僕たちの青春はちょっとだけ特別
雨井湖音
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刊行日 2024/12/11 | 掲載終了日 2024/12/11
ハッシュタグ:#僕たちの青春はちょっとだけ特別 #NetGalleyJP
内容紹介
東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞受賞作
中学時代、流されるままぼんやりと過ごしてきた青崎架月。15歳の春、この高校に進学したことで、ちょっとずつ変化が。特別支援学校高等科を舞台に、彼らの青春と謎を描く連作集。
東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞受賞作
中学時代、流されるままぼんやりと過ごしてきた青崎架月。15歳の春、この高校に進学したことで、ちょっとずつ変化が。特別支援学校高等科を舞台に、彼らの青春と謎を描く連作集。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。
・いただいたコメントは帯やPOP、X等SNSでのご紹介など、弊社販促活動に使用する場合がございます。予めご了承ください。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784488029180 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 272 |
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NetGalley会員レビュー
え?この作家さんはいったい何者なんですか?というくらい特別支援学校高等科の生徒たちの一人ひとりの特性や描写の細かさに驚かされました。そしてあとがきを読んで納得しました。
特別支援学校といっても様々な形態がありますが、この作品の舞台となる明星高等支援学校は軽度知的障害のある生徒たちが、就労と自立を目指し学ぶ学校です。
明星高等支援学校に入学した青崎架月もある個性と困難を抱える一人だが、入学し他の生徒や先生たちと関わるうちに徐々に変化してくる。自分の疑問を聞かずにはいられない、調べなければ落ち着かない性格から、ある出来事を見かけたところから探偵のように謎解きを始める連作集。この謎解きは決して他の作品では描くことができない唯一無二のものだ。特に最後の謎は優しさに溢れ涙が止まらなかった。
他の高校生と同じく、彼らも恋をしたり友達と遊びに行ったりと青春を謳歌している。友達のために悩み成長していく過程が瑞々しく映る。ちょっと特別なのは彼らに名前がつく障害があることだけ。そしてその障害は決して軽んじられていない。生徒だけでなく先生たちの眼差しや言動も心に残る。
彼らは就労や自立していくためにこの学校にいる。だが外見では判断できない障害に社会は優しくないのも現実だ。抽象的な言葉ではなく具体的な言葉をかけ、サポートできるツールがあれば利用をするなどの工夫も必要だ。誰かが苦手なことにちょっとした工夫をするということは、障害の有無だけでなく誰もが働きやすく生きやすい環境になるはずだ。そのきっかけをくれる本になると信じている。
軽度知的障害者の為の明星高等支援学校に入学した架月。なかなか噛み合えない様々な特性を持つ高校生達。
それを乗り越えて、架月らはどのように結びついていくのか。更に何ができるのか。その様を寄り添って読んでほしい。
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軽度知的障害を持ち、空気が読めず言葉通りに受け取っては落ち込んでしまう架月。そんな彼は、「友だちがたくさんいる高校生になりたい」と面接で答えて、明星高等支援学校に入学した。あまりにもありきたりな理由? いや、小学生のころからこんな学校生活をしてきた、人間関係初心者の彼にとっては、必死で考えたうえで最後にたどり着いた願いだったのだろう。
この私立明星高等支援学校の生徒達の共通した願い。人とより良く関わりたいという願いが、読んでいてひしひしと伝わってきた。だからこそ、それぞれの特性でそれが困難かもしれないことが心配になった。
でも、苦しくて泣いてもぎこちなくても、皆はやり取りをしていく。すれ違っていても、それを重ねていけば、互いのことがだんだんとだんだんと分かってくるからと信じているのだ、きっと。その前向きさが眩しく感じられた。
そね積み重ねが、互いの耐えられないほどの苦しさだけでなく、互いの良さや触れ合い方も感じ取っていく様子をじっくりと読んでいった。
ゆっくりだけど、これからを生きていくために必要なこと、友だちづくりをやっていく架月や莉音ら。
そんな学校生活に、地域交流会や校外学習などが挟まっていく。そんな時こそ、一人一人の特性がはっきり出てくる。互いを知る絶好のチャンスを彼らはこなしていく。
その様子をそっと見守り、何が必要かを見極めながら行動する、佐伯ら先生たちの助けが本当にありがたかった。
そんな中にいて、架月は自己認識を良い方へも深めていく。そして、同級生や先輩とわかり合い、互いにサポートすることをおぼえながら、絆を結び友だちをつくるという希望をかなえていく。校外学習の後、互いに「ありがとう」と言い合う場面では、思わず涙ぐみそうになった。
そんな時の、同級生の中心的存在だった深谷の失踪。突然で理由も思いつかない彼の行動は、架月だけでなく、読み手にとっても衝撃だった。それに対して、いつのまにか頼られる存在までになっていた架月は、莉音のひと押しのおかげで、「決められたことは守る」という縛りを自から引き剥がし、自習中の教室から彼女と歩み出る。そして、今まで培ってきた人脈によって皆の様々な特性を活かし、自分も「四色紙吹雪事件」などで伸ばした思考力、推理力を使って深谷の居場所を予測していく。その様子は、自信を持てずすぐに泣いていた頃の架月とは全く違って見えた。たくさんの友だちの中心にいた。
そして、最後に皆は気づく。障害者である前に自分達は「高校生」であることに。みんな友だちで、生き生きと青春を謳歌していることに。して、これからもそうしていけることに。
このような特性を持つ子どもを扱った児童文学を読んだことはありましたが、主人公がYA世代であるのは本作が初めてでした。それだけに、青春真っ只中での気持ちの機微の描かれ様がとても新鮮で、心に染み入ってきました。
本当にありがとうございました。
名前をつけられない感情に、包まれた気がした。特別支援学校高等科を舞台にした、ときにほろ苦くもみずみずしい青春ミステリ。彼らや彼女たちの吐息を、リアルに感じた。
ボーダーラインを取っ払った場所のその先に、この物語はある。
高等支援学校で起こる日常の謎をめぐるミステリー短編集。主人公の架月が、クラスメイトや先輩たち、先生たちの力を借りて事件の謎や違和感を解き明かしてゆくストーリーでした。謎を解くことが、人を知ることに繋がることになるのが素敵だと思いました。最初は衝突したりもしますが、時が経つにつれて、お互いのことを受け入れ、仲を深め、助け合う姿に、確かな「青春」を感じます。彼らを見守る教師たちの姿も理想的でした。できれば、架月たちが巣立つまで、読者として見守りたいです。
面白かった!
web小説だから異世界に行くのかな?とか思ってたけどそんなことはなかったw
ラストの深谷の話がミステリーっぽくて好き。
さっきの説明ではそこ行けんやんって話だったのが行けてる理由がなるほどなーって感じだった。
学園ミステリという枠におさまりきらない大作。
丁寧に描かないと伝えきれない心情を
見事に掬い上げた作品でした。
主人公は特別支援学校の新入生です。
まったく空気を読めないことで
さまざまな困り感を抱えていた彼が
ユニークな仲間や熱意ある教員との
関わりのなかで小さな気づきを重ねます。
繊細でこだわりの強い生徒たちの
ちょっとどころでない特別な日々に
むんずと引っ張り込まれました。
なんて没入感。
特に自己肯定感ボロボロの子が
誇らしさを感じる場面にヤラレタ!
感情移入させられすぎて
彼らのほんの些細な成長でも、
このうえなく尊いものに感じましたよ。
迫真のストーリーゆえに
生徒たちの青春が脆さや危うさと
背中合わせであることも思い知りました。
仲間や理解ある大人に囲まれた
「優しい世界」はいつか終わってしまう。
その先にある、描かれなかった未来に
思いを馳せるとき、胸が苦しくなるのは
私だけでしょうか?
やはり、だれもが生きがいを見つけ
誇りをもって過ごせるような社会を
目指さないといけないと痛感しました。
(対象年齢は13歳以上かな?)
これはもうなんとも大変な領域にきりこんでいます。作者の心意気に感激しました。障害のある人物を主人公とするときには、特殊な力(イディオサバン)を売りにして、たとえば、刑事の捜査を補助していくなどの展開が多いのですが、作者はあえてそういった方向性はおさえ、障害のある子たちが懸命に知恵をしぼって、そして協力しながら成長しつつ推理していくというより難しい作品作りに挑戦しており、なんともすごかったです。あとがきを読むことで些末な違和感は解消しましたが、もしかしたら、このあとがきは、この本の場合は最初にもってくるほうがよいのかもと老婆心ながら少し考えてしまいました。
あぁ、とうとう、こんな風に描いてくれる小説が、店頭に並ぶ日が来るんだと思った。
そう。「青春はちょっとだけ特別」。誰にとっても「ちょっとだけ特別」。
この頃、私は思うのだ。今は幕末によく似てるなと。
学校が幕府。勝海舟は学校にいて、坂本龍馬は今までの学校を離脱した場所にいるんじゃないのかなと。
特別支援学校には、きっと次代を切り拓く人がいると思う。
今までの視座からは、見えないものを見る人がいると思う。
この小説の主人公たちが、自分たちにとっての「当たり前」を伸びやかに生きているのが、本当に嬉しい。
この作品を単に面白いと評するのは簡単かもしれないが、自分にはまだそれだけの知識と経験が足りない。
自分の周囲にも支援学級に通う子らはいたが、この密度で接することはなかった。なので、より近いのは「よく分からないけど面白い」だ。
同じものを見ても、どのように捉え、どのように感じ、どのように対応するか。交流学級に通う子らと同じだけど違う。青春時代のまっただ中で友だちのことで思い悩むのは、誰しもが通る道だ。ミステリという味付けがされているが、青春ど真ん中の物語は共感することが多い。
皆が幸せになる社会になればいい。
春から特別支援学校に通う事になった流されやすい架月が、様々な特性を持つ仲間との触れ合いから多くのものを吸収し、校内で起きたちょっとした事件を解いていくミステリ仕立ての青春物語。
まず「特別」の意味について深く考えさせられた。苦手な事、出来ない事なんていうのは誰にでもあって、その弱点を知られる事は誰だって怖い。どこからが「特別」なのかの線引きがとても難しく、そういうセンシティブな問題に躊躇なく切り込んでいく所に、特別支援学校関係者の著者ならではの覚悟を感じた。
それぞれのキャラが持つ意外性、そしてそれを「意外」と感じてしまう事への罪悪感。身をもって「偏見とは何か」を知る事が出来る作品。
特別とは、偏見とは、そちらに意識が向きがちにはなったが、日常生活を円滑に進める上で必要なものは、ほとんどの場合は彼らだけに「特別」必要な訳ではないという事実。それを理解し、誰もが過ごしやすい世界を全員で築いていけたら、と心から思った。
素晴らしいです!
特別支援高等学校を舞台にした青春ストーリー。
あまりにもリアルなのできっとそうだと思ったら、やはり著者は特別支援の関係者でした。
単にリアルなだけでなく、登場人物がみんなかわいいところも素晴らしい。
最後に断り書きがあるように、演出の都合で、ありえない「中学からの申し送り」がありますが、オーバーにしているんだろうなと思いながら読んだので違和感はありませんでした。
物語の展開も少し学園ミステリっぽい要素を入れながら、でもきちんと着地していて、良かったです。
高校生たちを取り巻く先生方も、それぞれいい具合に描かれており、終盤は涙がこぼれそうになって電車の中で困りました。
ぜひ今後もすてきな作品を生み続けていただきたいと思います。
※p.118 「ロッカーの中身が全部右隣に」動かされていたなら、「そこに入っていたのは、右隣のロッカーを使っていた先輩の荷物」ではなく「左隣」の・・・ではないでしょうか?校正で確認お願いします。