけ、愛の形を描く。文体は軽めで、やっぱりただの恋愛小説っすかぁと、オレの読むものではなかったなあと思ってたが、最後まで読むと夢と驚きが溢れる。そして人との向き合い方を考えさせられる話だったのが分かる。
銀座の街を舞台にした優しい優しいおとぎ話。場面の描き込みはとってもリアルなのに、ストーリーの内容は現実なの?フィクションなの?とちょっとした謎かけのようになっているのも楽しめます。そして青山美智子さんならではのもう一つのお楽しみは登場人物が色々なところでリンクしていること。今作はお話同士だけではなくて、もしかしてあの人のこと!?という実在の方々まで。きっと青山さんご自身が楽しんで書かれているのだろうなと感じます。青山ワールドへの期待を裏切らない多幸感に満ちた物語です。
さすが青山さん、安定の連作短編集です。
今作では「人魚姫」のストーリーが軸になっていて、とてもうまく構成されています。
読者によってツボは違うかと思いますが、いろいろな立場の人のモヤモヤにそっと手当てをしてくれるような作品だと思います。
読後、改めて「人魚姫」を読み返したくなります。
(校正で直ると思いますが、p.61の後ろから4行目冒頭「ニ十分ほど過ぎたころ」の「ニ」が漢数字でなくカタカナになっているようです。)
青山先生の新作楽しみにしていました。
「王子」と名乗る青年が「人魚が逃げた」と言い銀座の街をさまよいます。
なぜ人魚は逃げたのか?アンデルセンの人魚姫を思い出しながら読みました。
声を失う代わりに地上に立つために足を選んだ人魚のように、何かを手に入れるには何かを失わなければならないのでしょうか。
人魚騒動の謎と、章ごとに人生に悩む5人の物語に胸が締め付けられたり、優しい気持ちになったりして章ごとに涙しながら読みました。
連作短編なので人それぞれ好きな章があるでしょう。
私はこの作品で青山先生の言葉に触れながら会話をし、ときめいたり、切なさを感じたり、気付きを得ることが出来るのだと思えた第四章が一番好きです。
青山先生が紡いでくれる作品と会話をしたい読者の一人として、これからも作品を読んでいきたいと思います。
素敵な作品をありがとうございました。
「銀座に人魚が逃げた」という出来事から、五人それぞれの想いを繊細に描く作品でした。
これから先の展開はどうなっていくんだろう、次の語り手は誰なんだろう、そして王子様の正体は何なんだろう、こういった疑問を持って読んでいました。
各章の登場人物の意外な繋がりや思いがけぬ真相はミステリっぽく思えて、全てが明らかになった時、温かい雰囲気に包まれるようで心が癒されたのです。
小説、ドラマ、歌舞伎といったフィクションとは何なのか。新しい情報が満ち溢れている今の時代で地道に小説を書き続ける意味は何なのか。作家としてさらに人間としてあるべき姿についてもいろいろ考えさせられました。
物語の素晴らしき構成と短編集にしてはとてつもない完成度に脱帽しました。作家志望者としても大変勉強になりました。
二度読み必至の作品でオススメです。
一周目も青山さんが得意とする温かな人間模様を描いた物語として充分に読み応えがありましたが、タイトルに隠されていた秘密を知ると、その上で何度も読み返したくなる魔法のような感動も味わえました。童話を彷彿とさせるロマンティックなエピソードが多く、読んでいて何度も胸がときめきました。この物語は、忘れかけていた心のきらめきを取り戻してくれます。舞台となっていた銀座という街も程よく非現実に近く描かれていて、物語のロマンティックな雰囲気に似合っていると思いました。
「#人魚が逃げた」というインパクトある情報が錯綜し、銀座という舞台で話は進んでいく。
アンデルセンの人魚姫を皆が思い出し、王子の姿や言動が歩行者天国にいた人たちのエピソードと絡み合い、それぞれの短編が色づいていく。
エピローグで明かされる事実に驚くばかり。
青山 美智子さんの作品は全て読んでいます。
今回の新作の舞台は銀座。そして王子が出てきて
これだけ聞くとファンタジーですが
青山美智子さんワールド!
不思議な世界観に引き込まれてってしまい
青山美智子さんの魅力全開!
誰もが知っているアンデルセンの人魚姫。現代にその王子が紛れてきた?そんなバカなことがあるか?それが小説です。銀座の歩行者天国の時間内に登場人物に接する。あなたは誰ですか?王子です。人魚が逃げてしまって。登場人物はなんらかの関係やら接触する。そんな日常と王子が物語になる。読み手は人魚が逃げたというタイトルにまずは食いつくだろう。ああ、おもしろかった。これに勝る感想はない。
人魚…ファンタジー?新しいジャンル?と思っていたけど、田中達也さんのミニチュア表紙と優しい世界の繋がりはやっぱりいつもの青山さん!
安心でから展開で、ずっと最後まで穏やかな気持ちで読めます。
いつも行く銀座の街が細かく描写されていて、これから銀座を歩くたびに王子を探してしまうなーなんて思いました。笑
銀座の歩行者天国に現れる王子。ありえない設定だが、今の空気感も丁寧に描いているせいか違和感なく受け入れられます。
この現実とファンタジーとの境目の合わせ目のようなものがうまく描き出されていきます。
優しい世界が広がる1冊です。
「王子が逃げた」から始まる短編集。
どれも相手と向き合うことの大切さを痛感します。
日常の幸せを見逃さず、大切なことは口に出していきたいです。
心が満たされました。
2話目?の親子の会話も良かったです。
3話目?の「経験の掛け算」も素敵な表現でした。
なんと斬新な展開!
ちょっとやり過ぎじゃないですか?!青山先生の脳内が暴走していて面白い!
そして、豊かな描写。極限の想像力。目まぐるしく揺さぶられる感情。
さすがです。
終盤、真相が明らかになって、泣いた。自分の想像力の無さに泣いた。この物語を、ファンタジーだと決めつけてはいけないと感じた。
やさしさだけではない、怒りにも似た強い祈りを感じる、新たな青山文学を受け取った。
SNSを賑わす、人魚を探して銀座の街に現れた王子様。人生の転機を迎えた5人の男女が、異様な存在から『人魚姫』に思いを馳せる事で自らを俯瞰していく、幻想的でロマンティックで、それでいて等身大の物語。
またしてもとんでもない想像と創造の力が青山美智子から迸った、と終始ニヤけが止まらなかった。
「王子」が何者なのか?「人魚」は何処なのか?それだけで十分に心奪われるのもさることながら、各章に割り当てられた主役の心の行方からも目が離せない。いっぱい詰め込まれているが、なぜか時間の流れは緩やかに感じ、あれ?私もそっちに連れて行かれたかな?と錯覚するような夢心地でどっぷり堪能した。
自分にしかわからない自分の事と、自分だからこそわからない自分の事を、他人に重ねて紐解いていく。色んなところが少しずつ引き継がれて繋がっていく構成が魅力的な作品。
どの章もユーモアと気付きがあり、それぞれに見合った説得力を感じた。小説家にスポットを当てた4章は職業柄か言葉選びが頭一つ抜けていて、2章の娘はアーティストなだけあって創造に対する感性が光っていた。細部までこだわり抜いた設定が愛しく、駆け出したくなるような恋がしたくなった。
短編だけど繋がっているというスタイルをずっと続けているのか、私が読んだ青山美智子さんなら作品は全てそんな感じでした。長編も読んでみたいと思います。
ファンタジーのようでファンタジーではなく、現実でないようで現実で不思議な読後。最後は少しわからなかったです。
タイトルとあらすじに惹かれて読ませていただきました。
それぞれのお話の主人公が大切なことに気付いたり、前を向いて再出発をする様子を見守りながら、この王子は何者なんだろう?と思いつつ読み進め、第5話でそういうことだったのか!と納得した矢先にまさかのエピローグ。「どんでん返し」という表現が適切かはわかりませんが、驚きのラストでした。
作中で何度か語られる人魚姫のお話や王子のキャラクター性もあり、全体的におとぎ話のような、穏やかな気持ちで読み進められる物語でした。
青山美智子さんの作品特性の連作短編集が、今回も冴え渡っていました。「人魚が逃げた」こんな不思議な言葉が、こんなふうに展開するなんて。あーあれが、これが、こんなふうに繋がって行くんだな。それもそれぞれにとってのハッピーエンド。わたし達は、こんな風に見えないところで、繋がっているんだな。夢中で読み終えました。
人魚は王子だけでなく、5人の人生を救ったのではないかと思います。
5人とも自分に自信がないことで悪い方に物事を考えてしまう。だから上手くいくこともさえもうまくいかない。
そんな5人の前に現れた人魚を探す王子様。
人魚を探す王子様に会うことによって、自身が持てなかった人たちが自信を持ち、自分に素直になることで周りの人の事を
素直に受け入れることが出来、自分もそれを心から納得できる。
誰しも人魚を探す王子様のように自分の事を責めてしまうことがあると思う。
そんなに自分を責める必要はないんだと思う。
相手に対して素直に自分の気持ちを伝え、相手の考えを受け入れる、それが大事なんだと感じた。
銀座を舞台にした連作集です。
ある街頭インタビューで「王子」と名乗る少年の「僕の人魚が逃げた」発言からSNSでバズって世間にあっという間にひろがっていき、その王子と出会った人たちは、それぞれ人生の岐路に立っていた。主の物語ではない王子と登場人物たちがどう王子とかかわり、展開していくのか?
人は、自分の見たものから考え、動いてしまう。他の人の目線に立って考えているつもりでも、見えてない部分があり、自分目線から見えたもので判断してしまう。そして、それが「すれ違い」とか「誤解」をうんでしまうのかもしれない。私たちは言葉があるけど、それでもそういう「すれ違い」をうんでしまうけれど、自分だけの中で考え完結せず、言葉をつくし、心を尽くすことが優しさや愛なのではないかな?と思える、とても素敵な物語でした。
今回の舞台は銀座。
銀座に現れたのは、人魚をさがしている王子。
王子と出会う人々には何かしらのすれ違いが生じていて、読者としてはもどかしい。
1章から順に読み進めると、次の章の主人公は誰なのか楽しみになります。
そしてエピローグでは、え!あの人がとの驚き。
最後には青山さんはいいなとまた思ってしまう。
銀座にはしばらく行っていないけれど、銀座を思い浮かべながら思いをはせていました。
銀座を舞台にした短編連作。
アンデルセンの『人魚姫』の王子様が突如銀座に現れた。
本物の王子なのか、それともただのコスプレか?
それぞれの話の登場人物が、皆ちょっと頭でっかちで自己完結してしまっているのだけれど、王子と出会うことによって、自分と違う価値観に触れるからか、新しい風が吹くのか、ちょっと物の見方が変わって、優しい光がさしてくる。
他の青山作品と同様、読後はほんわかした気分になれた。
人はそれぞれの人生を生き、必ずその節目に向き合う。
そんな時、この現代の新宿でアンデルセンの童話の王子と出会ったら?人魚姫を求めて彷徨う王子に手を貸したら?彼らの人生をどう変えていく?そんな不思議な物語。
ラストに涙した。
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人はそれぞれの人生を生きている。そして、その生き方の節目に直面することになる。自分の力だけではどうしようもない、と思ってしまう壁と向き合う。
そんな時、予想もしない人物と出会ったらどうなるだろう? 例えば、アンデルセンが書いた童話『人形姫』に出てくる王子に。ここ新宿で。
王子様は皆の心の代弁者だったのではないだろうか。他者とは違うことを願い、でも群れから孤立することを恐れる心。自らの運命を作者(神)に責任転嫁し、被害妄想で他人を見る心。叶わぬと半ば信じるものの、望みを捨てられない心。真実の愛を抱きながら、それを嘘でかき消さなければならない心。そんな、清濁混合の心のシンボライズが王子様。
そんな彼に自らの意志で手を差し出す事は、自分の清い心をえらぶこと。幸せな未来へと向かおうとすること。
みんな、これから明るい道を歩いていく。だからこそ、王子様もいつかはきっと。だってこれは、互いの応援歌なんだから。
ラストの一言、泣いてしまった。
銀座を舞台にした、青山美智子さんの新作です。逃げた人魚を探す、王子様を中心とした連作短編集になります。
王子様と出会う登場人物たちが、自分自身や大切な人との関係を見つめ直し、新たな一歩を踏み出す様子が描かれています。ファンタジーやおとぎの話要素を含みつつも、現代的なテーマや人間ドラマが織り交ぜられており、最後まで穏やかで温かい気持ちで読めます。青山美智子さんの本はいくつか読んだことがありますが、今回の作品もお気に入りの一冊になりました。ひと足早く読ませていただき、ありがとうございました。
今回も素敵なお話でした。人魚姫の物語をこういった形で構成し、そして最後の最後にどんとひっくり返し、ああそういうことかと素直に納得させ、また読み直すことになるというまさに職人技のお話でした。もっともっと読みたいと思いました。
銀座を舞台に人魚姫を探す王子様設定。これはリアルなのか?ファンタジーなのか?それともパラレルワールドなのか? そんな妄想を最後まで読み手に持たせながらも物語がどんどん進んでいく、短編/群像劇でありながら登場人物各々が王子様を起点に巧みに絡み合っていき、文章も綺麗で構成がとてもすばらしい作品です。登場人物たちの悩みや迷いそんなものも王子様が導いてくれる。最後はスッキリ&幸せ気持ちにさせてくれました。
優しくほっこりする読後感。
みんなどこか、人知れず関わりあって生きている。
齟齬が起きそうな、誤解によって招かれる不幸を回避するためにやってきたような王子。
王子の哀しみを受け入れて
王子によって幸せな人生へ背中を押されたような私たち。
物語の世界からやってきて私達を幸せに導く存在は意外に近くにいるのかもしれない。
一つの面から見るだけならば、物語をラベリングすることは簡単だ。
これは正直者が報われるお話。
これは強欲な者が没落するお話。
これは努力は報われるというお話。
ところが『めでたし、めでたし』で終わる物語にも、本当はその後がある。物語はそこで終わっていても、作中人物の人生は本の向こう側でまだまだ続くのだ。
王子様との結婚式の13年後も、たくさんの褒美を得た30年後も。
『人魚が逃げた』は主題のストーリーと周辺のストーリーが絡み合い、触発しあう。読者は読み進めながら、分類したラベルを剥がして貼り替え、また剥がして思案することを繰り返す。
人生の一部を切り取るだけならば、そこにテーマを見つけやすい。意味を与えることさえ容易だ。
しかしその意味は異なる角度とタイミングで見た時、全く別のものになってしまう。
それを知ってなお真実を求めてしまう私たちに、途中で読む手を休ませるなんてことは不可能だ。
この物語は、私たちの体中に、人生に、思考に入り込み、空気を変え、ゆっくりと化学変化を起こす。
私たちに囁きかけ、慰撫しながら覚悟を求めてくる。
物語の終わりは本当の終わりなんかじゃないことを、そして異なる角度から見つめる無限の物語が広がっていることを、読者は思い知らされるだろう。
私たちはそれでも出来事を通して、自分だけの意味を見つける。それが、生きるということなのだと私はこの本に教わった。