生き物でも物でも、「名付け」をすると途端に情に切り結んだ繋がりができてしまう。
人に懐いた迷い猫を拾い、ポーと名付けて飼い始めたとおる。
転校生の森くんとことばを交わすうちにある疑念に囚われていく。それが確信に変わるまでの葛藤は痛々しく苦しいが、揺れる心で導き出した答え。
どうするべきかは、ひとつ。ポーの立場に立って考えれば迷いは吹っ切れた。
自分の本心を抑えることで開けるものがあった。
松成真理子さんの絵がすばらしい！

ぼくが拾った可愛い猫のポー。でも本当は別の名前で、別の人の飼い猫だったら？
低学年のぼくの心をありのままに綴った本。この後、ぼくがどうしたかはわからない。でも悩むことで、ぼくの心は1歩成長した。そう信じてる。

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懐いてくれた捨て猫(？)を飼いたいばかりに、ぼくはお母さんに嘘をついてしまった。それだけ、このポーと暮らしたかったのか。

ぼくのクラスに転校してきた森くん。すぐになかよくなる2人。でも、飼っていた猫トムが逃げてしまった事を知る。

秘密を持ってしまったぼく。森くんにだけは知られたくないぼく。そこから始まるぼくの悩み。それに気づきもしない森くん。

小学1年生の心をありのままに綴った本。この後、ぼくが森くんに何を言ったのか、何も言わなかったのかはわからない。でも、どちらだったとしても、ぼくの心は成長した。
そう信じている。

読後、心が痛くて、それなのに暖かくもなり、
複雑な感情の嵐が吹き荒れました。

ぼくの気持ちになっていて
森くんの気持ちにもなっていて

ずるい、とか、それじゃだめだとか
ねこ自身の気持ちはどうだったのかとか
考えたいことがたくさん。

とおるくんや森くんと同じ世代の子たちに
読んでもらって、どう感じたか一緒に考えたいと
思います。
夏休みの読書の本として薦めようと思います。

放課後クラブからの帰り道、しましま模様のねこが塀の上にいた。そして翌朝学校へ行く途中、そのねこは郵便ポストのそばにいた。そして次は塀の上にいた。人馴れしているようでぼくが近づいても手を伸ばしてもにげないー「ぼくのねこになってくれたらいいな」とぼくは願った。お母さんにねこを飼ってもらうことを許してもらうために「箱に閉じ込められていた」と小さな嘘をつき、うちのねこなんだ、とねこに名前をつけて喜び、転校生で仲良くなった森くんから「ねこがいなくなった」と聞いて森くんを避けるようになったぼく。この作品の中のぼくが小さな生命を大事にしている姿が本当に愛おしく、また自分の気持ちと相手の気持ちのと間で揺れ動くぼくの心の葛藤に共感を抱いた。岩瀬成子さんの子どもを見つめる優しい文章と松成真理子さんの包み込むような色彩と子どもの表情。何度でも読み返したくなる作品だった。

お友だちの気持ちだけではなく、ポーの気持ちも慮れたこと。
そしてすぐに実行できたこと。
自分が悪いことをしてしまったと自覚できたこと。
そして何も言わずに見守る母。
みんなが通ってきた「ぼく」の成長記録に、まばたきを三回しました。

1年生のぼくが学校からの帰り道で出会ったしましまねこ。
どうしても飼いたくてうそをついた。
どうしても飼い続けたくて黙っていた。

わかる。わかりすぎるほど。

気持ちだけ小学生に戻って読みました。

温かい松成真理子さんの絵は、ぼくとポーと森くんを包んでくれているようでした。

切ない！
切ないです。
猫ちゃんは、一日でも一緒にいると、情が移ってしまいます。
だから、わかるんだあ。
とおるくんにいちばん初めに言えなかったわけ。
そして、ポーがポーだと信じたかったわけ。
猫ちゃんを大切に思う気持ちが伝わってきて、
温かい気持ちになりました。

岩瀬さんは、ほんとに子どものモヤモヤとした、やるせない感情を書くのが上手だ。
本当はこうなんじゃないかと思っても、本当の事を知るのが怖くて、言い出せなくて、それで友だちを突き放してしまって、自己嫌悪に陥って。
落ち着いた静かな文体なのに、ぼくの感情の大きな起伏が手に取るようにわかる。
ぼくの気持ちのから、森くんの気持ち、猫の気持ちにまで思いを馳せることになるとは。
小さい人たちの心を揺さぶる話だと思う。

猫を拾う、子供がいくつか切望していることの定番のひとつではないかと思う。猫を飼いたいがためについた小さな嘘はそれを隠すためにまたうそでごまかし…自分のしたことでどんどん追い詰められてしまう子どもの心の移ろいが素直に描かれていて、読者となる子どもたちの共感を呼ぶと思った。猫を手放したくない自分の気持ちと、猫を探す友達の気持ち、飼主が恋しいだろう猫の気持ちを比べて何が大切にしたことか気づくことができた主人公の心の成長が切なくなるが、読んだ子どもたちも一緒に考えることができる、よい結末だと思った。見守っているお母さんの存在も重要。

大人が読んでしまうと、ありがちな話だと思われるかもしれないが、主人公の一喜一憂する気持ちの変化がわかりやすく書かれていて、するっと幼年読者たちの心に染み渡っていくとおもう。最後の奥付けのページの挿絵を見て、不覚にも泣きそうになってしまった。だんだん絵本すら受け付けない、ショート動画にどっぷり浸かった一年生も増えてきたが、この本なら、一文一文が短いので、読み聞かせしても想像して理解できると思う。

ぼくが帰り道にみつけたしましまもようのねこ。人に慣れているけど、首輪をしていない。飼い猫じゃないといいな。「ぼくのねこになってくれないかな」。そんな気持ちを持ったことがある人にぴったりの本です。 大人でも捨て猫拾ったことがある人は共感してしまうかも。

とっさについたうそと、かくしごと。猫への愛着が強まるにつれ、少年のこころに暗い気持ちが広がっていきます。もし自分の大切なものが、別の人にも大切で、てばなさなくちゃいけないとしたら…。そんなときにどう自分の気持ちに向き合えるか、唐突に決断を迫られる主人公に感情移入が止まりません。こんなふうに、欲望と道理のあいだで揺れることって、人生ではけっこうあることに思いますが、この年齢で、しっかりわかってて、えらいなあというのが正直な感想です。
なぜタイトルで『ぼくのねこ』と強調するのか、読み進めるうちに、すごくよくわかります。

もしも自分がねこをひろったらという、こどもにとっての一大事件に、家で飼ってもらえるとホッとしたのもつかの間、もしも友だちのねこだったらという大ピンチに。
ぐいぐい読み進めることができ、せつないけれど、こんなふうに成長して行くんだよねと、子どもを応援したくなる１冊。

ずっと猫を飼いたかった「ぼく」が出会ったかわいいねこはお友達のねこかもしれない。
拾ったねこを飼えるウキウキ、友だちのねこかもしれないと気づいたときのドキドキ、ハラハラがとても伝わってきました。
ぼくの気持ち、友だちの気持ち、ねこの気持ちを読んだ後に色々想像しました。

自分が見つけたネコを家族にも受け入れられてよかったと思っていたら、転校生の猫かもしれないなんて。
優しい主人公の男の子。転校生の男の子にも声をかけているのが自然でよかった。でも、転校生から猫がいなくなったことを聞いてうろたえている気持ちがとてもよく書かれていました。転校生にちょっと意地悪して、どうなることかと思ったけど、一緒に猫と遊びたいのに猫の気持ちになって考えてみたらなんて。素直な気持ちが一番ですね。きっと、転校生と主人公の男の子と一緒に猫と遊ぶんでしょうね。
優しいぼくでいてよかった。

迷子ねこを引き取ることにした主人公。
転校してきた森くんのねこだとわかり始めてからの心の葛藤がよく伝わってくる。
『ぽーの気持ち』ではなく、『トムの気持ち』と思えた瞬間から、特に心の成長を感じることができた。気持ちの流れがよくわかる、すてきなお話だった。

とおるくんがポーを大好きになる気持ちがひしひしと伝わってきます。
だから、森くんにぎこちない態度を取ったり、やさしく出来なくなってしまう気持ちが痛いくらいわかります。
優しさと強さと勇気を手にして成長していく姿が愛おしい。温かい気持ちで包んでくれる一冊です。
動物が好きな人やお家に動物の家族が居る人は、とくに感情移入ができると思います。

とおるの心の動きが手に取るようにわかり、読みながら、自分の心も揺れ動きました。低学年の子どもも、とおるになりきって読むかもしれません。あるいは、ペットがいないくなった経験がある子どもなら、森くんになりきってしまうかも。ねこの毛並みの柔らかさや体温が伝わる絵が、物語を支えていると感じました。

とても優しい絵のタッチと文章の絵本で、自分以外の人、動物の感情を学ぶのにとてもいいお話でした。道徳の授業や、夏休みの読書感想文にぴったりだと思いました。親子で読むにもとてもいいので、中学年くらいのお客様に勧めたい一冊だと思いました。

『ぼくのねこ ポー』は、主人公のとおるくんの揺れ動く気持ちがていねいに書かれている作品だ。

とおるくんは、飼い始めたねこが、かわいくて、いとおしい、ねこと一緒にいられるうれしい気持ちでいっぱいなのに。
心のかたすみでは、いなくなったねこを心配し探す転校生の森くんのことを考えてハラハラ、ドキドキする気持ちもずっとのしかかっている。
そんなねこのをめぐる、うれしさと不安さがいりまじった複雑な気持ちがストレートに伝わってきた。

ああ、こうやって友達の気持ちを考えられることで、君は大人になっていくんだよ、ととおるくんに声をかけてあげたくなった。

イラスト多くカラーページもあるので、絵本から一歩前進し、、ひとりで「本」を読み始める子どもにおすすめの本です。

岩瀬成子さんが書く幼年童話。拾った猫がかわいくて、自分のものにしたくて。お母さんを説得したいがためについた嘘。嘘がバレないように、新しい友達に冷たく放った言葉。だけど…。大人にも読み応えがある。子どもだって、こんなふうに悩んだり、動物の気持ちを思い遣ったり、するよね。

『ぼくのねこポー』は、岩瀬成子さんらしい独特の文体が魅力的で、読者に少し奇妙で新鮮な感覚をもたらしてくれる作品でした。
低学年の子どもたちにも、物語の世界を自然に受け入れながら楽しめるのではないでしょうか。
物語には少しもの悲しさが漂いますが、全体としては温かみのあるハッピーエンドで、登場人物の気持ちの変化や弱さ、思いやりが繊細に描かれています。
読む人それぞれが、さまざまな感想を抱くことでしょう。子どもたちの感想文を読むのが楽しみです。
また、松成真理子さんの挿絵が素晴らしく、岩瀬さんの世界観にぴったりと寄り添っています。そして、何よりもポーの愛らしさが際立っていますね！
素敵な作品を読む機会をいただき、ありがとうございました。

もう少し、あと少しだけでも、この物語の先を描いて欲しかった。読み終えた直後はそんな気持ちを抱いたけれど、あぁよかったな、ここで終えてよかったんだな、少しするとそんな気持ちに変わってきて、なんだか安心感に包みこまれる。こんなかたちで記憶に残る物語に巡り合えたのは久しぶり。ぼくもポーも友だちも、出てくるみんながとても可愛くて優くて、誰にでも起こる感情の揺れを繊細に清らかに描いている、ネコ好きの方には特におすすめの一冊。もし自分が主人公または友だちの立場だったらどうしただろう。ネコのぬくもりを恋しくなるだろう。

拾ってきた飼いたいと思っている猫が、友達の飼い猫かもしれないと気づき、葛藤する少年の物語。
拾ってきた猫を飼いたい自分の気持ち、飼い猫が逃げてしまい探している友達の気持ち、そして猫の気持ち…
それぞれに気持ちがあること、自分以外の人の気持ちも考えなくてはいけないことを伝えてくれる物語だった。

主人公は、谷山君という少年。これは、谷山君とねこのポーの出会いと別れの物語。谷山君はそのねこと出会いポーと名前をつけた。しかしそのねこは、転校してきた森君が飼っていたねこだった。森君はそのねこにトムという名をつけてかわいがっていたのだ。谷山君は、森君のねこが行方不明になったことを聞いて、結局森君にポーがトムかどうかを確かめる。それは結局ポーとの別れとなった。もし、ポーがトムなら森君に猫を返さないといけない。でも最後は自分の気持ちではなく、ねこの気持ちを優先したのだ。私もねこ好きだから谷山君の気持ちは良く分かる。

低学年向け児童読みもの。
ネコを拾った男の子が主人公。でもその猫は、野良ではないかもしれない…
心の葛藤が簡単な言葉ながらきちんと描かれており、挿絵の猫の目力も生き物を感じる。ベテランによる良質な児童書です。
子どもに大人が安心して進められるタイプの読み物だと思います。

とおるくんは、とてもやさしいおとこのこ。ポツリポツリと雨が降り出した帰り道、まよいねこをかわいそうに思って、おかあさんに嘘をついてでも大切にしてあげたいと思う・・・そんな、少年です。
「ポー」と名を付けると、どんどんねこを好きになりました。
転校生の森くん、いい友達になれそうでした。でも、森くんから、引っ越しのときに、いなくなっちゃったねこを探している、という話を聞いて、不安になります。ポーがもし、森くんの探してるそのねこだったら・・・
だんだんに、自分のこころがみだれ、濁るような気持ちになってしまう自分に、とまどいます。
だって、森くんといると、こころが乱れ、やさしくなれない。真っ直ぐに森くんを見られない。そんな自分が嫌だから、森くんと会うのをさけるようになる。こころがゆれる。でも、本当は、原因は、自分のほうにあることを知っています。自分のホントのこころから逃げているだけなんだと知っています。まだ、いいわけができる。嘘をついたわけじゃないし、もうポーのことを大好きになっちゃった。でも、森くんの話をすべてを聞いてしまうと、今のじぶんのしあわせを手放すことになるかもしれない・・・知らないままを選ぶ、知ることを遠ざける、それは、とおるくんのこころをにごしていきます。悪気なんてなかった。そして、重ねた「ちいさなうそ」たち。それを知っているのは自分だけ。
「ぼくは、じぶんが すごく いじわるな 人間に なった 気がした」・・・
人は、生まれたままの無垢の状態がいちばんきれいなのでしょうか？汚れていくだけが生きていくということなのでしょうか？
わたしは、そうは思わない。
だって、とおるくんが、悩んで、考えて、なみだをつるつる 流して、たどり着いたの最後のとおるくんのこころは、生まれたままのこころよりもきれいでしたもの。なみだが洗った、とおるくんのひとみは、一度濁ったけれど、もう前以上に透明に澄み渡っていましたもの。
自分だけのしあわせをまもるために、悪戦苦闘して、本来の輝きまで濁してしまっては、本末転倒でした。そして、自分だけのしあわせより、ポーや、森くんも、いっしょのしあわせのほうが、ステキだと、とおるくんは知りました。
わたしは、自分をまもるために、ちっさな嘘を重ねた、ある日のことを思い出しました。あのとき、とおるくんのようなことができていたら・・・とおるくんとおなじように、自分と向き合う勇気がもてていたら。間違いをみとめ、一番のこたえを求める覚悟をもてていたら。今更ですが、わたしはやっと、なかったことにしていたあの日に向き合えました。
事実は何一つ変えられないし、あやまることも今はもうできないのですが、それでも、わたしは、答えを手にしました。
なみだが古いこころの汚れを、あたたかく流してくようです。挿絵も暖かで、ねことむきあいなみだを流す絵が、すてきです。
岩瀬成子さん、松成真理子さん、ありがとうございました。