
ふみきりペンギン
おくはらゆめ
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刊行日 2024/10/25 | 掲載終了日 2025/05/31
ハッシュタグ:#ふみきりペンギン #NetGalleyJP
内容紹介
第71回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書 小学校中学年の部
ゆうとは、ふみきりの前でペンギンに左利きをばかにされて、落ちこんでいる。るりは、ヘビ公園のなぞのうわさを、どうしても確かめたい。ななこは、旧校舎のトイレにある鏡の中から、ライオンに話しかけられる。そうすけには、天気占いをしているふくろうが見える。悩みや不安も持つ小学3年生たちだけど、それぞれの日常にはたくさんの交流と成長がある。あなたは登場人物のだれに共感しそうかな? 「ふつうって、なんだろう?」という問いのこたえを、むりに決めつけず、大げさに気にせず、「自分らしさ」を認めていくやさしい物語。絵本作家でもある作者のおくはらゆめさん自身がさし絵もたっぷり描き、物語と一体となったイラストの楽しさも味わえることろが魅力!
出版情報
ISBN | 9784251073167 |
本体価格 | ¥1,300 (JPY) |
ページ数 | 111 |
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大人になると現実がしっかり見えてきて、そのせいかうわさで知る「ふしぎなこと」にはあまり興味がなくなってしまう。また、自分の「ふつう」が「ふつう」になってしまい、その「ふつう」とは違った人を「ヘン」扱いし、その人とは距離を置きたくなる。この物語に登場する小学三年生の子どもたちは、見えないものが自分だけに見えたり、うわさを信じてそれを確かめにいこうとしたり、勇気を出して「ふつう」の殻を破ろうとしたり、こうしたわくわくした体験を重ねることで子どもは人との関係を学び、成長していくんだな、と思わせる。タイトルにもなっている「ふみきりペンギン」は左ききのゆうとにだけ見える。学校で左ききをバカにされ、悔しくてふみきりのヒラヒラを左手で握りしめたとき、ふみきりの向こうにみえた5匹のペンギン(と、犬の「マル」)。ペンギンたちは口々に「左きき」のことを「ふつうじゃない」とか「ヘン」と言ってバカにするけど、最後の5匹目のペンギンだけが左ききを「みんなとちがってて」「かっこいい」とほめてくれた。この本をこの年齢の子どもたちが読むとどう感じるのかな、と興味がわくのと同時に、大人が読むと、小さかった時に抱いた「ふしぎなこと」へのわくわく感を思い出すことへの楽しみがあるのではないか、と思った。

小学3年生のゆうとは左利きをからかわれる。るりはななこと「ヘビ公園のひみつ」についてで仲違いしてしまう。そうすけは作った「詩」の内容でうれしくないあだ名をつけられてしまう。そんな4人を中心にペンギンやライオンが出てきたり不思議なことが次々おこって最後には4人がつながっていきます。ともだちっていいよね。「ふつう」ってなんだろう?て考えさせられる本。

ふつうってなんだろう?
小さい子どもたちはどう考えるのか感想文が楽しみです。
ひとつひとつのお話が短いから読みやすい。
ライオンやペンギンも親しみやすい。
都市伝説が好きな子たちにもいいかも。

ふみきりにペンギンがいるなんてふつうじゃない。ふつうってどういうことなのかな?みんなと同じじゃなくても大丈夫。心のモヤモヤがちょっとスッキリするお話です。
ひとつひとつの短いお話が順番につながっていくところも読んでいて楽しい。
2年生の娘におすすめしました。

わからないは心配だ
だから「つい」言ってしまうことがある。やってしまうことがある
あーすればよかった なんで声かけなかったんだろう あの一言絶対にいらなかった
友だちとの関係性が120%最優先な時期があるかもしれない
そんなとき じぶんのなかにもうひとつの「部屋」があるちいいかもしれない
それはヘビかもしれないライオンかもしれない ちょっと怖いか
ふみきりのヒラヒラかもしれない 図書館のいなばさんかもしれない
そして
「かっこよくない」ことに気が付くだろう
「おとうさんのおなら」の感性に歓声をあげるだろう
「どっちでもいい」ことがわかるだろう

短編連作作品になっていて、面白く読ませていただいた。たが、子どもたちは、読みにくいかな?とも思ったりした。感情移入する対象が章ごとに変わるので。ラスト「普通」を考える。ダイバーシティの現代、このようなおはなしからきっかけに考えていけばいいのかもしれない。

小学3年生の4人の子どもたち、それぞれの心のもやもや。
友だちに普通じゃないと言われ、それが引っかかっている。「普通」であることへの反発。自分は自分でありたいという気持ち。
不思議なタイミングで現れる動物たちに示唆されるように、自分なりの気づきを得ていく過程が丁寧に描かれる。

「ふしぎなことってわくわくする」という言葉が印象的。現実的にありえないとかではなく、そのわくわくを子どもたちには大切にしてほしいなあと思わせる作品です。友だちとの関係と、やりたいことに揺れる女の子や、友だちに言われていやだったことを引きずる男の子にその「ふしぎ」があたたかく寄り添うのです。常識にとらわれず、心はどこまでも自由でいい、と思わせてくれます。

そうだった。小さい頃は「ふつう」がよくて、でも大人手前くらいの時は普通をつまらないように感じて、特別になりたかった。でも、やっぱり今になると、普通の日常が何よりも尊いと感じる。子どもの本は、子どもだったことがある大人にこそ読んでほしい、と感じた一冊

「らしさ」とか「個性」がテーマなのだと思うのです。
でもそのようなことよりも、心のままに楽しく読んで欲しい本です。
同じ小学校に通う児童が1話ずつ主人公になっている物語です。
左ききのゆうと。近所のへび公園の都市伝説を信じるるり。旧校舎のトイレでふしぎな体験をしたななこ…
この作品の街では人間と不思議な生きものが共存しているような、していないような。
そして楽しく「ふつうって何?」と思ってくれたら気持ちが軽くなる子が増えると思います。
イラストもとても楽しく、ほんわか優しい気持ちにまれました。

7つのお話が入っている短編集
印象的な題目を見て、どんな内容なのだろう、と興味をそそられた。
少しずつ心の成長をしていくこの年頃に感じる感情が、少しずつ各短編集に描かれている。読み進める度にもやっとした気分が晴れる、爽やかな話だった

おくはらゆめさんらしく、奇想天外で大胆ながらも、繊細なテーマを軸に描かれた作品だと感じました。
楽しく読める一方で、「ふつう」とは何かを深く考えさせられる内容で、読後には温かい気持ちが広がります。力強くダイナミックな絵柄は、特に男の子たちを惹きつけそうですね。
ところで、おくはらゆめさんは男性なのか女性なのか——こういったことにこだわること自体が、既存の概念に縛られている証なのかもしれません。作品のテーマとも通じる部分があり、考えさせられます。
読めば読むほど、多角的な視点が広がる、愉快で奥深い物語でした。素敵な作品を読む機会をいただき、ありがとうございました。

『ふみきりペンギン』は、連作短編集のような形態の本になっています。
このタイプの物語を初めて読む子どもにおすすめです。
一見ちがう物語と思いきや、登場人物がリンクしていて、すべての物語がつながっているのですから。
「あの人がここにもでてくる!」「あの言葉の意味はここにつながってくるのか」などなど。
ゲームのように、本を読むのが楽しめる連作短編の魅力を経験できます。
1回だけじゃなくて、2回目に読むとさらに新しい発見もあるかもしれません。
さらには、会話をする動物、鏡のなかのライオン、突然あらわれる白へびといった不思議な現象がたびたびおこるのです。
当り前のように、日常生活に動物園でみるようなたくさんの動物たちが登場して、ワクワクします。
ただ、課題図書からこの本を選び感想文を書くとなるとちょっと悩んでしまうかもしれません。
本が子どもにはおもしろすぎるからです(笑)
本のおもしろさのと、感想文の書きやすさは比例しているわけじゃないのが難しい!
物語に何度もでてくる「普通ってなんだろう?」という言葉をキーにして感想文を書くのがおすすめです。

小学校3年生が主人公の連作短編集。
ペンギンの話し声が聞こえる子、公園の白いヘビのうわさ話を確かめたい子、鏡の中にライオンが見える子…
不思議なことが大好きな時期があったなぁ、現実と空想の境目が曖昧な時期があったなぁ、と遠い昔を思いながら読んだ。
ギャングエイジと呼ばれる小学校3年生。自我をおさえることが難しかったり、友達づきあいが難しくなったり、という時期だろうか。そんなこども達がこの本を読んでホッとしてくれたらいいなと思った。

子どもの世界が繊細に描かれていました。
自分にしか見えないもの、友だちと二人だけの秘密のことなど、わたしも稲葉さんと同じように、子どもの頃を思い出して、微笑ましい気持ちになりました。
「友だちに嫌なこと言われた」と思ってたけど、自分だって、その友達に嫌なこと言ったりしてたんだよね。
そのことに気が付く場合もあるし、気が付かない場合もあるし。
子どもの頃って、いちいち、「あなた、この前、わたしに、こんないやなことを言ったでしょ」とか言わなくたって、仲直りできたよなあって、そんなことを思い出しました。

小学三年生の子どもの、友だちや自分のことで悩んだり考えたりする様子が描かれています。そこに、何だか不思議なことが起こったのがきっかけで、気持ちの変化が起こったり、友だちとの関係が良い方向に変わったり。読んでいて、楽しいお話でした。子どもも、登場人物のだれかに自分を重ねて読むことができるのではないでしょうか。お話を読みながら、子どもが自らの現状を振り返ることができるといいなぁと思いました。
大人としては、子どもにとって「いなばさん」のような存在になりたいです。

2~3年生向けくらいかな?児童読みもの。
小学3年生の子どもたちが1話ずつ主人公。ちょっとずつ抱えたもやもやが、最後には丸く収まっていく優しいお話。少しファンタジー。
3年生って早い子だと空想から現実へ思考の舵を切り始めるので、人によっては登場人物を少し幼く感じるかも、と思いました。

ピーターパンが見えるのは10歳までだという。座敷童が見えるのもその年齢らしい。世界中でそんな伝説が残っているのは、まだ幼い子どもたちに寄り添う誰かが、共感しくれる話し相手として存在してくれているのだというメッセージであるのだろう。
この物語に出てくる子どもたちのそれぞれが、みんなと違う自分に戸惑い仲間作りに足踏みする。しかしそれが個性を意識する始めであり、みんながそれぞれに違っていいのでありお互いの違いを受け入れてそれを楽しみあえることが友達なんだと気づく。そのお手伝いをしてくれるのがペンギン、ぺろりんへび、みつあみライオン、げたふくろうなのである。そしてその中に大人としては普通でない司書の稲葉さんが入っていることも頼っていいい大人もいるのだというメッセージとして重要である。
わたしのそばにも誰かいるかもしれない、本を置いた時にそう思える幸せを多くの子どもたちに感じてほしいなと思う。

不思議なことが起こっている。子どもはそれに気づいている。大人になると見えなくなるけど。誰もいない公園、学校の隅っこにある大きな鏡、想像するだけで少しドキドキするお話は、それほど怖いものではなく、なぜか愉快なもの。友だちは一人だけではないし、友だちはいろいろ。いろんな考え方や思いがあって、みんな得意と苦手があって。同じものなのに面白かったりつまらなかったり、理由はよく分からないけど、みんな違うみたい。ふつうってなに、それもよく分からないし、ふつうじゃないも分からない。それぞれの立場を尊重するって大切なこと。

子供向けの本だけれど、大人にも読んでほしい、読んでよかったなと思う本。「ふつうってなんだろう」……大人こそ使いがちな言葉だからこそ。
踏切でペンギンに左利きを馬鹿にされるゆうと。へび公園でへびのベロが現れる話を信じるるり。そんなるりに「ふつうじゃない」と言ってしまったななこ。そのななこは鏡の中のライオンに会う…など、不思議な出来事にみんな出会いながら「ふつうって」と考える。
七編のお話のひとつひとつの主人公たちが繋がっていき、最後には輪になっていた。
声高に「多様性」を主張するような行き過ぎた感じではなく、ふんわりとした雰囲気で、考えるきっかけを与えてくれるのが良い。

小学生の男の子の日常。小学生の女の子の日常。
今日あったこと、落ち込んだこと、信じてしまったお話、不思議な体験。
我々おとながそんなことあったな、似たようなことあったな、
と思うようなことが今でも子どもたちの間で毎日繰り返されている。
自分の本心、嫌な気持ち、嘘じゃないのにという気持ち。
それらが一つ一つ誰か、誰かの意外なところによって解決して進む。
そして問題が解決したときに、こんなにも晴れやかになるんだと、
思わせてくれる子供心を学んで欲しい本です。