森に帰らなかったカラス
ジーン・ウィリス
ログインするとリクエスト可能か確認できます。 ログインまたは今すぐ登録
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2024/10/31 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#森に帰らなかったカラス #NetGalleyJP
内容紹介
第71回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書 小学校高学年の部
ミックが手当てをしたカラスのヒナは、ケガが治ったあとも家に戻ってくるようになった!
英国のベテラン児童文学作家が描く、
少年とカラスのふれあいの物語
1957年、ロンドン郊外の町。
11歳の少年ミックは、ある日、
近所の森で、ケガをした鳥のヒナを
見つけ、家に持ち帰る。
ニシコクマルガラスのそのヒナを、
ミックは両親とともに手当てし、
「ジャック」と名付ける。
ミックの家は駅の目の前にあり、
両親がパブを営んでいる。
ジャックはミックになつき、
一度は森に帰そうとしたものの、
パブにいついてしまう。
パブをちらかして、ミックの母さんや、
パブの従業員に嫌な顔をされたりするものの、
常連客をはじめ、
みんなに愛されるようになっていった。
ジャックが電車に乗ってしまい、
隣の町まで運ばれてしまったり、
よそのおばあさんに連れていかれてしまったり…。
そうしたちょっとした事件がおこるたびに、
ミックや近所の子どもたち、
パブの常連客たち皆が、ジャックを捜索し、
帰ってくるたびに安堵するのだった。
ところが、ある日…?
少年と動物とのふれあいを、父親の兵士時代の心の傷をまじえつつ描く。
ロンドン動物園の元主任飼育員の少年時代の実話をもとにした、心あたたまる児童文学。
おすすめコメント
英国のベテラン児童文学作家ジーン・ウィリスによる作品です。
作品のモデルとなったロンドン動物園の元主任飼育員ミック・カーマンが、ウィリスの近所に住んでいたことが縁で生まれた物語。
動物と少年のふれあいに加え、父親が心に抱く戦争の傷についても丁寧に描き、深みのある作品となっています。
心に残る物語です。
英国のベテラン児童文学作家ジーン・ウィリスによる作品です。
作品のモデルとなったロンドン動物園の元主任飼育員ミック・カーマンが、ウィリスの近所に住んでいたことが縁で生まれた物語。
動物と少年のふれあいに加え、父親が心に抱く戦争の傷についても丁寧に描き、深みのある作品となっています。
心に残る物語です。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784198658946 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
ページ数 | 304 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

傷ついたニシコクマルガラスを拾い、育てる少年ミック。
カラスはジャックと名付けられ、ミックの両親(パブを経営)や店の常連にも、見守られ、命をいつくしむ優しい町の様子が描かれています。一方で、勇敢に戦争から戻って来たはずの父親に秘密があることを知り、ミックはとまどいます。カラスの小さな命を通して、命の重さ、軽々しく語れない重い重い人の命があることを、教えてくれます。

自然好きの少年ミックはイモリや犬、ウサギとともに暮らしている。ある日、森でニシコクマルガラスのひなに出会う。嵐で巣が吹き飛ばされて一人ぼっちのひなをジャックと名付けて家族や親友の助けを借りて育てることに。
主人公ミックも親友ケンも、動物を助ける博愛精神に満ちたお行儀の良い子どもというわけではない。子どもらしくやんちゃだし、悪いこともするごく普通の子どもだ。彼らの生活は自然豊かで、生命と密接に関わり合っている。並行して、戦争の悲劇を抱えながら生きている人々の描写があり、ミックの成長が父の苦悩への救いに繋がる展開に胸が熱くなった。
野生動物を勝手に保護することは生態系をこわすのでいけないと、訳者あとがきでしっかり述べている点でも、この作品が生命に対する責任感をもって発表されていると感じられて素晴らしい。

まだ戦争の爪痕が残る1957年のロンドンを舞台に、怪我したカラスを保護した11歳の少年が、育む事で命の大切さを深く感じていく。帰還兵の苦悩とシンクロさせながら繰り広げられる、カラスも、子供も、大人も―――みんな心躍る、冒険と成長の実話。
ニシコクマルガラスだけでなく、沢山の動物トリビアが出てきて、それが然りげ無く作品と繋がりをもっていくのが非常に魅力的。あとがきを読んでミックを知り、更にすべてが繋がった気がして爽快だった。
愛くるしさが全面に出てるお茶目なジャックの描写と、それをそのまま映し出したようなイラストもとても印象的で、動物好きには特にオススメ。一羽のカラスとの触れ合いが、周りの人たちとの接し方や、戦争への認識までも変えていくプロセスに惹き込まれた。
洒落た英国ジョークと子供特有の斜め上の発想に何度もくすりとさせられ、温かい気持ちを味わえた。個性的な大人たちも含め、登場人・動物みんな最高。

少年ミックの両親やパブのお客さんたちをはじめ、街の人たちがみんなカラスのジャックや小さな動物たちに優しくて心が温かくなりました。
その一方で、戦争のことをあまり語らないミックの父や、戦争で心や体に傷を負っている人たちがまだたくさんいる時代の描写に胸が痛くなりました。
ミックは、ジャックが自由に空を飛び回り自然や命の厳しさに直面する姿に、飛行軍曹だった父を重ね、父の経験を知りたいと思うようになります。
ジャックの成長と危機を見守ってきた経験があったからこそ、ミックは父の語る戦争の経験をより深く受け止めることができたのだと思いました。

舞台は1950年代後半。第二次世界大戦からまだ10年と数年しか経っていないロンドン郊外。
動物好きのミックとニシコクマルガラスのジャックの実在した物語です。
ミックはある日怪我をしたニシコクマルガラスのひなを見つけます。飛び方も知らないこのひなをジャックと名付けました。
野生の生き物を飼う難しさがこの本では書かれています。ミックの家庭ではパブを経営しているので、トイレを含めた衛生問題もあります。何より自然から連れて来たので、自然に返さなくてはいけないのではという葛藤があります。
これらの問題と並行して第二次世界大戦で受けた大人の心身の傷もあります。
人の傷を知り、自分にも向き合うことで成長していくミックの姿を想像していたので、最後ミックとジャックの写真を見て嬉しく思いました。

またカラスの科学読み物かなと思ったら違いました。椋鳩十とかシートンとかを読める子に、次に手渡したい。「これぞ人生だよ、ミック。楽しめるときに楽しもうじゃないか」のような惹きつけられる言葉もあるし、この言葉のあとの一気にラストまで読ませる展開こそが、この本の真骨頂だった。日本の特攻の話はたくさん聞いてきたが、海外児童文学から得られる事実は、より考え方を広げてくれる。

戦争の影が残る時代背景。
ミックの家族や周囲の人々がジャックを受け入れていく様子が温かく、読んでいてほっとする場面ばかりでした。
特に、ジャックが列車と競うように飛ぶ場面は、胸が熱くなりました。動物との触れ合いを通じて、人の心の奥にある優しさや痛みが描かれていて、読後には静かな余韻が残ります。
父親の戦争にまつわる過去とジャックというカラスの運命が、対比的に? 描かれていていろいろなことを考えさせられました。
日本だと、あのいやなカラスに結びつくのだけど、種類が違うのでしょうね。
いろいろ調べてみましょう!

本当にあった話。カラスはかしこいというイメージあるけど、ここまで人間に懐くとは。すごい。
ジャックを中心として、街の人達が結びついていく様子は一つの映画を見ているかのようでした。
別れが思いの外早くて驚きましたが、それも必要なことだったのかと思う。

カラスにジャックと名付けて育てるミックが、ジャックという自分よりも小さな命との触れ合いを通して、命の重みや癒えない傷を知り、少しずつやさしく、強く成長していく姿に胸が熱くなります。
ミックとジャックが心を通わせていく様子が深く胸に残る物語です。

ジャックケンミック
訳者あとがきにもあるように、鳥のヒナを持ち帰ることは禁じられています。このきまりは、現代社会においては、かなり周知されているように思います。それでも、死にかけていたカラスを家に連れ帰って野生に戻そうとしなかったミックを、責める気持ちにはなれませんでした。ミック一家の一員として、ミックのお父さんのお店の常連さんとして、町の人たちの友人として、みんなに愛されたジャック。悲しい結末のはずなのに、明るい気持ちがあふれてきました。

少年ミック、その家族や友人、嵐で傷ついたニシコクマルガラスのジャッコの実話に基づいた物語。人間と動物との間にエピソードは多く、一つとして同じものはなく、各々の作品で愛が育まれている。特に鳥は知能が高く本能を超え、憧れの存在である。交わせない言葉が結びつき、心通わせることで少年たちを豊かにしていく。生きる世界は違うけど、ずっと一緒にいたい、その気持ちは永遠。本作には父親の戦争体験も記されている。戦後間もない時期は深い傷が癒えることなく蓋をしておくしかない状況。温かさと痛々しさ、表裏を感じ取れる印象的な作品。

主人公のニックと、ニックが育てているニシコクマルガラスのジャック、ニックの親友、それぞれの成長に伴う関係性の変化や、周囲の人々のジャックに対する感情の移り変わり、戦争による心の傷を抱えながら生きていく父親とニックの関係、それらが何層にも重なって描かれています。
あとがきを読んで、この物語が実話を基にしたものだと知り、さらに深く心に残りました。
生きていくうえで、だれもが、喜びを感じることもあれば、辛いことや悲しいことを経験することもあり、そんな中で、人は、しなやかに強く人生を歩んでいく。そのような人生が表現されている物語だと思いました。

ミックが助けたニシコクマルガラス「ジャック」を育てるなかで、ミックの心が成長していく。
命について、ミック自身がどのように思っているのか。
子どもらしく「母鴨」の命への気持ち。
「ジャック」や他の動物への気持ち。
そして、父への気持ち。
私が注目したのは、ハーヴェイさんのお母さんに対するミックの考えの変化。
この短い物語のなかで、ミックが命に対してどう思いまた、自分以外の立場への考えが「自分軸」から抜け出して客観性を持つところまで
描き出されているところが素晴らしいと感じる。
また、家族が(父親が)戦争にどうかかわっていたのかを知ることでミックの気持ちが変化するところは圧巻だ。
小学校高学年むきということだが、中高生も読めるし、大人も一緒に読んでほしい。