救われてんじゃねえよ
上村裕香
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刊行日 2025/04/16 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#救われてんじゃねえよ #NetGalleyJP
内容紹介
警報級の大型新人!
第21回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作
17歳。誰かの力を借りなきゃ、笑えなかった――。
主人公の沙智は、難病の母を介護しながら高校に通う17歳。母の排泄介助をしていると言ったら、担任の先生におおげさなくらい同情された。「わたしは不幸自慢スカウターでいえば結構戦闘力高めなんだと思う」。そんな彼女に舞い降りたのは、くだらない奇跡だった。満身創痍のデビュー作です。
おすすめコメント
『成瀬は天下を取りにいく』を生み出したR-18文学賞から、新潮社がいまプッシュする大型新人のデビュー作です。
選考委員の窪美澄さん、東村アキコさん、柚木麻子さんがその圧倒的筆力に驚愕した『救われてんじゃねえよ』。作品から放たれる熱の強さに、心が打たれます。
安易な共感を許さない内容ながら、読後も主人公のことが忘れられない。こんな小説はなかなかないのではないでしょうか。
『成瀬は天下を取りにいく』を生み出したR-18文学賞から、新潮社がいまプッシュする大型新人のデビュー作です。
選考委員の窪美澄さん、東村アキコさん、柚木麻子さんがその圧倒的筆力に驚愕した『救われてんじゃねえよ』。作品から放たれる熱の強さに、心が打たれます。
安易な共感を許さない内容ながら、読後も主人公のことが忘れられない。こんな小説はなかなかないのではないでしょうか。
販促プラン
皆さまのご感想をお待ちしています。ご感想をいただいた書店様には、初回希望を伺います。添付のFAXにてお申込みください。〆切は2025年3月14日(金)です。どうぞよろしくお願いいたします。
皆さまのご感想をお待ちしています。ご感想をいただいた書店様には、初回希望を伺います。添付のFAXにてお申込みください。〆切は2025年3月14日(金)です。どうぞよろしくお願いいたします。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784103562313 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

進行性の難病をもつ母、母の介護を「私」に任せ、障害年金で高額カメラを買ってしまう父。
この設定を聞いて、多くの人が思うだろう。「ああ、ヤングケアラーのお話か」と。
けれど、この本は私も含め読者が想像していた「ヤングケアラー」のイメージを超えてくる。
欲しいのは同情じゃない。綺麗事でもない。
「ヤングケアラー」「毒親」そんな言葉でひとくくりするな。
ここで生きてる「私」を見ろ!
そんな叫びが強く心に残る作品だった。

最高!こんなに没頭して読んだ小説は久しぶり。生活がそこにある。臭い、感触、空気。さっちゃんとお母さんとお父さんがいる部屋に私もいた。電子レンジで卵が爆発した音を聞いたし、お母さんのアンモニア臭も口の臭いも嗅いだ。気がする。
しかし、家族ってなんだろ?

私なら、こんな親いやだ。育てられるのも、こんな風になるのも。
最近、ヤングケアラーが題材の小説や、ニュース、新聞記事を目にすることが多くなった。
いつも感じるのは、何とかならないのかと思いながらも、結局私には何もできない無力さと、子供達が皆「これが当たり前だから、自分は可哀想じゃない。可哀想だと思うなら、あなたがなんとかして」と言うことに対する言いようのない気持ち。
でも、この本は、同じことを感じさせるのに、読み終わってもずっしり度合いが違って…
笑っちゃう場面もあるし…ああ、そうか『ポジ転』か!と納得。
なんとかしてなんて思ってない、ただ自分を見ていて欲しいという切なる思いを感じた。

自分だったらどうなんだろう...そう考えてしまいました。
親だから家族だから、自分がやらなければいけないとまずは思うんだろうな。
沙智はすごい、周りから見たらそう思うかもしれない。でも当事者になれば何もすごいことは
していない、できればそこから逃げ出したいと思っているんだろうと感じました。
でもその環境から抜け出したとしても自分だけがそこから離れただけでそこにある環境は
何も変わらないんだろうな、と感じました。
子どもであれば大人よりも余計にいろんなことを考え、でも大人程の知識がないから選択肢が狭い。
沙智は子供のころから大人よりも人一倍苦労をしてきた、だからその分家族に対する感情が豊かなんだろうな、と思います。

どうしようもなくどうしようもない現実に、ガツンとやられました。
ヤングケアラーという言葉が存在する前からヤングケアラーは存在していて、今でも気付かずにヤングケアラーになっている人がいるということ。
この一冊の中にさっちゃんのぶちまけたいことが詰まっていて、私が笑っていいのか怒っていいのか、絶妙な気持ちで変な顔になってしまいました。「でもそんなの関係ねぇ!」のところは、一緒に笑ってしまいましたが。
読みながら、そんなことあるわけ…あるのか!という連続で、しんどさMAXの一冊。
でも私は見ました。見てるよ、と言いたい。

がんじがらめの思考を圧倒的な表現力で解いて美しく結び直してしまう。そんな衝撃的な体験をしました。
重くなってしまうテーマを、奔放な物言いの登場人物たちがユーモアや笑いを交えながら本気でぶつかり合う。
現実はそう上手くはいかないかもしれない。でも、読み手が真剣に向き合わねばならないテーマだからこそ、読んだ人全員に伝わるように、ユーモアや笑いのエッセンスが封じ込められているのだと感じるし、手掛かりになる、救いとなる一冊になっているのだ。
辛い時こそ笑える余力が必要なのだ、とさっちゃんの気持ちと重なり合った。

お客様に大声で伝えたい!とんでもない作家がデビューします!と。
プルーフの表紙が「この才能を見逃すな!」という強気の煽り文句。
それは言い過ぎでしょ?デビュー作でしょ?と思って読んだらとんでもなかった!
ヤングケアラーの主人公の日々をとてもリアルに描いていて、ものすごく簡単な言葉で言えば「辛くて可哀そうな小説」なのです。
けれどなぜか、ものすごく笑える!!!
すごく悲し時、大笑いしそうになるよな人間って・・・と日頃思っているのですが、この本にはそういった哀しさがたっぷり描かれていると思いました。
読んでいてすごく辛くて哀れで可哀そうなのに、すごく笑えて、読み終わったら自分も強く生きていこう!という気持ちにさせられる。
本当にすごい作品だと思いました。
色々な人に是非おすすめしたい一冊です!

ヤングケアラーである主人公の目線で物語が進んでいくので、思わず目を背けたくなるような場面も多々あったのですが面白かったです。親の介護から逃れられた大学時代、就活のタイミングで介護をすることで安心してしまう主人公、人間というのは不思議だなと思いました。辛いはずなのに、その肩書き?があることで安心するのだとすると、人間はわからないなとも思いました。

父親は稼げないのに浪費家で母の介護にも協力的でない貧乏な家庭。母の介護をしている状況を担任の先生や同級生に大げさなくらい同情される状況には、沙智自身も眼の前のことをどうするかに精一杯で、自分の未来を信じられなくなるのも仕方ないと感じましたが、ここから幸運にも大学に進学してからも、相変わらず実家に戻って面倒を見てくれるのを当然と考える両親のプレッシャーを感じながら、自分の人生をどう生きるのか。こういった境遇はそう簡単に解消されるものではなく、彼女が抱え続けた葛藤はなかなか壮絶で心に来るものがありました。

一気読みした。容赦ない地獄なのに大人は誰も彼女を助けない。苦しい状況で怒りも湧いてくるのにゲラゲラ笑ってしまった。どうしようもないひどい親なのに愛しく、切なるのが苦しい。地獄の中で彼女が自分で出した答えに光を見た。

この物語の主人公の第一印象は、「不憫」だ。若くして家族のケアを担う。本来であればじぶんがケアされて当然の年齢であるのにだ。
自分をそんな環境に置いている両親を打ち捨ててしまいたい。そう思わせる嫌な思い出とそうすることをためらわせる甘い思い出。
どちらも抱えながら、自らの生き方を確立せんとしてゆく。まだまだその歩みは不安定ながら、何物にも負けない力強さも感じさせる。
読み終えたあと、主人公の印象は「不屈」へと変化していた。

前評判に偽りなし!臨場感たっぷりでその才能に惚れ惚れした。
子どもにとって親の面倒を見ることの境界線て分からない。お手伝いなのか介護なのか、そばにいる親の困っている姿を見たら反射的に手を伸ばしてしまう。共に暮らしているから厄介で、母親だから厄介で。そうだ、父親も厄介だった。少女が1人で的確な正解を導き出すなんてきっと無理。周りの大人だって介入するのは相当難しい。このどうしょうもない環境の世界に驚くほど魅せられた。
大人になって狭いところから広いところに場所も視野も移っていき、少しだけ見えるようになる。自分だけの答えもきっとそのうち見つかる。人間力のレベルは高い。

ヤングケアラーや貧困という現代の社会問題をダイレクトに扱っていながら、そこには苦しみや重みはあまりなく、どちらかと言えば物語の底にはずっと笑いがあるように感じました。沙智の真面目さや一生懸命なところに大いに共感し、正直両親はどうしようもないけれど、これはこれで彼女たちの家族の形なんだろうなと思いました。

すんごい新人作家さんに出会えました!
事前情報なしで読み始めてから衝撃を受け、3ページ目には引き込まれていました。
高校生のわたしの母は難病を患っている。父は母の介護には消極的で、性欲旺盛。
しかし以前から父はお金にだらしなく、母は不衛生なのが常態化していた。
当たり前のように娘の修学旅行には行かせるつもりもない…
わたしは心底、お母さんの体の重さに打ちのめされていた。
「ヤングケアラー」や「毒親」という言葉が世間では使われていて、「逃げて」とも言われるけれど行き先も対処法もわからない。
ここまで読むと、とっても深刻なのだけれど、いや本当に深刻なのだけれど、この本は「お笑い」です。
介護をして欲しい、家事もやって欲しい、就職は近所で家にもお金を入れて欲しい。
親はそれを期待しながら、わたしのエントリーシートにうんこをつけてしまう。
これは決して地上波のテレビで観ることのできないエンターテイメントなのでしょう。筆圧のような、文字の力強さを最後まで感じとりました。

難病の母の介護を担う高校生の沙智の毎日が壮絶で胸が苦しくなりました。そんな家から早く逃げてしまえばいいのに、と無責任に考えました。
でも家族という小さな単位の中には当事者にしかわからない葛藤や怒りがあり、それと同じくして愛と笑いがありました。
同情や共感や支援よりも、不意打ちのどうしようもない笑いに救われた沙智。
ヤングケアラーという言葉の登場によってすくいあげることのできた家庭はたくさんあるかもしれない。その一方で、その言葉の定義からこぼれてしまう苦しさも確かにある。たくさんの人に読んでほしい、届いてほしい1冊です。

すごい作品に出会ったなというのが率直な感想。好きな言葉ではないが親ガチャなら外れの外れくらい最低な環境で生きる主人公。そのつもりはなくても人生の邪魔をしてくる両親の描写に心臓を鷲掴みにされたような感覚になり胸が痛くなる。読む時は覚悟を持って読んでほしい。

読んでいてずっと苦しかった。
もはやヤングケアラーという括りでは言い表せないほどのしんどさ。
一章が終わり、ああ、この人の話はここでおしまいかとおもってたらえずっと同じ人で読む方も苦しさがとまらない。
特にこの母親がしんどすぎるなと思いましたもちろん父もだけど。
娘に依存しすぎ。娘の幸せは考えられないのか、その母親の気持ちが全然理解できなくて、
もう早くこの人亡くなってしまえばいいのになんて思ってしまうくらいでした。

今まで読んできたヤングケアラーものとはまったく違う。
なんだろう、なにが違うんだろう。
笑いか。笑いがあるだけでこんなにも泣けて愛おしくなるんだなぁ。
テストで不正して両親と一緒に学校で怒られた後、セブンティーンアイスを食べながら「明日も食べんさい」って200円握りしめてくるシーンが忘れられない。
母が母としていてくれることに紗智だけじゃなくわたしまで心からほっとした。
1人でトイレに行けなくても、年頃の娘が寝ている横でセックスをしても、娘のボーナスを当てにしてても、アイスは食べさせてあげたいし、就職がうまくいってるかは気になるし、高いカメラだって買ってあげちゃう。お金もないくせに。
どうしてもやっぱりダメな親だとは思うし、紗智が心から嫌いになれないのがもはや苦しい気持ちもわかって苦しい苦しい。
だけど、読み終わった後はなんだか爽やかな気持ち。
紗智の選択が強くて大好き。