
ペンツベルクの夜
キルステン・ボイエ
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刊行日 2025/05/22 | 掲載終了日 2025/05/22
静山社・ほるぷ出版 | 静山社
ハッシュタグ:#ペンツベルクの夜 #NetGalleyJP
内容紹介
戦後80年。あの日、それぞれの「正義」の先には何が待っていたのか。ある田舎町で起こった惨劇をもとに描くドイツ児童文学賞受賞作!
戦後80年。あの日、それぞれの「正義」の先には何が待っていたのか。ある田舎町で起こった惨劇をもとに描くドイツ児童文学賞受賞作!
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784863897748 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 160 |
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NetGalley会員レビュー

全く知らなかった「ペンツベルクの殺戮の夜」事件。
ストーリーを追うごとに、衝撃が大きくなり、凄惨さに目を背けたくなってしまう。
決して生々しく直接的に書いてあるわけではないと言えるのだが、それなのに臨場感で
押しつぶされそうになるのは、少年ゲオルグの目線と自分が同一化しているからだろうか。
この本は児童書である。
時代が逆戻りしているかのような、閉塞感に押しつぶされそうな今現代に、
子ども向けにはどうなの?という声も上がりそうではあるけれど、それでも私は
この本を子どもたちに勧めたい。
環境が人を作り、判断力を養う。
この本に登場するグストルのように、若いうちにこのような判断に至るのもまた環境が
起因している部分が大きい。
後付けの正義ではなく、その時に自分が何を考えてどう動くことが正しいのか、
そう考えるためにもこの本はとても良い。
そして「知ること」の大切さを、実感していこうではないか。

始まった戦争には必ず終わりが来る。それが望ましい結果であってもそうでなくても。このお話の舞台はドイツの元々が共産党の勢力が強かった地方である。不条理極まりない形で追放された人々が終戦を前に行動する。そして混乱の中で自分の責任を免れたいだけの役人や軍人たちとの間に起こった悲劇を3人の少年、少女の目を通してこの物語は記録している。世界中が戦火に襲われていた当時、こうした悲劇は至る所にあったに違いない。どうすればそんな戦争の悲劇を無くすることができるか、人間が獣以上に振るまえる感情がどこから来るのか、それを冷静に記録している。次の世代に何を残せるのかこの3人の少年少女の視線の先を見つめ続ける作者の思いが痛いように伝わってくる。
近年、歴史修正主義が世界と同じように我が国でも力を保ちつつある。戦争体験の継承は本書のような文学にこそ力があるように思うけれど活字離れが言われて久しく、偽動画の隆盛に辟易する。良い文学を広めてゆきたいと思う。